英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(66)

2005年03月19日 | 動詞
また動詞編ですが、今回考えるのは、日本語の、「Aが ・・・ しているのを ~する」はどう表現されるのか、ということです。以下、見ましょう。

(1)私はトムを見た。
(2)私はトムが逃げるのを見た。

(1)では、ただ単に、トムという人物をを見た、ということが表現されているにすぎません。しかし、(2)では、ただ、トムを見た、というだけではなく、トムが何をするのを見たのか、ということに焦点が当たっています。ですので、トムの「行動」を目で捕えた、というというところがポイントになっています。そこで、(2)のような日本語を、英語で、どう表現するか、ということになるわけですが、以下のようになります。

(3)I saw Tom. (訳同(1))
(4)I saw Tom run away. (訳同(2))

(4)では、(3)の、「主語(I)+動詞 (saw)+目的語(Tom)」のカタチに、‘run away’「逃げる」がくっ付いただけですね。ですので、思ったよりも、ずいぶんと簡単なんですね。この‘run away’の動詞部分である‘run’は、‘run (原形)- ran (過去形) - run (過去分詞)’の活用における過去分詞ではなく、原形です。この動詞の原形部分を他の動詞の原形に入れかえれば、もちろん、いろんな表現が可能ですので、是非ともマスターしたい表現ですね。

(5)Lucy saw Tom do his homework. (ルーシーはトムが宿題をするのを見た。)
(6)Lucy saw Tom read the book. (ルーシーはトムが本を読むのを見た。)

ここで注意点ですが、日本語の、「Aが ~ するのを見た」の「Aが」は、「~ が」の部分から、あたかも主語であるかのように日本語で表現されていますが、英語の(4)~(6)の構文では、実は、‘Tom’「トム」は目的語であり、その証拠として、‘Tom’を代名詞に置き換えると、必ず、目的格‘him’のカタチになります。

(7)I saw him run away. (私は彼が逃げるのを見た。)
(8)Lucy saw him do his homework. (ルーシーは彼が宿題をするのを見た。)
(9)Lucy saw him read the book. (ルーシーは彼が本を読むのを見た。)

(7)~(9)で確認されるように、やはり、「主語+動詞+目的語」のカタチの後に、動詞の原形をくっ付けただけだということがわかります。なので、「三人称・単数・現在」の‘-s’を、目的語の後の原形動詞に、誤ってくっ付けることのないように注意して下さい。しかし、その一方で、それぞれの日本語訳からも明らかなことは、「彼が逃げる」、「彼が宿題をする」、「彼が本を読む」、というように、解釈の上では、‘saw’の後に続く目的語と動詞の原形の間には、「主語・述語」の関係が成り立っているのがよくわかりますね。

(10)He runs away. (彼は逃げる。)
(11)He does his homework. (彼は宿題をする。)
(12)He reads the book. (彼は本を読む。)

このような、「主語・述語」の関係は、英語ではカタチの上では、‘see’の直後で、「目的語+動詞の原形」で表現されるので、そのような決まりになっていると覚えて下さい。ところで、このようなパターンで使われる‘see’のような動詞は、他には、以下のようなものがあります。

(13)‘hear’「聞こえる」、‘watch’「(注意して)見る」、‘feel’「感じる」、
   ‘listen to’「(意識して)聞く」、‘look at’「(意識して)見る」、その他

(13)のタイプの動詞は、五感などの神経感覚に関係している意味をもつ、ということから、「知覚動詞」と呼ばれています。特に、(13)の、‘listen to’や‘look at’は、他の他動詞と違って、「自動詞+前置詞」のカタチですので、‘to’や‘at’の前置詞との組み合わせで覚えておくのを忘れないようにして下さい。

(14)Lucy looked at him walk on the floor. (ルーシーは彼が床を歩くのを見た。)
(15)Lucy listened to him sing a song. (ルーシーは彼が1曲歌うのを聴いた。)

ところで、「知覚動詞」には、目的語の後にくる動詞に、ちょっとした変化をつけることで、その意味に違いを出すことが可能です。その変化は、動詞の原形ではなく、動詞の‘-ing’のカタチを使ってやることです。そうすることで、例えば、(14)と(15)には、以下のような違いが出せます。

(16)Lucy looked at him walking on the floor.
  (ルーシーは彼が床を歩いているところを見た。)

(17)Lucy listened to him singing a song.
  (ルーシーは彼が1曲歌っているところを聴いた。)

(14)と(16)の違いは、(14)が、「歩く」という動作に、特に何もポイントを付けてはおらず、「歩き」のどの部分にも焦点は当てられていませんので、歩き始めから歩き終わりの一部始終を見た、ということを含意することが可能です。一方で、(16)は、‘-ing’のカタチからもわかる通り、進行中の動作、という点に焦点が当てられ、歩いている「瞬間」や、歩きが進行している点が強調された解釈になります。

(15)と(17)の違いも、(14)と(16)の違いと同じです。(15)では、「歌う」という行為に、特に何もポイントは付けてはおらず、「歌う」のどの部分にも焦点は当てられていませんので、まるまる1曲分の歌い始めから歌い終わりの一部始終を聴いた、ということを含意することが可能です。一方で、(17)では、歌っている「瞬間」や、「歌う」という行為が進行中である点が強調された解釈になります。こういったことも、基は、目的語と‘-ing’のカタチの間に、進行形の関係があり、意味もそれに倣っている、というところからきています。

(18)He is walking on the floor. (彼は床を歩いている。)
(19)He is singing a song. (彼は1曲歌っている。)

ここから、例えば、‘walk’「歩く」という動詞は、瞬間的な時間を表現する語句を付け足してやると、進行形とそうではないカタチの間にハッキリとした意味の差が出ます。

(20)He walked on the floor at three. (彼は3時に床を歩いた。)
(21)He was walking on the floor at three. (彼は3時に床を歩いていた。)

(20)は、もともと、ちょっと意味が変に感じられるのですが、「歩く」という動作の中でも、「歩き始め」の方にポイントが置かれます。つまり、3時に歩き始めた、というイメージで解釈されます。一方、(21)は、進行形‘be+-ing’のカタチで、瞬間的な動作にうまくマッチするカタチなので、まさに、そのまま、3時キッカリには、歩くという動作が進行中であった、という解釈になります。こういった意味の関係は、知覚動詞の中でも、そのまま生かされます。

(22)I saw him walk on the floor at three. (彼が3時に床を歩くのを見た。)
(23)I saw him walking on the floor at three. (彼が3時に床を歩いているのを見た。)

知覚動詞、‘see’の中で、(20)を表現した(22)でも、やはり、彼が3時に歩き始めるのを見た、というイメージで解釈され、‘see’の中で、(21)を表現した(23)は、3時キッカリには、歩くという動作が進行中で、その瞬間を見た、という解釈になります。

ところで、こういった知覚動詞は、後続する、「目的語+動詞の原形」または、「目的語+‘-ing’」のカタチが、「主語・述語」の解釈を受ける、といった点から、‘that’節との相性はどうなっているのだろうか、ということが、よく疑問点として上げられます。

(24)I see [ that Tom ran away ]. ([ トムが逃げたってことは ] わかってるよ。)
(25)I heard [ that Tom sang a song ]. ([ トムが歌ったってことは ] 聞いたけどね。)

結論から言うと、知覚動詞と‘that’節とのつながりは、直接的な「知覚」という観点からは、やや遠ざかっている解釈になります。(24)の‘see’は、トムが逃げるという行為を目で見る、という意味ではなく、むしろ、トムが逃げたという情報を、新聞や何かの書かれたものを見ることで得た、という意味があります。(25)では、トムの歌を聴いたのではなく、トムが歌ったという話を人から聞いたという意味になってしまいます。

このように、‘that’節には、「直接的な知覚」を受け付けないような側面があるので、もともと‘that’節を取らない知覚動詞もあるし、例え、‘that’節を取ったとしても、(24)や(25)のように、必ず、直接的な知覚の意味からは遠ざかるように、解釈に変化が生じています。このことから、真の意味での「知覚」を表す場合、知覚動詞は、‘that’節を取らないと結論付けてもよいでしょう。

今回のポイントは、英語の動詞には、目的語だけではなく、その目的語の動作といった表現までも組み込んで、文の骨格としてしまう動詞があるということです。こういった動詞は、「主語・述語」の関係を、目的語と動詞の原形、または、目的語と‘-ing’というカタチに変換して自分の中に組み込んでしまうはたらきがあるんですね。

しかし、その「主語・述語」の関係において、その「主語」が目的語のカタチをとる、という決まりごとの方は単純で、今回の話以外に言うべきことは何もありませんが、「述語」の部分に関しては、進行形以外にも、他の構文があることから、結構いろんなカタチがありそうだなと、容易に想像できますね。今回見たのは、もちろん、その数あるカタチの中の1つに過ぎません。別のカタチは、またの機会にでも見ていきたいと思います。

■注1 :今回扱った構文は、学校で習う「基本5文型」では、「S+V+O+C」という分類になります。「S+V+O+C」では、OとCの間に、「主語と述語の関係がある」、または、「イコールの関係がある」、などと説明されます。

■注2 :(22)と(23)における、‘at three’「3時に」は、文脈なしに、(22)と(23)の文だけを見ると、本来は、むしろ、‘saw’「見た」の方にかかって、「~ を3時に見た」、と解釈される傾向がありますが、「見た」という動作と、「歩く」、または、「歩いている」という動作は同時に起こっているので、「3時に」が、どちらにかかっていても、結果的に意味に大きな違いはなく、不都合はありません。そこで、とりあえず、(22)と(23)では、「~ を3時に見た」の解釈は外しておくものとします。

■注3 :使役動詞の後にくる、「主語・述語」の関係が、進行形、‘be+-ing’からの移植である場合、‘be’動詞は、現在か過去か、といった、時制に関する情報以外は、特に意味内容をもたないので、消してしまうのが基本です。ですので、そのような‘be’動詞に限り、「動詞の原形」という選択肢からは、外しておくのを忘れないようにして下さい。


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