EG66の続きです。知覚動詞です。以下、見ましょう。
(1)私はジャックを見た。
(2)私は、ジャックが蹴られるのを見た。
(1)では、ただ単に、ジャックという人物をを見た、ということが表現されているにすぎません。しかし、(2)では、ただ、ジャックを見た、というだけではなく、ジャックがどうなったのを見たのか、ということに焦点が当たっています。ですので、ジャックがどうなったのかを目で捕えた、というというところがポイントになっています。そこで、(2)のような日本語を、英語で、どう表現するか、ということになるわけですが、以下のようになります。
(3)I saw Jack. (訳同(1))
(4)I saw Jack kicked. (訳同(2))
EG66では、‘see’「見る」などの知覚動詞の後に、「目的語+動詞の原形」や、「目的語+‘-ing’」のカタチが続くパターンについて話したわけですが、今回は、ちょっと変わっていて、(4)にあるように、過去分詞‘kicked’が現れています。つまり、(4)では、(3)の、「主語(I)+動詞 (saw)+目的語(Jack)」のカタチに、‘kicked’がくっ付いただけですから簡単ですね。まず、(4)の‘Jack’が目的語であるということは、以下の文で‘Jack’を代名詞に置き換えたときに、目的格になることから証明されます。
(5)I saw him kicked. (私は、彼が蹴られるのを見た。)
それから、‘kicked’の部分は、なぜ「過去分詞」と断言できるのか、「過去形」ではないのか、という疑問も浮かびますが、最も直感的にわかりやすい理由は、日本語訳が、「蹴られる」になっていて、「~ られる」の部分が、何だか受身のような感じがするからかな、とも思いますが、しかし、そんなことはあまり当てにしない方がよいと思います。
(6)I saw him surprised. (私は、彼がビックリているのを見た。)
(7)I saw him annoyed. (私は、彼が悩んでいるのを見た。)
(8)I saw him embarrassed. (私は、彼が困惑しているのを見た。)
(6)~(8)の日本語訳をを見てわかる通り、決して、「~ られる」や、「~ される」などといった訳がスパッと決まっているわけではなく、‘-ed’のカタチに対応する部分に、「~ ている」などの日本語訳がくることもありますから、日本語訳からの決め付けは、危険であることがよくわかると思います。そして何よりも、目的語の後の、動詞の‘-ed’のカタチが、過去形ではないという、決定的な証拠は以下の通りです。
(9) I saw him beaten. (私は、彼が打ち負かされるのを見た。)
(10)I saw him eaten. (私は、彼が食べられるのを見た。)
(11)I saw him bitten. (私は、彼が噛まれるのを見た。)
(9)~(10)では、不規則変化する動詞の中でも、過去分詞専用のカタチをもっている動詞が目的語の後に使われています。それぞれ、‘beat-beat-beaten’「打ち負かす」、‘eat-ate-eaten’「食べる」、‘bite-bit-bitten’「噛む」、の3番目にきているカタチですよね。そして、さらに、以下のように、‘by ~’を付けてもOKです。
(12)I saw him beaten by the rival. (私は、彼がライバルに打ち負かされるのを見た。)
(13)I saw him eaten by a monster. (私は、彼が怪獣に食べられるのを見た。)
(14)I saw him bitten by a lion. (私は、彼がライオンに噛まれるのを見た。)
(12)~(14)における、「過去分詞+‘by ~’」のカタチから、何だか、「受身文」の特徴のようなものが色濃く表れてきましたね。ここで、思い出して欲しいのは、EG66の、「知覚動詞+目的語」の後にある動詞は、原形だったり、‘-ing’のカタチだったりしたわけですが、そういった、「目的語+動詞の原形」や、「目的語+‘-ing’」のカタチの間には、両方とも、「主語・述語」の関係があった、ということです。そこで、もうおわかりかと思いますが、やはり、知覚動詞の後に続く、「目的語+過去分詞」の間にも、「主語・述語」の関係があるということなんです。
(15)He was beaten by the rival. (彼はライバルに打ち負かされた。)
(16)He was eaten by a monster. (彼は怪獣に食べられた。)
(17)He was bitten by a lion. (彼はライオンに噛まれた。)
(15)~(17)は、全て受身文です。そして、その受身文の、be動詞‘was’を取り外して、主語‘he’を目的格‘him’に変えてやれば、あとは、そのまま、(12)~(14)のように、知覚動詞‘saw’の後につなげてやることが可能になります。ですので、通常、受身文のカタチで使われるような文は、その「主語・述語」の関係として、「目的語+過去分詞」のカタチをとって、知覚動詞の後に現れる、と結論付けてもよいと思います。
これで、知覚動詞の後にくるカタチとして、EG66からトータルで、「目的語+動詞の原形」、「目的語+‘-ing’」、「目的語+過去分詞」が出てきたわけですが、これらは、いずれも「主語・述語」の関係をキッチリ守っていることがわかったと思います。この線で考えていくと、この「主語・述語」の関係が、知覚動詞を理解する上での、最も大事なポイントになりそうですね。続けて、以下、見ましょう。
(18)I heard Mary shut the door. (メアリーがドアを閉めるのを聞いた。)
(19)I heard the door shut (by Mary). (ドアが(メアリーに)閉められるのを聞いた。)
(18)と(19)は、どちらもOKの文ですが、ちょっと厄介なのは、「主語・述語」の関係が、能動文からのものなのか、それとも受身文からのものなのか、必ずしも、目的語の後にある動詞のカタチだけからは、判断がつかない場合がある、ということです。‘shut’「閉まる」の活用は、‘shut(原形)-shut(過去形)-shut(過去分詞)’というように、原形と過去分詞のカタチが同じなので、(18)と(19)の‘shut’は、原形なのか、過去分詞なのかを見分ける際に、知覚動詞の後にある目的語との関係を、逐一、チェックしなければならないということです。
(20)Mary shut the door. (メアリーはドアを閉めた。)
(21)The door was shut (by Mary). (ドアが(メアリーに)閉められた。)
(18)は、(20)の能動文の「主語・述語」の関係を、‘heard’に組み込んでいるので、‘shut’は原形だと判断されます。一方、(19)は、(21)の受身文の「主語・述語」の関係を、‘heard’に組み込んでいるので、‘shut’は過去分詞だと判断されます。
ここで、なぜか、学校の英文法などで、安易に、目的語が、「ヒト」の場合は、後に原形、または、‘-ing’がくるが、一方、目的語が「モノ」の場合は、後に過去分詞がくる、などと教わる人がいるようなので、あえて付言しておきますが、そのようなアホらしい判断基準は、即刻、捨てて下さい。
当たり前のことなんですが、今回の(4)~(17)の例は、全て、そのような説明に対する、ストレートな反例となっていて、目的語が「ヒト」であるにも関わらず、その後に過去分詞がきています。そして、逆に、以下は、「モノ」が目的語であるにも関わらず、その後に動詞の原形、または、‘-ing’のカタチがきています。
(22)a. I saw the book fall from his hand. (その本が彼の手から落ちるのを見た。)
b. The book fell from his hand. (その本は彼の手から落ちた。)
(23)a. I heard the bridge break down. (その橋が崩れ落ちる音を聞いた。)
b. The bridge broke down. (その橋は崩れ落ちた。)
(24)a. I felt my heart beating fast. (自分の心臓がドキドキ鼓動しているのを感じた。)
b. My heart was beating fast. (自分の心臓はドキドキ鼓動していた。)
(22a-b)~(24a-b)の各ペアは、(a)が、「知覚動詞+目的語+原形動詞」、または、「知覚動詞+目的語+‘-ing’」のカタチになっていますが、それら全ては、(b)の文を「目的語+原形動詞」、または、「目的語+‘-ing’」のカタチに変換して、組み込んでいます。ですので、目的語が、「ヒト」か「モノ」か、などといった基準で後続する動詞のカタチが決定されるなど、全くもってマト外れです。
あと、注意点ですが、受身文における、「主語・述語」の関係は、前置詞が残されているような受身文のカタチにおける前置詞も、そのまま移植の対象とされます。(EG35参照) まず、以下の能動文(25)から、受身文(26)がつくられるのを確認して下さい。
(25)Mary laughed at John. (メアリーはジョンを笑った。)
(26)John was laughed at _ (by Mary). (ジョンは(メアリーに)笑われた。)
能動文(25)は、「主語(Mary)+自動詞(laughed)+前置詞(at)+目的語(John)」のカタチで、その目的語‘John’を、主語の位置に移動することでつくられた受身文(26)では、当然のことながら、前置詞‘at ~’の後が空所になっています。このように前置詞が残っているカタチも、そのまま、知覚動詞に移植してOKです。
(27)I saw John laughed at (by Mary). (ジョンが(メアリーに)笑われるのを見た。)
以上、確かなこととして言えるのは、知覚動詞の後にくる、「目的語+動詞の原形」、「目的語+‘-ing’」、「目的語+過去分詞」のカタチは、必ず、「主語・述語」の関係が移植されているということであり、この関係が守られていれば、以下のように、応用的な表現も可能となります。
(25)a. Jack saw her with another man. (ジャックは彼女が別の男といっしょにいるのを見た。)
b. She was with another man. (彼女は別の男といっしょだった。)
(25a)はOKになる文ですが、もちろん、(25b)の文において‘she’が主語、‘with ~’が述語なので、その「主語・述語」の関係が、(25a)の‘saw’に移植されて成立しているわけですね。このことから、‘with ~’のような前置詞を使った述語も発展型として認められています。
今回のポイントは、EG66に続いて、知覚動詞には、後続するカタチとして、「目的語+動詞の原形」と「目的語+‘-ing’」以外に、「目的語+過去分詞」のカタチも存在する、ということでした。しかし、カタチの種類が増えたといっても、どのカタチにも、必ず、「主語・述語」の関係がある、という法則に何ら変わりはなく、この点を押さえておけば、自分から作文したり、話したりする際に、自信をもって、正しい表現だと判断することができるようになりますので、「英語脳」的には、やはり、必須のワザです。
この種の「主語・述語」の関係を組み込んだ構文は、知覚動詞以外にも、バリエーションが多く、もちろん、基本文型的な文の骨格となるものが中核となる構文ですが、派生的な変種として、副詞的なもの(文の骨格とはならないようなもの)まであり、数多く存在します。ですので、実践的な英語脳を形成するには、必ず、今回のような、特定構文の中にひそむ、「主語・述語」の関係を見抜くワザを身に付けて下さい。
■注1 :「主語・述語」の関係が組み込まれた、他の構文の代表格としては、「使役動詞」があります。(EG21参照) 副詞的にはたらく、「主語・述語」の関係を要求する構文としては、分詞構文があります。
■注2 :使役動詞の後にくる、「主語・述語」の関係が、受身文のカタチ、「‘be’+過去分詞」からの移植である場合、EG66の、進行形‘be+-ing’からの移植の場合と同様に、‘be’動詞は、現在か過去か、といった、時制に関する情報以外は、特に意味内容をもたないので、消してしまうのが基本です。ですので、そのような‘be’動詞に限り、「動詞の原形」という選択肢からは、外しておくのを忘れないようにして下さい。
■注3 :能動文にせよ、受身文にせよ、現在形や過去形で時間を表現しているのに、知覚動詞に組み込む際に、その動詞を原形にしたり、‘be’動詞を外してしまったりするわけですから、時間(時制)の表現はどうなるのか、という疑問がわきますが、知覚動詞に組み込まれた表現は、知覚動詞の時制に合わせることになっています。つまり、知覚動詞による動作と「同時」に起こっている出来事だと解釈してOKです。
●関連 :EG21、EG35、EG66
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(1)私はジャックを見た。
(2)私は、ジャックが蹴られるのを見た。
(1)では、ただ単に、ジャックという人物をを見た、ということが表現されているにすぎません。しかし、(2)では、ただ、ジャックを見た、というだけではなく、ジャックがどうなったのを見たのか、ということに焦点が当たっています。ですので、ジャックがどうなったのかを目で捕えた、というというところがポイントになっています。そこで、(2)のような日本語を、英語で、どう表現するか、ということになるわけですが、以下のようになります。
(3)I saw Jack. (訳同(1))
(4)I saw Jack kicked. (訳同(2))
EG66では、‘see’「見る」などの知覚動詞の後に、「目的語+動詞の原形」や、「目的語+‘-ing’」のカタチが続くパターンについて話したわけですが、今回は、ちょっと変わっていて、(4)にあるように、過去分詞‘kicked’が現れています。つまり、(4)では、(3)の、「主語(I)+動詞 (saw)+目的語(Jack)」のカタチに、‘kicked’がくっ付いただけですから簡単ですね。まず、(4)の‘Jack’が目的語であるということは、以下の文で‘Jack’を代名詞に置き換えたときに、目的格になることから証明されます。
(5)I saw him kicked. (私は、彼が蹴られるのを見た。)
それから、‘kicked’の部分は、なぜ「過去分詞」と断言できるのか、「過去形」ではないのか、という疑問も浮かびますが、最も直感的にわかりやすい理由は、日本語訳が、「蹴られる」になっていて、「~ られる」の部分が、何だか受身のような感じがするからかな、とも思いますが、しかし、そんなことはあまり当てにしない方がよいと思います。
(6)I saw him surprised. (私は、彼がビックリているのを見た。)
(7)I saw him annoyed. (私は、彼が悩んでいるのを見た。)
(8)I saw him embarrassed. (私は、彼が困惑しているのを見た。)
(6)~(8)の日本語訳をを見てわかる通り、決して、「~ られる」や、「~ される」などといった訳がスパッと決まっているわけではなく、‘-ed’のカタチに対応する部分に、「~ ている」などの日本語訳がくることもありますから、日本語訳からの決め付けは、危険であることがよくわかると思います。そして何よりも、目的語の後の、動詞の‘-ed’のカタチが、過去形ではないという、決定的な証拠は以下の通りです。
(9) I saw him beaten. (私は、彼が打ち負かされるのを見た。)
(10)I saw him eaten. (私は、彼が食べられるのを見た。)
(11)I saw him bitten. (私は、彼が噛まれるのを見た。)
(9)~(10)では、不規則変化する動詞の中でも、過去分詞専用のカタチをもっている動詞が目的語の後に使われています。それぞれ、‘beat-beat-beaten’「打ち負かす」、‘eat-ate-eaten’「食べる」、‘bite-bit-bitten’「噛む」、の3番目にきているカタチですよね。そして、さらに、以下のように、‘by ~’を付けてもOKです。
(12)I saw him beaten by the rival. (私は、彼がライバルに打ち負かされるのを見た。)
(13)I saw him eaten by a monster. (私は、彼が怪獣に食べられるのを見た。)
(14)I saw him bitten by a lion. (私は、彼がライオンに噛まれるのを見た。)
(12)~(14)における、「過去分詞+‘by ~’」のカタチから、何だか、「受身文」の特徴のようなものが色濃く表れてきましたね。ここで、思い出して欲しいのは、EG66の、「知覚動詞+目的語」の後にある動詞は、原形だったり、‘-ing’のカタチだったりしたわけですが、そういった、「目的語+動詞の原形」や、「目的語+‘-ing’」のカタチの間には、両方とも、「主語・述語」の関係があった、ということです。そこで、もうおわかりかと思いますが、やはり、知覚動詞の後に続く、「目的語+過去分詞」の間にも、「主語・述語」の関係があるということなんです。
(15)He was beaten by the rival. (彼はライバルに打ち負かされた。)
(16)He was eaten by a monster. (彼は怪獣に食べられた。)
(17)He was bitten by a lion. (彼はライオンに噛まれた。)
(15)~(17)は、全て受身文です。そして、その受身文の、be動詞‘was’を取り外して、主語‘he’を目的格‘him’に変えてやれば、あとは、そのまま、(12)~(14)のように、知覚動詞‘saw’の後につなげてやることが可能になります。ですので、通常、受身文のカタチで使われるような文は、その「主語・述語」の関係として、「目的語+過去分詞」のカタチをとって、知覚動詞の後に現れる、と結論付けてもよいと思います。
これで、知覚動詞の後にくるカタチとして、EG66からトータルで、「目的語+動詞の原形」、「目的語+‘-ing’」、「目的語+過去分詞」が出てきたわけですが、これらは、いずれも「主語・述語」の関係をキッチリ守っていることがわかったと思います。この線で考えていくと、この「主語・述語」の関係が、知覚動詞を理解する上での、最も大事なポイントになりそうですね。続けて、以下、見ましょう。
(18)I heard Mary shut the door. (メアリーがドアを閉めるのを聞いた。)
(19)I heard the door shut (by Mary). (ドアが(メアリーに)閉められるのを聞いた。)
(18)と(19)は、どちらもOKの文ですが、ちょっと厄介なのは、「主語・述語」の関係が、能動文からのものなのか、それとも受身文からのものなのか、必ずしも、目的語の後にある動詞のカタチだけからは、判断がつかない場合がある、ということです。‘shut’「閉まる」の活用は、‘shut(原形)-shut(過去形)-shut(過去分詞)’というように、原形と過去分詞のカタチが同じなので、(18)と(19)の‘shut’は、原形なのか、過去分詞なのかを見分ける際に、知覚動詞の後にある目的語との関係を、逐一、チェックしなければならないということです。
(20)Mary shut the door. (メアリーはドアを閉めた。)
(21)The door was shut (by Mary). (ドアが(メアリーに)閉められた。)
(18)は、(20)の能動文の「主語・述語」の関係を、‘heard’に組み込んでいるので、‘shut’は原形だと判断されます。一方、(19)は、(21)の受身文の「主語・述語」の関係を、‘heard’に組み込んでいるので、‘shut’は過去分詞だと判断されます。
ここで、なぜか、学校の英文法などで、安易に、目的語が、「ヒト」の場合は、後に原形、または、‘-ing’がくるが、一方、目的語が「モノ」の場合は、後に過去分詞がくる、などと教わる人がいるようなので、あえて付言しておきますが、そのようなアホらしい判断基準は、即刻、捨てて下さい。
当たり前のことなんですが、今回の(4)~(17)の例は、全て、そのような説明に対する、ストレートな反例となっていて、目的語が「ヒト」であるにも関わらず、その後に過去分詞がきています。そして、逆に、以下は、「モノ」が目的語であるにも関わらず、その後に動詞の原形、または、‘-ing’のカタチがきています。
(22)a. I saw the book fall from his hand. (その本が彼の手から落ちるのを見た。)
b. The book fell from his hand. (その本は彼の手から落ちた。)
(23)a. I heard the bridge break down. (その橋が崩れ落ちる音を聞いた。)
b. The bridge broke down. (その橋は崩れ落ちた。)
(24)a. I felt my heart beating fast. (自分の心臓がドキドキ鼓動しているのを感じた。)
b. My heart was beating fast. (自分の心臓はドキドキ鼓動していた。)
(22a-b)~(24a-b)の各ペアは、(a)が、「知覚動詞+目的語+原形動詞」、または、「知覚動詞+目的語+‘-ing’」のカタチになっていますが、それら全ては、(b)の文を「目的語+原形動詞」、または、「目的語+‘-ing’」のカタチに変換して、組み込んでいます。ですので、目的語が、「ヒト」か「モノ」か、などといった基準で後続する動詞のカタチが決定されるなど、全くもってマト外れです。
あと、注意点ですが、受身文における、「主語・述語」の関係は、前置詞が残されているような受身文のカタチにおける前置詞も、そのまま移植の対象とされます。(EG35参照) まず、以下の能動文(25)から、受身文(26)がつくられるのを確認して下さい。
(25)Mary laughed at John. (メアリーはジョンを笑った。)
(26)John was laughed at _ (by Mary). (ジョンは(メアリーに)笑われた。)
能動文(25)は、「主語(Mary)+自動詞(laughed)+前置詞(at)+目的語(John)」のカタチで、その目的語‘John’を、主語の位置に移動することでつくられた受身文(26)では、当然のことながら、前置詞‘at ~’の後が空所になっています。このように前置詞が残っているカタチも、そのまま、知覚動詞に移植してOKです。
(27)I saw John laughed at (by Mary). (ジョンが(メアリーに)笑われるのを見た。)
以上、確かなこととして言えるのは、知覚動詞の後にくる、「目的語+動詞の原形」、「目的語+‘-ing’」、「目的語+過去分詞」のカタチは、必ず、「主語・述語」の関係が移植されているということであり、この関係が守られていれば、以下のように、応用的な表現も可能となります。
(25)a. Jack saw her with another man. (ジャックは彼女が別の男といっしょにいるのを見た。)
b. She was with another man. (彼女は別の男といっしょだった。)
(25a)はOKになる文ですが、もちろん、(25b)の文において‘she’が主語、‘with ~’が述語なので、その「主語・述語」の関係が、(25a)の‘saw’に移植されて成立しているわけですね。このことから、‘with ~’のような前置詞を使った述語も発展型として認められています。
今回のポイントは、EG66に続いて、知覚動詞には、後続するカタチとして、「目的語+動詞の原形」と「目的語+‘-ing’」以外に、「目的語+過去分詞」のカタチも存在する、ということでした。しかし、カタチの種類が増えたといっても、どのカタチにも、必ず、「主語・述語」の関係がある、という法則に何ら変わりはなく、この点を押さえておけば、自分から作文したり、話したりする際に、自信をもって、正しい表現だと判断することができるようになりますので、「英語脳」的には、やはり、必須のワザです。
この種の「主語・述語」の関係を組み込んだ構文は、知覚動詞以外にも、バリエーションが多く、もちろん、基本文型的な文の骨格となるものが中核となる構文ですが、派生的な変種として、副詞的なもの(文の骨格とはならないようなもの)まであり、数多く存在します。ですので、実践的な英語脳を形成するには、必ず、今回のような、特定構文の中にひそむ、「主語・述語」の関係を見抜くワザを身に付けて下さい。
■注1 :「主語・述語」の関係が組み込まれた、他の構文の代表格としては、「使役動詞」があります。(EG21参照) 副詞的にはたらく、「主語・述語」の関係を要求する構文としては、分詞構文があります。
■注2 :使役動詞の後にくる、「主語・述語」の関係が、受身文のカタチ、「‘be’+過去分詞」からの移植である場合、EG66の、進行形‘be+-ing’からの移植の場合と同様に、‘be’動詞は、現在か過去か、といった、時制に関する情報以外は、特に意味内容をもたないので、消してしまうのが基本です。ですので、そのような‘be’動詞に限り、「動詞の原形」という選択肢からは、外しておくのを忘れないようにして下さい。
■注3 :能動文にせよ、受身文にせよ、現在形や過去形で時間を表現しているのに、知覚動詞に組み込む際に、その動詞を原形にしたり、‘be’動詞を外してしまったりするわけですから、時間(時制)の表現はどうなるのか、という疑問がわきますが、知覚動詞に組み込まれた表現は、知覚動詞の時制に合わせることになっています。つまり、知覚動詞による動作と「同時」に起こっている出来事だと解釈してOKです。
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