ビジネス書の厳選情報を毎日お届け 「ビジネスブックマラソン」 バックナンバーズ

アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『1日3分「夢」実現ノート』

2004年11月15日 | Weblog
http://tinyurl.com/5ukxf

本日の一冊は、『通販勝ち組が教える! 売れるしくみはこうつくれ』で知られる、岡崎太郎さんによる、成功のためのモチベーションアップのノウハウ集です。

参考:『通販勝ち組が教える! 売れるしくみはこうつくれ』
http://tinyurl.com/5na9n

岡崎さんは、高校卒業後、いくつかの職業を経て、まったくの未経験から通信販売事業をスタート。わずか2年間で月間売上1億円を達成した、まさに「夢を実現した」人物といっていいでしょう。(本人はそうは言わないかもしれませんが)

今回の本は、どちらかと言えば、考える前に行動する人向け、あるいは考えすぎて行動できなくなってしまう人向けのメソッドです。

どんなことが書かれているのか、さっそくポイントを見て行きましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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「想い」はつねに揺れていて、ひとところに「安定」しないので、その結果の現象も不安定になってしまうのです

他人から妄想と呼ばれようが、あなたが信じることができる「夢」であることが重要なのです

子供の時と違って、大人になると憧れだけで自分の夢とは思えない大人になった僕たちは、情熱を持って夢を育てなければいけない

その時その時に感じる「やりたいこと」「やってみたいこと」や、「楽しそうだぁ」「言ってみたいなぁ」「会ってみたいなぁ」と感じた素直な欲求をキャッチしていくこと。それこそが始まり

想いと行動のズレを矯正するのです。それが最初の第1歩です

自分のやりたいことを事業化すれば、転職せずとも自分のやりたいことが実現できる(中略)やりたいことと満足な収入の両立はできる

精神的な不安や恐怖というのは、成功や目標達成の真反対(中略)前向きな気持ちが満タンな状態で、実現したい夢や目標を想うことがポイント

細かいスケジュールを、緻密にコントロールしようとすればするほど、ズレが生じて苦しむことになりますよ!

最近の日本人は、「つねにアクセルとブレーキを一杯に踏んでいる」状態(中略)前に進むには、アクセルはそのままにブレーキを緩めることが必要なのです

計画がないから何もできないでは、いつまでたっても1歩も前に進まないことに気づいて欲しい

計画も大事だけど、記録と見直しも大事(中略)だいたい、すべてを1冊でやろうというほうが無理(中略)そこで師匠は、計画と記録を切り離すことを思いついた

モチベーションシートとは、行動と想いを記録し整理することで、やる気のもとを発見し、動機づけを明確にするもの

自分の「ライブな」気持ちを、きちんとモチベーションシートに書き留めておくことで、自然と夢や具体的に欲しいものが見えてきます

やりたいことを書き出しておくだけで、ずいぶん効率が上がります

(情報メモの)ポイントは、数字を意識して書き留めておくこと

大事にしたい人を明確にして、それに沿った時間の使い方に「軌道修正」する

いつ訪れるかわからないチャンスを、確実に自分のものにするには、綿密なスケジュールにとらわれるのではなく、いつでも軌道修正できるように余裕が必要です

間違っても、まだ「しっくりこない」ことを理由に、夢の内容を探り続けるのはやめて欲しい。ぜひ勇気を持って、目指す方向に足を出して欲しい。夢を推進させる最大の力は情熱だ
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どうでしょうか。実用書の体裁をとってはいますが、じつは著者からの熱いメッセージ集でもあるということがわかっていただけたかと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『1日3分「夢」実現ノート』
http://tinyurl.com/5ukxf

です。モチベーションアップのためのツールとして、活用してみてはいかがでしょうか。

目次
プロローグ
第1章 夢や目標があなたの成功を阻んでいる!
第2章 想いを「記録」するモチベーションシート
第3章 「記録」で本当のあなたが見えてくる
第4章 「記録」からあなたの人生を創り上げる
第5章 「記録」の効果を発揮させる心構え
第六章 落ち込んだ時の処方箋
エピローグ
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『45万人を変えた デーリー先生の「話し方」コーチング』

2004年11月14日 | Weblog
http://tinyurl.com/5r4hh

本日の一冊は、まさに土井が「こんな本欲しかった!」と思えるような本でした。

デール・カーネギーの『人生を変える黄金のスピーチ〈上〉準備編』『人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編』と並び、話し方を学びたい人が読むべき一冊として挙げられるべき本だと思います。

参考:『人生を変える黄金のスピーチ〈上〉準備編』
http://tinyurl.com/5jrqp

参考:『人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編』
http://tinyurl.com/6uk4a

それもそのはず。著者はそのデール・カーネギーの話し方講座を受講しており、その道のプロフェッショナルとしてキャリアを重ねた人物。上級管理者を対象とした話し方やプレゼンの指導を営むコミュニスポンド社の創立者兼CEOとして、これまでに40万人以上のエグゼクティブの技能向上に貢献してきた、優れた指導者なのです。

人前で上手に話すための心構えやノウハウ、そしてセールス、プレゼン、会食、スピーチなど、さまざまな場面別の鉄則が、じつに興味深く、実践的に書かれています。

土井が信じる、良いビジネス書の条件というのがあるのですが、この本は、そのすべてを満たしているといっても過言ではありません。

それは、

1.哲学があること
2.話し手が一流で、実績を出していること
3.エピソード(物語)があること
4.実践できる、ノウハウ書としても一流の内容であること

です。

この本は、これからキャリアを重ねていくビジネスパーソンにとって、欠かすことのできない実用的な内容と、それを支える実績・哲学、そしてそれを読み手の心に刻むエピソードにあふれています。

では、一体どんな内容が盛り込まれているのか。赤ペンで真っ赤になった本書から、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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出世しようと思う人は、演壇を避けては通れない
(ローウェル・トーマス)

優れたコミュニケーションに共通する三原則
その1.伝えるべき内容を持っている
その2.伝えようという気持ちを持っている
その3.伝えるためのスキルを持っている

人生同様、プレゼンテーションもそのプロセスを実際に「生きて」みなければ、わからない。そして、上達したいなら、口先だけではなく、実際に繰り返して練習することだ

(スピーチの)恐怖を克服するための最初の三ステップ
1.自分の恐怖心を認める
2.解決につながりそうな方法を調べてみる
3.決断する

自分の伝えたいことが、聞き手にふさわしく、その場にふさわしく、そしてあなたにふさわしいものだと心から確信できなければ、自信はみなぎってこないだろう

論拠の五つのタイプ
・エピソード
・例え
・専門家の見解
・実例
・統計データ

人間とは、感情を持つ肉体である。しかし、統計データは感情とは無縁の代物だ。したがって、聞き手の心や思いを促たいと思うなら、統計データ以外の論拠を使うこと

人の視線をひきつけるのは、「動作」「色」「強調」の三つだ。「動作」はあなたの身体、「色」はビジュアル資料、「強調」は声の強さやジェスチャーである。これらの強力なツールを用いて、プレゼンテーションを興味深く、説得力あふれるものにしよう

情報を並べれば、仕事は終わりになるのだろうか? それとも、行動――次のステップ――を提案することも、仕事のうちなのだろうか?

聞き手の心をずっと大きく動かすのは、エピソードだ。エピソードは、聞き手の注意をぐいと引きつける。考えさせ、強い印象や感銘を与える。聴衆に好いてほしいと思うなら、エピソードを語ることだ

アメリカ先住民の諺
事実を語ってくれれば、私は学ぶ。
真実を語ってくれれば、私は信じる。
物語を語ってくれれば、それは私の心の中で永遠に生き続けるだろう

聞き手の注意をぐっと引きつける効果的な方法は、冒頭でショックを与えることである

プレゼンテーションは、そのアイデアを実行に移すための次の行動を述べて締めくくること。その行動はいつ行うべきか? という日程を決めること

悪いニュースを伝える場合のポイント
1.あなたが管理職として信頼できる人だということを伝える
2.影響を受ける人々への共感の気持ちを表わすこと
3.伝える中で信頼を築くこと

会議が始まる時点で、会議の開催理由が出席者全員にわかっていれば、どんな会議もよりよいものになる(友人、ケント・ライリー)

熱意の力、情熱的に訴える力、話し手が全身全霊で打ち込んでいることの力――そして素晴らしいエピソードのもつ力――を決して侮ってはいけない
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ご紹介したのは、この本の、本当に一部です。このほかにも、会議を終える際のポイント、会場設定のノウハウ、出だしでショックを与えるための原則、話し手を紹介する司会者のフォーマットなど、じつにさまざまなノウハウ、それに生きたエピソードが盛り込まれています。

というわけで、本日の一冊は、

『45万人を変えた デーリー先生の「話し方」コーチング』
http://tinyurl.com/5r4hh

です。久しぶりにロングセラーになって欲しい、と心から思える本に出合いました。この本は「買い」ですよ、皆さん。

目次
第1章 誰だって人前で話すのは怖いのです!
第2章 人前で自分の考えを上手に話すには
第3章 プレゼンテーションで聞き手を引きつけるには
第4章 昼食会で聞き手を引きつけるスピーチとは
第5章 聴衆の重圧に負けないために
第6章 こうすればランチミーティングは成功だ!
第7章 アイデアを売り込み成功を勝ちとる方法
第8章 会議でうまく発言する - それがあなたの道を開くのです
第9章 メンバーとクライアントが前向きになる訴え方
第10章 トップへは的確な報告をしよう
第11章 悪い知らせはこうして伝える
第12章 会議をうまく運営するには何が必要か
第13章 上司に異議を唱えるとき注意すること
第14章 スピーチを通じて相手を説得するには
第15章 イベントの司会を成功させよう
第16章 人々を奮い立たせるスピーチ
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『UFJ三菱東京統合』

2004年11月13日 | Weblog
http://tinyurl.com/59e3r

ほのぼのとした? プライベートの話題とは裏腹に、本日の一冊は、メガバンク誕生の舞台裏を描いた、衝撃のドキュメントです。

UFJ信託の住友信託への売却から一転、白紙撤回。M&Aの是非が裁判沙汰になるという異例の事態におちいった今回の合併劇ですが、その経緯や当事者の思惑が、綿密な取材をもとに詳細に描かれています。

今回の事件を整理する意味でも、またM&Aにともなう実務上の問題点を学ぶ上でも、ぜひ読んでおきたい一冊です。

さっそく赤ペンチェック、行ってみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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わずか三項目の覚書で、統合に向けて急発進した三菱東京とUFJ――その再編劇の裏には、UFJの危機という切迫した事情があった

UFJが虎の子の信託銀行を手放す捨て身の戦略に打って出たのは、多額の赤字決算に対応して、傘下信託の売却という自己資本の回復の手段を示すことで、市場や取引先に信用不安が広がるのを回避するのがねらいだった。だが、三木氏はむしろ「信託統合をきっかけにUFJ銀行が同じ住友系の三井住友銀行と合併に動く可能性があるのではないか」と懸念した

「統合交渉の席で、三菱東京の幹部の口から『時価総額を高めなければ、シティに買収される』という言葉を何度も聞かされた」と、後にUFJ幹部は語っている

「りそなグループと統合する案も検討に値するのではないか」――。
六月に入ると、竹中平蔵経済財政・金融担当相にも近いとされるある有力経営コンサルタントがUFJ幹部に非公式に接触し、こんな提案を持ちかけたとされる

UFJは〇三年秋にも新生銀行との統合を秘密裏に模索したことがある

他の金融グループに事実上吸収されるまでに追い込まれてしまったのは、積極的に改革案を実行に移さず不作為の罪を犯した前経営陣らによる人災だ(UFJ銀行の中堅幹部)

UFJが行った再生のシミュレーション
1.資金調達によって自己資本比率を国際業務を担うのに必要な八%以上確保し、自力経営を続ける
2.大幅赤字も辞さずに不良債権の抜本処理などを進めた上で、政府に公的資金の再注入を申請して八%以上を維持する
3.八%以上の国際業務行をあきらめ、四%以上あればよい国内業務特化銀行に転換する
4.他のメガバンクなどとの再々編で新たな総合金融グループを創設

住友信託が強硬な構えをとった背景にはもっと根の深い事情もあったようだ。それはUFJに統合を白紙に戻されるのが二度目だったことに対する、感情の上での根深い反発だ

(訴訟に関して)UFJは地裁での仮処分決定を受けて、大物判事OBを新たに弁護団に迎え入れるなど訴訟戦略のテコ入れを図っていた。逆転決定にはこうした効果が出たとの見方もある

西川社長の真の狙い
・UFJとの密約説→首脳交代で誤算
・三菱東京・UFJの統合効果を弱める狙い

UFJがこだわっていたのは、UFJ株主に配慮し、一株あたりの株式価値を希薄化させずに資本増強を図ること

三菱東京がUFJと経営統合することで狙う三つの相乗効果
・地域の補完性
・業務の補完性
・資本面での補完性

今の収益力の低さを考えると、統合コストの上昇はかなり痛いと言える。それを取り戻すには、抜本的な収益改善策が欠かせない。(中略)膨れ上がった統合のコスト回収にかかる時間も考え合わせると、三菱UFJが和製スーパー・メガバンクとして国際市場で実力を発揮するのはかなり先になりそうだ
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主要な骨子だけを抜き出しましたが、当事者たちの思惑や利害関係、巧妙な策略などは、思わずめまいがしそうなほどです。これまでの日本ではあまり見られなかった超巨大企業のM&Aだけに、良いケーススタディと言えるのではないでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『UFJ三菱東京統合』
http://tinyurl.com/59e3r

です。今回の事件の真相をすっきり整理するうえでも、読んでおきたい一冊です。

目次
第1章 ドキュメント三菱UFJ――実現へ揺れた舞台裏
第2章 UFJはなぜ追い込まれたか
第3章 三菱UFJの実力
第4章 どうなる新金融秩序
三メガ時代、識者に聞く
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『大きなケーキは人にゆずろう』

2004年11月12日 | Weblog
http://tinyurl.com/5hzuk

本日の一冊は、ニューヨークNo.1の不動産仲介会社、コーコラングループの創設者、バーバラ・コーコランさんによる教訓の書です。

正確には、人の才能を見出し、育てることに長けていた彼女のお母さんの教えを、いかにしてビジネスに応用し、成功したかを説いた本で、そこらの下手なノウハウ書よりも、よっぽど役に立ちます。

出版社がビジネス書をめったに出さないところであること、そしてかわいらしい表紙とタイトル。当然ながら話題にならなかったわけですが、じつはこの本、かなりおもしろいです。

土井は最近思うのですが、本当に実践に応用できる本というのは、引用がバシッと決まらないものです。なぜなら、そういう本は、具体的なケースや、著者の経験などを書いているため、一般化されておらず、ゆえに実践的と言えるからです。

ということで、引用は非常に難しいのですが、何とかポイントを抜き出してみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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母はそれぞれの子どもに才能を見つけ、それをうまく利用しながら家事をこなしていった。そしてわたしたち子どもはみな、それが自分だけの特別な才能なのだと信じていた。じっさいはともかく、そう信じ込んでいたのだ

大きな胸がないのなら、おさげ髪にリボンを飾る―自分が持っている魅力に気づいて、それを生かそう

ビジネスの世界では、人は見かけで判断される。母が石を白く塗った庭は、誰の目にもすてきな庭に映ったはず。だからわたしはこの原則を何度もビジネスに応用してきた(中略)ビジネスの世界では、成功をイメージさせるものには気前よくお金を使うべきだ

普通、最悪の状況にはまった人間は、いまはタイミングが悪いと考え、用心深く身を潜めていようとするものだ。だがチャンスを手にできるかどうかは、そこにチャンスがあると信じられるかどうかにかかっている

きちんとしたビジネス・プランなどは一度も立てたことのないわたしがここまでに至ったのは、この豊かな想像力を駆使して自分の目標をはっきりと見据えることができたからだ

人に大きなケーキをゆずれば、けっきょくはいつも自分の望むものを得られるだけでなく、おいしい思いができる

いいシステムを採用すれば、ものごとが円滑に進む

情報の力を使ってビジネスを成功させる三つの方法
・早めの情報は、新たに台頭しつつある市場の予測に役立つ
・情報を持っていれば、信憑性の高い事実と数値の情報源になることができる
・客の出所を知れば、広告費を賢く使い分けられる

優秀なリーダーを雇うための十二のヒント ※一部のみ抜粋
1.あなたの仕事の八十パーセントをこなしてくれれば充分
2.チームのスピードはボスのスピード
4.経験より態度で選ぶこと
7.仕事を人に合わせるのであって、人を仕事に無理やり合わせてはいけない
11.雇った人間の前にしゃしゃり出ない

人をやる気にさせる六つの方法
1.押すべきボタンを心得る。彼らをやる気にさせる、もっとも重要なボタンはなにか
4.ちょっとした気配りが、確実な忠誠心をもたらす
5.最初から最後まで夢を分かち合う

いつだってもうひとつくらいは入るもの―拡大するのをためらわない
1.優秀な人材はまず雇っておき、どこに入れるかはあとで考える
7.大きな魚をつり上げるには大きなつり針を使う

仕事中に誰かがやけにもの静かにしていたら、考えられる理由は三つ。なにかをくすねているか、トラブルを起こしかけているか、荷物をまとめているか

自信に満ちた話しぶりをするための近道などない。いいパフォーマンスは、充分に準備を整えた結果だ

人目を引きたいのなら、壁に名前を書く―メディアの注目を浴びる効果的な方法
1.風の噂に乗ってニュースをつくる
2.ライバル社の販売実績を利用してニュースをつくる
3.古きよきスタンドプレー
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かわいらしいタッチの表紙とは裏腹に、実践で使えるノウハウが、実際に使ったエピソードも交えながら、詳しく述べられています。

これ一冊で、マネジメントからマーケティング、セールス、PR、交渉術まで学べてしまう、優れものです。

というわけで、本日の一冊は、

『大きなケーキは人にゆずろう』
http://tinyurl.com/5hzuk

です。久しぶりにおもしろい経営書に出合いました。

目次
子ども十人にお風呂ひとつの生活
大きな胸がないのなら、おさげ髪にリボンを飾る
石を白く塗るだけで、庭全体がすてきに見えてくる
破けたソファは、笑いでつくろう
想像力で穴を埋める
大きなケーキを人にゆずれば、自分のケーキがもっとおいしくなる
靴下は靴下用の引き出しに
お風呂に入れる子どもが何人もいるのなら、手順を決める
同時にふたつの場所にいたいのなら、テープレコーダーを借りてくる
自分のゲームなら、自分でルールを決める
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『日本人が知らないアメリカひとり勝ち戦略』

2004年11月11日 | Weblog
http://tinyurl.com/598dn

本日の一冊は、ブッシュ大統領再選を見事予言した、当代きってのアメリカ通、日高義樹さんによる、アメリカの政策解説書です。

なぜブッシュ大統領再選なのか、そして今後のアメリカの世界戦略はどのように展開していくのか、アメリカの政財界に人脈を持つ著者ならではのリアリティあふれる主張が述べられています。

「ビジネス・ブック・マラソン」は基本的にはビジネス書を取り上げるメルマガであり、土井も政治ネタはあまり好きではありませんが、今後の世界経済を読み解く上でも重要な話なので、ご紹介することにします。

それでは、さっそくポイントを見て行きましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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再選されたジョージ・ブッシュ大統領は、第一政権のときに打ち出した国際戦略、すなわち「アメリカへの脅威に対する先制攻撃」、「核を持つ相手に対する核攻撃」、そして「同盟国や国際機関を相手にしないアメリカ一国主義」を、一段と明確にしてくる

国防政策指針はさらに、アメリカが軍事力で押さえつけなければならないのは中国やロシアだけではなく、友好国である経済大国日本とドイツであると指摘している

これまでの延長線上ですべてをアメリカに頼り、アメリカに任すという政策とやり方を続ければ、日本は経済大国という名のもとに許されてきた建前上の独立国という立場すら失ってしまう

ブッシュ大統領の行動は、第二次世界大戦以来のアメリカの基本的な考え方であるリベラリズムとインターナショナリズムに対抗するものである

ブッシュ大統領の父親、第四十一代ブッシュ大統領は、「世界の新しい秩序」といったが、言葉だけに終わった。行動派の息子、第四十三代ブッシュ大統領は、冷戦体制を片づけ、二十一世紀の新しい国際体制をつくろうとしている

ブッシュ大統領はあくまでも戦いを続けるという基本姿勢を変えていない。このブッシュ大統領の姿勢は、歴史的にも正しい。アメリカ国民は戦う指導者と戦わない指導者のどちらかを選ばなければならない場合には、常に戦うほうを選んできた

ブッシュ政権の首脳たちは、基本的に地下資源、石油、土地、金を資産だと考えている。ウォール街の経済活動には関心を払わない

ブッシュ大統領が再選されれば、彼はデトロイトとウォール街に対して勝利を収めることになる。その勝利をバネにブッシュ大統領はこれからアメリカの経済体制を、これまでのデトロイトとウォール街を基盤にするものから、テキサスを背景にしたものにつくり替えていくはずである

ブッシュ政権の北朝鮮に対する姿勢は少しも変わっていない。選挙が終わり次第、金正日に対して、何らかの攻撃を加えることになる
(ジェームス・シュレジンジャー元国防長官)

金正日がアメリカの軍事力で追われ、朝鮮半島の情勢が大きく変わる。しかしそのあと朝鮮半島をどうするのか、どのような国をつくるのか、アメリカはまったく考えていない

二〇〇五年以降、アメリカの世界戦略をすべて変え、イラクを中心とした中東の戦争に備えるというのが新しいブッシュ政権の考え方

ブッシュ政権は中国をアメリカが決めた国際ルールに従わせようと考えているが、再選後の二〇〇五年以降は、さらにその考え方をはっきりさせてくるものと思われる

中国とアメリカの経済的な利害の対立は、完全に双方の話し合いと利害の調整によって解決が図られようとしている

劇的な変化のなかで最も注目すべきは、冷戦時代の同盟国だった日本に対してアメリカ側が、何の相談も話し合いもしようとしていないことである
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これまでのジャーナリズムの論調と比べるとずいぶん偏っているようにも思われますが、内部事情を知り尽くしている著者だけに、説得力があります。

というわけで、本日の一冊は、

『日本人が知らないアメリカひとり勝ち戦略』
http://tinyurl.com/598dn

です。今後の世界経済を読み解く上で、重要なトピックが、シンプルにまとめられています。

目次
第1章 なぜ再びブッシュ大統領か
第2章 世界経済もアメリカが支配する
第3章 金正日政権は消滅する
第4章 中東は第二のベトナムにはならない
第5章 中国をアメリカのルールに従わせる
第6章 アジア極東戦略をアメリカがつくる
第7章 国連はイラクの賄賂で崩壊した
第8章 日米安保は終焉する
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『ケンカ哲学』

2004年11月10日 | Weblog
http://tinyurl.com/3w44f

本日の一冊は、ベストセラー『金儲け哲学』に続く、糸山英太郎さんの新刊です。

参考:『金儲け哲学』
http://tinyurl.com/3hswa

じつはこれも発刊前にゲラを読ませていただいており、その際には「前回(『金儲け哲学』)ほどは売れないと思います」と申し上げたのですが、当然大御所の本ですので、変更はなかったようです。

とはいえ、さすがにエピソードは、相変わらず実名出しまくりの、読み応えのあるものばかりです。前作と内容が重複している部分もかなりありますが、それでも思わず引き込まれてしまうのはさすがです。

本来はエピソードに価値がある本だと思うのですが、一応、今回のテーマは「ケンカ哲学」ですので、該当する部分からポイントを抜き出してみました。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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本当に自分がやりたいことをやろうとする、したいことをしようとすれば、自分以外の人間や組織、社会と衝突することは避けられないのがこの世の常だ

どれだけ大きな夢やロマンを持てるか、その夢のロマンの実現のためにどれだけ一生懸命戦えるか――それが充実した人生、豊かなケンカライフを送れるかどうかのカギである

情報を握ったものこそが勝者になれる。まさに<彼を知り己を知れば百戦殆からず>というわけだ

ケンカの基本。最初の一撃でどれだけ強いダメージを与えるか

ケンカの際には敵の敵は味方として手を組んだほうが得

百戦して百勝してもそれは最善の策とはいえず、戦わずして敵を屈服させることこそが最善の策

出口を知り、お互いの顔が立つようにすれば、無駄なケガ人を出さないで済む。これこそ、大人のケンカの極意である

商売上の具体的な利害ができると、かならずそこにスキが生じる

自分の土俵でケンカして、相手には逃げ道を用意しろ

大人のケンカの基本は心理戦だ。結局、サラリーマンであれ、会社の経営者であれ、ビジネスする相手は人間なのだ。だから、できるビジネスマン――サラリーマンであれ経営者であれ――は良き心理学者、人間通でなくてはならない

大衆の利益のためのケンカや大衆に支持されたケンカは絶対に負けない(中略)大儀がこちらにある以上、相手がどんなに偉くても恐れることはない

先ずその愛するものを奪え

どんなに凄惨なケンカであれ、ケンカはすべからく、「相手とわかりあいたい」「結びつきあいたい」がためにケンカしているとも言える

誰とケンカするかにこだわれ!(中略)自分より強いもの、自分より大きいものと対峙すれば緊張はするし恐怖感を覚えることもあったが、そんな自分を自分でぶっ飛ばしながら前に進んできたところに、成長があった

1.負けると思ったケンカは絶対にしないこと
2.ケンカを始めた以上、勝つまでやめなければいい(中略)ケンカにおいて執念に勝るものはない
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テーマが「ケンカ」ということでマスコミの露出も難しいでしょうし、「お金持ちに聞きたいこと」としてはちょっと弱い気もしますが、内容は個人的に楽しめました。


というわけで、本日の一冊は、

『ケンカ哲学』
http://tinyurl.com/3w44f

です。ビジネス・プライベート問わず、大人のケンカの作法を学ぶ
には、おもしろい一冊ですね。

目次
はじめに
第1章 あの旗を倒せ!――ナショナルフラッグキャリア・JALとの戦い――
第2章 「ケンカ太郎」と呼ばれた頃――悲しみが私を強くした――
第3章 私のケンカ人生五番勝負
    中山製鋼所仕手戦/乾汽船買占め/日本ゴルフ協会との10円戦争/よみうり
    ランド買占め/新日本観光の合法“乗っ取り”
第4章 永田町での特殊なケンカ――相手に事欠かないが、なぜか空しい――
第5章 糸山流ケンカ哲学十訓
    ・ケンカは最大のコミュニケーションだ
    ・誰とケンカするかにこだわれ
    ・負け犬になるな。若い頃の売られたケンカは全部買え
    ・大義名分の立たないケンカはクズだ
    ・情報こそは最大の武器。敵を調べろ
    ・ふっかけろ!ムチャを言え!
    ・お返しと仕返しはお早めに!
    ・最後は「寸止め」。相手を生かしてやれ!
    ・執念は最後まで失うな
    ・相手にケンカをさせないのも、ケンカの技術
第6章 人という名のロマン――糸山流・男と女の力学
あとがきに代えて――我が息子・太一朗へ――
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『エモーショナル・デザイン』

2004年11月09日 | Weblog
http://tinyurl.com/6vnp5

本日の一冊は、名著『誰のためのデザイン?』で一世を風靡した、認知学者、ドナルド・A・ノーマン氏による、久々の新刊です。

参考:『誰のためのデザイン?』
http://tinyurl.com/3sjmz

厳密にはビジネス書ではありませんが、モノ作りに携わる方、広告、ウェブサイト作りに携わる方など、デザインと人間心理の関係性を知る必要のある方なら、読まない手はありません。

私たちはよく、日常生活で「押さずに、引いてください」「回さず、押してください」といった表示を目にしますが、これはこれ、指示通り行わないユーザーが悪いのではなく、デザインが悪いのです。

『誰のためのデザイン?』はこの人間の認知とデザインの関係に注目した、ヒューマンインタフェースの古典であり、今回の新刊は、それに引き続き、「デザイン」と「情動」の関係に着目した注目の論考です。

久々の大型新刊、心して赤ペンチェックさせていただきます。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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製品が成功するためには、実用面よりも情動面のデザインの方が重要なのではないか

デザイン上の3つの側面
・本能レベル
・行動レベル
・内省レベル
※重要なのは、これら三つの要素が情動と認知の両方といかに織り合わされているかに注目すること

人間の行動の多くは潜在意識からくるもので、意識的な気づきに上らない(中略)進化においても、脳が情報を処理する方法においても、意識は後からやってくる。多くの判断は、意識に上る前になされているのだ

認知と感情は互いに影響しあうことに注意してほしい。ある種の情動や感情の状態は認知によって引き起こされる

人は不安なとき、問題に直接関わる側面にだけ集中するため、思考プロセスが狭まりがち(中略)どうしてデザインが魅力的だと使いやすくなるのだろうか。簡単。直面する問題の解決策が見つけやすくなるからだ

行動レベルと内省レベルは、経験、訓練、教育に強く左右される。ここでは文化的な視点が大きな影響を与える。ある文化でアピールするものでも、別の文化ではそうではないことがある

情動の支配力は時間とともに消えていくので、記憶により生み出されたネガティブな感情は、道具自身を見るときのポジティブな感情に打ち克つことがない

内省的デザインは、長期にわたる関係や、製品を所有する、飾る、使うなどから得られる満足感に関わっている。自己のアイデンティティは内省レベルに存在する

ニーズはタスクによって決まる。水を運ぶにはバケツがいる。書類を運ぶにはキャリーケースがいる。ウォンツは文化、宣伝、自分自身の見方、自己イメージによって決まる

大切なのはインタラクションの歴史、そのモノにまつわる想い出、それが呼び起こす記憶なのである

もしその製品が人生やより良い生活にとって何かしら基本的なものだったら、うつろいやすい大衆の感覚など無視して、永続的な価値を狙うのが正しい対応である

本能的デザインでは、即時的な情動的インパクトがすべて

より良い行動的デザインにおける四要素
1.機能
2.分かりやすさ
3.使いやすさ
4.物理的な感触

良い行動的デザインをするための最初のステップは、人がどのように製品を使うかを理解することに尽きる

ある種の素材や仮想的オブジェクトのデザインの魅惑する力は、バイヤーにとってもユーザーにとっても、価格や性能を凌ぐ問題(ハスラフスキーとシェドロフ)

人が擬人化し、情動や信念を何にでも投影しがちであることをデザイナーは知っている。一方では、擬人的な反応は製品を使うユーザーに大きな喜びと愉しみを与える

情動的価値、これこそデザインの価値あるゴールである

誰にでも当てはまる黄金律を一つ言うなら、それは、家の中に、役に立つとは思えないもの、あるいは美しいと感じないものは置かないということだ
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読み終えた感想は、正直、「読まなきゃ損」です。この本は、おそらく本当に頭のいい人しか読みませんから、知識の「貧富の差」がますます広がってしまうのではないでしょうか。

せめてみなさんだけは、読んでください。

というわけで、本日の一冊は、

『エモーショナル・デザイン』
http://tinyurl.com/6vnp5

です。個人的に、教えずにこっそり読みたい本です。

目次
日本語版への序文
プロローグ 三つの紅茶ポット
第1部 ものの意味
第1章 魅力的なもののほうがうまくゆく処理の三レベル 本能レベル、行動レベル、内省レベル/集中と創造性/備えのある脳
第2章 情動とデザインの多面性三つのレベルでデザインする/想い出を呼び覚ますもの/自己感覚/製品の性格
第2部 デザインの実践
第3章 デザインの三レベル 本能、行動、内省 本能的デザイン/行動的デザイン//内省的デザイン/事例研究/デザインは曲者だ/グループによるデザインか/個人によるデザインか
第4章 娯楽とゲームおもしろさと喜びのためにデザインする/音楽、その他の音/映画の魅惑/ビデオゲーム
第5章 人、場所、もの無生物を非難する/信用とデザイン/信用できない世界で生きる/情動を支えるコミュニケーション/常時接続、常時散漫/デザインの役割
第6章 情動をもつ機械情動的なもの/情動をもつロボット/ロボットの感情と情動/情動を感じる機械/情動を呼び起こす機械
第7章 ロボットの未来
情動をもつロボットとロボットの未来
エピローグ 誰もが皆デザイナー
パーソナル化/カスタム化/我々は皆デザイナー
個人的回想と謝辞
訳者あとがき
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『一攫千金』

2004年11月08日 | Weblog
http://tinyurl.com/6j7ag

本日の一冊は、飲食業界の異端児、現在年商10億円の「マネーの虎」安田久さんの自伝です。

何をやっても中途半端だった田舎での青春時代、大学受験に失敗したのがきっかけで飛び込んだ飲食業界でのエピソード、そして500万円の借金、妻との離婚…。

激動の半生と、そこから這い上がり、大成功を収めるまでの奇跡が、興味深く描かれています。

実務的にも、他者のビジネスモデルを参考にする姿勢、市場調査の視点、そして資金調達のポイントなど、参考になる部分は多いと思います。

読者が起業家であれば、著者が資金調達に奔走し、最終的にヤミ金融にまで手を出した、というくだりは特に読み応えがあるでしょう。

エピソード中心の本で、引用が難しいのですが、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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閃きはいきなりおとずれたのではなかった。こうすればかならず当たるというシステムというかデータはあった。カンではない確証があった。まだそのころ勤めていた会社の店「ガネーシャ」が当たりに当たっていて、そのシステムをそっくり頂戴すれば、間違いなくヒットする

(投資家に言われた言葉)
こんなことも処理できないやつに社長は無理だ。大成しないよ。闇金融だろうがなんだろうが、リスクを背負わないやつは嫌いなんだ。人の金を当てにするやつは、何かあったら逃げる。かならずな。デカイことをやるんだったら、それなりの根性を据えてかかれ

(お笑いネタ)
俺に帰るところはないのだ。帰るとなったら、秋田の男鹿半島の、安全寺という暗い淋しい山の中の村しかない。あの蛇とタヌキの出る暗い道だけはいやだ。あの暗い道に帰るくらいなら、死んだほうがましだ。死ぬくらいなら、闇金融だろうがなんだろうが、かまうことはないじゃないか

これまで人にほめられたことなどほとんどなかった。勉強は難しくて頭に入らない。スポーツはなにやってもダメ。ほんとうにほめられたことなどないのだった。勉強は難しいが、人にサービスすることは簡単だ。こんな楽しいことはない、と思った。そのとき、俺の天職はこれだ、と悟った

できれば失敗などしないほうがよい。失敗には原因がある。あとから考えれば、馬鹿馬鹿しいような原因で、冷静に判断すれば失敗をしなくてすんだものばかりだ(中略)過信も失敗の原因となる。それでRoll's sweetsが失敗。こんどの失敗の原因は、あせりだった

投資するかどうか、決め手のひとつは人間性だ。どんな人間がよいのかというと、素直であること。虎は、何百万と金を出すのだから、鋭い質問を飛ばすのは当たり前だ。(中略)状況を客観的に把握して、どれだけ平常心でいられるか。叩かれても、冷静に判断できるやつなのか。虎たちはそこを見ていた

■金を出す三つの要素
・アイディアがいいか
・数字のマジック
・人間性

■儲かるための12条

3.マイナスはプラスだ
どんな環境だって、利用できるものはぜんぶ利用しろ。マイナスはプラスだ。マイナスはハングリー精神としてプラスに利用できる。プラスはプラスだ。自分の目的のために、親だってなんだって、利用しろ

5.即決で、もっと儲かるプランをやる
しがみつくよりは、もっと儲かるプランを考える。早く考えて、早く実行する

9.絶対儲かる数値 長年の経験から得た、ケチる限界
人件費20パーセント+原材料費20パーセント=40パーセント

■さらに儲かり続けるための18条

2.目標は数字で設定する
数字を掲げておくことが、いちばん適切な任せ方であり、励ましとなる

4.人件費と原材料費の下げ方
メニューを減らすことで、料理のクオリティを下げず、原材料費を下げることができる

5.マル秘の儲かる計数管理
人件費、原材料費、その合計が売り上げに対して55パーセント以内

15.自分が成長することが社員教育になる
自分より能力がないと思ったら人はついてこない(中略)人を指導しようと思う前に、自分を指導すればいい

18.自分をサボらせてはいけない
重要なことは、考え続けることだ。サボってはいけない。俺はもう二度と昔の生活に戻りたくない
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今回は事情が事情なため、この本をもっとも楽しめるのは土井です。よって、この本がいちおし、と言えるかというと難しいところがあります。皆さんで判断してください。

あえてコメントすると、エピソードが豊富なため、起業を志す方にとっては、参考になるということ。それから、やや突っ込みは浅いとはいえ、安田さんの商売の秘訣や考え方が盛り込まれており、読み方次第では良質なビジネス自己啓発書となる、ということでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『一攫千金』
http://tinyurl.com/6j7ag

です。薄い本であり、エピソード中心のため、さらりと読めると思います。ぜひ読んでみてください。

目次
プロローグ
アルカトラズへの脱出
生まれ故郷が憎い
儲けるからくりを見た
疾風怒濤の出店
ご存じ「マネーの虎」となる
儲かるための12条
さらに儲かり続けるための18条
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『人の値段 考え方と計算』

2004年11月07日 | Weblog
http://tinyurl.com/6uoxu

本日の一冊は、野球選手や指揮者、教授、中村修二、『バカの壁』編集者などの貢献度と値段を、社会物理的研究の手法で割り出した、ユニークな一冊です。

複雑な要素が絡み合う事象を数値で割り出そうというのですから、もちろん計算は細かくなるのですが、考え方の部分だけを読んでも十分楽しめます。

では、具体的にどのような事例が取り上げられているのか、さっそくポイントを見ていきましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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●野球選手の優勝への貢献度の評価

18のゲーム差に相当する得点差が40点
・打率3割2分・ホームラン30本の3番打者と4番打者は8.75点
・1番打者と2番打者は3.75点
・先発投手陣は4.6点
社会物理的研究の結果わかったことは、野球は一般に思われている以上に投手で決まるゲーム
→にもかかわらず、投手への評価・報酬が不当に低い

●小澤征爾のギャラ、一公演400~700万円は妥当か

たとえば、小澤征爾と親日フィルが組んだコンサートで、2000人の聴衆がホールを埋めた時、「何を求めてコンサートに来たか」を聴衆に聞けば、七~八割が小澤征爾、残りが曲目と答えるでしょう。
つまり小澤と親日フィルの二者の共同といっても、主役は圧倒的に小澤なのです。それなら金銭的評価としては、六対四あるいは七対三で小澤が過半をとるのが当然と思われます。オーケストラが400万円なら小澤への報酬は600万円あるいは700万円あって当然
一方ビジネスの立場から見ても、小澤なら平均8000円の券で2000人のホールを埋め、1600万円の収入をあげることが可能です。小澤に700万円払い、ホールに100万年払っても企画は成立するのです

●主観的な判断を定量的評価として表現する「8-4-2方式」

多数の品物がある時、その全体の重さを8と仮定し、天秤を使って重さの等しい二つのグループに分けます。するとその重さは4ということになります。つぎにまた天秤を使って重さ4のグループを重さ2のグループに分けます。さらに重さ2のグループは重さ1のグループに分けるのです。品物がかなりの数に分割できる場合は、このようにすれば天秤だけを使ってそれぞれの品物の相対的な重さを正確に決定できます。これを仕事の重みづけに使おうというのが提案です

●中村修二の報酬の評価

中村修二の青色発光ダイオード事業における貢献度は、約40%
貢献度は結局のところ、発明者50%、事業化リーダー25%、オーナー経営者25%です。発明者全体の中での中村修二の寄与は(中略)結論だけいうと75~80%。
中村修二の(全体への)貢献度は約40%、著者が算定した分配対象利益に40%をかけ、算定金額は約70億円

●『バカの壁』編集者が受け取るべき対価(著者予測値に基づく)

売上(680円×0.7)×(370万×0.95)=約17億円
総費用 680円×0.7×14,000=660万円
※損益分岐冊数を14000冊と見ている
増刷分について一冊あたりの原価はもろもろ含めて50%
営業利益8億円の税引後利益が約5億円
オーナー経営者の危険負担コストを引いて、分配すべき利益は4億円この4億円をオーナー経営者、事業化リーダー、企画編集者の三者で
貢献に応じて分配→著者の見解は三者等しく1/3ずつつまり編集者が受け取るべき額は1億3000万円
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一冊通して読んだ感想は、結局、測ることは難しい、ということでした(笑)。

著者は研究者ながら経営的な視点もきちんと盛り込んでいらっしゃるのですが、やはり見方や考え方の点で、完全に客観的にはなれないようです。また、単純に計算だけでは割り切れない、法律解釈や考え方、未来予測などの部分が、どうしても入り込んできます。

それよりも気になったのは、中村修二さんの事件の話がボリュームとしてあまりに多く、ほかの部分が付け合せのような印象を受けた点です。ひょっとしたら、タイトルは『人の値段』となっていますが、もともと中村修二事件の原稿だったのかもしれません。それぐらい、内容は偏っています。基本的に読み応えのある本ですが、その点だけは注意してください。

というわけで、本日の一冊は、

『人の値段 考え方と計算』
http://tinyurl.com/6uoxu

です。まさに、考え方と計算方法を学ぶ、という意味では、参考になる一冊だと思います。次回は、もっとたくさんの事例を、偏りなく、ほどほどのボリュームで出していただけたら、と思います。

目次
第1章 野球選手の個人貢献度の算定
第2章 監督の役割と貢献度の評価
第3章 指揮者への報酬はどうして決まるか
第4章 教授の業績評価
第5章 論文共著者の役割と貢献度
第6章 貢献度評価の原理と実際問題
第7章 中村裁判二〇〇億円の衝撃
第8章 裁判批判への正面切っての反論
第9章 枠組みか中身か
第10章 枠組みとしての特許法三五条
第11章 中身としての発光ダイオードとその事業化
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『県民性で謎を解く 儲けの法則』

2004年11月06日 | Weblog
http://tinyurl.com/5hxs8

本日の一冊は、各都道府県の県民性を、データから読み解いた、注目のデータブックです。

単純に県民性を紹介して終わり、というのではなく、たとえば「北海道では一袋当たりの内容量の多い『大袋商品』がよく売れる」というように、実際のビジネスに役立つ切り口から分析している点が興味深いと思います。

読み始めるとすぐに「ハマッて」しまう内容ですが、ここでは、そのうちのいくつかをピックアップしてみます。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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青森
テレビを見る時間が全国一、即席めんの一世帯あたり購入金額全国一

岩手
書籍の購入額4位、ゴルフ用品の一世帯あたり購入額が東京の5倍

宮城
ピアノ購入台数、購入金額ともに全国一

茨城
健康食品は全国一買わないけれど逆に健康用具は全国一買う

栃木
せんべい全国一、プリン全国一、ゼリー全国2位…お菓子が好き?

群馬
栄養ドリンクの消費金額全国一

埼玉
文房具が全国で一番売れる。月謝の平均が東京より多く、教育熱心

千葉
レタスの購入金額全国一、トマト全国も2位のサラダ好き?

神奈川
タマネギの消費金額は全国一。洋風傾向強し

富山
就業率と共働きの多さで実収入6年連続全国一

石川
口紅の売れ行き全国一。ポリ袋が全国一売れないゴミを出さない県民

山梨
寿司、アサリの一世帯あたり消費金額が全国一

長野
食用油、味噌、砂糖の年間消費量全国一、生地の売れ行きも全国一

岐阜
車で喫茶店に外食が定番!? 喫茶代が全国平均の3倍

名古屋
ブラジャー・ガードルの年間購入金額全国一

滋賀
パンの年間消費量全国一、子どもの学習用消耗品全国2位

奈良
毎年猛暑でエアコン、日傘が売れる。傘の購入金額・数量とも全国一

島根
歯ブラシの売上全国一、ビスケット、ココアが全国一

山口
山口市は、書籍の1世帯あたり購入金額全国3位、雑誌・週刊誌1位

福岡
照明器具の消費額全国一。食器も食材もインテリアにもこだわる
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あまりに広く知られているネタは外しましたが、それでも紹介しきれないほど、おもしろいネタが詰まっています。

というわけで、本日の一冊は、

『県民性で謎を解く 儲けの法則』
http://tinyurl.com/5hxs8

です。飲食や日用品などのビジネスを営んでいる方には必読。薄くてお手軽ですが、ビジネスのヒントが満載の一冊です。

目次
はじめに
北海道・東北
関東
北陸・中部
近畿
中国・四国
九州・沖縄
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『会社が放り出したい人・1億積んでもほしい人』

2004年11月05日 | Weblog
http://tinyurl.com/675og

本日の一冊は、そんな堀さんが書いた、本格キャリア論です。堀さんのお知り合いや仕事で出会った方々のエピソードをたっぷり盛り込んで、一億円人材になるための心構えとノウハウを説いています。

今後20年、30年の経済動向を見据えて、ビジネスパーソンとしてあるべき姿を説いた点はさすがで、独立するにしろしないにしろ、参考になる考え方が示されています。

どんな教訓がおさめられているのか、さっそく見ていきましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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これからは、仕事さえできれば役員にも社長にもなれるし、起業して自分の会社を持つこともできる。古い慣習に手足を縛られた、くだらない会社だと思ったら、転職して新天地を求めてもいい。逆に、これまで手本にしてきた先輩上司のようなサラリーマン的生き方を真似ようと思ったら、あなたには間違いなく悲惨な人生が待っている

IBMの取締役は、たった一人の人間に、自分の生殺与奪権を握られている。ところが中古自動車販売店のオヤジには、絶対に逆らってはならない人間などはいない。どうしてもおもしろくない客だったら、喧嘩してもよいのである

これからは転職や起業を自己実現のカードとして持ちながら、自分の天職や適職を捜し求める時代になる

転職の目的は、あくまで希望の仕事かどうかとワザの磨きがかかるかの二点に絞るべき

補充が利く人間ではなく、いまの日本企業に絶対的に不足している、アントレプルニアルな精神を持った人こそ、会社が求める人材

アントレプルニアルな人材の条件
1.仮説が構築できる人
2.実行力がある人
3.みんなと力を合わせて仕事ができる人

会社に害をなす人間、できれば排除したい人間
1.マイナス思考の人
2.デマを飛ばす人
3.ヤル気のない人

学習する意欲は大切だ。学歴は不要だが、強い学習意欲を持って学びを積み重ねていくことは、これからのビジネスパーソンには絶対必要な条件となる

これからのビジネスパーソンの給料は、その人が会社にいるのと、いなくなるのと、そのトレードオフポイントで決まる

一億円プレーヤーになるための基本条件
<>> 何か一芸に秀でている
<>> 強烈な目的意識を持っている
<>> 常に原因自分論で生きている
<>> 絶対に諦めない
<>> 表現力が身についている
<>> 信用がある
<>> 真の仲間がいる

あなたの会社が持っている子会社、なかでも誰も行きたがらないような赤字の子会社に、なるべく早いうちに志願して行くことである

いつの時代も、最後に勝負を決するのは、企画力・発想力・提案力にほかならない(中略)もっといえば、、企画力・発想力・提案力などすべてを包括するものとして、「表現力」がいちばん大切

これからは、いま以上に「信用」を大事にしないと、何をやってもうまくいかなくなる。信用を得る最大のコツは、約束を守ることである。守るべき契約はいろいろあるが、煎じ詰めれば「時間」と「金」に絞られる

過去にうまくいったことを続けていても、成長し続けることはできない。いつか必ず失敗する。だからリーダーは、いずれ失敗するという前提に立って、次のやり方、新しいビジネスを準備しておく必要がある
----------------------------------------
あまりにチェックポイントが多いため、今日のご紹介は本当にエッセンスだけです。基本的にキャリアについて述べた本ですが、経営者にも役立つ、示唆にとんだ内容です。

というわけで、本日の一冊は、

『会社が放り出したい人・1億積んでもほしい人』
http://tinyurl.com/675og

です。これからの自分のキャリアを真剣に考えたい人には、ぜひお
すすめしたい一冊です。

目次
序章 人生の計算が狂ったエリートたち
第1章 いままで出世した人・しなかった人
第2章 会社がほしい人・いらない人
第3章 これから出世する人・しない人
第4章 一億円プレーヤーになるための訓練
第5章リーダーシップを鍛える方法
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『中国経済大予測』

2004年11月04日 | Weblog
http://tinyurl.com/5gk9o

本日の一冊は、地下経済分析の第一人者、門倉貴史さんによる、注目の中国経済分析です。

表向きの情報だけでは判断しかねる状況だけに、著者による中国経済分析には期待が持てます。

「オール図説スタイル」ということで、大変見やすくまとめられているのですが、中身の充実度はどうでしょうか。

さっそく、ポイントを見てみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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中国経済が抱える問題点
1.金融機関の不良債権問題
2.固有企業改革の遅れ
3.都市部と農村部、東部と西部の所得格差の拡大
4.対米ドルで割安に据え置かれている通貨・人民元
5.インフレや都市部における不動産価格の高騰

2004年の予測成長率:8.8%、2005年の予測成長率:8.1%

北京オリンピックの経済効果
投資と消費・観光収入を合わせた国内生産増加額は、1兆8937億元

米欧日と中国の生産について統計的な因果関係を調べると、米欧日の生産が相互に影響を及ぼし合っているのに対し、中国の生産についてはいずれの国・地域とも相互連関性が確認されなかった

中国政府・中央銀行は過熱気味の投資抑制を目的として、04年3月以降、特定の業種に的を絞って金融機関からの新規融資を抑制するなど量的引き締め政策を強化している。このため、融資抑制の対象となっている業種を中心に先行き業績が悪化するとの懸念から、株式が売られていると考えられる

中国の不動産価格の伸びは過去と比べれば確かに加速しているが、日本のバブル最盛期ほどではなく、都市部を中心にバブルの兆しが見え始めた段階と見るのが妥当ではないか

不動産開発投資の年平均伸び率は98~2000年(実績)の19.0%増から2000~05年には25.2%増へ、さらに北京オリンピックや上海万博などのイベント効果が現れる05~2010年には32.8%増まで加速するだろう

人民元は経済の実力に比べて17.8%割安

90年代後半以降、共産党幹部の汚職・腐敗がもたらした経済的損失は、年平均9875億元~1兆2570億元に及んでいる。これは中国の名目国内総生産(GDP)の実に13.2~16.8%に当たる。汚職・腐敗がなければ、90年代後半以降も中国の経済成長率は二桁を維持していたことになる計算だ

中国で最大のニセモノ流通センターとなっている浙江省(中略)にはおよそ50万平方メートルの敷地に3万店近くのニセモノ商品だけを取り扱う卸売店舗が所狭しと立ち並んでおり、商品の種類は10万以上、年間販売額はおよそ22億ドルに達するとも言われる

04年以降も現状のスピード(前年比26.7%増)で固定資産投資が拡大を続けていけば、05年あたりから過剰感が強まり始め、07年には設備過剰率が11.6%と、過剰設備が深刻化した94年時点(10.6%)を超えるレベルにまで達する。この時点で、中国経済は深刻な景気後退とデフレに直面することになろう
----------------------------------------
非常によくまとまっており、テーマ的にも興味深いものが多かったのですが、期待していた地下経済の話がほとんどなく、ちょっと残念でした。

というわけで、本日の一冊は、

『中国経済大予測』
http://tinyurl.com/5gk9o

です。キワモノを期待して読むとがっかりしますが、まともな中国モノとして読めば、なかなか興味深い内容です。図説スタイルをとっているので、すぐに要点がわかるのも魅力です。

目次
はじめに
第1章 中国経済の現状と成長力
第2章 株式・不動産バブルは崩壊するか?
第3章 人民元の行方
第4章 中国産業の大転換
第5章 10年後の中国経済
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『利益重視型マーケティングBRM』

2004年11月03日 | Weblog
http://tinyurl.com/3qxfu

本日の一冊は、「絞り込むこと」の重要性をあらためて認識させてくれる、マーケティング本です。

表紙の外国人女性は、まったくもって意味不明ですが(笑)、ひょっとしたら、「金髪趣味はマイナーだけど、高いロイヤリティと付加価値が期待できる」という意味なのかもしれません。

あまりに軽いタッチと薄さのため、最初は手に取るのをためらっていたのですが、なかなかおもしろい視点が示されています。

さっそく、そのポイントをご紹介しましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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身の丈を考えず、目先の売上を拡大しようとするから、利益を失う利益のほとんどは、一部の顧客の強烈な支持で成立する

利益が出ない三つの理由
1.顧客を絞っていない
2.さらに顧客を絞っていない
3.特別な顧客として、おもてなしができていない

自社の強みと相性の良い顧客に絞り、自らが新たな市場の一番手に
なれば良い。そのポジションを維持すれば、安定的で継続的な利益
は約束される

顧客区分をしても利益が上がらない理由は、顧客区分をしているだ
けで終わっているか、区分された顧客に対して適切なサービスが提
供されていないからである

データベースマーケティングは「連続的思考」に終始しやすい。一
般に、データベースマーケティングでは過去から現在までの傾向か
ら未来を推測する手法がとられるからである

BRM(ブランド・リレーションシップ・マネジメント)
=ブランド×CRM

BRMのポイント
1.「ほかでは味わえない気持ちよさ」の提供
2.「下から上へ」ではなく、「上から下へ」

成功しているブランドは、みな「上から下へ」の発想に立っている

ブランドは、外部に言われて創るものではない
経営者や社員のハートが育てるものである

BRMを構築する上で重要なこと
・ブランドビジョン
・ブランド経験
・活動(以下の手順で想定)
1.自社のブランド経験につながりやすい活動項目は何か?
2.その中でも、どの活動項目を優先するか?
3.その活動項目をどうブランドらしく実行して、経営層、従業員  や顧客にブランド経験を提供するか?

さほどコストのかからない活動の積み重ねが、ブランド価値を左右する(中略)商いの原点に立ち返り、目の前で強烈に支持してくださるお客様を大切にすること。そのお客様を想い、日々心を込めて活動すること。活動することでしか、利益の安定した維持、向上はありえない

ブランドビジョンを創るための七つのステップ
1.ビジネスにかける想いの表出
2.現在の顧客階層の把握
3.現在の上位顧客に選ばれる「ほかでもない理由」の抽出
4.将来の上位顧客に選ばれる「ほかでもない理由」の抽出
5.「ほかでもない理由」の検証と本質探求
6.ブランドビジョンとブランドプロミスの構築
7.ターゲットの設定
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出し惜しみをしているのか、BRMというコンセプト以外は、2次情報が多いのですが、人口減少時代のマーケティングへの意識喚起としては意味がある一冊だと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『利益重視型マーケティングBRM』
http://tinyurl.com/3qxfu

です。中小企業の経営者や個人のブランドでビジネスをする方には、良い刺激になるのではないでしょうか。

目次
はじめに 大人のマーケティングの時代
第1章 ブランドがあってもダメな時代に突入した!
第2章 今までのマーケティングでは利益が出ない!
第3章 成功している会社は「上から下へ」
第4章 BRMを実践する二つのステップ
第5章 「上から下へ」のビジネスを展開する方法
第6章 「ほかでもない気持ちよさ」をプロデュースする!
おわりに
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『お笑ひプライベートバンク』

2004年11月02日 | Weblog
http://tinyurl.com/4dtvt

本日の一冊は、かつてOエス出版の辣腕編集長だったTさんが、Kナリア書房に移って出された、渾身の(?)一冊です。

一応フィクションの体裁をとっており、ストーリー的には、「夫の遺産を受け継いだモチダ婆さんの、資産運用をめぐる旅の話」だそうです。

この本のおもしろいところは、モチダ婆さんの話を通して、資産運用のカラクリや落とし穴に気づかせてくれるところです。登場する企業名や雑誌名も、一応伏せてはいるものの、明らかにわかってしまうものばかり、という点が笑わせてくれます。

企業名であれば、「ツティバンク」、媒体名であれば、「マネープラスマイナス」「Sai」「週刊新ん朝」といった感じです。

では、ここまで慎重に名前を伏せて(?)、どんなことを主張しているのか。さっそく内容を見てみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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工業製品は価格が高いほど品質や性能が良くなる
投資セミナーは会費が高くなるほど怪しくなる

(金融本の)センセイたちは発想が柔軟だから、昨日まで「デフレで日本経済が壊滅的な打撃を受ける。だから資産を海外へ移そう」という本を宣伝していたのに、今日になると「ハイパーインフレが来る。だから資産を海外へ移そう」という新刊本を出したりする。アマゾン・ドットコムで検索すると、先生たちの時代感覚の鋭さ、機を見るに敏なことに感心させられるだろう

センセイが同じような本を何冊も出版するのは、印税で儲けようという思惑もあるけれど、それよりもセミナーに参加する人を募る目的がある。読者を散々脅して不安にしておいて、その不安を解消するセミナーがあります、と勧誘するわけだ

(投資信託は)大半が成功報酬ではないから、たとえ元本が半分になっても運用会社は手数料だけは受け取る

FPってやつはMMFが好きなのだ。米ドル定期預金よりもわずかながら利回りが良くて、為替手数料が安いためだろう。外貨投資は為替リスクが伴うのだが、モチダ婆さんは、そのことに気が付いていない

いきなり「カネを運用したい」はまずい。プライベートバンクによれば唐突に電話をかけてきて「いま一〇億円あるんだけど」と金額を強調する相手を警戒する。非合法資金だったり、脱税資金だったりすることが多いからだ

代理店にはいくつかの種類がある
1.最悪なのは代理店と称する詐欺師が、お客から預かったカネを  プライベートバンクに預けずに着服するケース
2.それよりも少しマシなのは、代理店を名乗っているもののプラ  イベートバンクの公認代理店ではないケース
3.プライベートバンクの公認代理店

そんなに不安ならおカネを預けるのをやめておけば良いのに、モチダ婆さんは「日本の銀行は潰れる。日本国は破綻する。預金は国に召し上げられる」と繰り返し聞かされているので、助かるためにはHSBにすがるしかないと信じ切っている
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本書の残念な点は、タイトルがタイトルなだけに、本当に本書を必要としているご老人や投資初心者が読めなくなってしまうこと。結局は、プロのお笑い本として、読まれる本なのかもしれません。

というわけで、本日の一冊は、

『お笑ひプライベートバンク』
http://tinyurl.com/4dtvt

です。投資初心者は真剣に、プロはトレードの合間の息抜きに、ぜひ読んでみてください。

目次

プロローグ 派手な中国人富豪、質素な日本人の資産家
第1章 モチダ婆さん破滅本と出会う
第2章 モチダ婆さんセミナーに出没する
第3章 モチダ婆さん香港へ行く
第4章 モチダ婆さん香港移住を決意する
第5章 スイス料理って旨いか?
エピローグ モチダ婆さんスイスに現る
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『資源ベースの経営戦略論』

2004年11月01日 | Weblog
http://tinyurl.com/4m2ex

本日の一冊は、企業が何をすべきか、そして何をすべきでないのかといった、まさに戦略論の本質的な問題に、「資源」という切り口から解答を与えた、注目の論考です。

著者のデビッド・J・コリスとシンシア・A・モンゴメリーは、ハーバードで教鞭を取っており、本書にはその授業のエッセンスが盛り込まれています。

これまでに論じられてきた戦略論の基礎や変遷もきちんとおさえている、非常に親切な本です。事例も豊富で具体的なため、とても良質な教科書です。

伝統的な戦略論の記述は極力省いた上で、ポイントと思われるところをいくつかピックアップしてみました。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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成功する企業はビジョンを持っており、ビジョンを実現することに長期にわたり集中している(中略)ビジョンは、企業が関わる広義のドメイン(事業範囲)を定める

資源は、企業が「何をしたいか」ではなく、「何ができるか」を決定する点において、戦略の重要な構成要素である。(中略)価値ある資源を認識し(identify)、構築し(build)、配置する(deploy)ことは、企業戦略と事業戦略の両方において重要なのである

アルフレッド・チャンドラーがかつて「組織は戦略に従う」と主張したように、企業の組織は戦略をもとにデザインされるべきであり、また、各企業の資源セットや事業群に適合するようにカスタマイズされるべきである

(有効な企業戦略は)五つの要素(資源、事業、組織構造、システム・プロセス、ビジョン、目的と目標)が調和して組み合わさったときに生まれる

持続可能な競争優位の源泉を検討する際、資源ベース理論は、企業が持つ資源(資産とケイパビリティ)のストックに焦点をあてる。(中略)フローが変動しやすく、その時点で調整可能であるのに対し、ストックの水準は時系列で引き継がれ、時間の経過とともにゆっくりと蓄積される。それゆえに、持続的な優位を説明する際には、ストックが、一時点のフローよりも重要なのである

企業が所有する資源の価値は、顧客デマンド充足性、希少性、および占有可能性という三つの側面を含んだ競争環境と企業のあいだの複雑な相互作用の中に存在し、資源の価値はこれら三つの側面が交わる部分において創造される

競争を制限する模倣困難性の特徴
・資源が物理的にユニーク
・経路依存性
・因果関係の不明瞭性
・経済的抑止力

企業の資源ベースをアップグレードする方法
・既存の資源を強化する
・補完的資源を追加する
・新しい資源を開発する

事業多角化の基礎となる資源の条件
・競争上の優位性を持つ
・その事業における鍵となる成功要因となるもの
・最低限、競争企業と同等の競争力
・新しい事業において実際に複製できる

垂直統合を行うか否かを決定するフロー
・競争優位はあるか?
・市場の失敗はあるか?
・調整を必要とするか?
・インセンティブの問題はあるか?

本社が多角化企業をマネジメントする際の課題
・自律的なユニットへ権限委譲した意思決定に対するコントロール
・分化された事業群の活動に凝集性を持たせること

企業が自社のコントロールシステムと適合しない事業に参入する場合、理論上は自社の資源のいくつかが競争優位につながりえても、実際に参入して価値を生み出せることはめったにない

企業戦略の評価ポイント
■ビジョン―企業ビジョンは、明確に表現されているか?
■内的一貫性
・自社の企業戦略の要素は、相互に調整されているか?
・自社の企業戦略の要素は、一つの集合体を形成しているか?
■外的一貫性
・自社の戦略は、外部環境とフィットしているか?
・自社の戦略は、変化しつづける環境と競合他社の戦略に対して持続可能な優位を持つか?
■実行可能性
・自社の組織は、あまりにも短期間に、あまりにも多くのことを行うよう求められていないか?
・自社の戦略は、リスクをとりすぎていないか?
■企業優位
・自社の戦略は、本当に企業優位を創出しているか?
・自社の企業優位から継続的に価値が創造されているか?
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値段だけのことはあって、内容は充実しています。学問として戦略論を学んでいる方にはもちろんですが、経営者や起業家にとっても、戦略の落とし穴に気づかせてくれる、有用な一冊です。

※本日の教訓:「失敗する前に読め」

というわけで、本日の一冊は、

『資源ベースの経営戦略論』
http://tinyurl.com/4m2ex

です。久しぶりに読み応えがあってためになる一冊でした。

目次
原著まえがき
第1章 企業戦略へのイントロダクション
第2章 資源とレント
第3章 単一業界における規模と範囲の経済
第4章 事業の多角化
第5章 企業の範囲についての組織的限界
第6章 多角化企業のマネジメント
第7章 企業優位の創出
第8章 コーポレートガバナンス
訳者あとがき
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