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アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『売れる営業トークにはたったひとつの理由がある』

2005年05月31日 | Weblog
http://tinyurl.com/dj9ye

本日の一冊は、『[営業マン必見!]小心者の私ができた年収1,200万円獲得法』の著者による、久々の新刊です。

※参考:『[営業マン必見!]小心者の私ができた年収1,200万円獲得法』
http://tinyurl.com/8nq6p

著者は、かつて学習教材、住宅リフォームの飛び込み営業で、トップセールスになった人物で、本書は、その営業トークを一般向けに公開したものです。

具体的なシチュエーションや会話例をもとに、どのような営業をすれば商談がスムーズに進むのか、クロージングするための秘訣は何なのかを、ステップバイステップで説明しています。

著者自身「「売れる設計」があって、初めて営業トークは機能する」と言っているだけあって、設計にもとづいた、ロジカルな営業プロセスが説かれています。

とくに、アプローチ段階での、「お客さんの断り文句をアプローチクエスチョンにしてしまう」というアイデアは、かなり有効なのではないでしょうか。

営業マンの方は、必読の一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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ストレスがたまってしまうのは、お客さんが断りたいのを押しとどめなければいけないから。お客さんの望んでいるとおりにすれば、ストレスがなくなります。では、お客さんの望んでいるとおりのトークとは何か? それは「断り文句を代弁するトーク」です

「売れる設計」があって、初めて営業トークは機能する

◆営業トークの3ステップ
1.アプローチ お客さんが話を「聞く体勢」にする
2.メイントーク お客さんの「欲しい」という気持ちを引き出す
3.クロージング お客さんと「約束」をし合う

いちいち、「いや」といわれてしまうと、聞きたいと思っていた話も、不快感が先に立って、聞けなくなってしまう

お客さんがいおうと思っていた断り文句を、先にいってしまうこと

営業マンにとって不利な方向の質問であれば、お客さんは答えてくれる

◆だれでもできる!イエス3連発レシピ
1発目「そうですよね」で受ける
2発目「オウム返し」で明確化する
3発目「オウム返し」を具体化する
―5つの具体化クエスチョン
「だれが?」「どこが?」「何が?」「どうなる?」「どのくらい?」

◆アーディンの法則
A あいづち 「そうそうそう」を引き出す質問
H はい 「はい/いいえ」を引き出す質問
D どれ いくつかの選択肢から選択してもらう質問
I いつ 「いつ、だれ、何、どこ」を引き出す質問
N なぜ 「なぜ、どうして」を引き出す質問

「したらトーク」で、買った後のイメージが伝わり、お客さんの口から買った後の姿をイメージをした答えが出てくれば、テストクロージングは完了

「どちらに選択トーク」を活用すると、「クロージングをしなければ」というストレスから解放されて、確実にクロージングができる

売れる営業マンは最後の一言が違う
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『売れる営業トークにはたったひとつの理由がある』
http://tinyurl.com/dj9ye
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■目次■
序章 だからダメだったのか!? 営業マンを脅かす「間違った常識」のワナ
第1章 ストレスから解放される!「売れる」営業トークの設計法
第2章 断りが気にならない!成功率が格段に上がるアプローチのつくり方
第3章 ここが分かれ目!お客さんの「欲しい」を引き出すメイントークの秘密
第4章 保留率が激減! 決めないで決めるクロージングのカンどころ
第5章 売れ続ける営業マンは「2つの車輪」を回し続けている!
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『レピュテーションマネジメント』

2005年05月30日 | Weblog
http://tinyurl.com/c473u

本日の一冊は、ウォールストリート・ジャーナルのシニア・ライターとして、企業ブランドと評判に関する報道に携わってきた著者が、アメリカの企業を中心に、レピュテーション・マネジメントと危機管理について述べた一冊です。

「死の商人」の悪名を払拭するために、独自のレピュテーション調査法を確立し、「ミラクル・オブ・サイエンス」キャンペーンで飛躍的に評判を高めたデュポン、国ごとにきめ細やかな対応をしているP&G、倫理プログラムに積極的なフィリップ・モリス社などの例を紹介しながら、いかに顧客の評価を高めるか、そして最悪の事態が起こったときにいかにして対応するか、そのポイントが説かれています。

インターネットの普及で、顧客がメディアを持った現在、レピュテーション・マネジメントの重要性は日に日に高まっています。

一方で、著者が言うように、まだ多くの企業は「目先の利益や右肩上がりの株価に心を奪われて、評判といういちばん重要で長持ちする資産を軽視」し、その結果「倒産したりイメージを落としたりしている」のです。

この分野に関する本はまだ少なく、限られた文献をあたるしかないのですが、本書は事例が豊富で、さまざまなケースへの対応方法が書かれています。

現時点では、非常に貴重な文献と言えるでしょう。企業のブランドマネジメントの一環として、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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多くの企業が目先の利益や右肩上がりの株価に心を奪われて、評判といういちばん重要で長持ちする資産を軽視したがために、次々と倒産したりイメージを落としたりしている

フェデックス社は、マスコミに対しても慎重にイメージ戦略を練っている。たとえば、テレビ局向けに、ビデオ版のプレスリリースや自社の航空機やトラックのストック画像を社内で用意している

会社の評判はCEOの評判次第

会社の評判を評価するための独自プログラムを持っていると回答した企業は、半数を下回る四一パーセント

退職する社員が会社に好感を持ったまま辞められるようにするのも大切

ハリスインタラクティブ社の調査によれば、地域社会への貢献にたいする評価は、製品やサービスにたいする評価とおなじくらい、会社の総合的な評判に影響する

アメリカの最大手企業に関する学術研究から、倫理観の点で高い評判を勝ち取った企業は財政面でも成功することがわかっている

理想をいえば、倫理と価値観は人事考課や報酬に反映されるべきである。会社の基準に従う社員に報い、違反した社員を罰するべきだ

企業市民としての評判を高めたければ、ただ金を出すだけではダメだ。いちばんいいのは、金を出すのではなく製品やサービスを提供することだ

小売業者など一般消費者相手のビジネスでは顧客の感情に訴えると大きな効果がある

企業不信が高まり、一挙一動に厳しい目が企業に向けられる今の時代には、問題点を率直に認めたほうが企業にとってはプラスになる

社員が多様だと潜在顧客や取引先のあいだで評判が高くなる

ウェブ上の噂にどの程度の影響力があるのか正確にはわからないが、評判を蝕むことは間違いない

危機の際には、あらかじめ決められたリーダーと広報責任者がいることも必要だ。もちろん、危機のときに企業の顔となるCEOがマスコミ対応に慣れておくことは不可欠である
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『レピュテーションマネジメント』
http://tinyurl.com/c473u
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■目次■
第一部 よい評判を築く
法則一 最強の武器を研ぎすませる
法則二 己を知る――レピュテーション・リサーチ
法則三 多くの観衆にアピールする
法則四 価値観と倫理観に従う
法則五 模範市民になる
法則六 心をつかむ企業ビジョンを伝える
法則七 感情に訴える
第二部 よい評判を保つ
法則八 問題点を知る
法則九 たえずつきまとう危険を常に警戒する
法則一〇 社員を主役にする
法則一一 翻弄される前に制御する
法則一二 声を一本化する
法則一三 レピュテーションの失墜に注意する
第三部 傷ついた評判を修復する
法則一四 危機的状況を手際よく処理する
法則一五 最初の機会を逃さず、成功させる
法則一六 世間の冷ややかな視線を甘く見ない
法則一七 保身は攻撃とおなじである
法則一八 最後の手段は社名変更 
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『榊原英資インド巨大市場を読みとく』

2005年05月29日 | Weblog
http://tinyurl.com/bngfn

本日の一冊は、「ミスター円」こと榊原英資さんと、アジア経済に詳しい三井住友銀行のマーケット・アナリストが、インド経済の今と、そこに潜むビジネスチャンスを明らかにした、注目の新刊です。

さまざまな統計やインド政財界の動き、そして実際のビジネス例などを紹介しながら、成長著しいこの注目のマーケットを読み解いており、投資家・ビジネスパーソンにとっては必読の内容です。

決してマクロの視点だけに偏ることなく、ビジネスヒントとなりそうなトピックを多数取り上げている点が、類書にない魅力でしょう。

また、コラムではインド人とのコミュニケーションのコツや、現在インドで起こっている美白ブームなどを紹介しており、こちらもビジネスパーソンにとっては貴重な情報源です。

文章も大変読みやすく、データも豊富なため、ビジネスパーソンのインドビジネス入門として、貴重な一冊となること間違いなしです。

インド経済に興味を持っている方、この本は久々に「買い」ですよ。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆ゴールドマン・サックスによるBRICsの2050年までの成長率の推計
この推計によれば、今から2050年までの間で平均的にインドが世界で最も高い成長率を達成する(中略)この間、インドの一人当たり国民所得は35倍に、インド・ルピーは300%程度切り上がることが予想されている

2001年の段階で、全人口10億1220万人のうち54%の5億4660万人が年齢25歳未満

日本の中産階級以上に当たる層が、既に1億5000万人いる

最大の民間銀行ICICバンクの貸出しの中で最も伸び率が高いのが、住宅ローン・自動車ローンを中心とする消費者向けローン

現在のインド中産階級の教育への関心はすさまじいもので、日本などとは比較にならないほど激しい受験競争が行われている

全体的に成長を続けるインドIT産業の中で、最近高い成長率が特に目立っているのが、ITES-BPO、すなわち、ITを利用した特定業務の受託サービスである。具体的なサービスとして
は、顧客への電話対応業務を行うコールセンター、文書管理や財務・総務事務、また専門職関係では、弁護士の判例等法務データベース、医者や病院のカルテ及び患者情報データベース

(インド人は)組織内におけるヒエラルキー意識や年功意識が強いので、肩書きや職位序列は非常に重要。相手の肩書きは、正式かつ正確に呼ぶべきであり、仮に間違えれば、信頼を大幅に失う

インドで製薬産業が成長を続けており、今後も一層の拡大が見込まれている

最近の訪印目的で注目に値するのが、ここ五年ほどで急増した「メディカル・ツーリズム」、すなわち手術や検査など医療サービスを受けるためのインド渡航だ

インドの最大の欠点は明らかにインフラ不足
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『榊原英資インド巨大市場を読みとく』
http://tinyurl.com/bngfn
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■目次■
はじめに
プロローグ 二一世紀の経済大国
第1章 「インド時代」の再来
第2章 ITだけではないインド企業の実力
第3章 インドに急接近するアジアの国々
第4章 熾烈な競争を勝ち抜く韓国企業
第5章 二〇二〇年のインド
第6章 アジア経済におけるインドの役割
エピローグ 二一世紀、日本の国家戦略とインド
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『「質の経済」が始まった』

2005年05月28日 | Weblog
http://tinyurl.com/atyxg

本日の一冊は、未来予測で知られる、現・東京財団会長の日下公人さんが、これからの日本が進むべき方向性を示した注目の一冊です。

日本の政治・経済のあり方から、終身雇用・成果主義の問題、情報化時代に求められる「智」の問題まで、じつにさまざまな問題を、日下さんらしい軽快な調子で論じています。

ちょっと日本礼賛の傾向が強い気がしますが、欧米式の考え方に翻弄されて疲弊している現在の日本人にとっては、新鮮な視点を得られるに違いありません。

タイトルからは、もうちょっとビジネス的なお話も期待していたのですが、実際に書かれていたのは、テレビなどでも情報が出回っていた紅葉ビジネスの話などで、ちょっと目新しさに欠けるのが残念でした。著者が冒頭で述べていた「新しい美の創造を競う時代」の萌芽と思われるエピソードや事例がもっと盛り込まれていれば、もっといい本になったと思います。

現在の日本の問題点や、今後進むべき道を示してくれているという点では、一読の価値がある本です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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アダム・スミスは”すべての生産と貯蓄は、結局は消費のためだ”と言っているが、日本では生産・拡充の一点張りが身につきすぎて、消費の満足や魅力について考えるのが遅れた

性能競争や価格競争より、新しい美の創造を競う時代への転換が始まっている

「日本経済は悪い」と言うが、しかし今でも年間五〇〇兆円もの巨大なGDPが横這いで落ちていない。世界で第二番目のGDPが、途方もないムダを国内に抱えながら横這いのままであるとは、ムダさえやめれば、たちまち回復するということ

◆政治家と役人の悪知恵を看破する4つの方法
1.動機で見る
2.結果で見る
3.関係者で見る
4.理論づけのインチキを見る

これから日本は風流産業で景気が直る

結論から言えば、日本型終身雇用が復活する

差と平等はどちらも意味があるのであって、交代することに意味がある

日本は資本主義ではない、人本主義である

キーワードは「生え抜き」の再評価

言いたいことは、その業務が終身雇用に適した仕事か、それとも成果主義に適した仕事か、それをきちんと見抜きなさいということ

「知」はナレッジ、あるいはインフォメーション。だから、これはもう死んだスルメみたいなものである。インターネットからたくさん出てくる。「智」のほうは、ウィズダムとかアイデアとか、ひらめきとか、クリエイティブな活動の産物である。これが希少資源でこれがある人は儲かる。「衆智を結集して」という言い方があるが、才智ある人間を集めて、それで何かをするのが会社である

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『「質の経済」が始まった』
http://tinyurl.com/atyxg
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■目次■
I 転職したいヤツに欲しい人材はいない
II お金、やりがい、自己実現……
III 会社に残って磨くべき「スキル」
IV それでも踏み出すあなたへ
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『転職したいヤツに欲しい人材はいない』

2005年05月27日 | Weblog
http://tinyurl.com/9mlso

本日の一冊は、ベストセラー『クビ!論』の著者であり、かつて外資系企業で1000人のクビを切ったという人事のプロ、梅森浩一さんが、サラリーマンの転職やキャリア設計について語った注目の新刊です。

※参考:『クビ!論』
http://tinyurl.com/4rmld

刺激的なタイトルとは違い、内容は極めてオーソドックスな転職論。言葉は違えど、言っているのは、要するに留まることと辞めることのメリット・デメリットを比較し、リスクを考慮して決めろという話です。

「二つの専門性を掛け合わせた『ハイブリッドな専門性』」という概念や、求人していない企業に対し「自分用にポジションをつくってもらう方法」などは参考になりますが、これとて類書があり、またヘッドハンターや人材コンサルタントが通常話している内容のレベルです。

主張したいことは、起業ブームに流されることなしに、冷静に見極めろ、ということのようですが、現状を踏まえると、どれほど受け入れられるのかは未知数です。

とはいえ、文章は読みやすく、主張もきわめて正統派のため、20代の新卒・第二新卒向けの癒し本としては、いいかもしれません。
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■ 本日の赤ペンチェック
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もはや、一握りの外資系企業のみならず国内企業においても、抱える社員一人一人に「その道のプロ」としての実績と実力を求める時代。
たとえ目先のお給料がよく思えたとしても、転社先でそのような待遇が長く続く保証というものもないのが実情。

「起業家」の神経を逆なでするようなサラリーマンの、「オイシイところ」って、あなたは自身、キチンと整理し納得されているのでしょうか。
コレコレが「トクだソンだ」といった議論もさることながら、コレコレを「自分でやりたい」という、素朴かつ心の底から湧き上がる情熱やら欲求というものがなければ、そもそも起業なんかムリ
自分なりにキチンと納得いくまで「メリット・デメリット」を、す
べて秤にかけることなく転社・転職を選択してはならない。

世間でいうところの「ジョブホッパー」にあてはまるかどうかは、その人の過去の転社・転職歴が、きちんとその人のキャリアの目標に合った、「プラットホーム(活躍の場)」を手に入れるためのものであったかどうかが、ひとつの試金石。

◆人間関係が理由でやめる際の条件
目の前のイヤなヤツが自分を好きになった時点で辞める。ファンダメンタルなスキルは、ユニークなスキルより大切。
オススメしたいのは、あなたがすでに持つ、二つの専門性を掛け合わせた「ハイブリッドな専門性」を身につけること。

◆攻めの情報ソース:自分用にポジションをつくってもらう

◆ヘッドハンターの人材の探し方:できる人からの紹介
転職する、しないにかかわらず、たえず目立つ人でいることが大切
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『転職したいヤツに欲しい人材はいない』
http://tinyurl.com/9mlso
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■目次■
I 転職したいヤツに欲しい人材はいない
II お金、やりがい、自己実現……
III 会社に残って磨くべき「スキル」
IV それでも踏み出すあなたへ
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『沈黙のことば』

2005年05月26日 | Weblog
http://tinyurl.com/8p7hv

本日の一冊は、久しぶりに古典的名著のご紹介です。

本書は、1966年に初版が出された、文化、行動、思考に関する考察の書であり、タイトルで謳っている『沈黙のことば』というのは、「コミュニケイションのもつ『知覚されない』側面」である、文化を意味しています。

著者が前段で書いているように、「文化がわれわれの生活をどれほど広範囲に規定しているかを明らかにすること」が本書の目的であり、この本から得られる知見は、インターネット時代にも有用であると考えます。

インターネットの世界では、コミュニケーションがテクニカルな意味での言葉に限定されがちですが、本書が示す「時」や、「空間」「性別」などの文化的な意味の違いを読んでいると、いかに言語以外の要素が重要なのか、ということに気づかされます。

そして、重要なことは、こうした文化というものが、国や地域によってまったく異なっているということです。

ある国では男性的と見なされているものが別の国では女性的だと思われていたり、ある国では完全に遅刻と思われるような時間のずれがある国では許容されたりということが、よくあるのです。

本書を読むことは異文化を学ぶことの必要性を学ぶことであり、またしても人間が無意識のうちに「記号」に封じ込めた認識や行動パターンを知ることなのです。

もっと前に出会っていたら『成功読書術』に加えたかった一冊です。

※参考:『成功読書術』
http://tinyurl.com/52sdn
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■ 本日の赤ペンチェック
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「時」はものをいうことができる。ことばよりもさらに明瞭に話す

早朝の電話は、ことがきわめて重大かつ緊急なものであることを示すのが普通である。夜十一時以後の電話についても同じことがいえる

文化というのは物を明らかにもするが、それ以上に隠蔽もする。しかも奇妙なことには、なにがみえないといって、自分自身の文化ほどみえないものはない

ある文化において男性によって示される行動が、文化が違うと女性的なものとして分類されることがありうる。すべての文化は男性と女性とを区別するが、通常、特定の行動型が一方の性と連携すると、それは他方の性からは脱落してしまう

学習は、それが言語を使用することに時間と空間の中に拡張されることができたとき、適応機構としての真価を発揮するようになった

子供の選択をあまり強く否定することは、折角の子供の模倣のこころみに干渉することになり、非公式な学習への芽をつみとってしまうことにもなりかねない

外国文化を理解しようとする際、「個」を少しでも多く学ぼうとする人がいるが、そのような努力をいくら積み重ねても果てしがない(中略)もし、「型」を考慮に入れないで「個」について語るならば、建築用のれんがについて論ずるさいに、どんな家であるかについて全然考えないのと同じである

文字どおり何千という経験を通して無意識のうちにわれわれは空間が伝達力をもつことを学ぶ(中略)ある文化の一構成員の中に引きおこされる連想や感情は、別の文化の構成員にとってはほとんど常に異なった意味をもつのである。外国人を「押しつけがましい」と評する時は、その外国人の空間のとり扱い方がわれわれの心の中にそのような連想を引きおこすことにほかならない
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『沈黙のことば』
http://tinyurl.com/9mlso
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■目次■

第一章 「時」の伝えるもの
第二章 文化とはなにか
第三章 文化の用語
第四章 三本の柱
第五章 文化はコミュニケイションである
第六章 「個」はいたる所にある
第七章 「素」はとらえがたい
第八章 「型」は組織する
第九章 「時」は語る/アメリカの「時」について
第十章 「空間」は語る
第十一章 鎖をゆるめるために
訳者あとがき
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『伊藤元重の経済がわかる研究室』

2005年05月25日 | Weblog
http://tinyurl.com/bbnrg

本日の一冊は、東京大学大学院教授の伊藤元重さんが、研究室と共著で出した、日本経済入門です。
M&Aや企業再生、中国経済などの注目テーマを網羅した、「伊藤教授が選んだ10の最優先課題」をはじめ、全部で45のテーマが扱われています。

それぞれのトピックに関し、理論の基礎と、最新トピックの両方が学べる点が、類書にない魅力。実務家にとって気になる、「今度どうなる」という点に関しても、きちんとヒントを与えてくれます。
日本の景気が今後どうなるのか、株式市場がどうなるのか、ビジネスチャンスはどこにあるのか…。
明確な答えは示されていないものの、何に着目すればよいのか、という点はきっちり網羅されています。

経済記事を読むときの着眼点と考え方を示してくれる、という点で、読んでおくといい本だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆M&A
国内の産業の活性化を図る目的から、商法改正によって外国企業との株式交換を可能にし、対日直接投資を奨励しようという動きがある
敵対的買収の際に、企業が防衛を図る手段としてアメリカではポイズンピル(毒薬条項)と呼ばれる方法がある。これは、平時に「特定の比率を超えて自社株の買収が行われた場合に発効する」という条件のついた新株引受権を大量に発行しておくものだ。実際に敵対的買収が行われた場合には新株引受権が発効することで買収金額が引き上げられるため、買い手が無防備に買収を行うことはなくなり、取締役会に買い手との交渉の機会を与えることとなる

◆金融政策
日本は景気回復局面にあるといっても、市場の景気回復への期待が強すぎると「デフレ脱却、量的緩和解除」の思惑から過度に長期金利が上昇し、経済に打撃を与えるおそれがある。実際、二〇〇四年二月から八月にかけて、長期金利(一〇年物国債利回り)は大きく上昇した

◆株式市場
外国人による最近の日本株買いの理由は、日本の構造改革・景気回復への期待や、欧米流の株主重視の経営の日本企業への浸透などが挙げられる(中略)欧米の外国人投資家の資金量は国内のそれの十数倍あり、世界の資金が日本へ流れる割合がわずかに変化するだけで、日本の金融市場は大きな影響を受けると言われる

◆不動産の証券化
<投資家にとってのメリット>
・ミドルリスク・ミドルリターンの金融商品
・「小口化」によって資金力の乏しい投資家でも不動産への投資ができる
<原資産保有者(オリジネーター)にとってのメリット>
・格付けの低い企業でも資金調達が容易にできる
・不動産をオフバランス化することにより、ROAや自己資本比率
 などが改善される
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『伊藤元重の経済がわかる研究室』
http://tinyurl.com/bbnrg
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■目次■
序章 伊藤研究室へようこそ!――変化の内にある日本経済
1 伊藤教授が選んだ10の最優先課題
2 マネーの流れで経済をとらえる
3 日本企業・産業の明日を読む
4 社会・くらしを経済の視点で理解する
5 日本と世界はどのようにつながっているのか
あとがき
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『中国的工場カイゼン記』

2005年05月24日 | Weblog
http://tinyurl.com/b5mnr

本日の一冊は、かつて中国の工場で奮闘していた日本人が、その現場の悲惨さといいかげんさを伝える、涙の物語です。

かつて、『システム管理者の眠れない夜』という本がベストセラーになりましたが、本書は、この中国工場編といったところです。

※参考:『システム管理者の眠れない夜』
http://tinyurl.com/cysjs

「一を聞いて十を(勝手に)語る」通訳や、いい加減な管理者、偽ブランドを平気で売りつけるショップ、不良品の責任を部品に求めるメーカー、自分でガラスを割っておいて修理を要求する作業員…。

うわさに聞く中国のひどい実態が、体験者の声を通して理解できる、生々しいレポートです。

ただ、一冊通して読んで感じることは、問題は中国人の側だけでなく、日本人の側にもあるということ。

本書では、この点もふまえ、中国人とやり取りする際の注意点や改善点を詳しく書いてくれています。

著者の失敗談がたくさん盛り込まれているため、少なくとも、現地に進出した時の心構えぐらいはできます。

未然にトラブルを防ぐためにも、ぜひ読んでおきたい一冊です。読み物としても楽しめるのではないでしょうか。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「同じ漢字を使う国同士。筆談すれば通じるだろう」と簡単にいう人がいますが、漢字だって微妙に違うし、加工方法については同じ漢字が使われているとも限らない

中国では習慣的に、法律ではなく、権力や権限を持っている人によって物事が判断、処理されていく。つまり、法によって治められる「法治」ではなく「人治」

作業員に対しては、規則の遵守を厳しく求める管理者たちが、自身はちっともその規則を守っていない。そんなケースが中国では非常に多く見られます

通訳を使うと、10分で終わるはずの会議が一時間かけても終わらない

中国で優秀な人材を集め、長期に確保することは極めて難しい

チェックすべきはコストに関する事項だけではありません。三要素である「品質」「納期」「コスト」のすべてを満たす要件を備えているかを見極める必要があります

代金をもらう前に製品を納入したら、その代金はさまざまな理由で減額されたり、支払ってもらえなくなったりする可能性がある。逆に、発注した工事が完了していないうちに支払いを済ませてしまったら、その後はとことん手を抜かれるかもしれない

何が何でも、自分を有利にしようとすることが当たり前の中国では、製品の価格交渉においても言い方次第で価格が乱高下します

見積もりは発注を取るための方便

質の高い中国製品だけを見て「中国製品の品質が全体的に上がってきた」と考えるのは、大きな間違い。むしろ、良いところと悪いところの格差が広がってきたと考える方が正しい

事故を防ぐ手段は一つしかありません。すなわち、相手を信用しないこと。信用したければ、相手を信用に足る存在に自らの手でつくり変えることです

中国の工場で雇うのは中国人。日本流は捨て、当地流でいかなければ優秀な人材は集まらない
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『中国的工場カイゼン記』
http://tinyurl.com/b5mnr
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■目次■
序章 ストレスと涙から始まった
第1章 取引してみたら…
第2章 品質は大丈夫?
第3章 人材採用、人材活用の落とし穴
最終章 甘く見たら痛い目に
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『売上2億円の会社を10億円にする方法』

2005年05月23日 | Weblog
http://tinyurl.com/9mlso

本日の一冊は、船井総研を代表するトップコンサルタントであり、現在、同社の執行役員を務める著者が、小企業が飛躍するための考え方を示した、話題の書です。

既に経営をしている方はおわかりのように、2億円の企業と10億円の企業の間には、厳然たる差があります。

その差というのは、ひと言で言えば、経営者が果たす役割の差。以前、「ビジネスようちえん」の九鬼さんが言っていた「職人」と「マネジャー」の差なのです。

※参考:ビジネスようちえん
http://www.businessyochien.com/

九鬼さんの言葉を借りれば、創業者というのは、多くの場合「職人」から始めるもので、拡大しても、ちょっとうまく行かないと「職人」の領域に逃げ込んでしまうものなのだそうです。

この本では、社長が「マネジャー」の役割を果たすための考え方と、具体的な手法を紹介しています。

社長が制約条件になるのではなく、「他の社員がそれほどの技を持たずしても計算ができてしまうような環境をつくる」ことで、会社を拡大する、というのが基本的な考え方です。

著者の仕事がらか、店舗を持っている企業が前提の議論のような気はしますが、3億円の壁を突破し、会社を「企業」に育て上げたいと思う経営者には、おすすめの一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「自社のビジネスモデル、すなわち設計図をつくる(入手する)」のが社長の仕事になる

自分が計算するのではなくて、他の社員がそれほどの技を持たずしても計算ができてしまうような環境をつくること

一般的な社員は、平均すれば社長の30%くらいしか仕事ができません。でも、それでOKなのです

10億円企業を設計するために取り入れておきたいのは「仕事を分解して、複数の担当者で処理する」やり方

戦闘するのはあくまでも社員(中略)「もう現場には出ない」と決めていただいた瞬間から、「社長の仕事」が変わります

あなたの仕事は自社のゴールイメージと、そこにいたるまでのステップを分かりやすく提示すること

社長でなければ、と要望するお客様ばかりでは、それ以上は伸びなくなる

「社長の右腕」を欲しがる採用方針が成長を阻む

社長が社内でもっとも優秀な人材だからこそ、人材の教育は社長の大事な仕事

ベンチマークとなる単価、平均となる客単価と、客数をセットで考えてください。この数字を最初に決めているかどうか、がひとつの分かれ目です

やたらと高いところで単価設定をしてしまうと、パフォーマンスは最高に良くても後で苦労が待っています。業種が何であれ、単価が高い商品を売るためには、社員の営業スキルだったり、プランニング力だったり、あるいは技術的なレベルが上がっていくことになります

社長の必殺トークを「外出し」する

自分の業務内容をしっかり報告させる習慣を付ける

クレームが発生したときに、社長が出て行ってはいけません(中略)クレームを社員が自分で解決できない限り、それ以上の成長が望めなくなってしまう

自社が掲げているミッションや行動規範に沿った行動、言動をしてきたか、を中心の軸に置いて評価をする
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『売上2億円の会社を10億円にする方法』
http://tinyurl.com/9mlso
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■目次■
はじめに 今日から3年間で売上10億円を実現するために
第1部 10億円企業の基本設計図
第2部 10億円企業へのボトルネック
第3部 10億円企業の設計図I マーケティング工場をつくる
第4部 10億円企業の設計図II マネジメント工場をつくる
おわりに 現場から離れても、やはり社長こそが大黒柱である
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『人生を変えた贈り物』

2005年05月22日 | Weblog
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本日の一冊は、ビル・クリントン前大統領や、世界有数の投資家ジョージ・ソロス、故ダイアナ元妃、テニスプレイヤーのアンドレ・アガシなどのコーチ、アンソニー・ロビンズによる一冊です。

あの本田健さんにも多大な影響を与えたという人物で、その証拠に、日本語版のまえがきは、本田健さんが担当しています。

内容は、いわゆる自己啓発書で、アンソニー・ロビンズの教えのエッセンスがコンパクトにまとめられています。

カーネル・サンダースやビリー・ジョエル、本田宗一郎などの成功者たちが、いかにして困難を克服し、自分の信念を貫き通したのか、豊富なエピソードとともに学べるのが魅力です。

典型的なアメリカの自己啓発書テイストなので、人によって好き嫌いはあると思いますが、テンポよく11の教えを学べる構成は好感が持てます。

決断力を身に付けたい、という人は読んでみたらいいかもしれません。
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■ 本日の赤ペンチェック
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ポジティブ思考だけでは人生は変わらない

人はみな、毎日の生活でこれを変えたい、改善したいと思っているものがあるはずだ。そして、そうした望みはほぼすべて、次の二つのカテゴリーのどちらかに分類できる。つまり、状況に対する感じ方を変えたいか、自分の行動を変えたいかだ

わたしは決して落ち込んだりしない。うまくいかない方法を一つ捨てるたびに、また一歩前進しているのだから(トーマス・エジソン)

成功は正しい判断の結果であり、正しい判断は経験の結果である。そして経験は、ほとんどの場合、誤った判断の結果である

運命を決めるのは、人生を取り巻く環境ではなく、その人の決断である

人生を変えるただひとつの方法は、本物の決断をすることだ。本物の決断とは、必ず実現させると決めたこと以外、すべての選択肢や可能性を切り捨てるということだ

感情が肉体に影響することは多くの人が理解しているが、その逆もまた真実だということをわかっている人はとても少ない。肉体的な動きは感情の動きに大きく影響する。両者を切り離すことはできない

自信と成功と幸福の理想的なモデルに出会ったら、体の使い方だけでなく、その人たちの言葉にも耳を傾けよう。成功した人たちがどのように言葉を組み立てているかを知ることで、大切なものが学べる

パワーをくれる言葉を集めよう

メタファーを変えると世界が変わる

闘うに値するだけの未来を思い描く

何か目標を設定したときには、すぐにそれを支える行動をすること
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『人生を変えた贈り物』
http://tinyurl.com/dhwtd
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■目次■
本書刊行によせて 本田健
この本について
イントロダクション 人生を変えた贈り物
レッスン1 押しつぶされそうな状況を一変させる
レッスン2 人生に失敗などない
レッスン3 誰もあなたを止められない―決断のパワー
レッスン4 信じる力を築き上げて、さあ飛び出そう!
レッスン5 求める現実にフォーカスを合わせる
レッスン6 自分に正しく問いかける
レッスン7 体を使って、最高の自分を感じよう
レッスン8 成功のためのボキャブラリー
レッスン9 メタファーで壁を打ち破る
レッスン10 正しい目標設定が未来をつくる
レッスン11 10日間メンタルチャレンジ
エピローグ 思いやりの世界へようこそ
監訳者あとがき 河本隆行
巻末資料
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『トヨタ式』

2005年05月21日 | Weblog
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本日の一冊は、日本産業新聞の連載企画「トヨタ式」に大幅加筆・修正を施してまとめた、トヨタに関するレポートです。

約2年におよび取材した成果が収められており、トヨタ本体の事業はもちろん、関連会社や海外事業の展開まで、「トヨタの今」を、豊富な事例と関係者の言葉を交えながら紹介しています。

アメリカで販売好調な「プリウス」や、高級車の「レクサス」など、商品の話から、財務、マネジメント、製造現場のオペレーションの話まで、じつに幅広いトピックが扱われています。

絶好調のトヨタだけに致し方ないのかもしれませんが、やや褒めすぎの感があるのが気になるところ。

もちろん、新聞社のレポートだけに、問題点や改善点も示されてはいるのですが、テイスト的には「トヨタ絶賛」といった感じです。

ただ内容は、事実関係や関係者の言葉を中心に構成されており、トヨタの現状と今後の動向を知るにはもってこいの内容です。

政治の話や関連会社のマネジメントの話などを読んでいると、大企業の経営がいかに大変なものなのかを感じることができます。

トヨタ式経営のエッセンスを知りたい方、大企業の経営の要諦を知りたい方には、おすすめの一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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手元資金の三割近くは現預金で持ち、残りも国債、地方債や信用力のない社債が中心。鈴木が「トヨタ財務部に”運用”という言葉はない」と語る姿勢は、バブル期にも揺らぐことがなかった

日々のカイゼンの積み重ねで着実に利益を増やす(張氏の言葉)

トヨタに足りないものは、人、技術、資本の国際化(奥田氏の言葉)

「顧客に迷惑をかけない」「他社が相乗りできる高い技術水準を実現する」「早期のオープン化で部品会社の開発コストを下げる」――。
電機業界を反面教師にトヨタが導いた三つの基本戦略だ

自民党の政治資金団体には日本経団連会長会社として、トヨタは民間企業で最高額の六千四百四十万円を献金(中略)民主党の政治資金団体に百万円以上献金した企業リストにはトヨタ系がズラリと並ぶ

トヨタが情報収集に投じる費用は米国だけで年間数十億円に達するともいわれる。トヨタが採用、契約する米国のインサイダーたちは、三カ月から半年に一度のペースで東京に集まり、会長の奥田碩や社長の張富士夫ら首脳陣に最新の情報とその分析をレクチャーする

「なぜ」を五回唱えるのがカイゼン哲学。疑問を何度も積み重ね深く考察していくことで、問題が発生した本当の原因が浮彫りになる

「デザインが一番大切だ」。本社技術本館(愛知県豊田市)の通用口には、豊田章一郎の言葉が掲げてある。大衆乗用車が原点のトヨタだが、安くて高品質の車を作れば済んだ時代は過ぎた。〇四年六月にはデザイン畑で初の本社常務役員も誕生した。没個性のレッテルを返上できるかどうかは”一番大切なもの”をどう扱うかで決まる

トヨタがレクサス導入に注力する最大の理由は国内での収益体質の立て直しだ。レクサス車に移行する「セルシオ」は最も安いモデルでも約六百万円。コストを絞り込んだコンパクトカー「ヴィッツ」など量販車の値引き競争が激化する中、一台当たりの利益率も高い高級車比率の拡大は収益増に直結する

要求水準を満たせなければ、グループ長男格のデンソーでさえ容赦なく取引を縮小する。トヨタの伝統である「育てる調達」から「選ぶ調達」への変身は従来のケイレツを激しく揺さぶる
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『トヨタ式』
http://tinyurl.com/dkgov
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■目次■
序章 独走トヨタさらに加速―張体制、実りの六年
第1章 七つの「黙示」
第2章 増殖する「トヨタ式」
第3章 競争力の源泉に迫る
第4章 進化する「モノづくり集団」
第5章 レクサスに賭ける
第6章 新ステージ迎えた世界戦略
第7章 頂点へのハードル
終章 渡辺トヨタ「最強」へ船出
付録 欧米自動車大手トップの評価
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『世界を見る目が変わる50の事実』

2005年05月20日 | Weblog
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本日の一冊は、BBCのジャーナリストであり、プロデューサーとして、チョムスキーからサイードまで世界の有識者のインタビュー番組を手掛ける著者が、初めて書いた一冊です。

世界の政治・経済・社会に関する具体的な数字から、意外な真実が見えてくる、というコンセプトの本で、大ベストセラーとなった、『世界がもし100人の村だったら』のハードボイルドバージョンといったところです。

※参考:『世界がもし100人の村だったら』
http://tinyurl.com/9el9j

本書で浮彫りにされるのは、南北問題や人種・性差別問題などさまざま。日本に住んでいてはなかなか実感できない、世界の貧しさや危機的状況がクローズアップされています。

われわれが住む世界の現実を正しく認識する上でも、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆肥満の人の三人に一人は発展途上国に住んでいる
豊かな先進国では見向きもされなくなった肉類が、かつて魚類とトロピカル・フルーツの食生活を送っていたこうした太平洋諸島の国々に輸出され、豊富に売られている。米国からは七面鳥の尻部、オーストラリアおよびニュージーランドからは羊の皮などが入ってくる。こうした脂肪分の多い組織は、以前はペットフードや肥料に使われていたのだ

◆ロシアで家庭内暴力のために殺される女性は、毎年一万二〇〇〇人を超える
ロシアでは、毎年一万二〇〇〇人から一万四〇〇〇人ほどの女性が夫に殺されている。実に四三分に一人の割合である。一方米国で、親密な相手によって殺害された女性の数は一二四七人

◆先進国の国民は年間に七キロの食品添加物を食べている
ガンの専門家たちはアセスルファムKと呼ばれる甘味料を調べ、疑わしいと判断し、より厳密な再調査が必要と訴えた(中略)サッカリンはげっ歯類にガンを起こすことがわかっているし、アスパルテームはめまいや偏頭痛などの神経学的影響との関連が報告されている

◆ケニアでは家計の三分の一が賄賂に使われる
たいていのケニア人にとって賄賂は日常茶飯事で、何かにつけて必要だという。子供を公立校に入れるにも袖の下、医療を受けるにも有力者に鼻薬を嗅がせなくてはならず、出生や死亡の証明書、就職、事業免許さえもが金しだい。ナイロビ在住のケニア人いわく「父親が一〇年前に死んだという証明書を取った翌日に、その父親のパスポートを取ることもできます」

◆武力紛争による死者よりも自殺者のほうが多い
過去四五年のあいだに、自殺率は世界中で六〇%上昇した。世界保健機関(WHO)は、二〇〇〇年には一〇〇万人が自殺し、未遂者はその一〇倍から二〇倍に上ると見ている。自殺はいまや世界の一五歳から三四歳までの層で三番目に多い死因であり、世界中の武力紛争による死者の総数を上回る

◆米国で、銃を持って登校し退学になる生徒の数は、平均して週に八八人
「米国国立小児保健・人間発達研究所」(NICHD)の調査によると、四分の一近い少年が過去一カ月間に武器(銃、ナイフ、棍棒)を手にしたことがあり、約一五%――全米に換算すると二〇〇万人近い――が学校に持ち込んでいる

◆毎年、二〇〇万人の女性が性器切除される
娘にFGMを受けさせる理由はさまざまだ。性欲を封じ込めて婚前は純潔を、結婚後には貞節を守るのだと信じる社会がある。伝承文化、社会的な儀式や作法と見なされていることもある。子宝に恵まれやすくなると思われていることもあるし、衛生や外見を理由に行なわれることもある

◆毎年、西欧向けに人身売買される女性は一二万人
国際移住機構では、年間に約一二万人が西欧に人身売買されていると推定している。多くの女性は東欧――モルドバ、ルーマニア、ウクライナが最も多い
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『世界を見る目が変わる50の事実』
http://tinyurl.com/9t7o3
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■目次■
※多すぎるので今回は省略します
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『図解でスッキリ!お子様業界』

2005年05月19日 | Weblog
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本日の一冊は、タイトル通り、子どもに関する一連のビジネスを、図解形式でわかりやすくまとめたものです。

冒頭で述べられている通り、少子化にもかかわらず、現在、子どもに使われる「愛情マネー」の額は増え続ける一方です。子どもの数は減ったけれども、その分、一人に費やす金額が増えているのです。

本書で紹介しているのは、ファッションやおもちゃ、ベビー用品、教育、そして働くママ支援ビジネスといったものまでさまざま。

最新のビジネストレンドや人気商品、子どもに関する各種データが掲載されており、今後のビジネスチャンスを知るヒントになります。

子どもの年齢別に買われる商品ジャンルをまとめていたり、ランキング形式で「子供たちの欲しがる大人グッズ」「クリスマスプレゼントに欲しいもの」を紹介していたり、じつに参考になります。

子どもがいる方ならある程度理解している部分もあると思いますが、ここまでこの業界を体系的にまとめた本はまずないと思います。

あえて難点を挙げるとすれば、人気商品、サービスに関する写真が少ないことですが、データ関連は図解が豊富でわかりやすく、手っ取り早く要点を理解することができます。

両親、祖父母、そして両親の兄弟や友人までがお金を使ってしまうという現在のお子様業界。その全貌を知りたい方には、ぜひおすすめしたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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お子様業界は少子化の影響をもろに受けそうに思われているが、意外にも安定はしており、わずかながらも消費は増えている

キーワードは「一緒に楽しむ」

子供がいてなかなか美容院に行きづらいという母親も多く、「子連れ可能」という表示のある美容院はクチコミにより地域の話題になるほど

◆ローティーンガール(10歳~15歳)の携帯電話所有率
1.自分専用のものを持っている:44.1%
2.家族と共用の物を持っている:12.8%

◆子供たちの欲しがる大人グッズ(6~8歳)
1.携帯電話 2.化粧品 3.アクセサリー

防犯ブザーを持つ子供が増えている

「個室で楽しむ」というのがポイントで、他のお客さんを気にせずにいられることからお誕生会プランなどはお母さんたちの間で人気

縮小傾向だった栄養ドリンク剤市場は、こうした子供向け商品や女性向けのビタミンドリンクなどのおかげで巻き返している

◆こえだちゃん
子供のころ、手にしたおもちゃの思い出はそう簡単に忘れるものではない(中略)母親層が「なつかしい!」と再び買い求め、それを自分の子供に与えるケースが多い

◆ふたりはプリキュア:関連商品は75億円の売上になる見通し

アレルギー商品の開発はベビー業界最大の使命

知育玩具は「子供より母親に興味を持ってもらう」が大事

◆出産祝いにギフトにほしいもの
1.ベビー服
2.現金・ギフト券
3.チャイルドシート・ベビーカー

大手企業の保育ビジネスへの参入:パソナ、コンビ、ピジョンなど
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『図解でスッキリ!お子様業界』
http://tinyurl.com/d3jgl
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■目次■
はじめに
第1章 子供がマーケットの主役に! 巨大化する子供ビジネス
第2章 大手企業が続々と子供をターゲットにしはじめた
第3章 メディアと結びつき「ジュニアファッション」は急成長へ!
第4章 キッズがはまれば一攫千金の「おもちゃビジネス」
第5章 「ベビーグッズ業界」は”赤ちゃんのためなら…”に応え伸びる
第6章 実店舗は大型化、無店舗は細分化する「ベビー・キッズ専門店」
第7章 子供マーケットの定番といえば「教育関連ビジネス」
第8章 忘れてはいけない! 「働くママ応援ビジネス」
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『ハッピーエンドのつくり方』

2005年05月18日 | Weblog
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本日の一冊は、演劇の手法をマーケティングに持ち込み、推定300億の業績アップに貢献したという、辣腕マーケター、平野秀典さんによる、注目の最新刊です(現在予約中)。

ベストセラーとなった『儲けを生みだす表現力の魔法』同様、「感動は設計できる」をモットーに、お客様と感動をシェアするための具体的手法を紹介しています。

※参考:『儲けを生みだす表現力の魔法』
http://tinyurl.com/7lne7

感動接客の「牛角」や六本木で伝説を作ったレストラン「カシータ」、青山の万年筆専門店「書斎館」などのエピソードも盛り込みながら、感動を創造することの重要性を説いています。

具体的な手法に関しては、「演出テクノロジーを使った3つのドラマのつくり方」や、「効果的な演出テクノロジーのコツ」など、表現力を鍛えるための基本が説かれており、営業マンやマーケターはもちろん、経営者が読んでも参考になる情報が満載です。
著者自身が初めて挑んだという、「序・破・急」の構成がどう受け取られるかは微妙ですが、実務的には参考になる一冊です。

表現力を磨きたい企業や個人におすすめの一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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直球勝負で感動を提供して、ハッピーエンドをたくさん生み出す商売が、繁盛する時代

感動はブーメランで戻ってくる
感動はストックされる
感動は人類最大のモチベーション装置

モノの価値が下がった21世紀では、理屈で説明された論理的納得ではなく、気持ちが通じた心理的納得の重要度が増しています

◆演出テクノロジーを使った3つのドラマのつくり方
1.共感というドラマ:有効な方法は、物語
2.尊敬というドラマ:徹底した「こだわり」、作り手の「プライド」
3.驚きというドラマ:おもいがけなさ

序破急の強弱のリズムが抜群によくなっているものが、名作

◆効果的な演出テクノロジーのコツ
・「比喩表現」で、何かにたとえる
・「比較表現」で、何かと比べる
・「こだわり」を「データ」で表現する
・「モノ」を「色」で表現する
・「感動}を他の感情言葉で表現する

意志とイメージが戦えば、必ずイメージが勝つ。
意志とイメージが一致すれば、その力は足し算でなく掛け算になる。
イメージは、誘導が可能である。
(フランスの医学者エミール・クーエの自己暗示の法則)

人は言葉に対して、今まで生きてきた人生で身につけた固有の解釈や体験があります。日頃意識して、違う年代や違う文化と接触していないと、相手も同じコンテクストでイメージしていると思い込んでしまうことがあります。一流の役者は、このコンテクストが広い

表現力の基本は、話すことではなく「聴くこと」

よく観れば、いろんなことが観えてくるものだ(ヨギ・ベラ)

プロは感動を設計し、アマチュアは偶然に任せる
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『ハッピーエンドのつくり方』
http://tinyurl.com/ba2a7
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■目次■
プロローグ
第1章 共演者という発想 関係性のパラダイムシフト
第2章 華麗なる演出テクノロジー 感動を深める方法
第3章 ハッピーサプライズ 感動設計のアート
エピローグ
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『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』

2005年05月17日 | Weblog
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本日の一冊は、読者数2万5千人を誇るメールマガジン「小が大に勝つ弱者逆転★ランチェスター戦略★」の発行人である著者が、ランチェスター戦略の要諦をまとめた一冊です。

歴史上の戦いの事例や、実際の企業の事例をもとに、弱者が強者に勝つための考え方と、具体的な方法論について述べています。

本書で述べられているのは、プチ成功事例と戦術のみにフォーカスした、メルマガにありがちな内容ではなく、ビジネスで勝つための原理原則です。

事例に関しても、東急田園都市線の溝の口・梶ヶ谷で圧倒的シェアを誇るガイアフィールド、ガムテープ市場No.1のニトムズ、動物園のお土産で売上トップクラスにのし上がったゴリラの鼻くそなど、巷にあふれている事例とはちょっと違う、ユニークなものが取り上げられています。

戦国時代好きの著者のテイストには賛否両論あると思いますが、全体的には、文章も読みやすく、うまくまとめられています。

ランチェスター戦略を一から学びたい人には、おすすめの一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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ナポレオン=全体としては少数であっても、相手よりも兵力数が多くなる局面をつくった

「局所優勢主義」こそ、弱者逆転のグランドルール
弱者は、万人受けを狙ってはならない

戦略とは、目標達成のためのシナリオと資源の最適配分
戦術とは、戦略シナリオ実行の手段

ランチェスター第1法則:戦闘力=武器効率×兵力数
(1対1の戦い、単発兵器、局地戦、接近戦に適用)

ランチェスター第2法則:戦闘力=武器効率×兵力数の2乗
(集団対集団の戦い、近代兵器、広域戦、遠隔戦に適用)

大は第2法則で戦うべきで、小は第1法則で戦うべき

3:1の法則=3対1で戦えば必ず勝てる

◆ランチェスター戦略の結論ともいえるグランドルール
1.No.1主義=部分のダントツ1位を目指すこと
2.一点集中主義=儲けたかったら戦線を縮小せよ(商品、地域、客層)
3.「足下の敵」攻撃の原則=シェア1ランク下の企業を攻撃目標に

強者の戦略「ミート戦略」=模倣して弱者の差別化商品にぶつける

ランチェスターの価格の差別化とは、強者とは違った価格帯で戦うこと

弱者が重視すべき直販とは「自ら売り切る力」を持つこと

◆弱者と強者のランチェスター5大戦法
・弱者:「局地戦」「一騎打ち戦」「接近戦」「一点集中主義」「陽動戦」
・強者:「広域戦」「確率戦」「遠隔戦」「物量戦」「誘導戦」

弱者・強者の区別なく、情報発信力の強いものが勝つ時代

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ビスマルク)
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『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』
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■目次■
プロローグ 勝ちに飢えているあなたに
第1章 今、甦る常勝の「ランチェスター法則」
第2章 ビジネス下克上時代の勢力図「占拠率のサイエンス」
第3章 戦略の奥義「ランチェスター3つのグランドルール」
第4章 弱者逆転の極意「弱者の戦略vs強者の戦略」
第5章 勝利のロードマップ「ランチェスター戦略の実戦体系」
第6章 ランチェスターで斬る!「弱者逆転企業の実例」
エピローグ ”本物”の勝利を得るために
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