ビジネス書の厳選情報を毎日お届け 「ビジネスブックマラソン」 バックナンバーズ

アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『常識の壁をこえて』

2005年04月30日 | Weblog
http://tinyurl.com/b64bg

本日の一冊は、かつて『ビジネス版悪魔の法則 ポジティブ思考のウソを斬る』の名で邦訳され、高い評価を受けていた、『No Rules』を復刊したものです。

「なにをモチベーションの材料にするかについて、他人にとやかく言われる筋合いはない。その人によってそれが有効なら、それでいい」と書いてあることからもわかる通り、ここで書かれているのは、極論ながら、読者のモチベーションを著しく刺激してくれる言葉ばかり。

学歴のない人には、「一般に、大学教育は、他人の下で働く、つまり他人に依存して生きるための準備にしかならない」と言って、やる気を鼓舞したり、また、目立ちたがり屋には「なにかを成し遂げようとすれば、はじめから強い反感を買うことを覚悟しなくてはならない」といってなぐさめたりします。

また、人から高い報酬をもらうことに抵抗感を感じている人には、「素人が同じ知識を獲得するのにどれだけのコストがかかるかわかっていないのだ」と正当化の理由を与えたりもしています。

著者の専門であるマーケティングに関しては、時代に追いつかれてしまったのか、あるいは後進が著者のマネをしたのか、意外にもオーソドックスな話が多く、あまり得るところがないですが、事例として登場するビジネスパーソンのエピソードは楽しく読めます。

ドナルド・トランプの傲慢さ、アイアコッカから感じる威圧的な雰囲気など、あまり語られることのない成功者のもう一つの顔がありのままに描かれている点も、本書の魅力でしょう。

自分を本気でモチベートしたい方におすすめの一冊です。
-------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
-------------------------------------
◆監修者の言葉から

人間は失敗するのが怖いのと同時に、コンフォートゾーンを超えて成功することも恐れているのです

他人を怒らせる覚悟がないと人を動かすことはできない

◆著者の言葉から

正直に白状する人はほとんどいないが、大きな成功を収めた人のなかにも、決して褒められたものではない「ネガティブ」な悪の感情を原動力にした人が少なくない

ビジネスの世界で「謙譲の美徳」を実践していては、とうてい顧客や消費者の注意を引くことなどできない

ビジネスの世界では、自分のアイデアや情報や利益を守るために、そして自分の知識と専門技能に対して少しでも高い料金を得るために最大限の努力をしなければならない

最も有能で高給取りの広告マンは、実にきちんとした人たちで、膨大なデータを集めて検討し、じっくり考えて結論を導き出していた

途中でやめた人間だと言われることを恐れてはいけない

お客さまがいつも正しいとは限らない
----------------------------
『常識の壁をこえて』
http://tinyurl.com/b64bg
----------------------------
■目次■
成功したけりゃルールを破れ! ――はじめに
第1章「ポジティブ思考」のウソ 
第2章「生まれつきの素質がないと」のウソ
第3章「大学くらい出ていないと」のウソ
第4章「謙譲は最大の美徳」のウソ
第5章「礼儀正しくあれ」のウソ
第6章「クリエーティブであるべし」のウソ
第7章「継続は力なり」のウソ
第8章「運なんて関係ない」のウソ
第9章「急いては事をし損じる」のウソ
第10章「仕事と遊びははっきりわけろ」のウソ
第11章「ハイテク万能主義」のウソ
第12章「お客様は神様です」のウソ
第13章「リッチになるには時間がかかる」のウソ
第14章「元手がないと話にならない」のウソ
第15章「商品が良ければ売れる」のウソ
第16章「マーケティングの常識」のウソ
第17章「マネジメントの常識」のウソ
第18章「無用の変革は禁物」のウソ
第19章 常識破りの成功者たち
おわりに
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『20代で始める「夢設計図」』

2005年04月29日 | Weblog
http://tinyurl.com/dg9km

本日の一冊は、GMOの代表取締役、熊谷正寿さんによる、注目の
新刊です。

著者が20代にやってきたという、人生設計の方法について説いたもので、成功するための「5つの原則」と、それぞれに関する注意点、考え方などが示されています。

ベストセラー『一冊の手帳で夢は必ずかなう』でも話題を呼んだ、「夢・人生ピラミッド」をもとに、達成したい夢と行動計画の整合性について論じたり、仕事選びや人脈作りに関するアドバイスをしたりと、内容はじつに多岐にわたっています。

※参考:『一冊の手帳で夢は必ずかなう』
http://tinyurl.com/5loww

20代向けに書かれたせいでしょうか。前著『一冊の手帳で夢は必ずかなう』で見せた著者のマニアックな一面がごっそりそぎ落とされ、ちょっと食い足りない感じがしますが、人生で必要な心構えは、おおよそカバーされていると思います。

これから社会人になる方、あるいは社会人になって間もない方にとって、参考になる一冊だと思います。
------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
------------------------------------
「後悔する人生」を考えると、いやでもその逆をいこうという思いが強くなります

本気で夢をかなえたいのなら、とにかく達成期限を決めて、そこから遡って行動プランを立てること

「すべての責任は自分にある」と腹を括ると、そのときから人生はプラスの方向へと転換します

商売は飽きず、あきらめず、気長に辛抱して挑戦するものだ。これを継続できる人が、最後は成功する

「社会生活の夢は、会社の夢とガッチリ合わせる」これは、一番・一流を目指す仕事術の基本の基本

学ぶとは、いかに自らが知らざるかを知ること

失敗したところでやめてしまうから、失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる

重要な情報は「いつでもどこでも取り出せる」状況にしておくこと

若いうちは、人脈を作る努力をしなくてもいい――なぜなら、自分の力をつけることと、多くの人をひきつけるだけの魅力を備えた人間になるための努力をすることのほうが、最優先課題だと思うから
---------------------------------------
『20代で始める「夢設計図」』
http://tinyurl.com/dg9km
---------------------------------------
■目次■
はじめに 20代で最優先すべきこと
原則1 20代のうちに「夢設計図」を作る!
原則2 自分が笑顔になれる仕事を選ぶ!
原則3 すべてを吸収し、最速で成長する!
原則4 常にNo.1を目指す!
原則5 運命は自分で決める!
必ず夢をつかむために
おわりに
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『理解する技術』

2005年04月28日 | Weblog
http://tinyurl.com/7cx3q

本日の一冊は、ベストセラー『「分かりやすい表現」の技術』の著者、藤沢晃治さんによる注目の最新刊です。

※参考:『「分かりやすい表現」の技術』
http://tinyurl.com/d3lrg"

今回は、情報を発信する側の話ではなく、情報を受信する側のテクニックについて論じています。

人間が文章を読んで理解するまでのメカニズムをわかりやすく解説し、その上でどんな読み方が有効かを説いています。

読書術に関しては、「アウトプットしながら情報収集する」、「根拠の部分を探しながら読む」、「目次が付加されていない情報に接したときには、自分の頭の中で目次をつくる」など、実践的なアドバイスが満載で、なかなか役に立ちます。

ほかにも、図表をつくりながら読むテクニックや、記憶力を高めるテクニック、そして人から情報を得るテクニックなども盛り込まれています。

本書に書かれている内容は、大量の情報を処理する際に必要なテクニックと心構えです。極めてベーシックな考え方ではありますが、

日々大量の情報にさらされている方、理解力を高めたい方は、読んでおいて損はないと思います。
------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
------------------------------------
情報収集の効率を高める決め手は、「アウトプット」です。情報収集が完了していなくても、ある程度情報を受信した時点で、とりあえず人に説明をしてみます。そうすることによって、自分がよく理解していない点が見えてきます。

◆脳内関所の特徴を利用した読み方
1.情報入力を小単位に区切る
2.本文を読む前に、各章のタイトルに一通り目を通して全体像を把握
3.根拠の部分を探しながら読む

仮説が当たっている部分はスピードアップして読み飛ばし、仮説と違っている部分だけ丁寧に読んでいけば、時間を有効に使うことができる

本や書類を読むときも、人の話を聞くときも、頭の中で図や表をつくりながら理解していくと、スピーディーに効率的に情報を得ることができます

情報を記憶するときには、その情報の中から早くルールを発見する

----------------------------------
『理解する技術』
http://tinyurl.com/7cx3q
----------------------------------
■目次■
プロローグ こんな経験はありませんか?
第1章 アウトプットしながら情報収集する
第2章 分かりにくい文章から意味を読み取るには
第3章 文章から情報を読み取る基本テクニック
第4章 情報を手っ取り早くつかむテクニック
第5章 図表をつくりながら読むテクニック
第6章 記憶力を高めるテクニック
第7章 情報にだまされないテクニック
第8章 一夜漬けで乗り切る勉強テクニック
第9章 職場の情報収集テクニック
第10章 人から情報を得るテクニック
効率的な情報受信のポイント
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『60分であなたもブランド戦略家』

2005年04月27日 | Weblog
http://tinyurl.com/9cg74

本日の一冊は、マーケティング戦略の専門家、イドリス・ムーティが、世界のトップブランドのケーススタディをもとに、ブランディングの要諦や、マーケターに必要な心構えを説いたものです。

著者によると、ブランドとは「製品を通して人々の主観的な経験に影響を与える目には見えない何かであり、いわば製品を取り巻く個人の記憶や文化的な連想」のこと。

「製品は商人によって売られるが、ブランドは顧客によって買われるもの」という言葉からもわかるように、ブランドの価値を決めるのは顧客ですが、一方で、ブランドは主体性を持たなければならない、というメッセージも発しています。

途中、「8カ月の時間と膨大なエネルギーをブランド戦略に費やして、変わったのはロゴとタグラインだけだった」という笑えない失敗例も紹介しながら、これまでのブランディングに欠けていた視点や、これから求められる考え方を示しています。

とくに興味深かったのは、「何かを象徴せよ、さもなければ、何をやっても失敗する!」という考え方や、「何に対して消費者は最も関心を抱いており、その結果として、どのような心理状態になるかについての、掘り下げた理解が必要」という指摘です。

また、「企業は、物語や神話をベースにして成功するようになるであろう」という話も、これからの企業のマーケティングを考える上で、重要な示唆を含んでいます。

斬新なレイアウトが目を引く本ですが、中身も読み応えがあります。
マーケターや広告・PR担当者必読の一冊です。
-------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
-------------------------------------
(ブランドは)製品を通して人々の主観的な経験に影響を与える目には見えない何かであり、いわば製品を取り巻く個人の記憶や文化的な連想

製品は商人によって売られるが、ブランドは顧客によって買われる

企業にとって最も価値のある資産は、顧客との関係性なのである

何かを象徴せよ、さもなければ、何をやっても失敗する!

何に対して消費者は最も関心を抱いており、その結果として、どのような心理状態になるかについての、掘り下げた理解が必要

社会は、自動化することが困難な人間の能力、すなわち、情動により価値を置くようになってきた

企業は、物語や神話をベースにして成功するようになるであろう
--------------------------------
『60分であなたもブランド戦略家』
http://tinyurl.com/9cg74
--------------------------------
■目次■
4 はじめに
7 ブランドのすべて
31 ブランディングの現状
99 ブランド・マネジメントvs.ブランド・リーダーシップ
105 ブランド・アーキテクチュア
111 戦略的ブランディングのプロセス
143 ラグジュアリー・ブランドのマーケティング
169 メタフィジカル・ブランドのマーケティング
177 ブランドの評価
185 ブランド監査
194 警告
197 訳者のことば
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『サービスの底力!』

2005年04月26日 | Weblog
http://tinyurl.com/du47a

本日の一冊は、顧客満足度日本一、ホンダクリオ新神奈川の社長、相澤賢二さんによる、サービス哲学と具体的施策の紹介です。

もともと商売人の家に生まれ、本田技研工業に務めていた時の得意先にタンカを切ったのがきっかけで起業した、というだけあって、じつに骨太な経営論が展開されています。

お客様を「弱者」と考えることで、相手の不安に真摯に対応することができる、という考え方や、営業マンのため、顧客のために、訪問販売・売掛けは一切しないなど、一見、非常識ながら、筋の通った考え方が披露されています。

実務に携わる方であれば、「大変満足」と答える顧客の比率が業界平均の2倍以上という、ホンダクリオ新神奈川の施策や、顧客の声、アンケート結果などが参考になるでしょう。

地味な本ながら評判が良い、ということで読んでみましたが、評判に違わぬ力のある内容だと思いました。

営業マンはもちろん、顧客満足度を高めたい経営者にも、ぜひおすすめしたい一冊です。
-------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
-------------------------------------
「お客様のために尽くす」では、真の満足は得られない

徹底してお客様の声を聞いてみること

お客様は弱者である

一歩引いて考えてみて、「この営業スタイルが、お客様や他の人から見て、どう思われるのか」ということも一度考えてみてもらいたい

商品を引き渡すという一番嬉しい時に、お金を払う・受け取る、というのが、買い手としても売り手としても、一番いいこと

値引きしないことこそ、サービスだ

「普通」のアンケートハガキが来たらどうするか? もう大騒ぎします。もし具体的にここが不満だったということが書いてあれば、すぐに直接お詫びの電話をします
-----------------------------
『サービスの底力!』
http://tinyurl.com/du47a
-----------------------------
■目次■
序 「顧客満足度日本一の店」の正体 
第1章 ホンダクリオ新神奈川の「非常識な常識」 
第2章 日本一の店作り 
第3章 すべてのサービスの基本は「人」にある
おわりに
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『日本のお金持ち研究』

2005年04月25日 | Weblog
http://tinyurl.com/c66dr

本日の一冊は、『日本の経済格差』をはじめ、数々の好著で知られる、橘木俊詔さんによる、日本の億万長者に関する論考です。

※参考:『日本の経済格差』
http://tinyurl.com/8wdwb

年間納税額3000万円以上(年収約1億円以上)の億万長者にアンケート用紙を配布し、得られた有効回答数465とインタビューをもとに、日本の億万長者の横顔を明らかにした、注目の一冊です。

本書によると、日本の億万長者の大半は、医師と企業経営者であり、最近では、医師のなかでも眼科や美容外科の開業医、経営者のなかでもITや健康食品、パチンコなど、従来は注目されていなかった分野での起業家が増えているようです。

億万長者たちの仕事を愛する姿勢や、貯蓄率の高さ、生活習慣など、さまざまな点が垣間見える点も魅力ですが、このあたりは他の本でも指摘されていることです。

むしろ、本書から得られる新たな発見は、「成功のモデルは変わった」ということ、そして「『ブランド』や『大組織』ではなく『個人』の時代に変化した」ということなのではないかと思います。

著名な学者が書いているだけあって、データに基づいた客観的な分析は、じつに読み応えがあります。

最近出たお金持ち研究本の中では、いちおしの一冊です。
--------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
--------------------------------------
三〇年間同じことをただ勤勉にし続けてきただけというお金持ちが多い。大切なのは継続力

◆日本の億万長者
1.企業創業者 平均資産72億円(今回調査)31.7%
2.開業医 平均資産18億円(今回調査)15.4%

弁護士や会計士は、実はそんなに所得が高い人は、日本ではほとんどいない(高所得者は、本書で書かれている4タイプ)

アンケートに答えた人々の九〇%以上は既婚者であり、同一の配偶者との結婚生活が三〇年以上にも及ぶ人が多数であった

ハイリスク・ハイリターンを愛する人でないと、いつの時代でも経済的成功者になれない
-------------------------------------
『日本のお金持ち研究』
http://tinyurl.com/c66dr
-------------------------------------
■目次■
序章 「お金持ち」とはどんな人々か
第1章 医療の需要と供給からみた医師
第2章 弁護士という職業
第3章 経営者はお金持ちか
第4章 日本の上流階級   
第5章 お金持ちの資産形成
第6章 お金持ちの日常生活
第7章 高額所得者への課税
第8章 結論
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『商経 無一文から一兆円稼いだ中国商人の教え』

2005年04月24日 | Weblog
http://tinyurl.com/b4efk

本日の一冊は、今からおよそ百数十年前の清王朝時代に、金融機関の徒弟から身を起こし、一代で巨万の富を築いた人物、胡雪岩の教えをまとめたものです。

胡雪岩は、自らの自伝や経営に関する著作は残さなかったため、本書は、彼の断片的な発言をもとにまとめられました。

胡雪岩だけにとどまらず、李嘉誠や松下幸之助、陳玉書、陶建幸など、アジアを代表するリーダーたちの例もふんだんに盛り込んでおり、大変読み応えがあります。

経営者としての心構えやビジョン、人材の活用法、人身掌握術、戦略、ネーミングテクニックまで、じつに幅広い内容が、豊富なエピソードとともにつづられています。

とくに、人材のマネジメントに関しては紙数が割かれており、「金を使う時に重要なことは、機会と人物が適切かどうかをよく見極めること」「思い切って使い、使うからには疑いを持たない」といった教訓は、経営者・マネジャーなら、心しておきたいところです。

全体を通して読むと、商売の成功とは、人間としての成功でもある、ということがよくわかります。

ときには策略家、ときには人格者。不屈の精神で事業に挑み、人を信じて人を生かす、胡雪岩の経営の要諦が、限られた資料から、うまく掘り起こされていると思います。

いまどきの日本のビジネス書には見られない、骨太の経営論が楽しめる、かなりおすすめの一冊です。
------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
------------------------------------
金で金を稼ぐのではなく、人で金を稼いでこそ自分の手腕が発揮される

人材を抜擢する際は、特に周囲から非難されてきた人物に注目する必要がある

その人が人材となり得るかどうかは、使われ方で決まる(中略)大きな才能は大きく使い、小さな才能は小さく使えばいい

他人が思いつかないことを考え、見えないものを見て、他人がしないことを実行に移すことが、すなわち成功の秘訣である

事を謀るは人に在り、事を成すは天に在り(諸葛 亮 孔明)
志を立てるは我に在り、仕事を成すは他人に在り(胡雪岩)

どんな人間も、桃を贈られれば李を返してくれるものなのである

信義は商売繁盛につながり、誠実は天下の客を集める

道徳と良心は知っていても、金を稼ぐ方法を知らなかったり、一定の事業手腕を持っていなければ、成功はおぼつかない
----------------------------------------------
『商経 無一文から一兆円稼いだ中国商人の教え』
http://tinyurl.com/b4efk
----------------------------------------------
■目次■
逆境の章 砥身(としん) 逆境にチャンスをつくり出す
人材の章 尽人(じんじん) 人を思いのままに動かす
好機の章 逐時(ちくじ) 来るべき時に大胆に行動する
時流の章 任勢(にんせい) 潮流にうまく乗る
組織の章 結営(けつえい) 点在する力を一つに集める
自信の章 堅信(けんしん) 一度立てた信念を守り続ける
信用の章 篤義(とくぎ) 世に響く名声を手に入れる
仁義の章 智仁(ちじん) 信頼を勝ち得るサービス
決断の章 勇謀(ゆうぼう) 大きな危険に賭ける
戦略の章 手活(しゅかつ) ライバルに勝つ秘策を練る
宣伝の章 造場(ぞうじょう) 美しく着飾って期待を抱かせる
評判の章 揚名(ようめい) 誰にも負けない金看板を掲げる
当意の章 洞明(どうめい) 人の心を見抜き、すばやく立ち回る
貢献の賞 効国(こうこく) 社会を案じ、天下を憂う
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『カルトになれ!』

2005年04月23日 | Weblog
http://tinyurl.com/9j2mc

本日の一冊は、アメリカの経営コンサルタント2人が、ハーレー・ダビッドソンや、WWE、アップル・コンピュータ、リナックスなどの強力なカルトブランドを研究し、顧客を信者化する方法について論じたものです。

著者が指摘しているように、ここで紹介されているカルト企業は、過去に大失敗をしたり、倒産したりと、どん底を経験したにもかかわらず、這い上がってきました。それを支えたのは、まさに信者化した顧客だったのです。

では、このような顧客の信者化は、いかにしてなされるのでしょうか? 本書では、この疑問に対する答えを、「顧客を信者にする7つのルール」としてまとめています。

その7つのルールは、目次にもまとめられていますが、具体的には以下の通り。

第一のルール 人は他人とは違っていたい!
第二のルール 「大胆さ」と「強い意思」を持て!
第三のルール 「ライフスタイル」を売れ!
第四のルール 「伝道師」を生み出せ!
第五のルール クラブを生み出せ!
第六のルール 顧客を選ぶな!
第七のルール ノスタルジアを売れ!ライバルからパワーを引き出せ!

本書では、このルールを、各ブランドが具体的にどう実践していたのか、興味深いエピソードが語られています。

とくに印象に残った教えは、「私たちは、他と桁外れに違うものに心をひかれる」という点。カルトブランドは、この桁外れに違う価値を実現するために、桁外れのリスクをおかしているのです。

もちろん、それだけではありません。彼らは、この桁外れの価値を伝えるために、伝道師を生み出し、クラブを作り出し、信者たちの結束を強固なものにしています。

そして、土井が今年のベストセラーのキーワードの一つとして挙げていた「ノスタルジア」についても語られています。

「感情で消費する時代」の企業のあり方が、書かれた一冊として、ぜひ読んでほしい一冊です。
------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
------------------------------------
◆ブランドを形作る3つの変数
1.デザイン 2.メッセージ 3.センス

私たちは、他と桁外れに違うものに心をひかれる。そして、カルト・ブランドに通じたメーカーは、このような行動に乗じている

企業の大きさ、規模、商品の量はカルト・ブランドとは何の関係もない。必要なのは、あえて異端であり続けられるだけの勇気を胸に、かなり大きなリスクを背負うことである

アップルのテーマは、権威や画一性に対する抵抗だったのです。そして現実には、自己実現と自己強化に焦点を当てていたのです

どの企業でも、顧客を本当に大切にしていることを、彼らに示すことは可能である。つまり、規模に関係なく、常連客を定期的に集めるだけの安上がりな方法を見つけられるのだ
---------------------------
『カルトになれ!』
http://tinyurl.com/9j2mc
---------------------------
■目次■
プロローグ カルトの秘密を探る!
第一のルール 人は他人とは違っていたい!
第二のルール 「大胆さ」と「強い意思」を持て!
第三のルール 「ライフスタイル」を売れ!
第四のルール 「伝道師」を生み出せ!
第五のルール クラブを生み出せ!
第六のルール 顧客を選ぶな!
第七のルール ノスタルジアを売れ!ライバルからパワーを引き出せ!
あとがき
訳者あとがき
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『起業のネタ!』

2005年04月22日 | Weblog
http://tinyurl.com/9rlv8

本日の一冊は、週末起業フォーラムのチーフコンサルタント、森英樹さんが、起業ネタを探す方法や、具体的なネタ、ネタをビジネスにつなげる具体的手順について述べた注目の新刊です。

週末起業フォーラムの会員アンケートの結果によると、「独立・起業したいのにできないワケ」の第1位は「起業ネタがない(46.9%)」、第2位は「事業化ができない(25.9%)」第3位は「時間が足りない」なのだそうです。

2番目と3番目の理由をあげる人には、「だったら起業するな!」と突っ込みたいところですが、「起業ネタがない」というのは何となくわかる気がします。

本書は、そんな「起業ネタがない」起業家予備軍に向けて、極めて現実的なアドバイスをしています。

著者は、冒頭で、オリジナリティを求めすぎると、「最初に買ってもらうまでが大変」で、かつ「成長の可能性のあるビジネスを見逃し、チャンスを逸することになりかね」ない、と指摘しています。

ほかからネタを借りてくることや、カテゴリーとカテゴリーの中間の部分に着目すること、好きなこと、得意なこと、時流に乗っていること、組み合わせることなど、じつにさまざまな考え方が示されています。

本書が親切なのは、「起業した後」のことを考慮しながら、起業ネタのアドバイスをしている点です。成功するために、あえて「事業化に困難を伴うもの」を選ぶ、「ネタの優劣は『誰に』売るかで決まる」などといったアドバイスは、「斬新なネタ」にばかりフォーカスしている起業家予備軍には、「目からうろこ」の視点に違いありません。

ほかにも、起業してから副次的に生まれてくるビジネスの話や、実際に始める際の手順などが簡潔に書かれています。

これから起業を考える人には、うってつけのテキストではないでしょうか。

さすが、起業したい編集者が作っただけのことはあります(笑)。
-----------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
-----------------------------------
世の中に既にあるビジネスだとしても、ちょっとした味付けでオリジナリティを加え、オンリーワンを主張したり、ナンバーワンに躍り出ることは十分に可能

成功する起業ネタを考えるなら、少々、事業化に困難を伴うものの方が有利

ビジネスの成功を論じるなら、常に商品と顧客をセットにして考えなければならない

起業ネタは「何を(商品)」と「誰に(顧客)」の組み合わせです。ビジネスとして成立させるには、さらに「どうやって(販売システム)」が必要です
-----------------------------------

『起業のネタ!』
http://tinyurl.com/9rlv8

------------------------------------
■目次■
はじめに 「自分だっていつかはきっと…」
第1章 起業を阻む最大の壁
第2章 間違いだらけの起業ネタ発想法
第3章 「起業のネタ」はこうやって発想する!
第4章 「起業のネタ」は芋づる式に生まれる!
第5章 起業ネタをオンリーワンビジネスにしよう!
第6章 もうネタには困らない!
おわりに 「起業したいのにネタがない? そんなバカな!」
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『日本型「成果主義」の可能性』

2005年04月21日 | Weblog
http://tinyurl.com/creet

本日の一冊は、大ベストセラーとなった『内側から見た富士通』の著者、城繁幸さんによる注目の新刊です。

※参考:『内側から見た富士通』
http://tinyurl.com/bv8zs

年功序列と成果主義の違い、成果主義の現状と問題点、そして成果主義の導入方法までが、実例とともに示されています。

著者によると、成果主義を導入している日本企業の9割は、「目標管理制度」を導入しています。この「目標管理制度」が機能するには、

1.目標が数値目標化できる
2.目標のハードルが同じ高さ
3.常に目標が現状にマッチしている
4.評価の際、達成度だけで絶対評価が可能

という4つの大前提が満たされる必要があるのですが、これがなかなか難しいようです。たとえば、1.の「目標が数値目標化できる」であれば、すべての仕事の成果を数値化するのは難しいわけで、無理に数値化を推し進めれば、著者が指摘するように、「部の数値目標に直結しやすい花形業務を担当する人間」と「縁の下の力持ち的人間」という二極化が進んでしまいます。

また、土井もかつて経験したことですが、こういうやり方を取ると、必ず評価を優先して、会社の利益を犠牲にする人間が出てくるのです。つまり、著者が言うように、、目標が「本来やるべき業務とかけはなれた内容」に変わり、数値目標が形骸化するのです。

また、80対20の法則に基づくと、成果を挙げられる人は全体の一部ですから、じつは成果主義でモチベーションが上がるのは全体のごく一部。つまり、成果主義には構造的な問題があることがわかります。

ほかにもいくつか挙げられていますが、前作でも最大の読みどころだった成果主義の問題点は、さすがに読み応えがあります。

こうした問題点をふまえて、著者は、日本型「成果主義」のあり方について、自論を展開します。成果主義導入における経営陣や管理職の責任、現場の管理職への権限委譲、そして、敗者復活の必要性…。

正しい評価制度とは何か、考えさせてくれる、そんな本です。人事はもちろん、経営者、マネジャーなど、評価に携わるすべての方におすすめしたい一冊です。
------------------------------------
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
------------------------------------
企業は従来の「いかに組織を大きくするか」というコンセプトから、「いかに組織を削るか」というコンセプトへ、発想の大転換をせざるをえなくなってしまった

【「目標管理制度」が機能するための前提】
1.目標が数値目標化できる
2.目標のハードルが同じ高さ
3.常に目標が現状にマッチしている
4.評価の際、達成度だけで絶対評価が可能

数値目標は程度の差こそあれ、必ず形骸化する

いったん敗者となってしまった社員に、再挑戦の機会と意欲を提供していくこと、そして社員の総モチベーションを少しでも高めること――それこそ、成果主義における、人事部の目指すべき目標
------------------------

『日本型「成果主義」の可能性』
http://tinyurl.com/creet

------------------------
■目次■
はじめに
第1章 年功序列制度とは何だったのか
第2章 成果主義の現状
第3章 なぜ成果主義が機能しないのか
第4章 日本型「成果主義」はどうあるべきか
第5章 成果主義がもたらすもの
おわりに
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『渋谷ではたらく社長の告白』

2005年04月20日 | Weblog
http://tinyurl.com/6h2fv

本日の一冊は、現在、全国の書店で大ブレイク中!の、サイバーエージェント代表取締役、藤田晋さんによる半生の記録です。

自分の生い立ちから、学生時代に経験したベンチャー企業での経験、インテリジェンスへの就職、そして起業、上場…。自らを引き立ててくれた周囲への感謝や、やむをえない事情で裏切ることになった上司に対する反省の気持ちなどが、飾らない、素直な言葉でつづられています。

赤ペンチェックにはとても向かない本ですが、読んで印象的だったエピソードや言葉をご紹介しましょう。
--------------------------
■ 本日の赤ペンチェック
--------------------------
(カネボウで働く父は)安定を手に入れることと引き換えに、夢を追いかけることはできなかったのです。私は仕事一筋に命をかける父を誇らしく思う反面、心から共感することができませんでした。

(就職時)今、同じ経営者になってみればわかります。内部の人間に自社の成長性を見限られたようで、その精神的な辛さは計り知れません。(中略)ひと一倍目をかけていた私が、ライバル会社に就職する。今思えば、これが渡辺専務に対する一度目の裏切りだったのかもしれません――。

(インテリジェンス)私は最初から毎日終電ぎりぎりまで働きました。土日も当然のように出社して仕事をしていました。(中略)死ぬほど頑張って会社に貢献しているのは当然だけど、これはすべて自分への先行投資で、後々自分の夢を実現すれば十分投資は回収できる。そんな風に考えていたのです。

(宇野社長に言われたこと)大事なのは金じゃない。本当に大事なのは志を共有できるかどうかなんだ。その辺をよく考えて欲しい

(創業直後)ウェブマネー自体もまだ立ち上げたばかりでそんなに余裕があったわけではありません。高津社長の私たちを応援してくれた優しい気持ちに感謝で胸がいっぱいになりました。

(サイバークリック製作の話)それが堀江さんとの初対面でした。当時の彼は26歳。私は25歳でした。長髪で今よりだいぶ太っていた堀江さんは私が想像していたとおりの「おたく」的雰囲気を持っていました。

(上場直前)「時価総額10兆円を目指します!」(中略)26歳。高すぎる目標設定。しかし、私は若く、怖いものはありませんでした。志は高ければ高いほどいい。

(ネットバブル崩壊)インターネット関連の株価は容赦なく下げ続けます。マスコミは手のひらを返したように、厳しい論調に変わっていきました。

(株保有率が下がっていた時)クレイフィッシュの松島社長の教訓もあって、プライドを傷つけられようが、理不尽なことを言われようが、謙虚に、忍耐強く、何があっても絶対にキレないこと、それを胸に誓っていたのです。

(28歳の時)<「21世紀を代表する会社をつくる」。これからはもう何があっても信念を曲げない>私は、堅くそう決意したのでした。
--------------------------
簡潔な文章ながら、著者の関係者に対する配慮や、事業にかける熱い情熱が伝わってくる内容です。もちろん、女優・奥菜恵さんとの関係についても書かれています。ノンフィクションとしても楽しめる一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『渋谷ではたらく社長の告白』
http://tinyurl.com/6h2fv

です。これから起業したい方にはもちろん、既に起業した人にも、情熱を吹き込んでくれる、そんな一冊です。

■目次■
プロローグ
一章 裏切り、それでも手放せなかった夢
二章 ゼロからの起業
三章 ネットバブルの波に乗る
四章 バブル崩壊、孤独と彷徨
五章 ランナーズ・ハイ
and more 渋谷ではたらく社長の一日
あとがき
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『あのブランドの失敗に学べ!』

2005年04月19日 | Weblog
http://tinyurl.com/awylw

本日の一冊は、マクドナルドやケロッグ、ソニー、ペプシ、GM、アメリカン航空、デル、IBMといった世界に名立たる有名企業・ブランドの失敗例を、全部で60集めた、注目の一冊です。

似たようなコンセプトの本としては、失敗製品コレクター、マックマスによる『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』というのがありましたが、本書は、製品よりもマーケティングの施策の方に重点が置かれています。

※参考:『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』
http://tinyurl.com/bdl3g

具体的にどんな企業のどんな事例があるのか、さっそくかいつまんで見て行きましょう。
-------------------------
■ 本日の赤ペンチェック
-------------------------
◆マクドナルドの「大人向けバーガー」アーチ・デラックス
マクドナルドに、洗練された商品を買いに行く人などいない。マクドナルドに行くのは単に便利だからである

◆ケロッグのシリアル・メイト
・「どこでも食べられる商品」と謳いながらも、もう一方では冷蔵庫で保管が必要とも言っていた
・冷たくするために冷蔵コーナーに陳列したが、消費者はシリアル・メイトはシリアル売り場にあると思っていた
・牛乳と一緒にすることによって、価格が高い印象を与えてしまった

◆RJレイノルズ社の「煙の出ないタバコ」
本当の問題はスモーカーたちが煙の出ないタバコを楽しめなかったことであり、同様にノン・スモーカーたちもこのタバコを歓迎したわけではなかったことだ。はっきり言えば、この商品には市場がなかった

◆ハーレーダビッドソンの香水
ブランドのバリューが「力強く、男性的で、無骨であること」ならば、決して香水やワインクーラーを売ってはいけない

◆ハインツのオール・ナチュラル・クリーニング・ビネガー
重要なのは、顧客がわかっていることに集中することだ。食品ブランドであれば、食べられない商品を売っても売れない

◆ヴァージン・コーラ
問題点の一つは流通網だった。コカ・コーラとペプシは、英国の約半数のスーパーでヴァージンが十分な陳列スペースをとれないように妨害した。コカ・コーラは、広告プロモーション予算を一気に倍増させた

◆CBSのフェンダー―熱狂を呼んだギターブランドの失敗
・CBSが直面した大問題の一つは、なぜフェンダーがそれほどまでに特別なのか、ということをCBSがほとんど何も理解していなかったということだった
・フェンダーのブランド価値を確立させた品質や職人技をCBSは軽視した
-------------------------------
ニューコークや、エドセルなど、マーケティングを学んだ人なら誰もが知っている退屈な例も出てきますが、企業と消費者の認識のズレ、流通上の致命的なミスなど、じつにさまざまな視点に気づかせてくれる本です。ここに書かれていることは、消費者が感情でモノを買う時代、差別化の時代には、とくに重要なことではないでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『あのブランドの失敗に学べ!』
http://tinyurl.com/awylw

です。ちなみに、予想通り、『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』のマックマス氏はこの本のなかでも紹介されていました。すべての本はつながっている、といういい例ですね。

※参考:『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』
http://tinyurl.com/bdl3g

■目次■
第1章 なぜ、ブランドは失敗するのか
第2章 燦然と輝く大失敗
第3章 アイデア倒れによる失敗
第4章 ブランド拡張の失敗
第5章 広報活動の失敗
第6章 異文化の壁による失敗
第7章 人的な失敗
第8章 ブランド再構築の失敗
第9章 ドットコム・ブランドの失敗
第10章 疲弊したブランド
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『売れる!ネーミング発想塾』

2005年04月18日 | Weblog
http://tinyurl.com/7ks63

本日の一冊は、最近、ものすごい勢いで本を出している、明治大学の教授、齋藤孝さんによる一冊です。

タイトル通り、ネーミングのコツを示したもので、実際の商品のネーミングを例として挙げながら、それぞれのメソッドのポイントを示しています。

昨日ご紹介した『スウェーデン式アイデア・ブック』と若干内容が重なる部分がありますが、気にせずに赤ペンチェック行ってみましょう。

※参考:『スウェーデン式アイデア・ブック』

--------------------------
■ 本日の赤ペンチェック
--------------------------
アイデアとはゼロから発想するのではなく、既存のものを「ずらす」「つなげる」ことが基本である

いいネーミングは「探す」のではなく「当てはめる」

まず説明系で押すのか、イメージ系で攻めるのかを決めてみればいい

「使う人は誰?」「シチュエーションは?」で、説明系かイメージ系かが決まる

◆ヒット商品のネーミング
=単に商品を説明するだけではなく、”ひねり”が加わっている

女性、なかでも主婦には「擬態語型」で、感覚に訴えかけよう!

無味乾燥なものほど「くん」「ちゃん」を。擬人化で人間味をプラス

使い手に「呼びかける」だけで、商品独自の世界観まで表現できる

簡略化してほしいなら、最初からそれを想定したネーミングに

既存のものを意図的に取り込むことで、それが持つイメージや世界観を拝借する

実在する人名を使うことで、信頼度を高める

人が潜在的に持っているイメージをネーミングに利用する

◆加えるだけで「らしく」なる、魔法のキーワード ※一部紹介

・「○○物語」歴史や背景、ドラマが生まれる
・「本舗」たった一言で風格と歴史を示す

まだ知られていない業界の「専門用語」で、新鮮さをアピール

シリーズ化の王道は、残しつつ、加えること
------------------------------
かなり感覚的に論じている部分もある気がしますが、事例研究が豊富なため、ネーミング開発のヒントとしてはおもしろい一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『売れる!ネーミング発想塾』
http://tinyurl.com/7ks63

です。ネーミングで一発逆転をねらう企業の開発者には、参考になる一冊だと思います。

■目次■
はじめに ネーミングは商品の「魂」そのものだ!
1章 まずは”説明系”と”イメージ系”に分けてみる
2章 ネーミングは、地図から”系”と”型”を選ぶ作業だ
3章 パクるのは、「名前」ではなく「世界観」
4章 加えるだけで「らしく」なる、魔法のキーワードがある
5章 ネーミングの最終型は、シリーズ化
6章 あなたも、「売れる!」商品名を考えてみよう!
おわりに パターンを駆使すれば、アイデアは噴出する!
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『スウェーデン式アイデア・ブック』

2005年04月17日 | Weblog
http://tinyurl.com/7tsam

本日の一冊は、いわばスウェーデン版『アイデアのつくり方』です。

※参考:『アイデアのつくり方』
http://tinyurl.com/b2nm6

シンプルな文章とコンパクトなつくり。必要最低限のアイデア創出のヒントが、このコンパクトな本に盛り込まれています。

執筆したのは、スウェーデンで大人気のセミナー講師、フレデリック・ヘレーン。スウェーデンの国会やヒューレット・パッカードなどでも講演したことのある、アイデア創出の達人です。

では、その達人が説く、アイデア創出のヒントとは一体何なのか。

さっそく、要点をピックアップしてみましょう。
-------------------------
■ 本日の赤ペンチェック
-------------------------
何を行うにしても、必ず複数の「正しい」方法がある

基本条件を排除してみると、よいアイデアが得られるかもしれない

優れたアイデアを得るには、数多くのアイデアを考え出さなければならない

すでに確立している2つのアイデアをドッキングさせると、まったく新しいアイデアができ上がります

イライラする人が多ければ、そこに新しい製品やサービスの市場があります

何かで成功しようとするなら、思い切って失敗する必要があります

何事も「絶対にありえない」とは言うべからず

「もし……なら、いったいどうなるだろう」と考えるようにすれば、アイデアが浮かんできて、新しい視点で世界が見えるようになるかもしれません

「発見は、ほかのみんなと同じ物を見て、違うふうに考えることによって生まれる」(アルベルト・セント・ジェルジ・フォン・ナギラボルド)

問題が何であれ、初めに思いつく3~5個の考えは、ほかのだれもが考えつくものであり、アイデアではない

創造性の4Bとは、バー、バスルーム、バス、ベッドのこと

自社の企業活動とかけ離れた分野の専門誌を何種類も購読している人は、はたしてどれくらいいるのでしょう?

全員が同じように考える場所では、創造性など発揮されません。建設的な対立が必要なのです
--------------------
アストリッド・リンドグレンやJ.K.ローリングの原稿・企画を断ったスウェーデンの出版社、ボニエル社の例など、実際の企業のエピソードが多数登場し、なかなか興味深い内容です。スキマ時間に読んで、頭の体操に役立てたい、そんな一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『スウェーデン式アイデア・ブック』
http://tinyurl.com/7tsam

です。読みやすく、インテリアにももってこいの装丁です。オフィスにそっと置いておきたい、そんな一冊です。

■目次■
1 針を探す
2 はてなタクシー
3 世界初の創造性テスト
4 メタファーで表現する
5 エジソンのアイデア・ノルマ
6 組み合わせの妙
7 いつものやり方
8 アイデアは潰されやすい
9 満腹病
10 メキシコ・オリンピック
11 バグを探す
12 囚人用ベビーフード
13 混ざらないものを混ぜる
14 失敗するほどいい
15 裸の王様
16 「絶対」はない
17 「もし・…・・」と考える
18 アイデアメーション
19 「メトロ」の裏話
20 考える人、考えない人
21 青いライトと赤い車
22 創造性の4B
23 発想のもと
24 それ、捨てるんですか?
25 暗黙の掟
26 チャレンジャーになる
27 テレポーテーション
28 「イエス」より「ノー!」
29 将来のシナリオ
30 素晴らしき未来
創造性テスト(1)
創造性テスト(2)
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

『法人営業「力」を鍛える』

2005年04月16日 | Weblog
http://tinyurl.com/9akru

本日の一冊は、ボストン コンサルティング グループのヴァイス・プレジデント、今村英明さんが書いた、法人営業に関する論考です。

冒頭で、「法人営業取引の分野で、今マーケティングが非常に重要になってきている」と述べていることからわかるように、営業というよりはマーケティングの本です。

著者も「はじめに」で書いているように、マーケティングの教科書のほとんどは消費者向けの商品やサービスを対象にマーケティングを論じており、法人営業を対象にした本格的な書籍というのは、おそらくこれが初めてです。

一体、法人営業と消費者向けの営業はどう違うのか。成果を出すためのアイデア・考え方とはどんなものなのか。

さっそく、要点をピックアップしてみましょう。
--------------------------
■ 本日の赤ペンチェック
--------------------------
「マーケティング・ロジックをもつか、もたないか」が営業の業績を決定的に左右する。「マーケティング・ロジック」とは「マーケットを科学的に観察した結果発見した、自社にとっての勝ち方」のことである。

◆営業現場の現実
・自分勝手に行きたい顧客を選んで訪問している
・自分勝手に判断して個別に値段を決めている
・自分勝手に判断して個別に販促費を投入している

経営者が、自社の営業活動の実態を客観的な分析や診断にさらし、自社の活動が「あるべき姿」から遠いということをしみじみ認識するところから、営業改革が初めて本格的にスタートできる

◆マーケティング・ロジック欠乏症の要因
1.視野狭窄(これまでの市場、製品、顧客にとらわれる)
2.KKD依存(経験、勘、度胸にのみ頼ってしまう状態)
3.オキャクキング錯覚(お客様は神様)
4.GNN依存(義理、人情、浪花節)
5.ローンウルフ性癖(一匹狼=単独行動)
6.価値自律失調(価格に対するコントロールを失う)

◆市場を科学するのに役立つ4つの道具 ※詳細は本書を参照
1.チャンス・マップ
2.顧客セグメンテーション
3.売上方程式
4.競合ベンチマーキング

◆法人向けビジネスの2つの戦い方
1.標準化戦略=安く、大量に販売
2.カスタマイゼーション戦略

◆法人顧客を深く理解する手法
1.顧客ターゲティング
2.ディープ・カスタマー・ディスカバリー
(1) ニーズ深掘りマップ
(2) EVC(顧客経済価値)
(3) DMU(意思決定主体)

◆収益アップを達成するプライシング手法
1.セグメンテーション・プライシング
2.バリュー・プライシング
3.ミニマム・プライシング
4.トレードオフ・プライシング
5.コストダウン・プライシング
-------------------------
分析手法に関する内容が大半ですが、バリュー・チェーンを用いたチャンス・マップや、顧客セグメンテーションの代用指標、法人向け事業の売上方程式などは、意思決定プロセスや購買プロセスが複雑な法人顧客の場合、確かに有用な手法です。

というわけで、本日の一冊は、

『法人営業「力」を鍛える』
http://tinyurl.com/9akru

です。大企業向けの営業活動には、役立つ視点が満載の一冊です。

■目次■
はじめに
序章 できる営業スタッフは何が違うのか
第1章 日本企業に蔓延するマーケティング・ロジック欠乏症
第2章 チャンスを再発見する――市場を科学する技術
第3章 戦略を再考する――「標準化」と「カスタマイゼーション」
第4章 顧客を再発見する――ニーズや意思決定の構造を分析
第5章 取引関係を再構築する――顧客アプローチの方法
第6章 プライシングをやり直す――高収益を実現する値付け
おわりに
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━