ビジネス書の厳選情報を毎日お届け 「ビジネスブックマラソン」 バックナンバーズ

アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『アニマルズ・インク』

2005年02月28日 | Weblog
http://tinyurl.com/4v925

本日の一冊は、ひょんなことから自分たちで農場を経営することになってしまった動物たちの物語を読みながら、職場にありがちな、さまざまな問題点を考える、というコンセプトのヘンテコな本です。

リーダーになったブタのビッグブーが一生懸命ビジネス書を読みあさり、無理やり実践していく姿が、思わず笑えるコミカルなストーリーですが、現実の職場に当てはめてよくよく考えてみると、結構笑えない話です。

著者の2人は、有名な調査会社のギャラップ社でコンサルティングを行っている人物。ストーリー形態をとっているのをいいことに、著名なビジネス書を斬ったり、マネジメント理論を斬ったり、毒をはきまくっています。

さっそく内容のポイントや教訓を見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「わたしのオフィスのドアはいつでもひらかれている」ビッグブーは動物たちに言った。じっさい、そうするしかなかった。なにしろ動物というのはドアノブをまわすのがとても苦手なのだ。

上司から何を期待されているのかまったくわからない、という状況を日常的につくりだせば部下の不安とフラストレーションのレベルはひじょうに高くなり、だれもが確実に不満を抱くようになる。こうして職場の望ましくない雰囲気は保たれる。結果として生産高が落ち込み、財務上の損失が増大し、事業の失敗が約束される。

◆メンドリのチームの教訓
=職場のストレスが多いと、タマゴの生産量は落ちる

◆ネコの上司とネズミの部下の教訓

=部下を脅すと、部下はできる限りマネジャーを避け、助けをもとめたり相談したりすることなどできない

=マネジャーが腹を立てるたびに部下を食べてしまうようでは、ビジネスの未来は暗い

◆キャリアチェンジしたカカシの教訓=カカシにタマゴは産めない

◆ヒツジの教訓=ヒツジは飛べない

知識やスキル、そして――これがいちばん致命的なのだが――才能が決定的に欠けている業務に配属になった者はとくに悲惨だった。調査やテストの結果がよかった、農場に長く暮らしている、まわりから好かれている、そんなことはなんの足しにもならない。

じぶんにあった仕事を任され、必要とするツールを与えられ、経営陣から強力なサポートを提供されると、勤労意欲がさらに高まる。
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本書の最大のメッセージは、だれにでも活躍の場があり、だれもがヒーローになれる、ということです。従業員一人一人の個性を見ずに、形だけの手法に頼ることの危険さを教えてくれる一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『アニマルズ・インク』
http://tinyurl.com/4v925

です。雇う人、働く人双方におすすめしたい一冊です。

■目次■
1.史上初、動物たちの会社が誕生!
2.ビッグブーの格闘
3.プランの発表
4.できるものに学べ―調査と面談で仕事をわりふる
5.がんばれば、どんなことでもできる―動物たちのキャリア開発
6.飼い慣らされてはならない――研修を受けて昇進を目指す
7.カカシがタマゴを産み、カラスが畑を守る?
8.新しい方針
エピローグ だれもがヒーロー
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『語り継ぎたい世界の名言100』

2005年02月27日 | Weblog
http://tinyurl.com/5f6m3

本日の一冊は、世界の名言を英語と日本語で味わえる、というコンセプトでまとめられた名言集です。

最近、名言が流行っているらしく、いくつかほかにも本が出ていますが、この本のおもしろさは、CDがついていて、聞いて楽しめる点でしょう。

ソクラテス、アリストテレス、エジソン、フランクリン・ルーズベルトなど、誰もが知っている有名人の名言が全部で99、収めされています(最後のひとつは自分で探すらしいです)。

では、一体どんな名言が収められているのか。さっそく見てみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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優れた道徳心は習慣からしか生まれない。私たちは、自分でつくった習慣のようにしかならないのだ。節制している人は節度のある人となり、勇気ある行動を続けている人は勇敢な人となる。
(アリストテレス)

人生は、極寒の地を目指して歩きすすむ旅人のようなものである。寒さの厳しいところに行けば行くほど歩く速度を速めなくてはならない。そこでの旅人の精神にとって最もつらい病魔というのは、寒さなのである。この恐るべき敵から身を守るために必要なことは、自分の精神を強く持ち続けることと、仲間たちといつも接触し協力し合うということである。
(アレクシス・トクビル)

私たちは他から得たもので生活をし、他に与えることで人生をつくっていく。
(ウイストン・チャーチル)

人生における悲劇は、目標を達成しなかったことにあるのではない。それは人生に目標を持たなかったことにある。
(ベンジャミン・メイズ)

集団に対する個人の責任ある貢献がチームを動かし、会社を動かし、社会を動かし、文明を動かすのだ。
(ヴィンス・ロンバルディ)

失敗する人には2種類ある。考えたけれども実践しなかった人と、実践したけど考えなかった人だ。
(ローレンス・J・ピーター)

私は人の考えを最もよく知りたいときは、その人の行動を見ることにした。
(ジョン・ロック)

私たちが大きなチャンスを見逃しているのは、ほとんどそれが日々の仕事の中に隠されているからだ。
(トーマス・エジソン)

すべての人は世界を変えようと思っているが、自分を変えようとは思っていない。
(トルストイ)
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ほぼ1ページ丸ごと使った詳しい解説と、名言を述べた方のプロフィールがついており、より深く名言を理解できます。

というわけで、本日の一冊は、

『語り継ぎたい世界の名言100』
http://tinyurl.com/5f6m3

です。通勤時間に聴いて楽しむ、というのもいいかもしれません。

■目次■
第1章 幸福な人生
第2章 仕事の向上
第3章 愛と友情
第4章 家族と教育
第5章 悩みを解決する
第6章 世界を考える
第7章 夢の実現
100個目の名言はあなた自身が見つけてください
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『人は仕事で磨かれる』

2005年02月26日 | Weblog
http://tinyurl.com/5kd58

本日の一冊は、かつて苦境にあった伊藤忠商事を救い、2000年の決算で同社の史上最高益を記録した中興の祖、丹羽宇一郎さんによる注目の新刊です。

著者は、いまどき珍しい、骨太で清廉な経営者ですが、本書のなかにも、そんな著者らしいコメントが随所に見られます。

あえて損な役回りを引き受けたり、大企業のトップらしからぬ質素な生活をしたりと、一件あまのじゃくな行動をとる著者ですが、その根底には、骨太な経営哲学と、経営トップとしての覚悟がうかがえます。

経営者にとって、ただでさえも逆境に対処する必要性が高まっている今日、著者の力強い主張は、きっと多くの経営者に勇気を与えてくれるに違いありません。

若干、引用しづらい本ではありますが、さっそく内容のポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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人には役目というものがあります。私の場合はさしずめ、伊藤忠にとって考えられるすべての膿を掻き出すことだった。だから減損会計の早期適用は、私の「掃除屋」としての最後の仕事だったと思っているんです。

業績が落ち込んだら、まず市場から激しく叩かれる。それだけならまだしも、会社の社員全員が路頭に迷う。その家族も巻き込む。トップになるとはそういうことです。

二十一世紀の経営者は常識と良識を磨いていかなければなりません。世間や社員、社会の常識から遅れることがあってはいけない。それには対話を繰り返していく必要があります。

経営というのは、実務を行うこととは異質なものです。どうやってお金を儲けるかということより、もっと大切なポイントがある。それは、経営管理、すなわち人を動かす力や、組織を改革する力といったものです。

基本は、やはり誠実さと言行一致なんです。絶対に裏切らないこと。言ったことは必ず実行に移す。しかも早く行動する。

トップというのは、会社が苦しいときは真っ先に苦しみ、順調なときは最後にいい思いをする。そういうものだと思います。

孔子は「食」(=食料)と「武」(=武器)と「信」(=信用)を治国三要と言っています。このうち、最初になくなってもいいものは武器です。次は食料です。最後に残さなければならないのは信用だと言った。

私がこれまでの自分の人生を振り返ってみて誇りに思うのは、絶対に読書を欠かさなかったことです。これまでの何十年という間の読書の蓄積は、人に負けないものだと思っています。そして、読んだ人と読んでいない人の差は、そう一朝一夕には埋められない。

人は、仕事によって磨かれる。仕事で悩み、苦しむからこそ人間的に立派になるんです。
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丹羽さんが、本屋の息子だった話や、土井と同じく、ショウペンハウエルを愛読していたのには、驚きました。

※参考:『読書について』
http://tinyurl.com/4lk2d

同じ読書家として、また経営者として、強い感銘を受けました。

というわけで、本日の一冊は、

『人は仕事で磨かれる』
http://tinyurl.com/5kd58

です。すがすがしい読後感で、久々に読書の醍醐味を味わうことができました。

■目次■
第一部 四つの大いなる決断 
・第一章 掃除屋
・第二章 新領野の開拓
・第三章 負の遺産
・第四章 経営者を引き受けるということ
第二部 決断する力を養う
第一章 本屋さんの息子
第二章 自分を鍛える
第三章 コミュニケーション環境を整える
第四章 人を育てる
あとがき
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『図解クチコミだけでお客さまが100倍増えた!』

2005年02月25日 | Weblog
http://tinyurl.com/4rkrl

本日の一冊は、もはや「口コミ」の代名詞となってしまった、ハー・ストーリィの日野佳恵子さんによる、図解ムックです。

全国10万人のネットワークを組織し、そこで得られた知見をもとに、売上倍増のためのノウハウや、顧客の嗜好を理解するための考え方など、クチコミュニティ・マーケティングのエッセンスをわかりやすく紹介しています。

では、具体的にどんなノウハウが盛り込まれているのか。さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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クチコミュニティ・マーケティングの特徴は、企業やお店そのものを「商品」と見立てること

人は「もの」よりも「心」に共感します。企業やお店の姿勢、理念、ポリシー、夢といった企業やお店としての「人格」を打ち出せば、そこには、社員、取引先、顧客という「コミュニティ」が生まれます

◆人が何かに関心を持つプロセス
「認知」→「理解」→「共感」→「行動」

絶対に成功する方法は、クチコミする人を「自分たちのコミュニティからつくり出すこと」

◆クチコミの基本
話題性→関心のある人へ伝える→正しい情報の伝達→次への伝播

クチコミを短期的に起こすには、こうした期限つきのような企画とともに、手渡しされる情報ツールが必要

クチコミュニティ・マーケティングを成功させるためには、女性がどんなものを好むのか、といった特性を理解すること

それぞれの分野において、発言力、影響力を持ち、自分の会社に有益な情報をもたらす人たちと出会うことは、どんな営業活動よりも優先すべき

◆発信源となるためのクチコミキーワード
1.エピソード、物語
2.しあわせ・運
3.未知との遭遇
4.共感
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本書には、こうした考え方のほかに、具体的なクチコミ実現のための各種ツール(小冊子、名刺など)に関するノウハウも盛り込まれています。個人的には非常にいい勉強になりました。

というわけで、本日の一冊は、

『図解クチコミだけでお客さまが100倍増えた!』
http://tinyurl.com/4rkrl

です。低予算でもできるマーケティング手法が中心なので、広く、中小企業から大企業まで役立つ内容だと思います。

■目次■
第1章 自分たちでクチコミを起こすノウハウ 
第2章 クチコミュニティ・マーケティングの法則14 
第3章 お客様がどんどん増える超クチコミ活用法 
第4章 クチコミを起こす魔法のツール 
第5章 クチコミを起こす具体的な方法
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『MBA全1冊』

2005年02月24日 | Weblog
http://tinyurl.com/5o6p7

本日の一冊は、マイケル・ポーター、ピーター・センゲ、エイドリアン・スライウォツキー、ウォーレン・ベニスなどの経営学のグルたちと、ディーン・カーメンをはじめとする実務家が寄稿した一冊。

著名人を集めて、経営学の理論をまとめただけの本は数多くありますが、このように、各分野の第一人者がビジネスの知恵や今後の課題について議論した本というのは珍しいのではないでしょうか。

では、具体的にどんな内容が論じられているのか。一部、おもしろかったものをご紹介しましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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問題なのは供給ではなく、需要なのだ。そして、方程式のなかの需要の変数が成熟していなければ、すべては発明や特許、あるいは歴史上の出来事に終わってしまう
(ディーン・カーメン)

資本構成を分析するうえで、ほとんどすべてのバランスシートは決定的に不正確であることを忘れてはならない。というのも、プロ・スポーツの世界など一部の例外を除いて、人的資本が含まれていないからだ
(マイケル・ミルケン)

問題は、戦略プランニングが象徴するマネジメントが、「コミットメント」スタイルではなく、「計算的」スタイルだということにある
(ヘンリー・ミンツバーグ)

これまでと違う方法で呼吸するには、次の2つの手を打とう。1つは、プロセスの再構築とITの活用を徹底し、真に効率的な業務を創造することだ。もう1つは、重複したり価値を生まない古いプロセスを残しておかないことである
(ジェームズ・チャンピー)

厄介なのは、実際に違いをもたらすのはプロセスの進化であるのに、人々は新技術を発展と同義と考えていることだ
(ジェームズ・ウォマック)

自社を成功に導きたいのならば、発明の種まきではなく収穫に重点をおくことだ。創造性をマネジメントすることはできないが、真の市場ニーズに沿った製品やソリューション、サービスを商品化して利益を生むことは、マネジメントが可能なのだ
(アミエル・コーネル)

人は変化自体には抵抗しないものだ。人は失うことに抵抗するのである。(中略)リーダーとなり、生き残るためには、変化の痛みに敬意を払わなければならない。そうすれば、人はなぜ反撃するのか、どうやって反撃してくるのかを英知をもって理解し、彼らに挑戦することができるのだ
(ロナルド・ヘイフェツ、マーティー・リンスキー)

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寄稿者のなかには、相当なビッグネームも含まれていますが、内容は意外に読みやすく、参考になります。ビジネスに役立つちょっとした考え方やヒントを学ぶことができる、良質な一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『MBA全1冊』
http://tinyurl.com/5o6p7

です。ビジネス書好きがたとえ読まなくても買いたくなる(笑)、
そんな一冊ですね。

■目次■
第1章 イノベーション
第2章 持続的な成長と環境問題
第3章 会計・財務
第4章 戦略
第5章 マネジメント
第6章 人事
第7章 リーダーシップ
第8章 マーケティング
第9章 コミュニケーション
第10章 失敗から学ぶ
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『心脳マーケティング』

2005年02月23日 | Weblog
http://tinyurl.com/6rfvk

本日の一冊は、これまでマーケティングが十分に扱えていなかった心と脳の問題を真正面から取り上げ、人間の無意識の領域にまで踏み込んでマーケティングを論じようという新たな試みです。

本書によると、消費者の思考内容のうち、95%は無意識のうちに起こっているそうで、これらを知ることなしに、われわれは消費者が買う理由を正しく知ることはできません。

これらの領域を知るために本書では、認知心理学や脳神経科学、言語学、人類学などの複数の専門分野の知識を取り扱います。

これらの研究成果を取り入れることで、一体マーケティング上、どんな知見が得られるのか。さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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消費者の思考内容の95%が無意識のうちに起こっている
その思考内容の多くはメタファーを通じて掘り起こすことが可能

市場調査の80%以上は、新たな可能性を試すことや、発展させるためのものではなく、主としてすでにある結論を強化するために使われている

消費者の選好プロセスはかなり自動的に生じ、習慣やその他の無意識の作用に基づき、消費者の社会的、物理的背景に大きく影響を受ける

心―脳―体―社会のピラミッドに表れる相互作用の構造は、個々のマーケターおよび消費者の思考や行動に影響を与えている

認知が言語を生み出すのであって、言語が認知をつくり出すのではない

進化過程の順序からしても、我々の脳は、話し言葉や書き言葉を理解するよりも、周辺言語を感じ取り解釈する方がはるかに得意である

多くの新製品の成功事例を研究してわかったことは、新製品の企画、開発、市場導入において、マネジャーやエンジニアが消費者のメタファーを活用していることである。また、消費者のメタファーを無視した場合には、大きな失敗が起こる(スティーブン・コール)

深く掘れば掘るほど、異なる消費者が、ある物事に関して重要な思考や感情を共有していることがわかる。こうした類似点こそが、消費者行動に大きな影響を与えている

単体のコンストラクト(マーケターが消費者の思考や行動を解釈してラベル化したもの)ではなく、コンストラクト間の関係が消費者行動に影響を与える

記憶は物語をベースにして形成される。すなわち、記憶はエングラムとして保存されている過去の出来事を、キューやゴールなどを含む新しい出来事を説明したり解釈したりする手助けとして使用する
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本書には、ここで挙げた内容のほかに、われわれの思考や行動の謎にせまる、じつに興味深い実験結果が多数掲載されています。ちょっと翻訳が読みづらい気がしますが、内容的にはいろいろと新しい発見があり、いい勉強になります。

というわけで、本日の一冊は、

『心脳マーケティング』
http://tinyurl.com/6rfvk

です。洋書っぽい装丁が、われわれの無意識の「買い」を誘う(笑)、そんな一冊です。

■目次■
序章
第1章 慣れ親しんだマーケティングからの脱却
第2章 新しいフロンティアへの旅立ち
第3章 顧客の無意識を分析する
第4章 メタファーを介して心脳に語りかける
第5章 先端複合領域から心脳を読み解く
第6章 思考の本質に迫る
第7章 市場の心を理解する
第8章 壊れやすい記憶
第9章 記憶・メタファー・物語
第10章 物語とブランド
第11章 創造的思考のための10の方策
第12章 優れた質問が、優れた答えを生む
終章 新しいマーケティング・パラダイムの構築に向けて
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『世界一の「売る!」技術』

2005年02月22日 | Weblog
http://tinyurl.com/6bcrb

本日の一冊は、15年間に通算1万3000台以上の自動車を販売し、ギネスブックにも認定されたという世界ナンバーワンのセールスマン、ジョー・ジラードによるセールスの指南書です。

ジラードは、以前にこのメルマガでご紹介した名著『影響力の武器』でも紹介されているほど著名な人物で、アメリカ中にその名をとどろかせた人物です。

※参考:『影響力の武器』
http://tinyurl.com/5shj9

そのセールス手法は、以前に出された『私に売れないモノはない!』にも書かれていますが、今回の本は、原題が「How to Close everySale」ということで、まさに顧客をクロージングに導くための心構えとテクニックについて論じられています。

※参考:『私に売れないモノはない!』
http://tinyurl.com/5rw6t

では、具体的にどんな内容が書かれているのか、さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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必要なのは商品に対するニーズ、所有したいという欲求を作り出すことであり、それが自分の金よりも価値があると客に納得させることだ

要するに、自分を売らなければいけないのだ。肝心なのは、自分自身が顧客に気に入られ、信用されることだ

商品を人に売り込むには、その前に自分が100パーセントその商品に惚れ込まなければならない

ビジネスで成功した大物たちは皆、自分は価値あることをしていると強く信じている。成功したいなら、真っ先に売り込むべき相手は自分自身である

メモは直接注文書に取り、客に聞かれたら、ご希望の仕様を忘れないようにしているだけです、と言うのがコツだ。そしてクロージングの準備が整ったときはもう注文書は埋まっているから、あとはサインをもらうだけだ!

やることはすべて、客が商品を買うという前提で行なう。ずっとそう思っていれば、客も知らず知らずのうちに自分は買うものだと思い始める

どちらかを選択させる質問に対しては、ノーと答えることはできない(中略)セールスマンに、青い車がいい、小切手で支払う、八日に貨物便で送ってほしいと答えた後で、「いや、今日買うとは言ってませんよ。もう少し考えてみます」と言うのは難しい

「してください」ではなく「しましょう」という言い方をお勧めする(中略)こう言えば、顧客は自分一人で大きな決断をさせられているとは思わない。一緒に決断することで、買い手の重圧を和らげているのだ

私は顔の表情や体の動きにどんな意味があるのか逐一解釈しようとはしないが、具体的な「物的証拠」には目を光らせている。これまでに購入しているものをよく観察すれば、顧客の購買傾向に関する貴重なヒントが得られるはずだ

たとえば、父が娘と娘の卒業記念に新車を買いに来たとする。クロージングの大事なところで私は父親に罪悪感を与える。つまり、車を買わなかったら大恥をかくような状況を作るのだ

人はダメだと言われると欲しくなる。そして手に入れるのが難しければ難しいほど余計に欲しくなる
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正直、ジラードの本は、その良さを伝えるのが難しいです。なぜなら彼の場合、書いていることよりも、やっていることの方がすごいからです。単純に手法だけを取り上げて批評するより、エピソードを読んで、「はたして自分はできているだろうか」と自問しながら読むのが正しい読み方ではないでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『世界一の「売る!」技術』
http://tinyurl.com/6bcrb

です。およそ、売るための基本原則や心構えはすべてこの本に書かれている、といっても過言ではないと思います。

■目次■
読者への挑戦状
第1章 セールスマンは嫌われる。だからこそ、チャンスがある
第2章 世界一の商品。それは自分自身
第3章 「客は当然買うもの」と思うべし
第4章 「買う客」と「買わない客」の本当の見分け方
第5章 顧客からの反論は大歓迎
第6章 買わない「言い訳」は認めない
第7章 さりげなく、しかし確実にコントロールする
第8章 ジラード流、一味違うクロージング
第9章 今すぐ買わせる、切迫感の煽り方
第10章 過ぎたる「売り込み」は、及ばざるが如し
第11章 プロなら、負ける勝負はしない
第12章 顧客に後悔とキャンセルをさせないために
第13章 セールスは売れてからが勝負
ジョー・ジラードより最後のメッセージ
訳者あとがき
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『謎のトレーダー「しん」の株バリュー投資法』

2005年02月21日 | Weblog
http://tinyurl.com/56kmo

本日の一冊は、以前、編集後記でちょっとだけ紹介した投資本です。

400万円を8800万円にしたという、ネットで話題の「マネーマスター・しん」の投資戦略を本にしたという一冊です。

個人投資家の本は、ほとんどがテクニカル投資やデイ・トレードに関するものですが、この本は、珍しくバリュー投資について論じています。

3年間で20倍ということで、割と健全な投資法だということがうかがえますが、実際のところ、どうなのでしょうか。

さっそく見てみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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1株あたりの正味流動資産と株価が少なくとも3分の2以上離れているような銘柄に分散投資をすれば、平均年利回り20%くらいの利益は得られる

安全域(1株あたり正味流動資産から株価を引いた差)が大きい銘柄をみつけることができれば、利益を得られる可能性もまた大きい

「PER=1株あたり純利益÷株価」が小さいほうが割安
※基本はPERで10倍以下のものを買っていく

急激に人気化した銘柄は、たとえば次期の利益が少し減りそうだとか、業界全体の受注量が減りそうだというようなネガティブな要因がでれば、株価はすぐに下降に転じます

株主資本比率が高い銘柄でも、流動資産の中身を子細にみていたら、現金及び預金の保有が少なく、100%回収できるとはかぎらない売掛金やいざとなると簿価を大きく下回る評価しかされない棚卸資産が多ければ、必ずしも割安と判断できない

私は投資基準の1つとして、原則60%以上の株主資本比率がある会社の株を目安にしています

その会社が儲かっているかどうかは、まず売上総利益、次に営業利益、そして経常利益をみたうえで、当期純利益が特別損益に左右されなくてもきちんと利益をだしているかどうか

営業キャッシュフローは黒字であるのが一般的

会社が事業を伸ばすうえで、有利子負債に頼ることが悪いわけではありません。しかし、有利子負債が増えると、元金の支払いに加えて利払いがかさむので、投資によって売上げが増えて利益も増えるという好循環がなければ、財務面が悪化することがあります

会社を解散すると、その会社の株主は保有している株式数に応じて、会社の正味の財産をわけることになります。ですから、解散して得られる現金が、株式を取得したときの価格よりも多かったとしたら、儲けることができます。そのためにも、会社の解散価値を知っておくことが大切なのです

望ましいのは高ROEで低PER

◆著者の銘柄選びのポイント
1.株主資本比率の高い会社(60%以上)
2.PER10倍以下で配当金が長期国債の3分の2以上ある会社
3.自社株消却を過去に行っている会社
4.時価総額が解散価値の3分の2以下の会社
5.配当による年間利回りが高い会社
6.株主資本コストを考える経営者がいる会社
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個人的には、あまりに読んでいる本や投資法が似ているので、思わず笑ってしまいました。この本に問題があるとしたら、著者が投資していた時よりも、現在バリュー株は見つかりにくくなっている、ということぐらいでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『謎のトレーダー「しん」の株バリュー投資法』
http://tinyurl.com/56kmo

です。個人的には、共感できる投資法が書かれていましたが、もうちょっと、著者の投資哲学をきちんと知りたかった気がします。

■目次■
はじめに 「果報は寝て待て」通りの投資法
第1章 いきなり手がけたバリュー投資で大儲け
第2章 バリュー投資は個人投資家になぜ有利なのか
第3章 バリュー投資に必須! しん流財務諸表の読み方
第4章 確実に儲かる「バリュー銘柄」をどう選ぶか
第5章 しっかりした投資哲学が勝敗を左右する
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『ブランド・ストレッチ』

2005年02月20日 | Weblog
http://tinyurl.com/68eep

本日の一冊は、かつてP&Gでブランド・マネジメントの仕事に従事していたというマーケティング・コンサルタント、デビッド・テイラーによるブランド拡張の指南書です。

通常、強力なブランドを持っている企業は、それをさまざまな事業、製品、サービスに活用したいと考えるものですが、本書によると、それが成功するのは全体の約50%です。

では、残りの50%はなぜ失敗してしまうのか。そんなブランド拡張の注意点や着眼点について書かれたのが、この『ブランド・ストレッチ』です。

ヴァージングループやP&G、ブロックバスターなど、さまざまな企業の実例をもとに、非常に興味深い議論が展開されています。

具体的にどんな視点・教訓が示されているのか。さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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◆ブランド・ストレッチを行う際の、6つのステップ
1.コアの強化
2.ビジョン
3.アイデア
4.絞り込み
5.実現性
6.ブランド・アーキテクチャー

◆ヴァージンの自己中心ストレッチに見られる問題点
1.コアを大切にしない
2.有名になった理由を忘れる
3.消費者や市場を理解しない
4.散発的なストレッチ
5.実効がおざなりになる

◆ブランド拡張によるコア製品への影響
・製品変更をしてもトレードオフがなく、性能向上につながる場合は、コア製品に改良を加えたほうがよい
・製品変更によって、新たなベネフィットが加わるものの、従来のベネフィットの一部が損なわれてしまう場合は、ブランド拡張
・最も危険なのは、既存製品との差別化ができていない「クローン
・ブランド」を持ってしまうこと
※絶対に犯してはならない過ちは、コア製品の人材と資金を奪うこと

アイデア創出に役立つような基本ブランドのビジョンを開発するには、まず市場を近視眼的に捉えないことだ。市場を広めに定義したほうが、新しいブランド・ストレッチの機会が見えてくる。それに、市場の定義が狭すぎると、潜在的な強敵を見落とす危険がある

◆製品ライン拡張の機会が見つかる6つの視点
1.人――新規顧客
2.購入目的――新たなベネフィット
3.使用時期――新たな機会
4.場所――新たなチャネル
5.価格設定――プレミアムをつける

◆ブランド拡張のバリエーション
1.ランセンス供与
2.共同ブランディング

ブランド拡張が失敗する主な理由の一つは、ブランド・プロミスを実現できないこと
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通して読むと、ブランドとは、究極的には消費者と企業とのコミュニケーションの問題だということがよくわかります。思い込みを打破し、まっとうなコミュニケーションが取れるようになるための、きっかけとなる一冊です、。

というわけで、本日の一冊は、

『ブランド・ストレッチ』
http://tinyurl.com/68eep

です。ブランドを拡張したいと思っている企業の方、拡張したけれどうまくいっていない、という方はぜひ読んでみてください。

■目次■
序文 ブランド・ストレッチの成功に向けて
INTRODUCTION ブランド・ストレッチが失敗する理由
STEP1 コアを強化する
STEP2 ビジョンを構築する
STEP3 ブランド・ストレッチの機会を見つける
STEP4 アイデアを絞込む
STEP5 ブランド・ストレッチを実現させる
STEP6 ブランド・アーキテクチャーを持つ
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『一億総マーケター時代の聞く技術』

2005年02月19日 | Weblog
http://tinyurl.com/6gfge

本日の一冊は、デジタル・マーケティングで知られるドゥ・ハウスの取締役、喜山荘一さんによる注目の新刊です。

マーケティングリサーチに関する本は数多くありますし、グループインタビューなどでの聞き方に関する本もいくつか出ていますが、本書がユニークなのは、著者の得意とするネットマーケティングのリサーチに焦点を絞っている点です。

インターネットをフル活用して、お客様のホンネを追求し、明日の売れ筋をつかむためのさまざまな手法が紹介されています。

さっそく、ポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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◆顧客の声をマーケティングに生かすためのガイドライン
1.「意見」ではなく「事実」に着目する
2.「けなし言葉(否定)」ではなく「ほめ言葉(肯定)」に着目する
3.「意識」ではなく「行動」に着目する

◆BMR(基盤マーケティング・リレーション)の6つの要素
1.ターゲット 誰に買ってほしいのか
2.場面 どんな時、どんな場面で使うのか
3.ウォンツ どんな欲求を持っているのか
4.製品 どんなカテゴリーのものか
5.属性 どんな性質、特性を持っているのか
6.ベネフィット どんな価値があるのか

◆接客の流れで文脈をつくる、CNAPPモデル
1.掴み 本文のエッセンス
2.語り 自己開示と商品説明
3.惹き ベネフィットの強調
4.引き 「よろしければ」と一歩引く
5.押し 背中を押す

いちばん響くコピー、メッセージを選ぶには、打ち分けて顧客に聞けばいい

読まれるメールマガジンのための「聞く技術」は、顧客のことを語ること、だ

顧客が商品について話している言葉そのもので商品を捉えれば、商品の受容性が見えてくる。クチコミのキーワードも発見できる

担当する商品について、少数の顧客で構成するコミュニティをつくろう。そうすれば、商品の購買や消費の様子を生々しく観察することができる

顧客の生の声には、価値の差異がある。どの声も等しく同じ価値を持つわけではない。ファクト&ポジティブ、つまり、リアルなほめ言葉を豊富に書ける顧客にこそ、参加してもらうべきなのだ
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ネットを通じた企業と顧客とのコミュニケーションのあり方、そしてマーケティングへの生かし方を、ここまできちんと論じた本は、ほとんどありません。

リサーチの方法や、企業の具体例なども掲載されており、マーケターは必読の一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『一億総マーケター時代の聞く技術』
http://tinyurl.com/6gfge

です。ネットマーケティングの本としては、久々に読み応えのある本が登場しましたね。

■目次■
はじめに お客様の声は神の声ではない
第1章 顧客への話し方――聞くプロモーション
第2章 顧客への訊き方――ネットリサーチで聞く
第3章 顧客への答え方――問い合わせに対応する
第4章 顧客への聴き方――コミュニティで聞く
第5章 顧客の声の活かし方――「顧客の声」活用工場
あとがき
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『マッキンゼープライシング』

2005年02月18日 | Weblog
http://tinyurl.com/6q7ac

本日の一冊は、ダイヤモンド社から出されているマッキンゼーシリーズの最新刊です。

このシリーズは、いわゆる論文をまとめたもので、読み物としてはちょっと味気ないのですが、今回はこれからの経営のキモとなるであろう、プライシングがテーマなので、取り上げることにしました。

値づけに関してどんな気づきが得られるのか、さっそく見てみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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2003年度における東証一部上場企業の損益構造の平均値に基づくシミュレーション結果=価格が1%改善すると営業利益は23.2%も向上する

戦略レベルでは、価格に関する主導権を何とか自社に取り戻すことが重要であり、それは可能であるという意識を持つことが優れた価格マネジメントへの必須条件となる

価格と需要との関係を示す価格弾力性について自社でデータを蓄積することなしに、値上げイコールシェア喪失、値下げイコール販売増加といった短絡的な考えは危険だ

◆バリュー・マネジメントを行う際のポイント
1.顧客が購買決定に当たって重視する商品属性を理解し、その優先順位を知ることが成功の秘訣
2.計量化が難しい”ソフト”な属性(信頼性、親切なテクニカル
  ・サポート、使い勝手のよさなど)も、計量化しやすい技術的な特性に負けず劣らず重要である

VEL(価値均衡線)からの離脱は、顧客が気づくほどに大胆で、かつ買いたいと思わせるほどに魅力的でなければならない

商品やサービスの表示価格から、実際にどれだけの金額が企業のポケットに入るのか。取引ごとにこの点を細かく調べれば、取り分を1%増やすのは決して難しくない

売上高のおよそ12%は小売店向けプロモーション経費のおかげで得られるのであり、その半分以上は現場(店頭)でコントロールされている

あるカテゴリーの消費量が大幅に拡大可能と見込まれ、かつ自社商品のブランド力も高い場合には、プライス・バンドを広くとるべき
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価格と感情に関する議論も期待していたのですが、その点に関する記述はなく、どちらかというと、データがあることを前提にした分析や、改善の視点が示されている、といった印象です。

消費財メーカーなどで、開発競争・価格競争が激しい業界の方などにとっては、参考になる本だと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『マッキンゼープライシング』
http://tinyurl.com/6q7ac

です。個人的には、実務家には『価格の決定権を持つ経営』の方が実践的で、役に立つと思います。

※参考:『価格の決定権を持つ経営』
http://tinyurl.com/6zujk

■目次■
Chapter1 価格創造の時代
Chapter2 価格を決めるな、価値を決めろ
Chapter3 プライシングの威力
Chapter4 プライシングに規律を
Chapter5 最適なプライス・バンドを考える
Chapter6 プライシングと営業
Chapter7 新製品のプライシング
Chapter8 規制緩和と価格戦争
Chapter9 合併後のプライシングに存在する隠された価値
Chapter10 確実なプライシングの実行に向けて
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『税金バンザイ!』

2005年02月17日 | Weblog
http://tinyurl.com/3k5o9

本日の一冊は、ベストセラー『借金バンザイ!』の著者、小堺桂悦郎さんによる、注目の新刊です。

※参考:『借金バンザイ!』
http://tinyurl.com/6mc84

著者は、もと某地銀の融資担当で、現在は資金繰りなどを中心に中小企業への指導を行う経営コンサルタント。

本書では、節税の具体的手法から、税務調査対策、納税対策まで、中小企業経営者に役立つ幅広いノウハウを提供しています。

具体的にどんな内容が書かれているのか、さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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税務署の調査には、事前予告もなしにやって来るものと、事前に電話なりでアポイントをとって調査に来る二種類がある。

「ところで、よく自宅のほうにも来客はあるんですか?」と税務署に聞かれたとしよう。「いいえー。自宅にはめったに来ませんよー」と言ったらアウト。そのソファの代金は、会社の消耗品とは認められない。

いったん調査となったら、最低でも三年分の取引をチェックする

◆税務調査でチェックが入るポイント
・決算報告書
・事業概況書
・給料などの支払い報告書
・売上と仕入および在庫の関係

◆納めるべき税金を少なくする方法
1.売上を減らす
2.経費を増やす
※仕入れに関しては、在庫を本来より少なくする手もある

売上だけでなく、仕入も隠さないと、その相関関係から売上隠しの可能性を疑われる

税務調査に入られて、真っ先に調べられるのが決算月の取引

決算月の売上の請求書、納品書、契約書、はては営業日報から何から調べられます。そして決算の翌月の取引も

源泉所得税の納付前であれば、遡って社長の給料アップをしたことにできないことはない

会社の成長の過渡期の時期に、妙に節税に走っちゃうか、あるいはアレコレ画策?する時期を過ぎると、やっぱり会社を使って節税をしながら、資産を残すのがいいんだとわかるようになる

個人では認められなかった経費が、会社にすると認められやすくなる

節税をしようってのに、そもそもキャッシュフローの悪化を心配するようじゃダメ
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うちの会社は、売上がすべて銀行振り込みなので、ごまかしようがありませんが、世間的にはいろいろやっているものなのですね。
ドギツいテイストの割に、内容は、割と初歩的なものが多かったですが、個人的には税金に対する意識が高まりました。

というわけで、本日の一冊は、

『税金バンザイ!』
http://tinyurl.com/3k5o9

です。あまり細かいことは書いていませんが、節税や税務署対策を考える中小企業社長にとっては、いい刺激となるのではないでしょうか。

■目次■
第1章 来ちゃったみたい! 税務署が!~税務調査編~
第2章 やっぱ隠したい!~売上&在庫編~
第3章 どこまで認められるの?~経費編~
第4章 知らないと、いきなり課税!~資産税編~
第5章 節税だけじゃ不十分!納税対策も重要!~納税編~
第6章 最後にちょっと考えよう!~個人事業&社長の税金編~
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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』

2005年02月16日 | Weblog
http://tinyurl.com/4rarp

本日の一冊は、ベストセラー『女子大生会計士の事件簿』シリーズの著者、山田真哉さんによる、注目の最新刊です。

※参考:『女子大生会計士の事件簿』
http://tinyurl.com/5q7wn

タイトルにもなっている「さおだけ屋」や、なぜかベッドタウンにある高級フランス料理店、在庫だらけの自然食品店などを題材に、会計の基本を学ぶことができる、ユニークな一冊です。

さっそく、そのポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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◆需要がなさそうな「さおだけ屋」がやっていける理由
1.さおだけ屋は、単価を上げて売り上げを増やしていた!
2.さおだけ屋は、仕入れの費用がほとんどゼロの副業だった!

※さおだけ屋から学べること
利益を出すためには、売り上げを増やす、費用を減らすのふたつの方法しかない。

※著者からのアドバイス
1.てっとり早く利益を出すためには、「費用を減らす」ことを考えるほうが賢明
2.「節約は絶対額で考える」べき

◆月並みな味なのに、郊外の高級フランス料理店が存続できる理由
本業のフランス料理店と、副業の料理・ワイン教室の相乗効果

※フランス料理店から学べること
本業だけで儲ける必要はなく、副業など他のところでちゃんと利益を上げることができれば商売は成り立つ

※著者からのアドバイス
本業と副業はバラバラになっていてはいけない、お互いをつなげて考える

◆膨大な在庫を抱えている自然食品の店が2軒ともやっていける理由
じつはこれらのお店は2軒ともネットでの宅配がメイン。実際の店舗は、在庫置き場をせっかくだからとお店にしただけのものだった

※ネット通販の自然食品の店から学べること在庫を減らす究極の形態は、受注生産
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とくにおもしろい事例3つだけを取り上げましたが、本当に楽しく、商売や会計の要諦を学ぶことができます。値段も安く、文章も読みやすいので、会計アレルギーの方は、ぜひ読んでみてください。

というわけで、本日の一冊は、

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』
http://tinyurl.com/4rarp

です。会計の本で、ここまで読み物としてうまく仕上がっている本は珍しいのではないでしょうか。

■目次■
プロローグ どうして「会計」はむずかしいのか?
エピソード1 さおだけ屋はなぜ潰れないのか?―利益の出し方
エピソード2 ベッドタウンに高級フランス料理店の謎―連結経営
エビソード3 在庫だらけの自然食品店―在庫と資金繰り
エピソード4 完売したのに怒られた!―機会損失と決算書
エピソード5 トップを逃して満足するギャンブラー―回転率
エピソード6 あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか?
        ―キャッシュ・フロー
エピソード7 数字に弱くても「数字のセンス」があればいい
        ―数字のセンス
エピローグ 普通の人が「会計」を学ぶ意味
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『インサイト』

2005年02月15日 | Weblog
http://tinyurl.com/4kwmf

本日の一冊は、外資系広告会社J・ウォルター・トンプソンで、アカウント・プランニングの仕事に携わっていた著者が、実際に担当したブランドや製品の例を挙げながら、消費者の本音に迫る方法を指南した、注目の新刊です。

かっちりしたマニュアル書ではなく、楽しみながら読むというコンセプトで書かれており、そのためか、表紙も、文芸書のような趣です。

では、一体どんな気づきがあるのか、さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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消費者の気持ちを知るには、いったん自分の関わっている製品やカテゴリーのことを忘れなければならない。消費者はつくり手とは違って、一日中その製品のことを考えているわけではない

いまの消費者はつくり手側の意図をすぐ見透かしてしまう。そして狙いがわかると、一歩引いて批判的に見る

ほんのささいな接点でも、消費者は無意識のうちに何らかの気持ちを抱いている。だから、その気持ちがわかれば、どんな活動が望ましいのか、具体策が見えてくる

人の分類にとらわれず、消費者が持っている気持ちを深く掘り下げる。そして、核となるホット・ボタンは何かを一つに絞り込む

適切な仮説は、どんどん質問をしていってホンネを深く掘り下げていき、それ以上掘り下げるとカテゴリーや商品との接点がなくなる寸前にあることが多い

◆消費者がホンネを話さない理由
1.場所とシチュエーション
2.集団心理が働く
3.舞台裏を知りすぎている
4.言葉が気持ちを遠ざける
5.消費者自身が気付いていない

◆ホンネを引き出す調査方法
1.エスノグラフィック調査:対象者と行動をともにし、その場その場で気持ちなどを聞き出す
2.ポラロイド写真調査:なんでこんな写真を撮ったのか、探る
3.コラージュ・エクササイズ:潜在的なイメージを探る
4.ポストカード調査:「あなた宛てにこういう手紙が届きました。どういうことを想像しますか」と言いながら、ハガキを提示

◆使えるインサイトに絞り込むための視点
1.新しい発見かどうか
2.自分の担当しているブランドとの間に整合性があるかどうか
3.アクションにつながるかどうか
4.そのインサイトから発想が広がるくらい刺激的かどうか

◆登場する事例 ※一部のみ
・カップルのホンネを掘り下げることに成功したスキー・リゾート
・出張サラリーマンの心をくすぐるビジネスホテル
・ハウスウエディング
・ハーゲンダッツ
・シック
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こういう表現が適切かどうかわかりませんが、極めて「広告代理店的」切り口からマーケティングを論じている本だと思いました。資金が十分にない中小企業経営者の視点とは、ちょっとずれているかもしれません。

というわけで、本日の一冊は、

『インサイト』
http://tinyurl.com/4kwmf

です。消費者のホンネを探る調査手法や、著者がかかわった事例が、非常に参考になりました。

■目次■
第1章 インサイトがマーケティングを変える
第2章 インサイトの見つけ方、活かし方
第3章 インサイトが突破口を開く
第4章 ハーゲンダッツ:インサイトがブランドを進化させる
第5章 シック:インサイトが差別化を生み出す
終章 本書のまとめ
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『MBA入門ファイナンス』

2005年02月14日 | Weblog
http://tinyurl.com/6547n

本日の一冊は、良質なロングセラー・テキストとして知られる、ファイナンスの解説書です。

本の帯に「『自分だったら、どうする?』が実感できる」とありますが、まさにその通りで、読者に考えるきっかけとヒントを与えてくれる、おもしろい作りになっています。

たとえば、第11章で取り扱われている「価格か販売数量か、どちらをとるか」という命題。これに関しても、単に価格と販売数量の関係だけを考えるのではなく、同じコストを販売員のインセンティブにまわした場合や、広告宣伝費にまわしたりした場合など、さまざまなケースを想定しながら学べるようになっています。

もちろん、もともとファイナンスのテキストですから、企業分析や資本の調達、利益およびキャッシュ・フローの分析など、さまざまなファイナンス上のトピックに触れています。

どの本でも変わらないファイナンスの用語や数式を出しても仕方ないので、ファイナンス担当、経営者の持つべき心構えの部分をご紹介することにします。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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◆すべての企業が担っている財務上の3つの役割
1.利益をあげる
2.キャッシュ・フロー
3.健全な財政状態

内部向けの利益報告書では、営業費用は変動費と固定費に区別され、変動費はさらに販売数量によって変化するものと、売上高によって変化するものに分けられる。営業費用の適切な分類に関する重要性についてはいくら言っても言い過ぎにはならない。

来期の資本調達方法を検討するときには、来期の利益(営業活動)からのキャッシュ・フローを考慮に入れるべきである。

多くの企業にとって中心的な戦略は成長である。成長は、より高い売上水準を支えるために必要とされる営業資産の増加に資金を提供するために追加的な資本が確保されるということを要求する。

販売数量の増加に焦点を当てるときには常に、生産能力に気を配る心がけが大切である。追加的な販売数量を満たすために必要な生産能力を整備するために固定費が増加するはずである。

他の利益要素が一定であると仮定すれば、利益要素をどれか1つだけ変化させるとすると、販売価格の引き上げがもっとも望ましい。価格の引き上げが利益をもっとも増加させ、キャッシュ・フローの面でも最善の結果をもたらす。

マネジャーは多くの長期の資本投資意思決定を下す。資本投資の分析は、その企業に必要とされる資本コストによって決まり、資本コストは負債と株主資本の比率、それら2つの資金源のコスト、さらには法人税率といった条件によって左右される。株主資本の調達コストは利子率のように契約で決まるものではない。ROEをどう設定するかは、その企業の経営トップの判断に任されている。

経営判断が優れていても管理がおざなりであれば、最初から無謀な決定をしたのと同じく、悲惨な結果が待っている。すぐれた管理ツールが備わってこそ、意思決定のための優れたツールが生きるのである。
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さすがは定番書。それぞれ「落とし穴」や「勘どころ」といった項目でポイントがまとめられているため、非常に使い勝手がいいです。

というわけで、本日の一冊は、

『MBA入門ファイナンス』
http://tinyurl.com/6547n

です。本気で勉強したい経営者、ファイナンス担当者にはおすすめの一冊です。

■目次■
第1部 企業の内部および外部向けの財務報告
第2部 資産と資本源泉
第3部 利益およびキャッシュ・フローの分析
第4部 資本投資分析
第5部 その他の分析
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