D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

G Force ('80) / G Force

2007-03-07 23:07:24 | band
今日は先日の記事でもちょろっと名前を出したGary Mooreに纏わる一枚を選んでみました。
・・たまにはバンド嗜好の作品もいいかなって思いましたんでネ。



Gary Moore(ゲイリー・ムーア)は、'52年4月4日UKは北アイルランドのベルファスト出身で、現在54歳。
彼は'69年Skid Row(スキッド・ロウ)でレコーディング・デヴュー後、Thin Lizzy(シン・リジィ)、ColosseumⅡ(コロシアムⅡ)、Greg Lake Band(グレッグ・レイク・バンド)等を経て、現在までソロアーティストとして活動中ですネ。
盟友故Phil Lynott(フィル・ライノット)とはSkid Row時代からの付き合いでした。
そんな彼が、コロシアムⅡ脱退後のソロ作‘Back On The Streets('78)’やシン・リジィの名作‘Black Rose('79)’などのリリース後、本格的なソロ活動を目論んで組んだバンドG Forceが残した唯一の作品です。
・・28歳の頃の作品ということになりますネ。

このG Forceは、学生の頃、ゲイリーマニアの友人に勧められて聴いたのが最初です・・リリースの数年後だったと思います。
CD化されて輸入盤を購入しましたが、LP時代同様メンバー等のクレジットが無く、詳細が不明なままでした。
最近紙ジャケ化され懲りずにまた買ってしまいましたが(笑)、若干の詳細は分かったものの、ライナーの誤記などで不満が募り、仕方なくネットで調査した結果、ようやく詳細が分かってきました。
・・インターネットはやっぱり凄いわ。(笑)

メンバーは、ゲイリー(g,vo)の他、Mark Nauseef(d)、Willie Dee(vo)、Tony Newton(b)の4名。
あとゲストでなぜかTom Scott(トム・スコット:sax)他が数曲に参加してます。

まず、Mark Nauseef(マーク・ナウシーフ)ですが、彼は'53年NY出身のアメリカ人のようで、ゲイリーとほぼ同年代のパーカッショニストです。



リジィ時代のオーストラリア公演で、助っ人ドラマーとして一緒になったのがきっかけで知り合ったようです。
また、あのRainbowの前身であるELFの最後期のドラマーでもありました・・残念ながらリッチーのお眼鏡には適わなかったようですがネ。
音楽的にはプリミティヴなサウンドへの嗜好が強く、主に東南アジア系のプレイヤー達とのコラボを中心に現在も活動中のようです。

Willie Dee(ウイリー・ディー)は本名Willy Daffern(ウイリー・ダファーン)というヴォーカリストで、生年出自は不明ですが、おそらくイギリス人ではないでしょうか。



‘Hunger’‘Truk’‘Tallwater’といったローカルバンドを渡り歩き、'76年に元Deep PurpleのRod Evans(ロッド・エヴァンス)が参加していたことでも有名なCaptain Beyondに加わり‘Dawn Explosion('77)’のレコーディングに参加。
その後脱退し、縁があってG Forceへ合流したようです。
その後は、あのBBAのTim BogartとLA近郊でのセッション活動や、ソロ作‘Abrupt Edge('83)’のリリース等を経て、'99年に‘ZoomlenZ’というプロジェクトに参加し、2作品を残してるようです。
・・多分まだ現役なんでしょうね。

そして、現在までずっと謎のままだったベースのTony Newton(トニー・ニュートン)は、やはりあの方でした。
この名前でピンと来たあなたは素晴らしい(笑)・・The New Tony Williams Lifetimeのベーシストその人ズバリだったんですよね。



彼も生年は不明ですが、生まれも育ちもデトロイトというアメリカ人です。
13歳くらいからセミプロのベーシストとして活動し始めたようで、18歳の頃Smoky Robinsonに認められ彼のバンドに招かれました。
その関係でモータウン系のミュージシャン達と親交が深く、John Lee Hooker、James Brown、Marvin Gayeなどブルーズ、R&B関係の大御所のバックもつとめたことがあるそうです。
彼はモータウン系の結構有名な曲に参加してるそうで、例えばSupremesの‘Stop In The Name Of Love’も彼がベース弾いてるらしいんですが未確認です。
プロキャリアは30年以上ということですから、50代前半・・おそらくゲイリーともほぼ同世代のはずです。
・・そんなバックグラウンドがあったからこそ、Tony Williamsに認められたのかも知れませんね。
また、ライフタイム時代のルックスからの変貌ぶりをみても、このバンドへの相当な力の入れ方が分かるような気がします。

そんな面子で創られたこの作品ですが、イギリスっぽさが微塵も感じられないと思うのは私だけでしょうか。
ストリングスアレンジの手法など、多分にアメリカを意識したフシが目立ちますね。

1.You
名曲ですね・・ホントに。
キーボードを一切使ってないアレンジなのでかなりギターサウンドに工夫が伺えます。
リヴァーブとディストーションが深くかかった独特のコモり気味なトーンを重ねて空間を創ってますネ。
ギター弾きなら誰もがコピーしたくなるカッチョええソロです・・いつ聴いても燃えてきますネ。(笑)

2.White Knuckles / Rockin'And Rollin'
前半のギターによるインプロの展開は、おそらくVan Halenの‘Eruption’を強烈に意識したのではないでしょうか・・そっくりだしネ。
まあ、そんな細かいことはどうでもいいんですが、後半の歌がまたスピーディーで強烈ですネ。

3.She's Got You
ウィリーとゲイリーの掛け合いかな、この歌。
途中レゲエ調に変ってるあたりのマークのドラミングがポイントでしょうね・・上手いパーカッションです。
ゲイリーのギターソロもテンポが遅い割には豪快で徐々にスピードアップしてゆき、アームはかけまくるわで最後は凄いことになってしまいます。
・・結構ブルージーです。

4.I Look At You
基本はスカなんですが、まるで普通の8ビートにきかせてるアレンジが実に巧妙で、ストリングス入れたりして壮大なバラードに仕上がってます・・ちょっとプログレ風の展開かも。
トニーのベースワークが光ってます・・いろんな空間系エフェクトを小出しに掛けながら、ファンキーなラインを刻んでます・・さすがですネ。
マークのドラムも良く聴けば足技がかなり凄いですね・・リミックスのおかげで判別できるようになりました。



5.Because Of Your Love
結構キャッチーなメロディで、シングル向けだったのではないでしょうかネ・・なにしろリズムがいい!
ギターソロ前の溜めのアレンジなんかが結構時代を感じさせます・・こういうパターンは当時よくありました。
まさにギターオリエンテッドな感じが実に爽快です。

6.You Kissed Me Sweetly
ストリングスアレンジがアメリカっぽいです・・トニーがやったようですね。
Gソロが速くはないけどイングヴェイ風なのがポイントですネ・・結構パクリまくりだったんだ。

7.Hot Gossip
多分マークの趣味が前面に出たアレンジなんでしょうね・・ちょっとカリプソっぽい匂いがします。

8.The Woman's In Love
アレンジも含めて一番ポップな曲じゃないでしょうか・・ストリングスもまるでポップスみたいに入ってます。
トドメはTom Scottのサックスソロ!まさに西海岸って感じで、ゲイリーのギターは鳴りを潜めてます。

9.Dancin'
エンディングにふさわしいハイテンポなスピードチューン。
ノリ一発って感じで一歩間違えば唯のパンクに早変りするヤバイ(笑)曲ですネ。
ギターソロも‘ドウデモええわい~’って投げやりな感じが笑えます。
マークのドラムソロがちょっと冗長気味ですが、メンバー全員が一丸となって突っ走る疾走感がいいですね。

このバンドはイギリス国内だけで幾つかのギグをこなしただけで解散となりました・・実に短命なバンドです。
アメリカでの配給元が見つからなかったり、いろんなボタンの掛け違いがあって、レーベルとの間で訴訟問題にまでなり、ゲイリー個人がかなり大変な目にあったようです。
このレーベルはJet Recordsで、あのOzzy Osborneの奥さんの父ちゃん(Don Arden)が仕切ってたとこで、所属アーティストとしては‘ELO’なんかが有名でした。
そんなことからも、このバンドはやはりゲイリーのなんちゃってソロ活動の一環だったことが伺えますネ。
しかしながら、メンバー間のコミュニケーションも上手く働いていたことも音から想像できるくらい、バンドとしても相当レヴェルが高かったのも事実です。

ゲイリーはこのあと日本で妙にブレークして‘大いなる野望’なんて作品が馬鹿売れしてました・・このあたりは、また後日チョイスしたいと思います。

余談ですが、このあとトニーとマークは、この作品でもイッチョ咬みしてたJoachim Kuhn(ヨアヒム・キューン:kb)らと'90年頃‘Let's Be Generous’というバンドを結成してます。

・・また機会があればチェックしてみようかな。(笑)


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8 コメント

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来ましたね! (sorapapa)
2007-03-10 09:32:32
Gフォース、聴いたなあ(笑)ゲイリーはこれや、コロシアムⅡあたりでいつか記事書きたいなって思ってました。久し振りに聴いてみようかなあ。あんまりギターソロ意識してなかったからなあ。。。良い記事ありがとうございます!
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記憶が・・・ (gw)
2007-03-10 10:37:36
以前、友人に薦められて聴いたのですが、記憶が・・・(笑)。
ライナーノーツ顔負けの記事にグッと来ましたので、早速引っ張り出して聴き直してみますっ!
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sorapapa様 (elmar35)
2007-03-10 20:12:17
コメントありがとうございます。
・・恐縮です。(汗)
ぜひ記事お願いします・・ちょっと今回片手落ちかもしれませんのでネ。
・・リジィあたりはどうでしょうか、なんちゃって。(笑)
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gw様 (elmar35)
2007-03-10 20:15:56
コメントありがとうございます。
・・いやいや恥ずかしい文章で申し訳ないです。
最近メンバーさんの情報が揃ったのでアップできたまでです。
是非よく聴いてみてください・・ケルティックフレーヴァーは皆無ですがネ。(笑)
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Unknown (ナゴヤハロー)
2007-03-11 00:24:17
G-Force、めっちゃ好きなんですわー。逆にVHはちょっと…なんですけど(笑)
我が家の3大HRレコの1枚です。
直接コンソールにぶち込んだという独特のギターのトーン、曲のかっこよさ&キャッチーさ、そしてなにより若気の至り溢れるゲイリーのクレイジーなのにメロディアスなギターソロ!
ついでにHRらしからぬトニー・ニュートンの見た目&ベース・プレイ(笑)LP未収録でブートに入ってた「Trust Your Lovin'」ではスラップなんぞもやってたり。
どれをとっても私には完璧なアルバムであります。
それにしてもいまだにトニー・ニュートンがニューライフタイムの人と同一人物とは思えんのです(爆)
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ナゴヤハロー様 (elmar35)
2007-03-11 10:47:58
コメントありがとうございます。
なんとなくその趣味理解できます・・私と同じだ。(笑)
ブートね・・なるほど。
トニー・ニュートン自身がTrust Your Lovin'はワシが書いたとゆうてましたが、本編に入ってなかったのでちょっと変だなと思ってました。
情報感謝します。
3/18はがんばってください、楽しみにしてますよ。(笑)
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Mark Nauseef (purio13)
2010-01-30 16:45:51
youtubeでthinlizzyのシドニー公演のドラマー
がブライアン・ダウニーではないような気がして気になってました。
容姿もドラムフィーリングも、いつも涼しい顔で高度なドラムセンスのブライアンとはどこか違う?でもリズムはしっかり刻んでいてズレない・・・

そしてインターネット検索してELMAR35さんのブログにたどり着き別人だとわかり疑問を払拭できました。

詳しい知識に感謝してます。
これからも是非参考にさせてください。
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purio13様 (elmar35)
2010-01-31 08:02:51
初めまして。
お立ち寄りならびにコメントありがとう御座います。
・・恐縮です。(笑)
ナウシーフはドラマーというより打楽器奏者という感じで、プレイの幅が広いのが特徴かと思います。
こちらこそ、今後もどうぞよろしくお願いします。
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