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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(46)

2005年01月14日 | 前提の概念
EG45の続きです。EG45では、「前提」の概念を導入して、文における単語のつながり具合をみたわけですが、この概念を用いると英語の面白い側面を発見することができます。以下、見ましょう。

(1)John died in Japan. (ジョンは日本で亡くなりました。)
(2)John lives in Japan. (ジョンは日本に住んでいます。)

EG45では、‘die’「死ぬ」のような動詞は、主語に生命をもったものがくることが「前提」になると言いました。(1)でも、それは変わりません。しかし、それ以外は「前提」とはならない表現なので、‘in Japan’「日本で」のように、どこで死亡したのか、というような「場所」は、「前提」とはならないわけです。

(2)では動詞の‘lives’「住む」が、そういった行為を行うものとして、主語‘John’を取っていますね。ですので、‘John lives’で、「ジョンは住んでいる」になりますが、それだけだと、ちょっと何かもの足りません。「住む」という表現は、やはり、どこどこに住む、というように「場所」がないと、座りが悪い感じになります。ですので、(2)のように、‘~ lives in Japan’とすれば、「~ は日本に住んでいる」となって、スッキリした感じがします。

ここで、(1)と(2)のカタチを見てみると、どちらも、「主語+動詞+前置詞+名詞」のカタチをしていて、違いがないことがわかります。これを、ちょっと学校の先生風に説明してみると、以下のような感じになるんじゃないでしょうか。

(3)‘die’も‘live’も自動詞だから、目的語は取らない。だから、(1)も(2)も、
   「S (主語)+V (動詞)」の、いわゆる、「第1文型」になり、‘in Japan’は、
   「前置詞+名詞」で、副詞句だから、‘died’や、‘lives’にかかる修飾語
   になる。 (副詞句については、EG44、参照。)

学校で英文法を習うときの、(1)や(2)に対する説明としては、(3)のような説明は、ごくスタンダードなもので、要するに、(1)の場合も、(2)の場合も共に、‘in Japan’は、副詞句として扱うから同じ構文だ、と言っているわけです。

しかし、EG45でやったように、「前提」という概念から単語の結びつきを見る方法を導入すると、見た目のカタチが同じだからという理由で、(1)や(2)のような文は、決して同じ性質をもっているとは言えません。

「英語脳」的な観点からみる限り、真の副詞句と言えるようなものは、(1)の‘in Japan’であり、一方、(2)の‘in Japan’は、決して副詞句とは呼べないようなものです。「前置詞+名詞」のカタチをしているからといって、そこから即座に、文法的に同じステイタスをもつと言っていては、以下のような場合に説明がつかなくなります。

(4)In Japan John died. (〇) (訳同(1))
(5)In Japan John lives. (×) (訳同(2))

(4)では、(1)の‘in Japan’を文の先頭に移動してみたのですが、これはOKです。一方、(5)でも、(2)の‘in Japan’を文の先頭に移動したのですが、何と、ダメになってしまいました。ここから言えそうなのは、‘live’「住む」と ‘in Japan’のつながりは強いが、一方、die’「死亡する」と ‘in Japan’のつながりは弱いということです。

これは、もちろん、‘live’「住む」は、意味的な「前提」として「場所」を要求する動詞なのに対して、‘die’「死亡する」は、意味的な「前提」として「場所」など要求せず、ただ単に、必要に応じて、そういったものを付けたり付けなかったりすればよいからです。

(6)a. Ieyasu Tokugawa lived in the 17th century. (〇) 
    (徳川家康は17世紀に生きていました。)
   b. In the 17th century Ieyasu Tokugawa lived. (〇) (訳同上)

‘live’には、「住む」以外に、「生きている」の意味もありますが、「生きている」の場合は、意味的に、生命をもったものが主語であればよく、他の要素を「前提」とはしません。ですので、(6a)のような文では、‘in the 17th century’を、純粋に副詞句として扱ってもよく、‘in the 17th century’を文の先頭に移動した(6b)が、OKとなります。ちなみに、(5)の場合も同様に、もし、「ジョンは日本に住んでいます。」ではなく、「ジョンは日本で生きています。」の解釈にするのなら、OKになるんですね。

今回のポイントは、EG45に引き続き、語句の関連付けのあり方に、「前提」という概念を導入することだったわけですが、この概念は、「英語脳」における重要なキーワードとなります。この認識が備わっていると、コトバの習得に対して敏感にセンスがはたらくようになり、英語を学習する上での効率が各段に向上します。「前提」の概念は、コトバの様々な側面で文法的な影響を与えており、その証拠としての一例を今回は示しました。

このような概念は、一般に、学校の授業では教わることがないため、結果として、(3)のような説明から、なかなか脱却することができず、(4)と(5)のような例に出くわすと、とたんに無力になってしまうという、もろい一面があります。「前提」の概念は、実は、EG42で、不定詞の副詞用法を扱う際にちょっと触れていたものです。今後も「前提」の概念を扱って、他の効果も検証していきますので、お楽しみに。

●関連: EG42EG44EG45

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