EG47の続きです。疑問詞の移動と口語英語に関するお話です。以下、見ましょう。
(1)I want to kiss Lucy. (ルーシーにキスしたい~。)
(2)I wanna kiss Lucy. (訳同上)
口語英語では、(1)の、‘want to’「~ したい」が、(2)のように、‘wanna’(「ゥワナ」という感じの発音) という、1語に縮約されてしまうことが、よくあります。これを、「‘wanna’縮約」と呼ぶことがありますが、こういった表現は、誰でも、割と簡単に覚えてしまいますので、英語を使い慣れてくると、自然と口をついてでてくるようになります。ところで、以下の文を見てみましょう。
(3)Who do you wanna kiss Lucy? (×) (誰にルーシーとキスして欲しいの?)
ん?(3)はアウトですか?ちょっと意外ですが、確かに、英会話などでは、‘want to’は、‘wanna’になることが、よくあるので、(3)は、もとのカタチが、‘want to’ではない、何か別の単語ではないか、と疑ってみたくなりますが、別に、(3)の‘wanna’は、もとのカタチが、‘want to’とは別物ということではありません。
(4)Who do you want to kiss Lucy? (〇) (訳同(3))
(4)は、(3)と同じ意味で、OKになります。ですので、(3)がアウトになった原因は、(3)の‘wanna’は、もとのカタチは、‘want to’ではない、ということではなく、(4)から(3)に移る過程で、‘want to’→‘wanna’という、縮約がおこったためだ、ということになります。
ここで、(4)が、疑問詞‘who’を使った、疑問文であることに着目したいと思います。EG47では、日本語と違って、英語の場合、疑問詞による疑問文をつくるには、その疑問詞が、文の先頭に移動していなければならないことを見たわけですが、まず、以下の文を見ましょう。
(5)I want John to kiss Lucy. (私は、ジョンにルーシーとキスして欲しいのよ。)
まず、(4)の疑問文に対して、(5)のような答え方をしたとします。この文では、‘John’という表現が、‘want’と‘to’の間にはさまっていますね。ここで、簡単にわかると思いますが、(5)は、以下のような‘wanna’を使った縮約文に変えることはできません。
(6)I wanna John kiss Lucy. (×) (訳同(5))
ここから、(6)の、「‘wanna’縮約」がアウトなのは、‘John’という表現が、‘want’と‘to’の間にはさまっているからだと、ハッキリ言えると思います。そこで、再び、(4)に戻って、(4)の‘who’が、どこから文の先頭に移動してきたのか考えてみます。
(7)Who do you want _ to kiss Lucy? (〇) (訳同(3))
(7)は(4)と同じ文ですが、(4)の‘who’が、どこからやってきたのかを示す下線が加えてあります。この下線部は、(5)の‘John’が、‘want’と‘to’の間にはさまっているのと同様に、‘want’と‘to’の間にはさまっていますね。
これで、もう、(3)がアウトになった原因がおわかりですよね。注意点は、(5)の文は、‘want to 不定詞’「~ したい」の構文ではなく、‘want A to 不定詞’「A に ~ して欲しい」の構文を使っているということです。この構文での、Aにあたる疑問詞‘who’の移動によって、(4)は、表面上、‘want to’のカタチをした構文を使っているように見えているだけなんです。
つまり、(7)からハッキリわかるように、例え、‘want’と‘to’の間に何もないように見えていたとしても、そこに、もともとは何かがあった「形跡」が感じ取られるような場合は、「‘wanna’縮約」はおこってはならない、ということになります。英語には、こういったワナがしかけられていることがあるのです。(← く、クダらん・・・。) ついでに、以下も確認しておきましょう。
(8)Who do you wanna kiss _ ? (〇) (アンタ、誰にキスしたいの?)
(8)の「‘wanna’縮約」は、OKですが、これは、もちろん、‘want A to 不定詞’「A に ~ して欲しい」の構文ではなく、‘want to 不定詞’「~ したい」の構文が使われていて、‘want’と‘to’の間には、もとから、何もないからですね。‘who’は、もとは、他動詞である、‘kiss ~’「~ にキスする」の目的語の位置から、文の先頭に移動しています。
今回のポイントは、実は、「‘wanna’縮約」 (‘want to’→‘wanna’) という、会話英語によくおこる現象を、疑問詞の移動という、文法現象と絡めて考えてみることによって、英文法と口語英語の、切っても切り離せない接点を語ることにあります。
(3)のような文において、「‘wanna’縮約」がおこってはならない、という知識は、文法の学習以外によって得ることは不可能なわけで、会話英語の重要性を主張する場合、それに反比例する形で、文法の学習をないがしろにしていたのでは、どうしても片手落ちになるという、恰好の材料として、(3)のような現象を扱ってみたのです。
口語表現は、丸暗記で対処するのがベストだと、よく言われているし、また、そのように簡単に納得しがちですが、ちょっとした文法が絡んで、そのまま使うことができなくなることも、よくあります。特に英語は、移動などの変形が関わってくると、そこら辺りにアウトになる原因が集中しやすくなります。上手な英会話を習得するためにも、慎重になるべきところですね。
●関連: EG47
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(1)I want to kiss Lucy. (ルーシーにキスしたい~。)
(2)I wanna kiss Lucy. (訳同上)
口語英語では、(1)の、‘want to’「~ したい」が、(2)のように、‘wanna’(「ゥワナ」という感じの発音) という、1語に縮約されてしまうことが、よくあります。これを、「‘wanna’縮約」と呼ぶことがありますが、こういった表現は、誰でも、割と簡単に覚えてしまいますので、英語を使い慣れてくると、自然と口をついてでてくるようになります。ところで、以下の文を見てみましょう。
(3)Who do you wanna kiss Lucy? (×) (誰にルーシーとキスして欲しいの?)
ん?(3)はアウトですか?ちょっと意外ですが、確かに、英会話などでは、‘want to’は、‘wanna’になることが、よくあるので、(3)は、もとのカタチが、‘want to’ではない、何か別の単語ではないか、と疑ってみたくなりますが、別に、(3)の‘wanna’は、もとのカタチが、‘want to’とは別物ということではありません。
(4)Who do you want to kiss Lucy? (〇) (訳同(3))
(4)は、(3)と同じ意味で、OKになります。ですので、(3)がアウトになった原因は、(3)の‘wanna’は、もとのカタチは、‘want to’ではない、ということではなく、(4)から(3)に移る過程で、‘want to’→‘wanna’という、縮約がおこったためだ、ということになります。
ここで、(4)が、疑問詞‘who’を使った、疑問文であることに着目したいと思います。EG47では、日本語と違って、英語の場合、疑問詞による疑問文をつくるには、その疑問詞が、文の先頭に移動していなければならないことを見たわけですが、まず、以下の文を見ましょう。
(5)I want John to kiss Lucy. (私は、ジョンにルーシーとキスして欲しいのよ。)
まず、(4)の疑問文に対して、(5)のような答え方をしたとします。この文では、‘John’という表現が、‘want’と‘to’の間にはさまっていますね。ここで、簡単にわかると思いますが、(5)は、以下のような‘wanna’を使った縮約文に変えることはできません。
(6)I wanna John kiss Lucy. (×) (訳同(5))
ここから、(6)の、「‘wanna’縮約」がアウトなのは、‘John’という表現が、‘want’と‘to’の間にはさまっているからだと、ハッキリ言えると思います。そこで、再び、(4)に戻って、(4)の‘who’が、どこから文の先頭に移動してきたのか考えてみます。
(7)Who do you want _ to kiss Lucy? (〇) (訳同(3))
(7)は(4)と同じ文ですが、(4)の‘who’が、どこからやってきたのかを示す下線が加えてあります。この下線部は、(5)の‘John’が、‘want’と‘to’の間にはさまっているのと同様に、‘want’と‘to’の間にはさまっていますね。
これで、もう、(3)がアウトになった原因がおわかりですよね。注意点は、(5)の文は、‘want to 不定詞’「~ したい」の構文ではなく、‘want A to 不定詞’「A に ~ して欲しい」の構文を使っているということです。この構文での、Aにあたる疑問詞‘who’の移動によって、(4)は、表面上、‘want to’のカタチをした構文を使っているように見えているだけなんです。
つまり、(7)からハッキリわかるように、例え、‘want’と‘to’の間に何もないように見えていたとしても、そこに、もともとは何かがあった「形跡」が感じ取られるような場合は、「‘wanna’縮約」はおこってはならない、ということになります。英語には、こういったワナがしかけられていることがあるのです。(← く、クダらん・・・。) ついでに、以下も確認しておきましょう。
(8)Who do you wanna kiss _ ? (〇) (アンタ、誰にキスしたいの?)
(8)の「‘wanna’縮約」は、OKですが、これは、もちろん、‘want A to 不定詞’「A に ~ して欲しい」の構文ではなく、‘want to 不定詞’「~ したい」の構文が使われていて、‘want’と‘to’の間には、もとから、何もないからですね。‘who’は、もとは、他動詞である、‘kiss ~’「~ にキスする」の目的語の位置から、文の先頭に移動しています。
今回のポイントは、実は、「‘wanna’縮約」 (‘want to’→‘wanna’) という、会話英語によくおこる現象を、疑問詞の移動という、文法現象と絡めて考えてみることによって、英文法と口語英語の、切っても切り離せない接点を語ることにあります。
(3)のような文において、「‘wanna’縮約」がおこってはならない、という知識は、文法の学習以外によって得ることは不可能なわけで、会話英語の重要性を主張する場合、それに反比例する形で、文法の学習をないがしろにしていたのでは、どうしても片手落ちになるという、恰好の材料として、(3)のような現象を扱ってみたのです。
口語表現は、丸暗記で対処するのがベストだと、よく言われているし、また、そのように簡単に納得しがちですが、ちょっとした文法が絡んで、そのまま使うことができなくなることも、よくあります。特に英語は、移動などの変形が関わってくると、そこら辺りにアウトになる原因が集中しやすくなります。上手な英会話を習得するためにも、慎重になるべきところですね。
●関連: EG47
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