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アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『齋藤嘉則の現場イズム』

2004年11月30日 | Weblog
http://tinyurl.com/5obht

本日の一冊は、『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』の著者、齋藤嘉則さんによる、注目の新刊です。

季刊誌『Think!』の連載に新たに2章を追加し、単行本化したものだそうです。

参考:『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』
http://tinyurl.com/6khdu

参考:『Think!』最新号
http://tinyurl.com/723se

「『問題解決』や『戦略構想』の”思考と技術”と同様に、『現場から学ぶ皮膚感覚』が何よりも今大切だと感じていた」という著者が、現場で学ぶことの意味と教訓を、第一線で活躍するプロフェッショナルたちとのインタビューをもとに、書き下ろしています。

インタビューに登場するのは、ファッションブランドからマーケティングリサーチ会社、旅館、飲食店までさまざま。

一体このインタビューからどんな教訓が得られるのか、さっそく見て行きましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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人は自分が置かれている立場をすぐ状況のせいにするけれど、この世で成功するのは、立ち上がって自分の望む状況を探しに行く人、見つからなかったら創り出す人である(バーナード・ショー)

どのような結果も、実はさまざまな試行錯誤のプロセスの中から生まれていることを忘れてはいないだろうか?

本当の戦略家は、現場の試行錯誤の中から本質を学び取り、直観力を磨き、戦略を練り上げ完成させていく

現場イズムの達人たちは、未体験ゾーンに「知恵と度胸」で突入する。そして、今変化しないことによる将来のリスクを直視しながら、今変化することによる将来のリターンとリスクの緊張感を楽しみながら状況を変えて行くのだ

ゼロサム型の交渉アプローチには、創造の限界がある。新たな価値を生み出すには、共感を持った者たちがゼロベースからコミュニケーションするコラボレーションが求められるからだ

コラボレイティブな関係において、特に共感が重要なのは、新たなものを創造する際には、従来型の立場に依存する力学や、組織に固定された力の関係軸が機能しにくいからである

フレームワークとは、モレやダブリを防ぎ、考える効率を上げるためのチェックリストに過ぎない

ビジネスの因果関係は自然科学と異なり、普遍ということはない。常に変化するものであり、同時に変化させることもできる

■現場観察のポイント
1.とにかく現場の一次情報に接する機会をできるだけ多く作る
2.現場からの情報が少ない場合、たとえサンプルがN=1でも、それをベースに自分なりの仮説を作ってみること

「遊働一致」っていうのがあるんですよ。働きを極めると遊びになる。働きを好きになる。好きになると辛くもない
(「龍虎殿 りん氏」)

お客様にキャリアは見えない。そこでその時に提供される料理とサービスがすべてを決める
(「龍虎殿 りん氏」)

真似をして真似をして、結局はその要素の部分だけ学ぶと、いつのまにか自分の個性が出てくる
(ゴルフ・アーティスト 久我氏)

五〇になって失敗すると恥だとか言いますけど、四〇になったって、五〇になったって六〇になったって失敗はあると思うんです。それよりも、いくつになっても失敗を許してくれる環境を選ぶ。自己防衛本能を磨けということですね
(THE アミノ博士 大谷氏)

質的探索に向かない人は、人の言った言葉をそのまま簡単に受け止めてしまう人
(インタービスタ 上野氏)

なぜ流行っているのか、そこをどう感じたのか、それと自分が居心地がいいと思う場所とはどう違うのか、なぜなのかを考えることが一つの学習法
(旅館「石葉」主人 小松氏)
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必要な内容とは思いながら、ちょっとインタビュー部分が冗長に感じられるのが残念です。ただ、著者、齋藤さんのコメント部分からは、得られる部分が多いのではないでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『齋藤嘉則の現場イズム』
http://tinyurl.com/5obht

です。土井も一実務家として、いい刺激をいただきました。

目次

第1章 達人は現場の皮膚感覚を原点に
第2章 走りながら考え、変革しながらチャレンジし続ける(りん・くんび)
第3章 理念と利益、規制の枠との闘いの日々!(土屋三兄弟)
第4章 好奇心を持ち、プロセスを楽しもう!(久我修一)
第5章 志は高く、未来を見通す!(漆原 茂・深川哲也)
第6章 自ら状況を創り出し、状況をマネッジする(大谷 勝)
第7章 リアリティを求めて観察力を鍛える(上野啓子)
第8章 人生は自分の5%を発見する旅である(古田英明)
第9章 心の声に耳を傾けながら、一歩一歩ゆっくりと(小松秀彦)
第10章 1人ひとりの心に根付くCS(アートコーポレーション)
第11章 “共創心”で関わる人すべてが進化する(BEAMS)
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『アラン人生論集』

2004年11月29日 | Weblog
http://tinyurl.com/7xagl

本日の一冊は、名古屋の古本屋で見つけた、『アラン人生論』です。アランはフランスの思想家で、数々の名著を生み出していますが、今も売れ続けている、最も有名な作品といえば『幸福論』でしょう。

参考:『幸福論』
http://tinyurl.com/6o6jv

本日ご紹介する『アラン人生論集』は、この『幸福論』をはじめ、『人生論』『宗教論』『教育論』などのエッセンスをまとめたものです。「プロポ」と呼ばれる独特の短い表現方法によって書かれており、要点がすぐにわかるのが特色です。

思索集ではありますが、ビジネスや人生に役立つエッセンスが多数盛り込まれているのが特徴です。さすがに長い年月をかけて生き残った著作だけのことはあります。

今日はその内容から、ビジネスパーソンに役立つと思われる部分をピックアップして、お伝えすることにします。

では、さっそく赤ペンチェック行ってみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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私たちは、あらゆる人間的な問題にたいして態度を誤るように、ここでも態度を誤る。からだこそ私たちの力の場所であるのに、いつもこれを忘れる。そして、乗り気が出るのを待ったりする。だが、からだを仕事にむければ、気持ちもすぐ乗ってくるだろう

たんなる想念としての想念には解答などありはしないのである

思索する人で成功するのは、行なう人だけである。たとえ完全には行なえなくても、とにかく何かが知覚される以上、正道に近づくのだ

人間の愚劣さは、反対に夢想と知覚とがいっしょになった、まさしく動物的な半睡状態に由来するのである。偉人には、すぐに眠りこむ点できわだった人が多かった(中略)ここに暗示の本質があり、付随的な業はつねに、手を不動にし目を固定することによって、正しい意味での知覚を排除することを目的としている。ここに説得の奥の手、深く秘められた奥の手がある

人間の習慣に意味はない、などと速断してはならぬ。(中略)政治技術は、はじめのうち、この慣習を残しておく必要があった。なぜなら、騒ぎと情念のさなかに議論を投ずるよりは、あがめられている徴を用いて群集を説得するほうが容易であるから。というわけで、もしも人間の観念の実際の歴史がさらによくわかってくれば、いっさいがそれなりに正しいのであろう。ものの名と比喩は、私たちの幼時の思いの印をおびている。その語るところを完全に知る者は、人間のいっさいを知るのであろう

主題の選択を誤ったことを自分で自分に証明するのは、いともやさしいことである。だがまた、これはなんの役にもたたない。これでは何も書けない。なぜならば、美しい主題というものはないのであり、誠実によってこれを美しくしなければならないのだからである

軍人は人間をあやつろうとあせるため、人間を知ることができない。遠慮えしゃくなく人間を変える以上、人間がなんんであるか、どうして彼らにわかろうか。人間を打ち、こわし、煮ては煮かえすこの方法は、あいまいな経験を作りだす

自分が信ずることに反するあらゆる経験を、脅迫のみか暴力をさえ用いて禁じようとするのは、自然な動きなのである。誤った観念の力はいかばかりか、人はほとんどこれを測ってみようとしない

人が周囲の状況によってゆがめられ、精彩をなくし、あらゆる打撃を受けるたびに自分自身の存在の一部分を失って行くならば、わたしはその人を奴隷と見る。逆にその人自身の内的法則に従って自己の浮彫りを深めて行くかぎり、その人は自由を失わぬ人間である。人というものは、自分のあるがままを伸ばすことによってのみ、自分を有効に変えるものだ

大事業をなしとげて、しかも明らかに人々から支援を惜しまれなかった人というものは、まず第一に、人々の差異を受け入れ、人々の差異を愛しさえする人である、ということをわたしは確信している。これとは逆に、部下たちが主人を見ならい、できることなら鼻の形までまねようといった場合には、何事もうまくは行かないものだ

人間は、きびしい方法によってみずから得たものによってしか評価されない。だから、きびしい方法を拒否するような者は、いつまでたってもなんの値打ちもないであろう

いつでも偉大な原典に立ち帰ることだ。その抜粋など望まぬ。抜粋はわれわれを原作のところまで送り込むということにしか役にたたないのだ

社会は、なにも要求しない人には、なに一つ与えはしない

およそ幸福というものは、本質的に詩であり、ポエジーとは行動を意味するからである。人はたなぼた式の幸福をあまり好まない。自分でつくり上げることを欲するのだ

規則正しい努力と、勝利につぐ勝利、これこそ疑いなく幸福の公式である
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ビジネスや人生に役立つ貴重なお話がたくさん盛り込まれており、下手な成功法則本100冊に値する内容だと思います。やはり、昔から読まれている名著には、それなりの力があるものですね。

というわけで、本日の一冊は、

『アラン人生論集』
http://tinyurl.com/7xagl

です。久しぶりに「名著」の趣を楽しむことができました。

目次
人間について
情念について
教育について
宗教について
幸福について
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『修羅場のマネー哲学』

2004年11月28日 | Weblog
http://tinyurl.com/6zeb5

本日の一冊は、以前にも登場した資産家、Hさんのおすすめの一冊です。Hさんは、とある有名企業の取締役を務め、IPOで財を成した人物ですが、やはりできる人のおすすめは質が高い。

のっけから言ってしまいますが、株に興味のある人は「買い」の一冊です。

著者の木戸次郎さんは、弱冠23歳で数億の資産を築き、バブル崩壊後、一転して1億5000万円の借金地獄に転落。この本は、彼がそこからどうやって這い上がったかを詳細に記した、刺激的な一冊です。

教訓や哲学がまとめられているような体裁ではないため、ピックアップがちょっと難しいのですが、何とかやってみます。

それでは、いつものように赤ペンチェック行ってみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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四〇年といえば、長い歳月だが、終わるときはあっという間だな。俺は人並み以上の苦労をしてきたつもりだ。だからこそ、人が手に入れられないような大金を掴むことができたんだ。だけど、いつの間にか、楽して稼ぐことを憶えちまったんだな。怠けすぎたんだ。堕落しすぎたんだよ。築き上げたものが一瞬にして消えちまったよ。バチだな。きっと、バチが当たったんだな(自殺に追い込まれた資産家、山沖氏の言葉)

結局、私は四月三、四日のわずか二日間で七億一五六〇万二〇一四円もの巨額の金を瞬時に失い、まさに天国から地獄に叩き落とされたのである

せめて一億借りておけばよかった、九〇〇〇万にしておけばよかった、と何度も思った。(中略)完全に行き詰って誰かに借金を申し込むとき、人間はついつい、ぎりぎり必要な金額か、それを少し下回る額を口にしがちなものなのである

私は、須崎さんの言葉に感動するとともに、「この人に認められたい」という思いが湧き上がってくるのを感じた。(中略)それにしても、人の出会いとは不思議なものだと思う。そして、いい上司を持つことが、人生においてどれほど重要なことかを痛感する

若くて、自信があって、毎日毎日、日を追うごとに資産が増えていく。それは、「普通の人間と、俺とは違う」という、独り善がりでありながらも、強烈なプライドを生むことになった

あまりにも大きな借財、現実感のない大金……それらを目の前に突きつけられると、人間は実感を失ってしまうものなのかもしれない

こうして私は<成功報酬での取引>に大借金返済の望みをかけることにした(中略)私に、敗けることは許されないのだ。敗けたときがすなわち借金が返せなくなるときであり、それは遠洋漁船での労働を意味し、おそらく私はそのまま冷たい北の海に叩き落とされてしまうのである(中略)――「株で失ったものは、株で取り返す」

誰もが手にすることのできる情報を元に投資したところで、確かに利益を確保する程度のことはできるだろうが、やはり、限界があるのだ。一般の人が入手しにくい情報を検討、分析して投資しなければ、大きな利益など望めるはずもない

所詮、株は少数の人間だけが儲ける仕組みになっている。ならば、他の人と同じことをやっていたのでは、利益を得られるはずがない。つまり、<人の逆をいけ>ということである。ほかの人が、悪条件にのみ気を取られているときにこそ、その中に潜む好条件に目を付ける

信念があるときは焦らず、辛抱して、最後の最後まで、自分の判断を信じること

機関投資家や外国人投資家などの、いわゆるプロであれば、膨大な資金量という後ろ盾があるから、少々の出遅れは、カバーできるのだろうが、我々個人投資家は資金量が少ないだけに、彼らと同じフィールドで戦っても勝ち目はないのである。だからこそ、彼らより先に時代の風を感じ、いち早く動くしかない。それができた数少ない投資家だけが、大きな利益を期待できるのである

転換期というのは、大きなチャンスの時でもあるのだ。時代の変化に上手く対応できなかった人は痛手を被るかもしれないが、きちんと動けば、必ず、それだけの見返りはある

■著者が9年間の借金返済生活でつかんだ「成功のための二大法則」1.経済というものは自分の都合どおりには決して動いてくれない。  だから、どんな苦境にあっても冷静に対処しつつ、自分で次の  トレンドを見つける必要がある
2.その時が訪れるまでじっと我慢する

「何が何でも借金を返す」と、まず結論から始めて、それを可能にする方法を死に物狂いで模索すればいいのである。しかし、多くの人は逆で、まず、そのことが可能かどうかということから考える。考えに考えた挙句、リスクや不安ばかり取り上げ、結局は行動しないという結論になる。これでは、新しいチャレンジなどできるはずがない。まず、結論ありきで行動すれば、新しいことに挑戦できるし、どんなに苦しい試練にも耐えられるのである
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時間軸が定まらず、また凄絶なストーリー自体が魅力の本であるため、読んでもらったほうがいいかもしれませんね。教訓あり、ヒューマンドラマありの充実した内容です。

というわけで、本日の一冊は、

『修羅場のマネー哲学』
http://tinyurl.com/6zeb5

です。個人的にも、とてもいい勉強になりました。

目次
第1章 落とし穴
第2章 私という男
第3章 苦闘の日々
第4章 日本が蘇る日
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『「稼ぎ力」ルネッサンスプロジェクト』

2004年11月27日 | Weblog
http://tinyurl.com/4s7wf

本日の一冊は、キャリア&マネーアドバイザーとして活躍中の渋井真帆さんによる、女性のためのキャリア指南書です。

なかでも、現在必要とされている「稼ぎ力」に焦点を絞り、「経営者人材」になるための心構えや考え方を詳しく説明しています。渋井さんと旦那さんとのやり取りのなかで要点を学べるようになっているので、読みやすさ、わかりやすさは申し分ありません。

土井的に注目したいのは、以前ご紹介した『愛されてお金持ちになる魔法の言葉』同様、女性が置かれた状況や心理を巧みに突き、売れる本に仕上げているという点です。

参考:『愛されてお金持ちになる魔法の言葉』
http://tinyurl.com/6tp68

内容もさることながら、編集者の方のテクニックに舌を巻く、そんな一冊です。女性ビジネスパーソンに役立つのはもちろんですが、現在もっとも購買力を持っているとされる女性ビジネスパーソンの心理がよくわかるという点では、男性も必読の一冊です。

巧みなストーリー展開は実際に読んでいただくとして、ここでは内容のポイントだけを抜き出してみます。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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稼ぎ力をアップさせるということは、稼いでいる人を目標にして、自分を否定してその人になろうとすることではありません。必要なのは、自分に内在している能力や資源をビジネスの場で活かす力を身につけることです

日本人の間でも人生の質と豊かさの差が生まれはじめたよね。だから今の時代、自分の理想の人生を創っていくうえでも、経営者の視点を学ぶことが大切なんだ。それだけじゃない。従業員に経営者の視点を求める企業も数多く出てきた

企業を取り巻く環境変化で最も大きかったのは、おそらく、”消費者主導時代の到来”と、お金儲けの戦いの戦場が日本国内だけではなく、世界対抗になってしまったこと(中略)厳しい競争を生き抜くためには、単純に収益というよりは、自社の特徴を打ち出し、独創性を持つ開発力や企画力が必要となってくる(中略)独創性を持つ開発力や企画力を生み出すにはね、経営者感覚が不可欠なんだよ

お金が欲しければお金を追いかけることに精を出すのではなく、付加価値を創り出すこと、もしくは株式投資で儲けたかったら、付加価値を世の中に提供している企業を探し出すことに一生懸命になるのが正しいやり方

付加価値とは、「あったらいいな、嬉しいな、便利だな、不安や不満を解消してくれる! とターゲットに感じてもらえる価値」のこと。そして経営とはヒト・モノ・カネ・情報・スキルといった経営資源を駆使して高い付加価値を創造する仕組みをつくり、さらにその仕組みをメンテナンスし、稼動しつづけ利益を上げること

「傷つかずに楽して利をとる方法を”頭の中で”模索してあきらめる自分」から、まずは「行動してみる自分」に転換してみたら?

経営者人材に必要な要素
・視点
・分析力
・伝達力
・仕事哲学

上の人に自分のことを覚えてもらって引き立ててもらうためには、上の人と同じ視点を手にしなければいけない

■経営者人材に特有の視点

1.長期的・将来的視点
長期的に見てどのように位置づけられることなのか

2.全体的・マクロ的視点
社会全体のなかでどのように位置づけられているのか

3.本質的・根本的視点
表面的に表れた事象の本質的、根本的な理由・原因をとらえる視点

4.多角的・多面的視点
自分とは違う立場を受け入れて、他人の立場に立ってみる

今の仕事を将来も続けたいという希望を阻む最大のリスクは、使い捨てにされてしまうということだ。リスクを避けるためには、自分の個性や発想を活かせる仕事をしなければいけない

現実は否定するものではなく、受け入れ、その現実の中で自分が利するためにはどうすればいいか考える
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内容的には「?」の部分もありましたが、女性ビジネスパーソンを励ましてくれる内容であることは確かです。そして、彼女たちがこれからビジネス、消費両面の主役を担う以上、男性にとっても見逃せない一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『「稼ぎ力」ルネッサンスプロジェクト』
http://tinyurl.com/4s7wf

です。女性ビジネスパーソンには必読の一冊です。

目次
筆者からの提案
第1話 「稼ぎ力」へのファースト・トレーニング
第2話 経営者人材への道
第3話 視点が変われば人生が変わる
第4話 人生を変える4つの視点
第5話 運命を変える出会い
第6話 出会いはメリーゴーランド
第7話 「想い」の魔法
あとがき
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『駆け出しマネジャーアレックス モチベーションに挑む』

2004年11月26日 | Weblog
http://tinyurl.com/53jgb

本日の一冊は、『駆け出しマネジャー アレックス~』のシリーズ最新刊です。

参考:『駆け出しマネジャーアレックス リーダーシップを学ぶ』
http://tinyurl.com/5zybv

参考:『駆け出しマネジャーアレックス コーチングに燃える』
http://tinyurl.com/66uh7

今回は、取締役昇進を見送られたアレックスが、取締役に求められる「モチベーター」としての能力を身につけるべく、奮闘します。

リーダーになる人間に求められる資質や、フィードバック、ほめる技術など、マネジャー必読の、さまざまなトピックが盛り込まれています。

それでは、さっそく見て行きましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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リーダーになる人間には三つの資質が必要だ。第一は知性とアーティストのような才気溢れる表現力。つまりだれもが目指したくなるような未来像を描く力だ。第二は、その未来像へ向かってチームを突き進ませる情熱。そして第三は、チームのやる気を維持し、軌道から外れないようにする意欲や問題解決能力だ

モチベーションを高めるための5つのポイント
1.他人を本気にさせたいなら、自分がまず本気にならなければだめ
2.意欲を高めるのは仕事や人生の一部に限ること
3.アーティストになること
4.力づけること
5.短距離走者ではなくマラソン・ランナーになれ

モチベーションを高める六つのステップ
1.ビジョンを描く
2.起爆剤を見つける
3.自信を育てる
4.飛び込む
5.結果を確認する
6.フィードバックを活かす

リーダーやモチベーターの心構え
1.どんな問題も必ず克服できると考えなければいけない
2.大局を見て障害物を評価すること
3.最善の計画とは変幻自在で融通の利くものと心得ること
4.物事がうまくいき始めた時こそ、目を離すな

フィードバックを無視する人、誤解する人、適切な対応をしない人が驚くほど多い。考えてみてほしい。何らかの行動を起こせば、必ず何かしらの情報が周囲からもたらされるのだ。それらに目を向け、耳を傾け、正しく受け止めよう

心理学の基本―ほとんどの心理学者の意見が統一されている項目
1.行動と動作。「その人らしさ」というものは、何らかの状況にどう反応し、行動するかによって決まります
2.欲望。何らかの行動を起こす時、私たちはよく相反する二つの欲求のせめぎ合いを感じます
3.ストレスと退行現象。非常なストレスを受けると、過去にうまくいった行動に回帰する。つまり退行する傾向があります
4.パターン化。人は成長過程でさまざまな場面に直面します。慣れ親しんだ状況もあれば、生まれて初めての状況もあります

人を支配する二つの力がある。
駆り立てる自己愛と、制止する理性である
(アレクサンダー・ポープ)

いわゆる成功恐怖症の対策は(中略)まずチームとよく話し、成功に対するメンバーの感じ方を知る。そして成功してもいいんだと確信させる

誉めるべき時には、混り気なしの純然たる称賛を与えるようにすべき

「マスター・モチベーター」になるためのステップ
1.気づく
2.学習し、熟達する
3.実践し、学習する
4.マスターする
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相変わらずわかりやすく読みやすく、いいシリーズだとは思いますが、さすがに3作目ともなると、ストーリーには飽きてきますね。

というわけで、本日の一冊は、

『駆け出しマネジャーアレックス モチベーションに挑む』
http://tinyurl.com/53jgb

です。ちょっと食い足りない感もありますが、モチベーション理論の基礎を押さえるには良いと思います。

目次
まえがき
1.モチベーションとリーダーシップ
2.モチベーション・サイクル
3.ステップ(1)ビジョンを描く
4.ステップ(2)起爆剤を見つける
5.ステップ(3)自信を育てる
6.ステップ(4)飛び込む
7.ステップ(5)結果を確認する
8.ステップ(6)フィードバックを活かす
9.詰めの一手
10.心理学入門講座
11.性格を見極める
12.成功恐怖症
13.意欲をそぐ方法
14.ドミノ現象
15.世代間ギャップ
16.NLP理論
17.誉める技術
18.ストレスと向き合う
19.職場を離れてみる
20.マスター・モチベーター
訳者あとがき
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『ニッポン型上司が会社を滅ぼす!』

2004年11月25日 | Weblog
http://tinyurl.com/4dzns

本日の一冊は、ベストセラー『やっぱり変だよ日本の営業』の著者、宋文洲さんによる、注目の新刊です。

参考:『やっぱり変だよ日本の営業』
http://tinyurl.com/5pxk4

中国人の目から見た、日本企業のおかしな風習や行動、取り組みに警鐘を鳴らし、マネジメントのあるべき姿を示唆しています。

上司の勘違いや、現在の成果主義の問題点、「曖昧」さの弊害など、さまざまな問題点を浮き彫りにし、対応策を論じています。

では、具体的にどんな指摘がなされているのか、さっそく見てみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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社員は会社に労働を売っています。課長も部長も、さらには社長も労働を売っています。これらの労働を最終的に買ってくれるのは、会社ではなく、お客様もしくは株主です。会社だけに目を向けていると、こんなごく当然の図が、見えなくなってしまいます

会社のトップが「家族的な経営」を口にしているのなら、私たちが求めてやまない「家族愛」を利用し、アンフェアな雇用関係や不正な経営をしていないか、冷静かつ厳しい目でチェックすべき

経営者たるもの、言葉だけが立派な企業理念や、脈略のない「情」で社員の結束を強めようとしてはいけません。行動と実績で社員にメリットを与えることが、経営者の役割なのです

ハングリーや苦労を前提にした家族的経営や企業への忠誠心をもとに今の若者を批判するよりも、今の時代に合う経営スタイルを模索するほうが社会のためになります。フリーターを非難するよりも、フリーターの若者も勤めたい会社をつくるといいのです

問題の原因を明らかにしなければ、同じ問題が再び起きます。だから社員を集めて何が悪かったのかをつかむ必要があるのです(中略)「誰が悪いかは知っているけれど、同僚のために黙っておこう」というおかしな正義が貫かれれば、問題解決には至りません

思いつきで指示をする矛盾上司は、プロセス・マネジメントを行っていない(中略)どのようなプロセスが利益アップにつながり、逆にどのようなプロセスが利益減につながるか、その割合が現状ではどうなっているかを定量的に把握しておく必要があります

モノ・サービスが売れるようにし、利益をアップするためのプロセスは、時代によって、商品によって、売る側の理念によって大きく変わる

本来、上司が部下へ指示することは、部下へ発注するようなものなのです。だから上司は、部下への指示も外注と同じような慎重さをもたなければならないのです

社員の結果のみを重視すること、結果だけで社員の成果を判断することを「成果主義」と定義している企業は少なくないのです。結果だけを重視して、その結果に至るプロセスを無視すれば、結果につながる原因は明確になりません

成果が生まれる六つの要素
1.モノ・サービスが不足していると売れる
2.商品力があると売れる
3.ライバル会社が問題を起こすと売れる
4.場所がよければ売れる
5.コマーシャルがよいと売れる
6.利益を無視すれば売れる

パンがおいしくなるのは「おいしくなるような工程があるから」だ(アンディ・グローブ)

プロセスの設計とは顧客が求めている結果に対して、どのような客観的な事実を積み上げればそのような結果に至るかを、顧客の視点に立って設定すること

マネジャーは、プロセスに関わるあらゆる事実を、リアルタイムに記録しておく必要があります。これによってプロセスの進捗や改善点などが見えるので、素早い修正が可能になります

売れるという結果を出すまでのプロセスが明確になっていれば、どういう人材をどこに配置すればもっとも効率的かも見えてきます(中略)マネジメントとは、限られた人材を生かすことです

組織をもっとも効率的なシステムにするには
1.目標を明確にし、その目標に向かうプロセスを設定すること
2.組織にいる全体の人間が、指示に従い、プロセスを確実にこなすこと

マネジメントの基本は人の管理ではなく、価値創造の過程の管理
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表紙からは想像もつかないような厳しい指摘がなされていますが、書かれていることはもっともだと思います。これまでの日本企業がいかにプロセス・マネジメントを行わずに「人の管理=マネジメント」の弊害に陥っていたのかがよくわかる、そんな本です。

というわけで、本日の一冊は、

『ニッポン型上司が会社を滅ぼす!』
http://tinyurl.com/4dzns

です。本当に成果を出したいと思うマネジャーならぜひ読んでほしい、そんな一冊です。

目次
まえがき
第1章 ニッポン型組織の根本的勘違い
第2章 ニッポン型上司をCTスキャンにかけてみる
第3章 成果主義の嘘と矛盾
第4章 「曖昧」が会社を、そして日本を滅ぼす
第5章 世界のすべてがお客様
あとがき
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『成功はどこからやってくるのか?』

2004年11月24日 | Weblog
http://tinyurl.com/4p28f

本日の一冊は、成功者に共通する「待つ力」の重要性を語った一冊です。「目標を紙に書く」「プラス思考」といった従来の成功法則の危険性を指摘し、飛躍するためのヒントを提示しています。

著者は、大ベストセラー『会社にお金が残らない本当の理由』『あなたの会社にお金が残る 裏帳簿のススメ』を書いた、岡本吏郎さん。

参考:『会社にお金が残らない本当の理由』
http://tinyurl.com/5fpjm

参考:『あなたの会社にお金が残る 裏帳簿のススメ』
http://tinyurl.com/64lov

税理士という立場で、神田昌典さんをはじめ、数多くの成功者を見てきた著者だけに、語る資格は十分です。

では、実際にどんな内容に仕上がっているのか。さっそくポイントを見て行きましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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大抵の成功法則を成功者は実行していません

私たちの脳は、「しなさい」と言われると「したくない」という反応をするようになっています。(中略)”無理”に「プラス思考」になろうとしても、かえって「マイナス思考」になってしまう(中略)結局、「プラス思考」とは結果論でしかありません

誰もが疑わない説には案外根拠がないという事実は押さえておかなくてはいけません

『知の欺瞞』著者・ソーカルの指摘
・有名な知識人が科学的概念や述語を繰り返し乱用してきた
・科学的概念を何の断りもなく、その通常の文脈を完全に離れて使う

参考:『知の欺瞞』
http://tinyurl.com/54rhy

全部がウソならカンタンです。ところが全部がウソという方が難しい。どんなものにも少しは本当があるのです。(中略)二元的にモノを考えないことは生きる上での重要な知恵です

結局、世の中に流布する考え方の中には、「たくらみ」があるということです。城野宏さんは、「資本主義は要するに”かっぱらい”だ」と喝破しました。そういう資本主義の世の中に生きている私たちは”流通するもの”には、少し用心して付き合うべきです

奇跡を求める願望、近道を求める願望、楽な方法を求める願望、不思議なものを求める願望、何かに依存したいという願望……。そういったものが受け手の心にあるはずです。実は、受け手にこういった心がある限り、どんなに素晴らしいノウハウも役には立ちません

九九.九九九九九九度までは液体なのに、一〇〇度になると突然気体になる。逆もそう。(中略)私はこの物質の構造に注目している。私たちの人生も同じだと思う。多くの人は一〇〇度になると世界が全て変わることを知らずに一〇〇度になるまで待つことができない

成功者の共通点は、ストイックな準備と気楽な実行力です。失敗者はこの逆です。いいかげんな準備と用心深い実行。失敗者の行動パターンは常にそうです

彼(エジソン)の「九九%の努力と一%のインスピレーション」という言葉。エジソンの真意は「ひらめきを得るためにこそ努力が必要だ」つまり「”創発”を発生させるために努力が必要だ」と言いたかったようです。しかし、人々は彼の言葉を単純な努力論としてとらえてしまいました

みんなが「偶然を待つ力」がないから何か必然的な方法で治そうとして、全部失敗するのです。ぼくは治そうとなんかせずに、ただずっと偶然を待っているんです(河合隼雄)

成功者は、この「偶然を待つ力」を持っています。そして「直感」と「シンクロニシティ」といわれる偶然を最大限に利用していきます。彼らはそれらをかなり確信的に使っていますから「偶然のマネジメント」と呼んでもよいレベルにあります

同じ本を読んでも同じ話を聞いても、そこから浮かぶ質問は人によって違います。その質問が人生を決めているとしたら、あなたはどうしますか

私たちが計画を立てるにあたっては、この「二念をつがない」行為が大変重要になります。どれだけ、客観的に「あるがまま」を見るか、これがちゃんとできなければ計画なんて立てられないのです。あくまでも、「見たくない現実」を見切ってから「打ち手」を考える。そういう思考が大切です

「画期的な方法」「誰でもできる」という手のものは、資本主義社会では価値がないのです。ただし、自分だけがその「画期的な方法」を知らないのでは、それはそれでヤバイことです

世の中を変えるようなバカなことを考える暇があったら、まずは自らの足元をしっかり固めることです。それが世の中を変えることになるのです。どういうことかと言えば、私たちはいつでもどこでもさざ波として、世の中に関わっているということです(=バタフライ効果)

たくさん良いことが書かれていましたが、印象としては岡本さん、「やっちゃったなあ」という感じです。著者が「おわりに」で述べているように、この本のコンセプトは、「著者が読者の成功を本当に願って書いた初めての成功本」です。そのことは本当に素晴らしいと思うのですが、実際には、「この本に書かれていることが実践できたら、みんな成功者になっちゃうよ」なのです。大衆受けしない、地味な「真理」がどう受け止められるか。ある意味楽しみです。

というわけで、本日の一冊は、

『成功はどこからやってくるのか?』
http://tinyurl.com/4p28f

です。余談ですが、著者が土井と同じ読み方で本を読んでいるのには、ビックリしました。

目次
はじめに
プロローグ
第1章 常識で考えてみる
第2章 ノウハウを求める底の浅さ
第3章 生命から考える
第4章 まずはマイナスをゼロに戻そう
第5章 偶然を待つ力
第6章 ジャパニーズ・ノウハウは地味だが強力
第7章 同質化という引力
第8章 一番大切なこと…
第9章 「空間」ということ
おわりに
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『痛快!クルマ屋で行こう。』

2004年11月23日 | Weblog
http://tinyurl.com/49jsa

本日の一冊は、「マネーの虎」に出演していた、オートトレーディングルフトジャパン社長、南原竜樹さんによる一冊です。

クルマ好きにしか通用しないようなもったいないタイトルがついていますが、実際には、著者の成功の軌跡を描いた本であり、豊富なエピソードから、多くのことを学ぶことができます。

とくに重要なのは、著者のバイヤースピリットと「お金のスケール」の大きさ。一台数千万円~数億のクルマを扱う著者だけに、ものすごいスケールの大きな話が登場し、脳ミソを刺激してくれます。

いつもなら、教訓や著者の主張などをピックアップする「赤ペンチェック」ですが、今回はその刺激的なエピソードを中心に抜き出してみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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<大学時代>
大学で2度無期停学になった。一度目は、大学の駐車場の許可証をコピーして、1枚5000円で売ったのがバレて。(2度目は、試験問題を盗んで)「テストの問題にヤマをかけた。絶対に当たるから5000円で教えてやる」とクラスの連中に持ちかけ(バレて停学になった)

大学4年の、1982年秋にドイツへ旅行に行った。(中略)クルマ好きだったから、毎日自動車ディーラーを見に行った。ベンツ、ビーエム、ポルシェのディーラー、それが僕にとっての観光地だった。カタログをもらったり、価格表をもらったり。そうすると、「スゲー安い」ということに気づいた。それから、友だちに電話しまくった。「どえらい安い。買わん?」(中略)見よう見まねでクルマを買って、船に積んだ。日本に持って帰って、車検をとろうとしたら、それだけで全部で300万円かかると言われた。(中略)見積りが甘かった。3台合わせて100万円以上損した

そうやってドイツからの仕入れをアルバイト感覚で始めた。(中略)「南原商会」という名刺をつくって、輸入車を扱っているお店を片っ端から飛び込みで営業した。(中略)あの頃、BMWの最高級車、745iを買ってきた記憶がある。当時1000万円近くしたと思う

<クルマ商売の要諦>
なぜクルマ屋が「クレーム産業」なのか。それはつまるところ、自動車という商品が、実用の機械でありながら、贅沢品であり嗜好品でもあるからだ

なんでもそうだが、たいていの場合、東京でまず人気が出て、それから地方の大都市、さらにその周辺、田舎へ、と流れていく。もちろんその逆の場合もあるけれど、要は地域差というものがあり、商品をある場所からない場所に移動することによって利ざやを稼ぐ、というのは商売の基本のキだ

<銀行とのやりとり>
銀行というのは追いかけると逃げる、逃げると追いかけてくるという奇妙な性格を持っている、ということには当時から気がついていた。そこでどうしたか。まず、そこらへんの紙袋に3000万円ほど詰めて、名古屋銀行長久手支店へ行った。(中略)窓口に呼ばれたら、おもむろに紙袋を逆さまにして、ダーッと札束を広げ、「これで通帳つくりたいんだけど」と言う…

<国税局が来た話>
(税金が)100万円と1億円の中をとって1000万というのも南原商会、のちのオートトレーディングルフトジャパンの3年分の物品税のごまかし分1000万円は、かくて分割払いとなった。金はスイスの銀行に隠していた。

赤の308GTS、タルガトップ・モデルを買った頃、フェラーリの相場が上がっていることが認知されはじめた。でも次は下がる、とみんな思った。中古車相場は上がったり下がったりするものだからだ。でも、僕はどんどん買った。世界中でフェラーリが値上がりしていることを僕は知っていたから、イケイケだった。550万円の308GTSを1本のワラにしてガンガン回していくと、わらしべ長者みたいにお金が増えていった

フェラーリF40をヨーロッパに買いつけに行ったときは、いい経験をさせてもらった。(中略)フェラーリ社創立40周年モデルとして、1988年に発売されたこのスーパー・スポーツカーは、限定1000台弱。(中略)発売直後にエンツォが鬼籍に入ったことで世界中で投機の対象になった。(中略)で、僕は2億円で売った!

僕はバブル崩壊の直前にバブリーなクルマの扱いをいっさいやめた。これはオランダのチューリップの話を思い出したからだ

アジアの通貨危機が韓国に飛び火するのは火を見るより明らかだった。それがいつか、いまかいまかと、僕は待ちわびていた。下調べはすでに済ませてあった。メルセデス・ベンツの店もアウディの店もフォルクスワーゲンの店も所在地はわかっている。旧知の韓国のクルマ屋が案内してくれる手はずも整えていた。待ちに待ったその日。忘れもしない12月22日のことだ。ウォンがちょうど半分になった。(中略)日本で売れそうなクルマは、ともかく全部買った。資金は、貸し渋りに入る前の銀行が喜んで貸してくれた。(中略)韓国で買い占めたベンツは、いまもお客さんに喜んで乗っていただいている。通貨危機あるところ、南原あり
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ほかにも、30億円のブガッティ・ロワイヤルを買いにいった話など、刺激的なエピソードには事欠きません。著者の売買の視点や、資金繰りの方法、スケールの大きな考え方などは、経営者や投資家に気付きを与えてくれます。

というわけで、本日の一冊は、

『痛快!クルマ屋で行こう。』
http://tinyurl.com/49jsa

です。売買を中心とするビジネスを営んでいる方には必読の、まさに「痛快!」な一冊です。

目次
まえがき
第1章 大学で学生相手に講義した話
第2章 創業当時の話
第3章 フェラーリ屋になった話
第4章 ボルボ850を大量に入れた話
第5章 株式公開に向けての話
第6章 成功の秘訣
あとがき
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『ブログで始める 超速起業入門』

2004年11月22日 | Weblog
http://tinyurl.com/5uuu7

本日の一冊は、起業・ビジネスにブログを活用する方法を説いた、初めての本格的なマニュアル書です。

マニュアル書なので、具体的な始め方や運営方法、アクセスアップの秘訣などはもちろん書かれていますが、ブログのビジネスへの応用可能性について知りたい人にもわかりやすく書かれています。

「ブログとホームページの違いは何?」「更新がラクなのはわかったけど、ほかにどんな機能があるの?」という方には、ぜひ読んでいただきたい、そんな一冊です。

マニュアル書なので、要点の抜き出しは難しいですが、一応、赤ペンチェックで概要(というより著者の主張)を見てみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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ブログは、もともとはWEBのLOG(WEB上での記録を時系列に並べたもの)という意味でWEBLOG(ウェブログ)と言われていました。それを略してBLOG(ブログ)といわれるようになった

ブログの種類
・ニュースブログ
・日記ブログ
・専門家ブログ

ブログを仕事に結びつけたいと考えているのであれば、専門家ブログを作ってみてはいかがでしょうか

ブログで運用してみて、ビジネスになりそうかどうか様子を見てください。マスコミの取材があるようであれば、社会的に注目されているテーマであることがハッキリしますので、次の段階に進み、さらに掘り下げてみればいいのです

ブログの記事のタイトルによって、アクセス数が増減します。どういうタイトルだとアクセス数が増えるのか、試してみましょう

ブログはできるだけ、更新頻度を多くした方がいいのですが、こうした自動更新通知機能があるので、必ずしも定期的に更新する必要はありません

ブログの場合は、トラックバックという仕組みがあります。これによって相手のブログの記事からこちらのサイトに逆リンクを貼ることができます。リンクを張るのに、相手の手を煩わせる必要がなくなりました

同じカテゴリの他のブログに挨拶に行って、自分のサイトを見てもらうようコメントを残す

インターネットでWEBサイトを訪問する読者が求めているのは、その分野に関するインターネットでしか入手できないような情報

代表的な検索エンジンであるGoogleは、他のサイトからリンクされているかという被リンク数を、検索結果に表示するための指標の一部にしています

すでにレンタルサーバーを借りていて、ホームページにブログを併設するには、ブログツールをインストールするのがいい

オンリーワンの地位を固めながら起業すると、競争に巻き込まれずに済みます

信頼を得るためには、お客さんが知らないことに対し、解決策を提供できる専門家であることをわかってもらうのが近道です。ですから、その問題の解決策に関する情報をインターネットでたくさん公開しておきます

コンサルタントは、どれだけクライアントの実績をあげられるかで、評価が決まるので、できるだけ早く名乗りをあげて実績をあげるのがポイント

ブログで検索エンジンから見込み客を呼び込んで、商品サービスの説明ページに誘導するのがよい

ブログを日記として使うのではなく、専門家として読者が抱える問題点の解決策を提供するスタンスで書きましょう

専門家ブログに集まってくるのは、やはり専門家です。一度専門家として認められると、関連分野の専門家からも知り合いの紹介などでどんどんあなたのネットワークが広がっていきます
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初心者向けに非常にわかりやすく書かれており、既に始めている方にはあまり得るところはないかもしれませんが、これから始めようと考えている方には、役立つと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『ブログで始める 超速起業入門』
http://tinyurl.com/5uuu7

です。自分のアイデアをブログで発表して、世に問うてみたいという方には、おすすめの一冊です。

目次
第1章 ブログはカンタン、楽しい、儲かる
第2章 こんなにあるブログのメリット
第3章 さあブログを試してみよう!
第4章 オンリーワン戦略を作れ!
第5章 5つの戦術
第6章 ブログで収入をアップする
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『ドラッカーさんが教えてくれた 経営のウソとホント』

2004年11月21日 | Weblog
http://tinyurl.com/68wh7

本日の一冊は、久々のリクエスト本です。

はじめての方のためにご説明すると、この「ビジネス・ブック・マラソン」では、読者からのリクエスト本を受け付けています。

あて先は、以下のアドレスです。皆さんが読んで「これはいい!」と思った本を、ぜひお送りください。評価は、必ずしもいいものとは限りませんのでご了承ください。

「ビジネス・ブック・マラソン」はあくまで公平な立場で、ときに優しく、ときに厳しく、ビジネス書をチェックして参ります。
これからもよろしくお願いします。

そんなわけで、本日の一冊は、『ドラッカーさんが教えてくれた経営のウソとホント』 です。

ドラッカーの理論をわかりやすく解説した本はほかにもたくさんありますが、この本は、なかなか秀逸です。

ものすごくわかりやすい上に、現在のビジネス事例をからめながら解説しているので、ドラッカーの理論を実践するための道筋がよくわかるようになっています。

著者は、ドラッカーを含め、数多くの著名人にインタビューしてきたという、「日経ビジネス」発行人の酒井綱一郎さん。

何とオビにはドラッカー本人の推薦の辞までついている、お墨付きの一冊です。

では、具体的にどんな内容が盛り込まれているのか、さっそく見てみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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無形資産の時代にブランドと同じくらいに重要な要素があります。それは、その企業の従業員にどれぐらい構想力、アイデア力があるかという点です。また、企業文化そのものに創造性があるかどうかも勘案されます

第二の波の時代ならば、朝八時に会社に来て仕事をしてくれと言えるが、第三の波の時代には科学者やエンジニアに朝八時に会社に来て素晴らしいアイデアを思いついてくれ、とは言えませんね(盛田昭夫)

認識を変化させることで革新が生まれる(ドラッカー)

イノベーションは壮大なものではない。身近なものである(ドラッカー)

ドラッカーさんは、斬新なアイデアだけがイノベーションを生み出すとは言っていません。イノベーションを生み出すためには組織的活動が不可欠であると指摘しています

狙った市場で売れなくても、あきらめないでほしいのです。「もしかしたら、この製品は売るべきお客さんが違ったんじゃなかろうか。使い方が違ったのだろうか。ほかの分野で使えないか」と粘り抜いてみせたとき、実は壁を打ち破り、革新的な商品が生まれる可能性がある

「卓越した渋沢でさえ、需要を見誤った」とドラッカーさんは語り、需要の見誤りそのものが問題ではないことを強調するのです

予期せぬ成功を認めることは勇気がいることだ。しかし、事実を素直に受け入れる謙虚さが大事だ

マネジメントは、自らの過誤を認め、受け入れる能力に対しても報酬を払われている(ドラッカー)

最近の新しい製品や技術、すなわちイノベーションを引き起こしたアイデアがどこから来たかを検証してみると、その九〇%は内部でなく、外からもたらされている(ドラッカー)

「顧客の声を聞け」と経営者はよく口にする。製造会社は顧客の要望を吸い上げて、それを製品開発に生かそうとしてきた。だが、この原則に従っているだけでは、真の情報は得られない(中略)最も成功している企業でも市場で握っているシェアは三〇%だ(ドラッカー)

企業は外部情報の取り込みがしやすい組織にしなければならない。 同時に企業活動の国際化に対応した組織をつくらねばならない(ドラッカー)

新しい文明では生産者と消費者が一緒になるプロシューマーの時代 になる(トフラー)

イノベーションの母としてのニーズ
・プロセス
・労働力
・知識

信頼、すなわち追随する人たちがいること。それ以外の共通点は、 私が出会った名指導者にはない(ドラッカー)
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土井はあまりこの手の解説本は読まないのですが、確かにこの本は 質が高いと感じました。書き手の能力が高いからこそ、これだけの 解釈ができるのだと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『ドラッカーさんが教えてくれた 経営のウソとホント』
http://tinyurl.com/68wh7

です。これまでにリクエストいただいた本の中で一番おもしろい本 でした。Nさん、ありがとうございます。

目次
はじめに
序章 知られざるピーター・ドラッカーさん
第一章 「バカの壁」を打ち破る勇気を持とう
第二章 当たるも八卦、当たらぬも八卦
第三章 新しい酒は新しい革袋に
第四章 市場の細分化、横断化
第五章 世界で一番有名な日本語「カイゼン」を大切に
第六章 カリスマ経営者は要らない
あとがきに代えて
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『経営者の教科書』

2004年11月20日 | Weblog
http://tinyurl.com/6pfz6

本日の一冊は、PHP研究所の代表取締役社長、江口克彦さんによる最新刊です。

江口さんはあの松下幸之助氏に仕え、晩年の22年間、薫陶を受けた人物。土井も一度、インタビューでお会いしたことがあります。江口さんから教えていただいた、「成功するためには、成功するまで続けること」という教えは、おそらく一生忘れられないでしょう。

今回の本は、その江口さんが、松下幸之助から学んだ経営の普遍的理念をわかりやすくまとめた一冊です。

具体的にどんな教えが書かれているのか。さっそく見てみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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「経営を進めるときは、普遍性、国民性、時代性の三つを考慮しながら進めることが大切やね」と松下幸之助はよく語っていた

こんなことはできるはずがないと思うことに挑戦し、それを乗り越えるときにこそ、新しい工夫や技術、イノベーションが生まれてくる

経営に限らず、すべては人間のため、人間というものの発展や幸福のために行なうものである。ならば、人間とは何か、人間の本質とは何かという哲学、人間観が明確でなければならない。人間を知らずして、すなわち正しき人間観を持たずして、なぜ経営が進められるだろうか

松下幸之助が”成功”した理由として、あまり言われない重要な点は「感動」であった。部下を感動させた。周囲を感動させた。お客様を感動させた。二十二年間そばに仕えた私にとっては、これこそが松下が成功した最も大切な理由であったとさえ思える

即断即決ができないということは、仕事に対するカンがないということである。さらには、仕事に対する、自分の哲学ができあがっていないということである

燃えるような熱意があれば、たとえ困難に陥っても、必ずやそれを乗りこえる知恵が生まれてくる。わからないことがあっても、熱意があるならば人に素直に教えを乞うという態度が生まれてくる

経営者にとって大事なことは、己の面子よりも経営の発展である

「長」のつく人間の責任は三つある。一つ目は自分のグループの仕事をやり遂げる責任、二つ目は自分の下にいる人材を育てる責任、そして三つ目は新しい仕事を創造していく責任である

経営者は、「能力があるから責任ある立場につける」という考え方よりも「責任ある立場が人を育てる」という考え方に立つべき

時間のけじめ、お金のけじめ、人間関係のけじめ。この三つのけじめは決して忘れてはならない

根底に本当に考え抜いた自分の理念、哲学があるならば、そして本人が人間的な向上を日々心がけているのならば、いかなる局面であろうと相手に訴え納得させる話し方が自然にできるようになるだろう

将来から現在を考えるのが経営者の発想、現在から将来を考えてはいけない

(改善・改革に際して)今あるものに継ぎ足すな。今あるものをゼロにして、そこからどうするかを考えよ

部下が話しに来たときに大切なことは、その話の内容を評価して良いとか悪いとか言ってはいけない、ということである。そうではなく、部下が責任者のところへ話しに来る、その誠意と行動と勇気をほめるのである

教育というのは、夏の芝生の雑草取りに似ている。取り続けることが教育である

部下を育てるポイント
1.部下にものを尋ねる
2.方針を明確に示す
3.権限を委譲する
4.感動させる

これからは表現力があって行動力のある人間の時代である

持って生まれた人間的能力を、死ぬまでに発揮し尽くすことが人間としての幸せである
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できれば、100項目をひと通り解説するのではなく、項目は少なくても、それぞれに関して、著者あるいは松下幸之助がどうしてそう考えるにいたったか、を詳しく書いてほしかったのですが、経営者の心構えの書としては、なかなか有用だと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『経営者の教科書』
http://tinyurl.com/6pfz6

です。道に迷いそうになったときに紐解きたい、そんな一冊です。

目次
1.経営では、「目に見える要因」とともに「目に見えない要因」が大切
2.生産者が「いい物を安くたくさん」という考えで物をつくらなければ、企業の発展はありえない
3.人間観なき経営者は決して一流とは言えない
4.経営者に必要なことは、傲慢に振舞うことではなく、謙虚に振舞うことである
5.経営者に部下を拝む心があれば、会社は必ず発展する
6.世間は正しいと考え、その上で経営判断をするところに経営成功の王道がある
7.すべて百点の仕事でなければ仕事ではない
8.経営は「勝てば官軍」ではなく、勝ち方の美しさが大切
9.経営者が社員を感動させなければ、その会社の発展はありえない
10.商い、経営もまた礼の道に即していなければならない

※その他、全部で100項目あります。今回は割愛させていただきます。
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『けいざい心理学!』

2004年11月19日 | Weblog
http://tinyurl.com/4jpk2

本日の一冊は、日本経済に見られるさまざまな現象を「心理学」というキーワードで説いた、ソフトな読み物です。

不景気になればなるほど宝くじが売れる現象や、お金がない、といいつつ高級子供服に群がるお母さんたち、そして雪印乳業や三菱自動車の不祥事まで、さまざまなトピックを取り上げて、説明しています。

身近なニュースや社会現象について読み進めていくうちに、心理学のエッセンスを学べるという、なかなか興味深い一冊です。

では、いつものように、さっそく赤ペンチェック行ってみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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人は個人でいるときと集団でいるときでまったく別人として振る舞う――ギュスターヴ・ル・ボン(フランスの心理学者)

人は利益が出ている局面では危険を避け、損失局面では危険を好む――カーネマン教授(ノーベル経済学賞の行動経済学者)

経済状況が悪化するほどギャンブルや宝くじの人気が高まる(日本総合研究所)

ブームとは「自分の感覚や好みより他人の判断や行動に従いたいという本能」(社会心理学者のアッシュ)が生み出す

経済学と心理学を融合させた行動経済学では「途中で購入をやめると、それまでにつぎ込んだお金を無駄遣いしてしまったように感じる「心理」をある種の「強迫観念」と位置づける

選択肢が増えるとある種の心理的重圧で商品を選びかねてしまう「決定マヒ」に陥る。機能で細分化され、高度化した「最先端」を、あえて選ぼうとしない消費者の数は無視できない

米国の心理学者アルバート・メラビアンの研究によると、聞き手が話し手の態度を推し量る判断材料の五五%は相手の顔の表情。好印象を持たれる笑顔で接すれば買い物客の財布のひもも緩む

「ニッポン人は和を尊ぶ」。だが、実験経済学の世界からは、意外にも協調的でない国民性が浮かんでくる

「みんなで、できるだけ大きな声を出してください」。呼びかけに応じた声を騒音計で測る。一人、二人、四人、六人……参加者が増えるにつれ一人当たりの声量が小さくなる。心理学者ラタネはこれを、「社会的手抜き」と名付けた

コインを投げる。表か裏か。「いかさま」がなければどちらが出る確率も同じだ。五回続けて表が出た。「次は裏だな」。そう思ったら罠にはまった可能性がある。どちらも出る確率は同じ。社会心理学ではこれを「ギャンブラーの誤謬」と呼ぶ

心理学の「社会的インパクト理論」は、情報の影響力を「情報発信源の強さ(地位、権力など)」と「発信源と受け手との近さ(空間的、時間的近さ)」などをかけ合わせたものとする

文化心理学では、ある文化圏で「普通の人はこうするものだ」という暗黙の通念のことを「文化的自己観」と呼ぶ。相手の文化的な背景を理解し、個々の胸を打つ戦略を練らなければ成功はない

人がよりつらい努力をして一層高い目標を成し遂げようとする気持ちは、心理学でいう「達成動機」のひとつ。良薬は口に苦し。時に逆説的でわかりにくい消費者のココロがにじむ
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理論的な部分だけをピックアップしましたが、この本、ほかにも時事ネタやマーケティングのヒントが満載です。読んだ後は、これまでとは違った視点で日経新聞が読めるようになりそうです。

というわけで、本日の一冊は、

『けいざい心理学!』
http://tinyurl.com/4jpk2

です。薄い本で、さらりと読めます。ぜひ読んでみてください。

目次
まえがき
1.「非合理」が動かす景気の話
2.心をめぐる会社の攻防
3.数字にもてあそばれる人々
4.人間心理の内外格差
5.誤算が生まれる方程式
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『スゴ腕パワーマネキンが教える!売れる営業の法則』

2004年11月18日 | Weblog
http://tinyurl.com/3wllp

本日の一冊は、前著『パワーマネキン式デパ地下・スーパーマーケ
ットの食料品完売マニュアル』で一躍話題を呼んだ、セールスの達人、松田綾子さんによる一冊です。

参考:『パワーマネキン式デパ地下・スーパーマーケットの食料品完売マニュアル』
http://tinyurl.com/7235l

タイトルからもわかるように、著者は最初、スーパーで試食品を配る、いわゆる「マネキン」からセールスのキャリアをスタートしました。いかにも売れなそうな、地味な仕事ですが、彼女はここで、ある「仕掛け」をして、驚異的なセールスを実現したのです。

本書では、その「仕掛け」と、試してみてわかったセールスの秘訣、そして彼女なりの「心理学と演劇論の組み合わせ」によるセールス理論を学ぶことができます。

一体どんなことが書かれているのか。さっそく見て行きましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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ただ単に品質が良いだけで、モノが爆発的に売れるということは、ありえない(中略)これからの時代、大事なのは、いかにして買いたくなるような雰囲気を作るか? ポイントは、そこなのです。

1.お客様の脳裏に、「楽しい人生のワンシーン」が思い浮かぶような演出をすること
2.自分自身のパワーを高め、「重要人物」に見せること

常に人だかりができる売場を作ろうと思えば、「圧倒的な魅力」で勝負しなければなりません

商談に行く前には、その商品にまつわる「小話」を必ずひとつ用意していく(中略)耳よりな情報であればあるほど、聞いた人間は、営業マンに対して、小さな感謝の念を持ってしまいます

宣伝文句をしゃべるのは後回しで、まず、宣伝文句を聞いてもらえる状態を作り出さなければならない

相手の方の感情を揺さぶるためには、「相手が今、何に困っているのか」ということを知ることから始めてください

1.相手が何に困っているのかを見極める
2.その問題点にしつこく焦点を当てる
3.最後に、私はその解決法を知っています、と言う

人間の脳には、「オート・クライン機能」というものがあるのです。これは、「自分が口に出してしゃべったことを自分の耳で聞いたとき、はじめて理解する」という機能です

説得は無駄なのです。自分の口から出た言葉しか、人は信じないからです。逆に言うと、大切なのは、いかにしてお客さん本人に「それが欲しい」と言わせるかです。つまり、あなたがしなければいけないことは、その言葉を誘導するための質問を用意できるか、ということなのです

初対面で何が一番大切なのかと言うと、それは「どれだけ、相手のことを事前に調べられるか。相手の会社を調べられるか」ということ

羞恥心、プライド、不安、疲れ、恐怖、緊張、それら全てを忘れ、乗り越えたときはじめて、人はエネルギーの高い、見世物に値した存在になります

「感動」の心理学的法則
・人は、自分が期待しているものより、圧倒的に魅力的ものを提示されたとき、初めて感動します
・人は、自分の頭の中の世界観(スキーマ)を打ち砕く出来事に遭遇すると、心が動きます

魅力的な商品であっても、人は、段階を踏まないと買いません

「教えてあげる」「手作り」がポイント

営業マンの第一印象を決めるのは、話の内容ではない。あなたの着ているスーツの値段である

「作り声」を平気でする人が信用されないのは、マネキンでも営業マンでも全く同じ

普段、友達や家族、恋人に話しかけているのと同じ声のトーン、同じ口調で話しかけられた場合にのみ、人は「他でもない、この私自身が話しかけられたのだ」と受け取り、それを無視しづらいと感じる

普段、友達にしゃべっているのと同じ抑揚で、10m以上離れた地点にいるお客さんに「あなたに話しかけているんですよ」と理解させるだけの声量と、声を投げかける技術が必要

「買わなくてもいいよ」という態度に出た方が、実際には売れてゆきます

営業をかける前には、あなたなりの「逃げ道トーク」を用意してください

買い物をすること自体は楽しい行為なのですが、家計を預かる主婦としては、そこには大義名分が必要

職場を愛し、お客さんを愛する心から、販売力が生まれる
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全体を通じて、著者が実績を出してきたことがうかがえる内容と自信に満ちあふれています。「必要悪」を前面に出した主張の仕方が気に障る方もいらっしゃるかもしれませんが、営業の参考にはなると思います。

というわけで、本日の一冊は、

『スゴ腕パワーマネキンが教える!売れる営業の法則』
http://tinyurl.com/3wllp

です。研修形式で話が進められており、また事例も豊富なので、極めたい方はぜひ読んでみてください。

目次
まえがき
第1章 パワー・マネキン研修へようこそ!
第2章 あなたが言葉を発するまでに、勝負はついている
第3章 言葉の内容よりも、言葉の発し方で勝負は決まる
第4章 売れる営業になるためには、何をしゃべればいいのか?
第5章 どんな人材になればいいのか?
まとめ
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『お金の哲学』

2004年11月17日 | Weblog
http://tinyurl.com/56rck

本日の一冊は、年商900億円の億万長者、中島薫さんのお金の哲学書です。

サブタイトルにもあるように、「学校や会社では教えてくれない」お金の哲学を、平易な語り口で披露してくれる、そんな一冊です。

タイトルもコンセプトもわかりやすいので、あまり説明の必要はないと思います。

さっそく、内容のポイントを見て行きましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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問題は「お金があるかないか」ではなく、「じゃ、あなたはなぜお金がないの」と聞かれたときに、その理由を答えられるかどうか

(お金が)少ないということを知っていて、それで足りないということは、それなりの生き方の努力が足りないということでしょう

その人がいくらお金を持っていようが、そんなことはどうでもいいのです。問題は、どうやってその人がそれだけのお金を手にしたのかという、一連の流れに興味をもつべきなのです。そこに見えているお金の裏にある、物語に注目するべきなのです

お金というものは、あなたがあなたらしく生きるための予算(中略)その収入がどうやったら得られるかを考えて、そのために作戦を練る

お金というものが札束にしか見えない人にはお金は稼げない

収入を変えるには、いままでの環境を変えるか、あるいはあなた自身が変化して成長するかしかありません

人間は長いスタンスの仕事をもてるほうが幸せだと思います。それも、とくに人生の後半がさらによくなるような展望がある仕事だと最高です

成功するには「人と違うことをする」か、「人と違う方法でする」

私は、経済学というのは心理学と同じだと思っています。いかに人を買いたい気持ちにさせるかが重要なのですから

お金に対する感動や感謝をなくすと、お金はふえなくなる

「お金脳」をつくるキーワード
1.健康が第一
2.感謝をする
3.先に気づく
4.すぐにする
5.人のいやがることをしない
6.ツキのいい人をマークする
7.人を応援する
8.みんなにいい顔をしない
9.お金は人のために使う
10.くつろぐ音楽を聴く

何かをするときは、すぐに始める。そして、わからないことは必ず聞く。もしもその日にするべきことを次に持ち越した場合には、「賞味期限が切れた」と思ってください

真に受ける人が成功するのです。それはなぜかというと、無から有を起こす作業をしているからです

人が喜ぶために自分を動かす人には必ず返ってくる

収入を上げるには「誰をつかまえるか」がポイント

お金持ちになれる人となれない人の違い
=お金のことを定期的に思ってあげているかどうか

お金は自分が使うものであって、使われるものではない
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言い尽くされている内容も多いのですが、それを語るときに披露される、中島さんのエピソードや、お知り合いのお金持ちのエピソードが読ませてくれます。

というわけで、本日の一冊は、

『お金の哲学』
http://tinyurl.com/56rck

です。サラリと読めて、ためになる一冊です。

目次
1章 お金に学ぶ
◎お金がお金ではなくなるとき
◎「お金がなくても幸福に生きられる」の本当の意味
◎お金が足りないということは、生き方の努力が足りないということ
◎「お金の勉強」は学校や家庭できちんと教えるべき
◎お金がないのは不幸ではないけれど不便 ほか

2章 お金に目覚める
◎まず、「自分サイズの幸せ」を知ろう
◎いま貧乏でがんばっている人こそ人生はおもしろい
◎お金と覚悟はワンセット
◎収入に感動することからすべては始まる ほか

3章 お金に向き合う
◎「お金脳」のつくり方
◎お金は「ありがとう」でついてくる
◎「するべきことは生もの」と思う
◎成功は自分の知らないところにある ほか

4章 お金に親しむ
◎お金持ちに学ぶ、お金以外のすごいこと
◎「誰をつかまえるか」で人生は変わる
◎一円の仕返し
◎お金への「こだわり」と「執着心」との違いを知る
◎お金の神様に好かれる方法 ほか
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『中学生からの作文技術』

2004年11月16日 | Weblog
http://tinyurl.com/6zc4u

本日の一冊は、「朝日新聞」編集委員を経て、現在「週刊金曜日」の編集委員を務める、本多勝一さんによる一冊です。

「ロングセラー『日本語の作文技術』『実戦・日本語の作文技術』から、語順、句読点の打ち方、助詞の使い方など、最低限習得すればいい部分を抽出したビギナー版」とのことで、とくに目新しい内容が書かれているわけではありません。

参考:『日本語の作文技術』
http://tinyurl.com/5tfwl

参考:『実戦・日本語の作文技術』
http://tinyurl.com/3vlmp

ただ、前著のエッセンスをおさらいしたい人や、初めて文章術の本を読む方には、読みやすく、おすすめしたい一冊です。

本気で勉強したければ、文章の実例を見ながら学ぶのが一番ですが、赤ペンチェックでそれは難しいので、ところどころに現れる、書き方の鉄則や、著者の主張だけを抜き出すことにします。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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芸術には才能を必要とするかもしれませんが、技術なら学習と伝達が可能です。(中略)「わかりやすい文章」も、技術である以上だれにも学習可能なはずです

一切の言葉に変更を加えずに、機械的に位置を変えるだけでわかりやすくするためには、かかる側と受ける側の言葉同士を直結し、入れ子をはずせばよろしい

かかる言葉と受ける言葉があまりに離れすぎると、書いている当人もつい忘れてしまうことがあります

語順の原則
1.節を先にし、句をあとにする
2.かかる言葉は長い順に並べる
3.大きいことほど前へ
4.なじみ具合による配置転換
※日本語に限らず、あらゆる言語のあらゆる単語には、それぞれ独特の親和度(なじみの範囲、接合関係)があるのです。それを無視すると「ヘンな文章」や「ヘンな会話」になってしまう

引用はあくまで原文のまま示さなければなりません。引用部分と自分の文章とは明確にけじめをつけないと、他人の意見や報告をねじまげてしまい、ときにはとんだ迷惑をかけることになる

「“進歩的”ジャーナリスト」とか「このように不正確な“引用”をされると……」と書いたときに“進歩的”や“引用”のところでヒゲカッコ(チョンチョンカッコ)を使いました。ヒゲカッコはこのように「本当はそうではない」ときとか、「いわゆる」つきのときに使われます

句点は字と同じか、それ以上に重要

長いかかる言葉が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ

重要でないテンはうつべきではない

語順が逆順の場合にテンをうつ

テンというものの基本的な意味は、思想の最小単位を示すものだと私は定義したい。マルで切れる文章は、これらの最小単位を組みあわせた最初の「思想のまとまり」です

なぜ逆順にするかというと、筆者がそのものを多少なりと強調して提示したかったからなのだ。そこには「強調」という主観があらわされているのです

自分の文章について私自身反省してみると、無駄なテンがとくに多いとはいえないものの、厳密な意味では不要と思われる例もときどき目につきます。これからはもっと注意して減らしてゆくつもりです

漢字とカナを併用するとわかりやすいのは、視覚としての言葉の「まとまり」が絵画化されるためです

たとえば「いま」とすべきか「今」とすべきかは、その置かれた状況によって異なる。前後に漢字がつづけば「いま」とすべきだし、ひらがなが続けば「今」とすべきです

結論として、わかち書きを目的とするテンは一切うたないことです。その結果どうしてもカナばかり続いて読みにくいところができてしまったらどうするか。まず漢字、次いで傍点やカタカナを考えてみる。それでもダメな場合は、ほんとうにわかち書きをすればよいのです

「が」を逆接以外に使うときは、それがわかりにくい原因とならない場合に限るよう注意して、いいかげんな気分では使わないこと

段落のいいかげんな人は、書こうとしている思想もまたいいかげんで、不正確で、非論理的だとみられても仕方がないでしょう

段落はひとつの思想単位を示しているのです。いいかげんな気分で改行をしないよう心がけましょう

無神経な文章
(1)紋切型
(2)くり返し
(3)自分が笑ってはいけない
(4)体言止の不快さ
(5)ルポルタージュの過去形
※紋切型を平気で使う神経になってしまうと、そのことによる事実の誤りにも気付かなくなります

文章の「リズム」をよくするには、頭の中で朗読しながら書くこと
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いかがでしょうか。実際には、新聞記事や書籍から文例を引っ張ってきて、その是非を論じながら解説しているので、赤ペンチェックだけでは理解が深まらないと思います。本気で勉強したい人は、ぜひ読んで、文例を見てください。

というわけで、本日の一冊は、

『中学生からの作文技術』
http://tinyurl.com/6zc4u

です。ひさびさに、書き方の基本を学ぶことができました。

目次
はじめに 「作文」とはなにか
第一章 かかる言葉と受ける言葉
第二章 かかる言葉の順序
第三章 テンやマルのうちかた
第四章 漢字の使いかた
第五章 助詞の使いかた
第六章 改行を考える
第七章 無神経な文章
第八章 リズムと文体
おわりに
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