ビジネス書の厳選情報を毎日お届け 「ビジネスブックマラソン」 バックナンバーズ

アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『起業家のための「手ガネ経営」で勝ち残る法』

2006年08月31日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534041144

本日の一冊は、大手会計事務所の出身で、わずか26歳で独立したと
いう著者が、潰れない会社の条件と、金銭的に有利なビジネス、そ
うでないビジネスの類型を示した、画期的な一冊です。

土井も独立当初から感じていたことですが、ビジネスには、最初か
ら有利なものと不利なものが明らかに存在します。

そのことを知っておくだけで、起業や経営のリスクは格段に小さく
なるのですが、これまでそのことをわかりやすく書いた本はあまり
存在しませんでした。

その点、本書は、製造業や小売業、サービス業など、ビジネス形態
による「勝ち残り度」をレーダーチャートで完全チェック。

主な業種の廃業率もきっちり一覧表で載っており、これからビジネ
スを始める人にはじつに有用な一冊です。

これによると、インターネット関連ビジネスは華やかながら、何と
廃業率51.6%、一方で、茶髪のお兄さんがやっている理容業は何と
廃業率たった6.5%です。

起業家のなかには、「どんなに不利なビジネスでも、自分の力での
し上げてみせる」という気概のある方もいらっしゃると思いますが、
ほとんどの場合、物事は確率にしたがうので、知っておいて損はあ
りません。

さらに本書では、不利なビジネスを少しでも有利に運ぶためのアド
バイスがなされているので、既に起業した方にとっても有用な内容です。

どんな会社がどんな利益構造のなかでビジネスをしているのか知っ
ておくことは、経営者のみならず、ビジネスマンにとっても極めて重要。

そういう意味では、ぜひ読んでおくべき一冊だと思います。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

「潰れない型をキッチリとつくった上で、攻勢に出る」ことこそが、
勝ち残る会社のための絶対条件

在庫と売掛金の多い事業は、売上が伸びてもお金に困るケースが多い

多額の運転資金が必要な会社は潰れやすく、運転資金の少なくてす
む会社は潰れにくい

参入障壁の高い領域にいる会社は潰れにくく、参入障壁の低い領域
にいる会社は潰れやすい

製造業の最大の弱点は在庫による資金滞留

サービス業の強みは在庫の少ないこと。弱点はスケールメリットが
働きにくいこと。リピート率を高める工夫が成否を分けるカギ

同じ分野からの独立のほうが潰れにくく、まったく畑違いの分野へ
の進出は潰れやすい

突き詰めていけば「カネが底をつく」という結果が起きる理由は、
「入金が少ない」「支出が多い」「カネが足りないときに誰も貸し
てくれない」ということ

自らに強いキャラクター付けをすることが専門化の根幹

「お布施型ビジネス」はサービス内容の明細と明瞭な価格設定によ
る「商品化」をすることで、一気に競争優位性を発揮できる

弱者はまずは小さく鋭く切り込んで、あとは既存顧客に関連商材を
販売するしくみをもて!

固定経費増加の多くは人件費の増加がもたらしている

「自分しかいない」と思うと人は働きはじめる

より専門性の高い仕事は「AかつB型」で販売し、価格競争の激しい
業務では仕事を分解し要求されるスキルレベルを下げる「モジュー
ル化」をすることにより他社への競争優位性を発揮することが有効

危機に備えて、業績の良いときから預金と借入金を両建てにしてお
きましょう

------------------------------------------------
『起業家のための「手ガネ経営」で勝ち残る法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534041144
------------------------------------------------

■目次■

はじめに
第1章 勝ち残る会社と潰れる会社はここが違う
 あなたの会社の「勝ち残り度」をチェックしてみよう
 「潰れやすい業種、潰れにくい業種」を知っておく
 前提条件からわかる「勝ち残る会社、淘汰される会社」
 「典型的な潰れるパターン」を知っておこう!
第2章 小さな会社でもできる「稼ぐ力」の強化法
 本当に販売力が高まる「専門化戦略」の法則
 小さな会社でもできる販売力アップの経営戦術
 会社を継続させる「見込み客獲得」の秘訣
 営業活動で相手に勝つための「銃弾」を用意する
第3章 小さな会社だからできる「支出削減」の発想法
 コストダウンの根元は人材の有効活用にあり
 種芋まで食べてはいけません。でも種芋ばかりでもいけません!
 「非常食=内部留保」の効果的なつくり方
第4章 会社を潰さない「借りる力」のフル活用法
 とにかくキャッシュバランスをアップせよ!
 融資枠の極大化こそが生き残りの命綱!
 小さな会社の銀行との上手なつき合い方
 銀行以外からの有効な資金調達の発想法

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『最初のデートでプロポーズ!?』

2006年08月30日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763197002

本日の一冊は、カナダ在住で、マーケティングとコミュニケーショ
ンに関するコンサルティングを行う著者が、具体的なマーケティン
グテクニックと心構えを17の原則にまとめた注目の一冊です。

装丁・タイトルからはとても想像がつきませんが、本書はかなり実
践的なマーケティングの実用書です。

主人公がビジネスで壁に突き当たる度に、、マーケティングの達人
であるマーケティング・マイク氏に相談する、という設定で、マー
ケティングの要諦を具体的ケースに当てはめて学ぶことができます。

たとえば、本書の冒頭のお話は、主人公がウェイターの「ロブスタ
ー売り上げコンクール」でトップをとった話。

当初、まったく成果の出なかった主人公が、ステーキ、ロブスター、
ライスで18.5ドルのセットを売れ、というアドバイスで大成功した
わけですが、それは、招かれたゲストの心理を巧みに突いたから。

招かれた立場でロブスターは頼めない、というゲストにとっては、
ロブスターがセットになったスペシャルセットはまさに待ち望んだ
一品だったわけです。

ほかにも本書では、「誰も広告主の第一号にはなりたくない」、
「行列ができれば、人は入りたいと思い、自分も列に加わる」など、
顧客の本当の心理を巧みに説き明かしてくれます。

また、行列を仕掛ける方法や「三つの箱作戦」など、すぐにも使え
そうなテクニックも満載。

マーケターにとっては、今すぐ読んで実践したい一冊です。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

問題は、君や他のウェイターたちはロブスターを売るためにがむし
ゃらになりすぎている、ということだ。そうではなく、君たちはロ
ブスターをマーケティングすべきなんだ

◆ロブスターが売れた理由
1.一つ、みんなスペシャルが好きなのさ
2.全部のメニューを読む代わりに、スペシャルを選ぶことで、す
  ばやく簡単に買うものを選べるんだ
3.ロブスターをスペシャルの一部に加えることで、ゲスト全員が、
  実は食べたいと感じているもの――ロブスター―ーーを意地汚
  く思われることなく、食べられるようにしてあげているんだ

◆創刊号の広告が入らない理由
誰も広告主の第一号にはなりたくないのさ

君は広告なんかにお金を浪費する前に、まず二つのことに予算を投
資すべきだと言うんだ。無料招待、それから行列作りだ

行列ができれば、人は入りたいと思い、自分も列に加わる

もし本当に売りたいものがあるのなら、それを中間に位置づけるこ
とだ。それより小さいサイズ、そしてずっと大きいサイズを作るん
だよ。そうすると、多くの人が真ん中を選んで買うだろう

本物の価値とは、製品やサービス自体ではない。お客さんが心で感
じる価値なんだ

ファーストフードのチェーンを経営するだけの十分な資金がないな
ら、グルメ料理を売ることを考えてみよう

お客さんに小額でもいいから、物を買わせて、もっと大きな額を使
ってもいいという気持ちにさせるのが肝心

ビジネスの関係をこちらからリードしたいなら、一番最初の時点で
立場をはっきりさせること

もし人を山の頂上に連れていきたいなら、まず相手が半分まで登っ
てきたことを認めてあげよう

------------------------------------------------
『最初のデートでプロポーズ!?』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763197002
------------------------------------------------

■目次■

1.すすめすぎてはいけない
2.不安を与えてはいけない
3.宣伝してはいけない
4.一つではいけない
5.お客さんの言いなりになってはいけない
6.売り込んではいけない
7.自社製品のことばかり考えてはいけない
8.パンフレットを作ってはいけない
9.つまらぬアイデアに陥ってはいけない
10.値下げしてはいけない
11.ファーストフード店ではいけない
12.ただではいけない
13.すぐ効く薬を出してはいけない
14.取り調べを受けてはいけない
15.相手の功績を無視してはいけない
16.最初のデートでプロポーズしてはいけない
17.くじけてはいけない

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『「勝負強さ」を鍛える本』

2006年08月29日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/483795667X

本日の一冊は、日本でも大人気となったジョン・C・マクスウェル
さんによる、注目の自己啓発書。

訳者の齋藤孝さんによると、アメリカでは早くもミリオンセラーの
勢い、とのことです。

邦訳のタイトルは『「勝負強さ」を鍛える本』となっていますが、
原題は『Turning Mistakes into Stepping Stones for Success』。

つまり、失敗をいかにして成功につなげるか、というのがテーマです。

本書には、独立当初、大勢の人に嘲笑されながら大成功をものにし
たメアリー・ケイ・アッシュや、ベリーロール全盛の時代に背面跳
びを提唱し、走り高跳びの歴史を変えたディック・フォスベリー、
当時の医学界の常識を打ち破り、外科手術に革命を起こしたジョゼ
フ・リスターなど、逆境にめげず、成功した人々の事例が数多く登
場します。

なぜ失敗することが大切なのか、どうやったら逆境から這い上がり、
失敗から学ぶことができるのか。

読者の心に訴えかける著者独特の言い回しが、読ませてくれます。

自分の心の中に勇気を吹き込んで欲しい、という方には、ぜひおす
すめしたい一冊です。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

凡人と成功者を分けるのは、失敗をどのように克服し、「勝負強さ」
や「真の実力」という”財産”に変えるかだ

大局を見れば忍耐力が生まれ、勝負強さが養われる。そして、忍耐
力があるから成功のチャンスも増えるのである

ばかげたことをやらないと、知的なアイデアも生まれない

成功者が失敗しても落ち込まないのは、自分の長所に焦点を当てているから

走り高跳びの「背面飛び」という跳び方を開発したアスリートのデ
ィック・フォスベリ―はこう言っている。「それでは勝てないとか、
いい記録は出せないとか、あるいは単にそのテクニックはよくない
と何度も言われた。僕にできることは、肩をすくめて『まあ、見て
いてください』と言うことだけだった」

やる気が起きてから、行動するなんてナンセンスだ。やる気などど
うでもいい。やってしまえばいいのだ。やる気のことは考えず、と
にかく行動を起こすのだ。行動を起こせばやる気が出てきて、継続
することは簡単になる

「いつも同じことしかしない人」は、「いつも同じもの」しか手に入らない

固執――”やり方”を変えず”効率”だけ上げようとする愚

失敗だらけの道から抜け出すには、まず最も言いたくない言葉を口
にしなければならない。それは「私は間違っていた」だ

「かけがえのない人間になるためには常に他人と違っていなければ
ならない」(ココ・シャネル)

「自分のため」だけでなく、より多くの人のため、公共のためとい
う大きな視点、いわば「使命」を抱かなければ、真の成功は望めな
い。大きな使命に目覚めた時、自分には思いもよらなかったような
爆発力が生まれる

何かを始めるのに、偉大な人間である必要はない。だが、偉大な人
間になるためには、何かを始めなければならない

------------------------------------------------
『「勝負強さ」を鍛える本』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/483795667X
------------------------------------------------

■目次■

1章 成功者と凡人を分ける「挑戦力」
2章 逆境にあって動じない「忍耐力」
3章 “勝つ直感”を呼び覚ます「行動力」
4章 人の心を牽引する「責任力」
5章 岐路に立って迷わない「決断力」
6章 一段上の仕事に目覚める「使命力」
7章 成功体質を強化する「持続力」
8章 リスクに挑む「冒険力」
9章 失敗から“教訓”を引き出す「学習力」
10章 自分の視界を広げる「複眼力」

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『尾崎友俐の「考え方」革命』

2006年08月28日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456964841X

本日の一冊は、かつて人気テレビ番組「マネーの虎」で活躍してい
た尾崎友俐さんが、初めて出す自己啓発書。

その持ち前のポジティブ思考と起業から現在までのエピソードを公
開した、注目の新刊です。

本書によると著者は、創業当時、なけなしの180万円で焼肉屋を開
業しましたが、この焼肉屋が、狂牛病の影響で倒産。

同時並行していたイスラム圏からの物産の輸入も、米同時多発テロ
の影響で中止を余儀なくされ、結局5億円の赤字を抱えることにな
ったそうです。

本書には、こうした相次ぐ不幸を著者がどう乗り越えたのか、その
考え方の秘密が書かれています。

予算なんかいらない、限定された方がアイデアが出る、など逆転発
想の興味深い主張が満載。

また、PR、イベントの達人としても知られる著者のビジネスノウ
ハウも若干盛り込まれています。

「マーケティングをあまり信用しない」という著者がどうやってビ
ッグイベントの集客をしているのか、とくに、口コミを生み出し、
大きなイベントを成功させるノウハウには注目したいところです。

なお、この本、本日28日と明日29日の2日限定で、アマゾンキャン
ペーンをやるそうです。

この2日間にアマゾンでお買い上げいただいた方に、何とあの、
船井幸雄さんと尾崎友俐さんの対談DVD(約1時間)をプレゼン
トしてくれるそうです。

具体的には、Amazonに注文した際、注文確認メールの後に、
【Amazon.co.jp ご注文の発送】というメールが届きますが、
こちらを、以下のメールアドレスに転送すればOKです。

限定1000枚だそうです。尾崎さんのメルマガ(4万人)はじめ、他
のメルマガでも告知されるので、欲しい方はお早めに!

※株式会社オリエンタル「アマゾンキャンペーンプレゼント係」
oriental@oriental-japan.co.jp

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

やるかやらないかは、お金や人脈のあるなしで決めることじゃない。
年齢や経験で決めるのでもない。ただ一つ、自分の気持ちだと思う

考えるのは、「できない理由」より「やるための方法」

プロモーションにあたって大切なのは「ヒットするキーワード」

経験というものには、無駄なものは一つもないとつくづく思う。お
鉢が回ってきたら、まずはやっておくといい。後になって生きてくる

船は、海の上に顔を見せているのは少しの部分で、大きな船体ほど
どっしりと海の下に沈めて航行している。イベントも同じだと思う。
大きなイベントほど、水面下でたくさんの準備が必要だ

招待状も、普通の紙の招待状ではだめだ。重厚な招待状を用意しなくては

人は、「誰にも頼れない、自分でやるしかない」と思うと、案外何
でもできるものだ

実は、私はマーケティングをあまり信用しない。結局「万人受け」
のデータになりがちだからだ

主催者が楽しんでいるかどうかは、必ず招待客のみなさんに伝わる
(中略)とにかく、やっている方がまず楽しんでしまうことだ

無理でも何でも、常識的にあり得なくても、困っている時はとにか
く必死で頭を下げ頼んでみるものだ。商売の世界は、どんなに順調
な企業であっても、明日をも知れず、大きなリスクを背負ってやっ
ている。「困った時はお互い様」という情け深さもある

「ちょっと変」というくらいの方が記憶に残る

未経験スタッフこそ重要

限定することでアイデアが出る。人は限りがあると、そこで知恵を
補おうとする。自分を追い込んでみると、「工夫力」が出るのだ

一生のうちに出会えることには限りがあるのだから、なるべく先入
観を持たず、触れてみるといい。心地良い、と思っているところだ
けに浸かっていると、どんどん自分が狭くなってしまう

------------------------------------------------
『尾崎友俐の「考え方」革命』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456964841X
------------------------------------------------

■目次■

第1章 夢を思い描く考え方
第2章 思いを形にする考え方
第3章 危機がチャンスに変わる考え方
第4章 人を「巻き込む」考え方
第5章 人生を「リセット」させる考え方
第6章 人生をトコトン楽しむ考え方
終章 「眠れる力」を起こす考え方

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『D・カーネギーの自分を磨く本』

2006年08月27日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837975801

本日の一冊は、世界的名著『人を動かす』の著者、デール・カーネ
ギーが選んだ成功者31人のエピソードをまとめた一冊。

もともと3冊あった原書を、日本の読者向けにまとめたものらしく、
それだけに内容は厳選されています。

登場する人物は、鉄鋼王カーネギーや、ロックフェラー、アインシ
ュタイン、チャーチル、セオドア・ルーズベルトなど。

彼らの幼少期~晩年のエピソードのなかから、とくに教訓となるも
のだけを厳選しており、要領よく人物とその成功要因を押さえるこ
とができます。

オムニバス形式ながら、鉄鋼王カーネギーの人を動かす秘策、アイ
ンシュタインの幸福哲学、本をきっかけに各界の著名人と知り合い
になったというエドワード・ボックの人身掌握術など、読みどころ満載。

パートによって読み応えにばらつきがあるのは残念ですが、著名人
たちのエピソードを手っ取り早く押さえたい、という方にはピッタ
リの一冊です。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

「クローバーやタンポポの葉を摘んできてくれないか。この子ウサ
ギを育てるんだ。その代わり、摘んできてくれたお礼に、君たちの
名をこの子ウサギの名につけてやるよ」(鉄鋼王カーネギーが近所
の遊び仲間に子ウサギを育てるのを手伝わせたときのエピソード)

「よし、金銭の奴隷になるのはもうやめた。ひとつ、金銭を奴隷に
使ってやろう」(ジョン・D・ロックフェラー)

夫人の話によると、彼(アインシュタイン)はものを考えるには秩
序を尊ぶが、生活には何の秩序もなかったそうだ。やりたいことは
いつだろうがやりたい時にやる。日常生活の原則は二つしかない。
第一は、規則は絶対につくるな。第二は、他人の意見に左右される
な、である

本で有名人の伝記を読むと、直接その本人に手紙を出して、本には
出ていない幼年時代のことをいろいろ問い合わせた(中略)週給わ
ずか六ドル二十五セントで電信会社に勤めているボックは、この手
を使って一流どころの各界の有名人と近づきになった

「危険が迫ったら絶対背中を向けて逃げるもんじゃない。そんなこ
とをすると危険が二倍になる。反対に、即座に断固として立ち向か
えば危険は半分になるものだ」(チャーチル)

およそ偉大な選手というのは次の二点が驚くほど発達しているもの
だ。第一に集中力、第二にほとんど機械のような戦闘力である
(デムプシーを評して)

「怖くてできないことに敢えて立ち向かう――ぼくが勇気を鍛えた
秘訣はこれだよ」(セオドア・ルーズヴェルト)

「そんなことできるもんですか」「そんなことをしたら科学的精神
に反します。それに病気の治療に使うのでしょう、病人の足元につ
け込むなんて、できやしません」(ラジウム抽出法の特許を放棄し
たキュリー夫人の言葉)

------------------------------------------------
『D・カーネギーの自分を磨く本』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837975801
------------------------------------------------

■目次■

“兆し”を鋭く読み、常に先手を打って「全戦全勝」人生!
アンドルー・カーネギー
ここまで人生の“優先事項”を見極められるか
ジョン・D ロックフェラー
劣等生でも、この「シンプル哲学」で“史上最高頭脳”に
アルバート・アインシュタイン
“高速決断”で千載一遇のチャンスをものにする!
エドワード・ボック
ここまで熱くなれば、「夢物語」も「現実」に
オーヴィル・ライト
“認められたい”なら後戻りはするな!
グレン・L マーチン
“運をつかむ力”も実力のうち!
メリー・ピックフォード
この“不屈の意志”こそが逆境を順境に変えていく
ウィンストン・チャーチル
何事にも手抜きしない“無器用だが骨太”な生き方
マーク・トウェーン
※その他、多すぎるので省略します

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『自分をもっと深く掘れ!』

2006年08月26日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837975755

本日の一冊は、大正元年に実業之日本社から出された、新渡戸稲造
著『世渡りの道』を再編集し、改題したものです。

新渡戸稲造というと、名著『武士道』が広く世界中に知られていま
すが、本書もまた、骨太で背筋の伸びる一冊です。

※参考:『武士道』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003311817

本書が読者に問いかけるのは、「人としてどう生きるか」。生きる
スタンスや社会とのかかわり、自らの才能を開花させるための心構
えまで、およそこの世に生きるすべての人に、貴重な示唆を与えて
くれる一冊です。

若干、時代的な背景が違うことによる違和感はあるにはあるのです
が、本質的な部分では、やはり納得できる内容です。

ビジネスパーソンが読んだ場合は、自己修養やマネジメントのコツ、
処世術を書いた本としても重宝するでしょう。

ひとかどの人物になろうとする人も、自分サイズの幸せを求める人
も、読んでおいて損はない一冊だと思います。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

塵の世にありながら、心まで汚されず、泥水に浮かびながらもなお
身を清く保ち、ひいては自分の周囲にある泥水をも清め、自分の周
囲を取り巻く塵を払うのが、人の人たる道だと思う

尊卑貴賎は仕事をする者の心に属することで、正しく清い心をもち、
心に欲をもたず、虚心に世を渡れば、必ず同じ志の人が現われ、あ
るいは隠れたままで我々を援助してくれる

いやしくも自らを重んじる人であれば、必ず他人を尊敬する。他人
を尊敬する念が起こらないという人は、自分の心中に大きな欠陥が
あることを自白するものである

礼節は権利ではない。権利以上のものである。だから聖人は礼節を
尊重し、法律の威力だけで世を治められない場合に、礼節の力を借
りたのである

私は、自らが正義と信じることについては、不正義と信じる他の事
柄と交換すべきものではないと思う

学問があるとか、怜悧であるとかいうことよりも、人間は強い心を
もつのが最も大切である。ずいぶん立派で、学問もあり才智もあり、
地位もあり、上流に立つ人でありながら、誘惑にかかって、一身を
辱めた者もいる。すべてこれは「否」という力のない証拠である
(著者が会ったという賢婦人の言葉)

人はとかく見込みはつけやすいが、見切りはなかなかつけがたいも
のである。うまく見切りをつける人は非凡な人である(経験に富んだ老人)

人に惜しまれることは望ましいが、自ら己を惜しむことは最も慎ま
なければならないことである

とかく人は陰で他人の悪口を言いたがるが、面前で言うのをはなは
だ嫌がる。しかし、友を思う誠心誠意があるならば、陰口をたたか
ず、直接に面前で警告すべきである

多くの人は己の本分を忘れ、なすべきことを怠り、空想にふけり、
得がたきものを望み、そのためにますます悩むものである

------------------------------------------------
『自分をもっと深く掘れ!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837975755
------------------------------------------------

■目次■

“ひとりよがりの生き方”をやめる
苦労が顔に出ない人の「厚み」
自分を大きくする怒り、小さくする怒り
「誠実さ」は二つとない財産
新渡戸流・人のこころを確実につかむ法
小さい自分を捨てて「本道」を行く
いい人生をつくる「感性の力」
代役のきかない人になれ
自分を磨く材料はどこにでも
自分に甘いから「泣き言」が出る
「人間学」に通じる人のこころ配り
自分でとことん満足のいく人生を

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『伊藤元重のマーケティング・エコノミクス』

2006年08月25日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352193

本日の一冊は、東京大学大学院経済学研究科の教授で、テレビ東京
「ワールド・ビジネスサテライト」のコメンテーターとしても知ら
れる伊藤元重さんが、最近の日本経済のトレンドを説いた一冊。

日経MJの好評連載をまとめた、というだけあって、話はマクロ経
済だけにとどまらず、流通現場の具体的事例にまで及んでいます。

著者は若い頃、「経済の動きを実感するには小売りや流通を見ると
よい」とのアドバイスをもらったらしく、本書はまさにその教えが
活かされた、「生きた経済学」のテキストとなっています。

マーケティングや経済の原理原則、そしてそれに当てはまる企業の
活動、最近のビジネストレンドまで、じつにバランスよく述べられ
ています。

メーカーや小売が利益率を上げていくためにはどうすればいいのか、
現代の消費者の購買行動にはどんな特徴があるのかなど、ビジネス
ヒントとしても読むことができるでしょう。

普段実践的な内容ばかり読んでいる人には体系的な視点を、理論ば
かり読んでいる人には現場の英知を伝えてくれる、興味深い一冊です。

ぜひ読んでみてください。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

「経済の動きを実感するには小売りや流通を見るとよい」。若い頃、
もらったアドバイスである

すべてのビジネスにおいて、何らかの形でサービスに関わる部分を
持たない限り安定的な利益を確保しにくい時代になっている

先進工業国ではどこでも、国民の所得が高くなるほど、製造業のシ
ェアが縮小して、サービス産業のシェアが拡大する傾向がある

資本回転率を上げることができれば、それほど高い売上高利益率で
なくても高い資本利益率を確保することが可能

高い利益を続ける企業の多くが非常に足腰の強い中間流通システム
に支えられている

多くの企業が陥りやすい過ちは、自分の市場を狭くとらえすぎること

忙しくなっている現代人にとって、時間の価値はますます重要にな
っている。所得は少しずつ高くなっていっても、一日二十四時間と
いう時間制約には変化がない

ある大手百貨店の社長から聞いた話だが、靴や時計などの商品の購
入パターンに変化が見られるという。高額な商品がよく売れ、しか
もその修理やメンテナンスサービスの需要が多いという

かつての住宅といえば応接室のようなところにお金をかけたが、今
やユニットバスのような一人になってゆったりするところにお金を
かける人が多い

顧客に新しい価値を提供するためには、何を加えるのかという前に、
まず何を削るのかという視点が重要

サービスの場合には、売れ残りにも「価値」が生じることが多い

百貨店とはもともと部門別大型店であり、商品ごとの分類で店舗設
計されている(中略)しかし、百貨店のこうした特色は近年、急速
に変化している。モノ中心の品揃えではなく、ヒト中心の品揃えを
志向する方向に変化しているのだ

百貨店も単独で生き残れる時代ではない。周辺の街の集積性を高め
て、街そのものに集客の魅力を持たせることが必要になる

------------------------------------------------
『伊藤元重のマーケティング・エコノミクス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352193
------------------------------------------------

■目次■

第1部 マーケットをとらえる新しいメガネ
第2部 転換する人とモノの流れを読む
第3部 進化するマーケティングの主役たち

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『R25つきぬけた男たち』

2006年08月24日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532193559

本日の一冊は、フリーペーパーの歴史を変えた「R25」の人気連
載、「BREAK-THROUGH POINT~つきぬけた瞬間」のインタビュー記事
を、一冊にまとめたものです。

このインタビューは、メディアに登場する著名人に、若かりし頃、
具体的には25歳以降の人生を語ってもらう、というユニークな企画。

著名人たちの知られざる苦悩の歴史が垣間見れる、興味深い内容です。

登場するのは、古田敦也、しりあがり寿、山下達郎、みうらじゅん、
関根勤、矢沢永吉など計28人。

テレビ系の方に偏ってはいますが、彼らが若い頃、何を考えていた
のか、どうやって苦悩の日々を乗り越えたのか、じつに参考になる
話が収められています。

人によって話のおもしろさにはばらつきがありますが、自分の心に
響く名言がいくつかきっと見つかるはずです。

20代~30代の方は、ぜひ読んでみてください。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

◆古田敦也◆
面白いのかどうかは、その後で自分で判断すればいい。未経験のこ
とを経験してみないとな、と気づきました

◆田島貴男◆
自分で”しなきゃいけない”っていう心がけは大事かもしれないけ
ど、そのタイミングが来るんですよね。いかによけるかばっかり考
えて、小手先でやってるヤツはずっとそのまま

◆みうらじゅん◆
人に憧れてマネをしてなりたくてやってみて、でもなれない。”自
分探し”っていいますけど、そんなの探しても見つからない。この
人にもなれないあの人にもなれないって、なくしていった末に、こ
れにしかなれないっていうところがある

◆古田新太◆
オモシロさだけをアピールして、前へ前へっていうのは好きじゃな
いですね。実際、決まりごとが多いほうが崩しやすいし

◆高田延彦◆ ※「高」は簡易文字を使用しています
僕の経験から言えば、あまり先を見ない方がいい。道は短い距離で
区切りをつけて歩いていった方が、達成感を得やすいし、小さな達
成感を持って前へ進んだ方が、モチベーションを落とさずにいられる

◆横山剣◆
若いころっていうのは、自分がなりたいもののことばっかり言うじ
ゃないですか。なりたい=wantと、必要とされる=needは違うんだ
ってことに気付かないんですね

◆堤幸彦◆
最近よく思うんだけど、20代の人ならね、何年間かは棒に振っても
いいんじゃないかと(中略)ただ、棒の振り方加減というか、地の
這い方というかね、そこが非常に重要で、人それぞれなんだけど…
…人に譲れないものを何かひとつ、見つけることですよ

◆矢沢永吉◆
たまに冗談で言うの。”今のノウハウを持ってあのころに戻してく
れたら全部カタつけてくるのにな”って(笑)。あそこフィックス
(修正)、ここもフィックス(笑)。でもそうしてたら、今のヤザ
ワはできてない。遠回りは全部必要だったんだ。そう思います

------------------------------------------------
『R25つきぬけた男たち』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532193559
------------------------------------------------

■目次■

1.ターニングポイント
2.気がつけば、ここにいた
3.いつか、輝ける日のために
4.認められるまで、貫く

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『世界No.1セールスウーマン2人が書いた 営業のバイブル』

2006年08月23日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569652360

和田裕美さんの『世界No.2営業ウーマンの「売れる営業」に変わる本』
が売れた時、みなさんは疑問に思わなかったでしょうか?

「No.1は一体誰なんだ?」と。

※参考:『世界No.2営業ウーマンの「売れる営業」に変わる本』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478540578/businessbookm-22/ref=nosim

本日ご紹介する一冊は、そのナンバーワンをPHP研究所の編集者が
探し出し、執筆してもらったという注目の一冊。

約10年前、1994年と1995年にブリタニカ世界142カ国中トップとなっ
た2人が、これまでの自分のエピソードを紹介しながら、営業のノ
ウハウを紹介しています。

具体的なシチュエーションのなかで営業マンがどのように考えれば
いいか、どう行動すればいいかが書かれているため、内容はきわめ
て実践的。

やわらかいテイストで書かれてはいますが、中身はかなりきわどい
心理テクニックだったりします。

後半は、上司や部下とどう付き合うか、というビジネスパーソンな
ら誰もが悩むポイントに関してもアドバイス。心構えだけでなく、
さりげない会話テクニックまで紹介されているので、参考になります。

営業に限らず、対人関係で悩んでいる方、実績があがらずあせって
いる方は、ぜひ読んでみてください。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

導きたい答えに無理なく少しずつ到達させるには、まず最初は相手
が答えやすい簡単な質問からしていくこと

二者あるいは三者択一にすると、どれかを選んでくるのでアポになりやすい

相手から逆に質問をされてしまうと、相手にイニシアティブを握ら
れてしまうことになりかねないので、気をつけなければなりません。
そんなときは、(質問されたら)質問で返してみましょう(中略)
質問をされるより、質問をする立場のほうが有利に話を持っていけるのです

プレゼンテーションの中では適度な類推話法が効果を発揮します。
類推話法とは、自分が言っているのではなく、社会的な権威を上手
に使って話す方法です

「何を伝えるか」よりも「どう伝えるか」のほうが大事なのです。
伝える内容もさることながら、伝え方の練習をしましょう

「買ってもいいし、買わなくてもいい」と考えている人に会うほう
が、圧倒的に簡単に出会えるものなのです。この層の人たちにもの
を売ることができれば、格段に営業成績が伸びるはずです

商品に、いかにその商品の値段以上の価値を持たせるか。そこをき
ちんとお客様にご理解いただけるように説明してあげるのが営業

保険会社の優秀な営業マンは、人の心を動かす感動的なニードスト
ーリー集をたくさん持っています

「それはできません」と言う前に、ほんとうにできないのかどうか、
可能性が少しでもないのかどうか、全部はできなくても半分くらい
までならできるとか、どこかに妥協点はないのか、などちょっとで
も頭をひねって、相手の味方になって考えてみましょう。その姿勢
を相手は評価してくれるのです

部下をほめることも重要ですが、上司だって誰かにほめてもらいたいもの

頑固な人というのは、「自分に素直」ということを認めてあげさえ
すれば、頑固の殻が取れてこちら側の話を聞いてくれるようになる

部下が失敗したときが人間関係をつくるチャンス

上司が部下の仕事まですべてやっていては、人は育ちません。心配
でも部下に仕事を任せてみましょう!

------------------------------------------------
『世界No.1セールスウーマン2人が書いた 営業のバイブル』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569652360
------------------------------------------------

■目次■

序章
第1章 営業のコツがつかめない人へ
第2章 人と話をするのが苦手な人へ
第3章 商品がなかなか売れない人へ
第4章 上司とうまくいっていない人へ
第5章 部下が思い通りに動いてくれない人へ
第6章 そして舞台は「サンプル百貨店」へ
最終章 二人で一つの漫才コンビは今日も行く!

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『アディダスvsプーマ』

2006年08月22日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270001275

本日の一冊は、もともと同じ会社で事業を営んでいたというアドル
フ・ダスラー(アディダス創始者)とルドルフ・ダスラー(プーマ
創始者)、そしてこの兄弟の確執が生み出したスポーツ・ビジネス
の歴史を、ジャーナリストである著者が追った、衝撃の話題作です。

本書によると、アディダスとプーマはもともとは一つの会社で、職
人気質の弟アドルフと、天性の営業センスを持つルドルフの対立に
より、二つの会社に分裂しました。

われわれ一般人には知る由もないことですが、この兄弟の対立はそ
の後も熾烈を極め、その結果、選手の買収が相次ぐ、金まみれのス
ポーツビジネスが出現したようです。

サッカー、陸上、バスケットボール、テニスなどの話が中心で、話
のなかにはペレやベッケンバウアー、マイケル・ジョーダン、ボリ
ス・ベッカーなど、著名な選手のエピソードがいくつも登場します。

かつてカリスマと呼ばれたスター選手までもがスポーツマーケティ
ングに飲み込まれていく様は、そこだけを読んだら、ファンにとっ
てはとても耐えられないかもしれません。

しかし見方を変えれば、本書は優れたビジネスの教科書であり、マ
ーケティングのヒントとして、またビジネスを維持・拡大する秘訣
として、じつに示唆に富んでいます。

アディダスとプーマ、そしてそこに挑んだナイキ、リーボック…。
さまざまなプレイヤーの活躍と繰り広げられる人間模様は、ノンフ
ィクションとしても読み応えがあります。

刺激的なノンフィクションとして、また生きたビジネスの教科書と
して、ぜひ読んでおきたい一冊です。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

プーマとアディダスは長年にわたり火花を散らしてきた。両社は、
ヘルツォーゲンアウラッハというドイツの小さな村で、反目しあう
二人の兄弟、ルドルフ・ダスラートアドルフ・ダスラーによってそ
れぞれ設立された

二人の確執が、スポーツの世界に金銭をもちこんだのである

反目するダスラー兄弟がライバル会社を設立して以来、オリンピッ
クとワールドカップは最も過激な対決の場となった。ロッカールー
ムでは、さりげなく選手のシューズに札束が入れられたりする。確
執は法廷に持ちこまれることもしばしばで、ときには懲役刑がくだ
ることすらあった

ダスラー兄弟商会にとって、ナチは強力な後押しとなった。ヒトラ
ー政権は彼らの理念を性急に実現化しようとし、急務の一つとして
スポーツの振興を掲げたのだ

オリンピックは、シューズの売り上げを伸ばすまたとない機会であ
る。オーナーの息子がただで配ってしまっては、売れる望みがなく
なるではないか。ホルストはしかし、無料供与がいかに賢明な投資
であるか、店主のハートリーを説得した。スリーストライプを履い
た選手がゴールのテープを切ること以上に、効果的な宣伝などある
はずがない

ペレとの提携は、プーマに計り知れない恩恵をもたらした。開幕が
近づいたある試合で、ヘニングセンとペレは宣伝効果を高めるちょ
っとした仕掛けを考えついた。キックオフの直前にペレが審判に話
しかけ、ちょっと待ってくれるよう頼む。それからペレは膝をつき、
おもむろに靴紐を結び直す。数秒の間、世界の何百万というテレビ
画面いっぱいにペレの靴が映し出されるというわけだ

ホルスト・ダスラーはどこにいても、あらゆる機会を使ってスポー
ツ関係者との友情を深めたり、新たな友人を作ろうとしたりした

------------------------------------------------
『アディダスvsプーマ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270001275
------------------------------------------------

■目次■

ダスラー・ボーイズ
兄弟の不和
決別
オリンピックでの無料配布
アルザスの計略
メキシコでの大当たり
手に負えない息子
頭からつま先まで
ペレ協定
スポーツポリティックス〔ほか〕

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『ジム・クレイマーの株式投資大作戦』

2006年08月21日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352150

本日の一冊は、全米で人気沸騰中の「カリスマ投資指南役」、ジム
・クレイマーによる痛快な株式指南書。

著者は、貧しい地方紙の記者から身を起こし、株式投資で財を成し
たというカリスマ・トレーダーで、長い間S&P500平均を上回
る実績を維持。ITバブル崩壊の直前に、「株式からの全面撤退」
指令を出したことでも知られる伝説の人物です。

本書は、そんな著者が、株式投資のウソとホントを歯に衣着せずに
語った、じつに読み応えのある一冊です。

内容は、単なる投資格言でなく、かといってお決まりのバリュー投
資や小手先のテクニカル分析でもない。

著者が本書で説いているのは、マーケットで生き残るために必要な
「変化」に対処する心構えとテクニックです。

変化をとらえるためにどうすればいいか、具体的な基準を示し、例
を挙げながら説明しているため、自ら判断する能力を身につけられ
ること請け合いです。

ポートフォリオに投機銘柄を組み込め、と言ってみたり、M&A狙
いの視点を示してみたり、プロの投資家をコケにしてみたり…。

類書では見られない個性的な主張が魅力の、貴重な一冊です。

著者自身、「証券会社や投資信託といった高くつく助っ人は必要な
い」と言い切っているように、本書はまさに「考える投資家」のた
めのバイブル。

久々に株式投資本で興奮できる一冊に出合いました。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

投資資産のいくらかは、純粋な投機に振り向けるべきなのだ。そう
することによって本当の意味での分散投資が可能になる

どんな銘柄に投資する場合も、まず事前にホームワークをやり終え
なければならない。それだけは強調しておきたい

なぜほとんどの人が株式投資で金持ちになれないのか。それは成功
するのに必要な時間、じっと我慢してゲームに参加し続けられないから


株式投資は科学だけでは割り切れない。それは、「貪欲」と「恐怖」
という人間が持つ二つの本能的な心理的要素によってゆがめられた、
株券の需要と供給が絡み合って形成される価格決定プロセスの集合体な
のだ

あらゆる株式の正体は紙切れだということを、忘れてはいけない

◆一流の競馬コラムニスト、アンディ・ベイヤーの教え ※一部紹介
・勝ちたければ、強いプレーヤーがあまり多くないトラックに行くべき

・完全な確信がある時にだけ賭けるべきだ

人々は株価について話をする時、いつもどうでもいいことばかり気
にする。安値でその銘柄を買ったかもしれないし、タイミングを逸
したかもしれない。しかし、そのことで現時点での判断が影響を受
けてはいけないのだ

人目につかない地方レースの掛け率はしばしば不完全だから大穴が狙え


分散投資という教えは、株式投資という危険極まりないゲームの中
で、唯一の「ただ飯」

財務内容が劣悪な銘柄は絶対に排除すべし

経済が混迷の最中にある時は、P&Gやキンバリーやコルゲートな
ど、景気の良し悪しに関係なく業績が安定している。面白みのない
生活必需品メーカーに乗り換えるのだ

無名企業のセグメントでは、情報さえ手に入れば有利な戦いをする
ことができるのだ。ただし注意しなければならないのは、このセグ
メントでは群集心理をはじめ、別な要因が支配していることだ

事業は傷んでいないのに株価が傷んでいる銘柄を探せ

------------------------------------------------
『ジム・クレイマーの株式投資大作戦』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352150
------------------------------------------------

■目次■

株式投資はアートだ!
ともかくゲームに参加し続けることだ
さあ始めよう
株式投資は売買するゲーム
誰も教えてくれなかった株の基本
投資とは予想がすべてなのだ
銘柄選択のための「黄金のルール」
自分のポートフォリオを作って運用する
株価の大底をこうして見極める
天井でこうして売り抜ける
投機を使いこなす戦術

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『大地の咆哮』

2006年08月20日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569652344

本日の一冊は、現在、マスコミの話題が集中している日中問題に、
元上海総領事が真正面から切り込んだ注目の論考です。

靖国問題がクローズアップされるタイミングで出たということもあ
り、現在飛ぶように売れているようです(P社・M氏談)。

外務省入省以来、33年のキャリア。語学研修時代を含め、計14年近
くを中国で勤務してきたという著者が、末期がんの病床で書き上げ
たもので、内容は、現役外交官では立場上、決して書けない事実を
含んでいます。

著者の語学研修時代の中国でのエピソードや、担当者だからこそ知
り得た歴史の舞台裏、日本外交の知られざる努力まで、じつに詳細
に書かれています。

なかでも、著者が実際にかかわった有力政治家との丁々発止のやり
取りは、読んでいてじつにスリリングです。

さらに、都市・農村間の貧富の差の拡大や教育の問題、水問題など、
中国が抱える潜在的なリスクについても、じつに詳しく書かれていま
す。

日中問題に関心のある方、中国への直接・間接投資に興味のある方
は、ぜひ読んでおきたい一冊です。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

中国認識で大切なことは、各種データによって観念的に中国を観る
ことではなく、できるだけ机上の理論を排した現実に即して、中国
を理解することだと考える。なかでも、中国共産党が支配する「中
華人民共和国中国」の現体制と「中国人一般」を同一視しないこと

彼らが恥ずかしいと思っているものにわれわれが関心を示すと、と
たんにそれは非友好的な態度であるとの評価を受け、いったん非友
好分子であるとのレッテルを貼られてしまうと、全人格的な否定に
あってしまう

当時の中曽根康弘首相と胡耀邦国家主席の両者がきわめて友好的な
関係であったことは周知の通りだ。しかし、85年に中曽根首相が靖
国神社を公式参拝すると表明、胡耀邦としては完全に裏切られた格
好となった。それで胡耀邦は中国共産党上層部から「あんな甘いこ
とをやっているからだ」と攻撃の矢面に立たされることになった

(天安門)事件後開催されたパリのアルシュ・サミットで、四面楚
歌に陥った中国を逆に擁護する立場をとったのは日本だった。中国
を孤立化させてはならないと各国首脳に対して主張、経済協力、と
くに円借款を最初に復活したのが当時の海部俊樹首相であった。国
際的に孤立する中国の最大の弁護者として、懸命の努力を重ねた日
本の姿をごく一部の中国人しか知らないことは非常に残念である

中国は義務教育制度といいながら、国家の負担分は三割で、七割が
地方負担になっているが、財政難により、結局、個人負担を強いら
れているのが現状である。前述した寄宿舎の食料費などが個人負担
であるのは当然だが、実際には子供たちは義務教育の教科書代を払
い、最近では、試験の紙代まで徴収されるというひどい話も増えている

中国の使用可能な水資源保有量は二兆八千億立方メートルで世界第
四位なのだが、人口一人当たりの水資源量は二千三百立方メートル、
世界の一人当たり平均量の四分の一しかなく、世界の「貧水国」の
一つに数えられている

都市住民と農民の違い、城鎮戸口と農村戸口の違いは、天と地ほど
の開きがある。都市住民であれば受けられる行政サービスが、農民
は一切受けられない

インターネットやその他のIT革命により、いったん情報が流れれ
ば、それが正しいものであれ、そうでないものであれ、一瞬にして
千里を走る。こういう時代にわれわれはそれぞれのナショナリズム
を抱えながら、お互いにつきあっていかざるを得ない。それには何
よりも相手に対する尊敬の念と同情の念を抱いている必要があるの
ではなかろうか

------------------------------------------------
『大地の咆哮』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569652344
------------------------------------------------

■目次■

中国との出会い
安全保障への目覚め(中国課時代)
対中経済協力開始
日中友好の最高峰(第一回目の在中国大使館勤務)
ココムと対中技術規制(ココム日本政府代表時代)
台湾人の悲哀(台湾勤務時代)
対中ODAに物申す(二度目の在中国大使館勤務)
対中進出企業支援(上海総領事時代)
深刻な水不足問題
搾取される農民
反日運動の背景
靖国神社参拝問題
中国経済の構造上の問題
転換期の軍事政策
嗚呼、在上海総領事館
中国の農村にCNNを(中国共産党と宗教)
日中を隔てる五つの誤解と対処法
日本と中国:「過去」をめぐる摩擦七つのポイント

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

 『トリックスター』

2006年08月19日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492653856

本日の一冊は、インサイダー取引疑惑で世間を騒がせた村上ファン
ド前代表・村上世彰さんの人脈と金脈を、「週刊東洋経済」の記者
らが明らかにした一冊です。

記者でなければわからない記者会見での裏話や、村上世彰という人
物がいかにして形成されてきたかという話、また気になる人脈・金
脈まで、具体的かつ実名入りで紹介されています。

すっかり有名になったオリックス宮内会長との絆や、ファンドを所
有していた日銀総裁・福井さんとの関係、ライブドアをはじめとす
るITベンチャー人脈など、村上さんの人脈の広さをうかがわせる内
容です。

著者によると、村上さんの人脈は、「灘中・灘高」「東大」「旧通
産省」「経済同友会(宮内)」「ベンチャー」「六本木ヒルズ」の
計6つに大別されます。

これらすべてを詳しく解説したところが、本書の一番の読みどころ
ではないでしょうか。

巻末には資料として、村上ファンドの契約資産の推移や過去に投資
した125銘柄、主な投資先などが載っており、資料としても重宝します。

ただ残念なことに、ところどころに憶測や偏見、論理的に正しいと
は言い難い記述が見られ、全体としては「週刊東洋経済」の品位を
落としてしまった格好です。

読む際には、くれぐれも注意してください。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

どの大手マスコミも「特オチ」を恐れる一方、「誤報」も忌み嫌う。
大きな事件を他紙にスクープされないように、記者クラブの中でい
わば相互監視している。そして、後で述べるが、そのマスコミのい
びつな構造を利用するのが、村上の常套手段だった

設立当初の村上ファンドは、この福井をアドバイザリー・ボード、
いわゆる経営顧問に据えた。投資勧誘用資料には、福井の名前がし
っかりと印刷され、あたかも投資先選定に福井が関与しているかの
ように書かれていた

運用資産の急増に較べると、村上ファンドの運用成績は意外に地味
だ。村上ファンドが顧客向けに配布していた資料によれば、1999年
10月1日を100とすると、2001年1月末は140

限られた記者のみを集めて、記者会見ならぬ「スモール・ミーティ
ング」を行うのは、これまでの村上の常套手段である

今回の容疑は、ファンドマネージャーのインサイダー取引としては
初の立件であり、数十億円以上と見られる不当利益の規模はインサ
イダー取引として過去最大

「灘中・灘高人脈」「東大人脈」「旧通産省人脈」「経済同友会
(宮内)人脈」「ベンチャー人脈」「六本木ヒルズ人脈」……村上
人脈はこれら6つに大別することができる

全く無名の通産OBが始めた怪しげな投資ファンドにレジディマシ
ー(正当性)を与えたのは、国の機関である総合規制改革会議議長
でオリックス会長の宮内義彦である。宮内は、有益な人脈網を村上
に事実上「貸し与えた」と見られても仕方がない

村上は、自身の個人投資家としてのキャリアを喧伝することで、共
同設立者らも含めた経験不足を隠蔽しようとしたのではないか

村上ファンドは「もの申すファンド」として、米カルパースのよう
なアクティビストファンドを目指したが、村上ファンドのような短
期売買の手法は、長期投資のカルパースとは対極のものだった

堀江への賞賛とは裏腹に、ライブドアの株価は実力を大きく越えて
いるという実体を冷静に見抜いていた

村上の人脈作りにおける特異な才能や巧みな自己演出の能力は、本
来マーケットで発揮されるべきものではなかった

------------------------------------------------
『トリックスター』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492653856
------------------------------------------------

■目次■

暗闇坂
欺瞞会見
村上人脈
人格偽装
縁故投資
志・初心
変節
裏の顔
鴨葱・駒
虎の尾
魔女狩り
トリックスター

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『売り切り御免』

2006年08月18日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861301823

本日の一冊は、女性に大人気の靴ブランド「卑弥呼」の創業者が、
その商売哲学と儲けの秘密を明らかにした、注目の一冊です。

本書によると、著者の両親は鮮魚の仲買人をやっていたらしく、著
者も少年時代には魚市場で家業を手伝っていたそうです。

それゆえ、畑はまったく違いますが、卑弥呼のビジネスにもその精
神が引き継がれており、それこそが、卑弥呼の強さにつながってい
るようです。

本書には、「卑弥呼のビジネスモデル14カ条」が詳しく書かれてい
ますが、その中でも根幹となるのは、「旬の時期に旬の商品を提供
する」こと。

著者の言葉を借りれば、「品質のいいものを仕入れて、鮮度が高い
うちに売りさばく」ことで、お客様に喜んでもらえる、経営的には、
在庫が抑えられ、資金繰りが良くなるわけです。

とはいえ、「言うは易し、行うは難し」。実際には、そのシンプル
な原則を実現するために、取引条件の交渉や、目利き力の強化、店
頭での販売方針など、さまざまなところで工夫を凝らしています。

本書を読む限り、卑弥呼の成功は、あくまで商売の基本を貫いたと
ころにあるのであり、本書は、それ以上のものを求める必要はない
のだ、という戒めにもなっています。

商売をやっていると、さまざまな誘惑があります。己を克服し、あ
くまで理念を貫く著者の姿勢に、商売の本質を見た気がしました。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

鮮魚は時間とともに価値が下がります。そして、お客様の目は肥え
ているので、鮮度が高いものから早く売れていきます。ですから、
鮮魚仲買の商売の基本は品質のいいものを仕入れて、鮮度が高いう
ちに売りさばくことです

基本的な考え方は「売れる時期に、売れる商品を、売れる価格で、
売れる場所に、売れる量だけ供給する」こと

卑弥呼がMD力、商品力、販売力にもっとも力を入れているのは、
特定のお客様を対象とした売手と買手のギャップを埋めることによ
って、顧客満足および顧客価値創造を高めるとともに、在庫回転率
を改善する狙いがある

もしメーカーが納期遅れで商品を納入した場合、卑弥呼は予定の仕
入れ価格ではなく、鮮度が落ちた分だけ価格を下げて仕入れること
にしています。不良品や納期遅れに対しては妥協しません

何よりもお客様に旬を過ぎた商品を販売すること自体が罪なのです。
「安かろう、悪かろう」でビジネスをしても成功するはずがありま
せん。お客様に夢、感動、幸福を提供できなければファッションビ
ジネスは絶対に成功しない

私の経験からすると、ビジネスで成功する秘訣は商品の良し悪しを
見分ける目利きと販売姿勢、そしてより良い仕入先と販売先に恵ま
れること

物事には山と谷があります。「山高ければ谷深し」ということわざ
もあるように、好調のときほど撤退の準備を怠らず、その時期を見
定めなければなりません

「見えざる資産」こそが企業にとってもっとも大切な資産である

初期発注は腹六分目がもっとも効率的

ファッションビジネスの要諦は飢餓感を与えること

人間も減価償却の対象となる(人間は常に自己投資を継続しなけれ
ば時代の変化に取り残されて、将来性のない人間になってしまう)

------------------------------------------------
『売り切り御免』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861301823
------------------------------------------------

■目次■

第1章 卑弥呼のビジネスモデルの原点は鮮魚仲買にあった
第2章 女王「卑弥呼」は世界にただ一人 オリジナリティこそがわが

第3章 頂点の一歩手前で危機を回避するのがビジネス成功の秘訣
第4章 「見えざる資産」こそが企業にとってもっとも大切な資産であ

第5章 販売のプロの条件はお客様にコンサルテーションができること
第6章 目指すは働楽カンパニー
おまけ 足ってすごい!

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『本の読み方 スローリーディングの実践』

2006年08月17日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569654304

本日の一冊は、『日蝕』で芥川賞を受賞し、「三島由紀夫の再来」
として注目を集める著者が、その独自の読書論、読書術を公開した
注目の一冊です。

※参考:『日蝕』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101290318

膨大な情報にさらされ、一種の強迫観念にとらわれている現代人を
「速読コンプレックス」と表現し、そのコンプレックスから解放さ
れるための読書を提案しているのが最大の特徴。

読書本来の楽しみや本質的な価値に、作家としての視点が加わった
内容は、じつに読み応えがあります。

注目したいのは、前半で紹介した読書法を、古今東西の名著を題材
に、実践して見せているところ。

夏目漱石の『こころ』や、森鴎外の『高瀬舟』、三島由紀夫の『金
閣寺』など、名著中の名著8作品とその味わい方について、作家な
らではの視点を交えながら解説しています。

※参考:『こころ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101010137
※参考:『高瀬舟』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087520285
※参考:『金閣寺』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101050082

土井も常日頃から思っていることですが、本を楽しもうと思ったら、
書くことと読むことは本来、切り離せないもの。

両方の視点から読む・書くことによって、私たちの知恵や心はもっ
と豊かになるはずです。

本書を読んで、本当に豊かな読書とは何か、知的活動の喜びとは何
か、改めて考えさせられました。

----------------------
■ 本日の赤ペンチェック
----------------------

単に一読者として小説を読んでいた頃には気がつかなかった様々な
仕掛けや工夫に注意を払うようになってから、私は改めて、読書は
面白いと感じるようになった。そして、私だけではなく、実は作家
の多くは、他人の本を読むときにも、やはり書き手の視点で読む、
という作業を行っているのである

自分の趣味に固執し、今の自分を肯定してくれるような本ばかり読
んでいては、ますます視野を狭めていってしまう

読書は、読み終わったときにこそ本当に始まる。ページを捲りなが
ら、自分なりに考え、感じたことを、これからの生活にどう生かし
ていくか。――読書という体験は、そこで初めて意味を持ってくる

モンテスキューほどの第一級の知性の持ち主が、二〇年もかけて考
えたことを、どうして私たちが、一時間や二時間の飛ばし読みで理
解できるだろうか?

文章がうまくなりたいと思う人は、スロー・リーディングしながら、
特に好きな作家の助詞や助動詞の使い方に注意すること

言葉に敏感な人ほど、知ったかぶりをせず、辞書と緊密に付き合うものだ

一方で自由な「誤読」を楽しみつつ、他方で「作者の意図」を考える

常に「なぜ?」という疑問を持ちながら読むこと。これは、深みの
ある読書体験をするための一番の方法である

主体的に考える力を伸ばすこと。これこそが、読書の本来の目的である

気になる箇所に線を引いたり、印をつけたりする習慣をつけておく
と、内容の理解が一段と深まる

「読んでは、ブックオフ」式の右から左への読書ではなく、「読ん
だら書棚」式の読書で、まずしばらくは本を寝かせる。そうして、
適度な熟成期間をおいてから、もう一度その本を手に取ってみる。
その熟成期間とは、もちろん、自分自身の熟成期間である

作品の主題を現代と引き比べて考えるということもまた、作品の読
解に深みを与える

読書で大切なことは、自分の感想を過信しないという態度だ

------------------------------------------------
『本の読み方 スローリーディングの実践』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569654304
------------------------------------------------

■目次■

序 本はどう読めばいいのか? 
第1部 量から質への転換を スロー・リーディング 基礎編 
第2部 魅力的な「誤読」のすすめ スロー・リーディング テクニック編 
第3部 古今のテクストを読む スロー・リーディング 実践編 
 夏目漱石『こころ』 
 森 鴎外『高瀬舟』 
 カフカ『橋』 
 三島由紀夫『金閣寺』 
 川端康成『伊豆の踊子』 
 金原ひとみ『蛇にピアス』 
 平野啓一郎『葬送』 
 フーコー『性の歴史I 知への意志』

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━