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アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』

2005年08月31日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478374996

本日の一冊は、NHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターとして、3年間で全国の中小企業約400社を取材した著者が、そのなかから珠玉のサンプルを抽出し、今後のビジネスのヒントやアイデアを紹介したものです。

著者がまとめた「10の発想転換」も参考になりますが、読み応えがあるのは、やはり豊富な成功企業の事例。タイトルの通り、見事、「御用聞き」で成功した企業の事例が詳しく紹介されています。

読者は、本書を読んで、現在どんなビジネスモデルが機能しているのか、そこでどんな試みがなされているのか、詳しく知ることができるでしょう。

ただ、あえて問題点を指摘すると、本書で登場する成功事例には、具体的な企業名がありません。実名が入っていたら、本書の内容を検証したり、さらに詳しく調べることができただけに、残念です。

ただ、「御用聞き」、つまり顧客にフォーカスすることの重要性を指摘した書籍としては、価値ある一冊だと思います。

中小企業経営者は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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様々な角度から雑談をすることで、何気なく感じていた不満や要望が、言葉の端々に浮き上がってくる

◆営業ノルマが「売上」ベースではなく、「粗利」ベース
・商品ごとに値引きの割合は、すべて営業マンが自由に設定
・会社の財務は安定
・従業員たちにコスト感覚を身につけてもらう

高齢化社会では、資産も時間もあり、さらに、要求水準の高いお客様が増えていきます。言い換えれば、自分に適した商品を求めるお客様です。価格よりも価値観といった目に見えないものにお金を払ってくれる人たちです。こういったお客様に対して商売をするには、御用聞きが不可欠

御用聞きビジネスを広げていくときのポイントは、すでに販売して
いる商品と関係のあるものからスタートするのがよい

モノが動けば、そこには必ずといっていいほど、お金も動きます。さらに、御用聞き営業を突きつめていくと、お客様の購買についての情報も入ってきます。お客様のお金の流れと情報を把握することになれば、いずれはお客様の家計に合わせた金融商品の販売アドバイスなども出てくるかもしれません

◆クチコミが説得力を持つ理由
・中立性
・感動を伝えているから

怒られるとわかっていて、クレームを報告する人はいません

お客様の雑談が生まれる場づくりにおいて、もっとも大切なポイントが、共通の価値観を持つ人たちを集めること

探すだけでなく、発信する側に回ること。その発信した情報の価値があればあるほど、様々な情報が引き寄せられるようにやってきます
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『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478374996
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■目次■
はじめに
第1の発想転換 「売りに行く」から「聞きに行く」へ
第2の発想転換 「商品の専門家」から「顧客の専門家」へ
第3の発想転換 「商品を売る」から「自分を売る」へ
第4の発想転換 「クレーム対策」から「クレーム歓迎」へ
第5の発想転換 「モノづくり」から「場づくり」へ
第6の発想転換 「一人勝ち」から「みんな勝ち」へ
第7の発想転換 「モノを売る」から「シーンを売る」へ
第8の発想転換 「まず日本」から「まず世界」へ
第9の発想転換 「顧客の声を聞く」から「従業員の声を聞く」へ
第10の発想転換 「職場づくり」から「晴れ舞台づくり」へ
おわりに 「競争する」から「創造する」へ
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『相馬愛蔵・黒光著作集2 一商人として 夫婦教育』

2005年08月30日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4876633150

本日の一冊は、新宿中村屋の創設者(厳密には引き継いだ)、相馬愛蔵の著作のなかでも、当時もっとも売れた『一商人として』を収めた著作集です。

『一商人として』は、高級学術書の出版をモットーとする岩波書店にしては異例の書ということで、当時大いに話題になったようです。

解説者によると、これは「岩波茂雄が同郷の先輩である愛蔵を畏敬し、また共に高等教育を受けた者が一商人として出発したことに、多くの教訓を得、また共感するところが多かったから」ということですが、本書を読んでいて、確かにその人がらには、畏敬の念を感じざるを得ません。

愛蔵・黒光夫婦の従業員に対する愛情、商人としての心構え、そして社会に対するスタンス…。

本自体は、中村屋の創業からのさまざまな出来事を追ったものですが、随所に見え隠れする人生哲学、経営理念には心打たれます。

得意客であった内村鑑三とのやり取りや、夫妻がかくまった、インド独立の功労者、R・B・ボースとのやり取りなど、読み物としても楽しめる一冊です。

おそらく普通の書店には置いていないと思いますが、とてもいい本です。商売・経営にたずさわる方はぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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一つの商店は一家である。店主は店員の親であって、店員たちは店主の子であるとともに、古参新参のへだてなく、みな仲の好い兄弟でなくてはならない。兄弟は喜びも悲しみも共にすべきであって、そのうちの一人が優れていたからといって、親はそこに差別待遇をしてはならぬ

運動会の一日の売上げが平日の幾倍に当り、どれほどの儲けがあるのか知らぬが、そのために一日店を閉め切り、当てにしてわざわざ出向いて来て下さる常得意のお客に無駄足をさせる。こんな仕方をすれば多年どれほど売り込んだ老舗であっても、得意の同情を失って破滅に至るは当然

私は今日の広告を見て行ったから三割引で買物が出来たが、前日松屋で買物をした客はどんな気持がするだろう、同じ品を今日の客より三割高く買わされたという感じをしないものだろうか

狩野では出来ないことが浅野では出来たのである。これを見ても適材を適所におくということがいかに大切であるか、人間に向き不向きのあるのも免れ難いこととして、人を用いる場合にはよくよく注意せねばならぬことである

良い品のその「良い」ことを落さぬためには、常に製品を内輪に見積もって、どんなことがあっても翌日にまわるような売れ残りを拵えてはならない。すなわちここが大切の思い切りどころ

何品でも中村屋の製品はなるべく一つの分野に止め、他店の領分を侵さぬ方針なのである

縄のれんの一杯茶屋の繁昌はどこまでも縄のれんの格においてのみ保たれるのであって、長年労働者を得意として発展した店が、財力豊かになって来たからとて、急に上流向きの立派な店構えに改築して、それで得意を失わずに済むものではなく、またにわかにかわって上流の客が来るものでもない

他人の領域を侵さぬことはもとより、平常自己の人格の向上を念願すると同様に、店そのものの本質的向上を計り、人格を磨くが如く店格を磨き、店の個性を樹立することに精進努力せねばならない
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『相馬愛蔵・黒光著作集2 一商人として 夫婦教育』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4876633150
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■目次■
本郷における創業時代
新宿中村屋として
若き人々へ
別記
主婦の言葉
夫婦教育
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『戦略の本質』

2005年08月29日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532165296

本日の一冊は、名著『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』の執筆陣が、大逆転をおさめた歴史上の戦いをもとに、逆転を可能にする戦略とリーダーシップについて論じた注目の一冊です。

※参考:『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122018331

毛沢東の反「包囲討伐」戦、バトル・オブ・ブリテン、朝鮮戦争、ベトナム戦争などを題材に、戦争を勝利に導いた歴史的リーダーたちが、何を戦いの原則としていたか、そして彼らの軍を逆転に導いた原因は何なのか、を淡々と分析しています。

「戦略の本質は彼我の相互作用のなかにある」と主張したのは、かの有名なクラウゼヴィッツですが、本書のなかで読者は、移り行く状況のなかでリーダーが何に着目し、どう戦略を立てるべきなのか、を学ぶことができるでしょう。

静的な原則論ではなく、まさに進行中の戦いのなかで生かせる、さまざまな知恵が盛り込まれている、興味深い論考です。

ちょっと記述は硬いですが、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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戦争や戦略の本質は過去も現在も、そして未来も変わらない。ただし、戦争様相、戦略の方法や具体的応用は、それぞれの位相が変化すれば、常に変わる可能性がある

戦略の本質は彼我の相互作用のなかにある

◆毛沢東が実施し、兵士の使命感の昂揚に貢献した「三大民主」
1.幹部と兵士の間で作戦および訓練の策定と事後評価の討論の自由
2.幹部と兵士の相互批判の許容
3.兵士への給与と炊事管理の権限委譲

◆毛沢東の戦いの6条件
1.軍隊と人民とが一致しており、人民は積極的に紅軍を援助している
2.主動的に有利な作戦陣地を選ぶことができ、敵を罠にかけることができる
3.各個撃破によって優勢な兵力を集中できること
4.敵の弱点を攻撃できること
5.敵が力を消耗しつくすのを待って、攻撃することができること
6.敵の失策を作り出し、敵の隙に乗じ、攻撃を加えることができる

攻撃のための防御、前進のための後退、正面に向かうための側面への転向、直進のための迂回などは、いかなる事物の発展過程にも不可避

メタファーの活用は、組織における価値の共有と創造性開発のリーダーシップの要件

制約のある資源をいかに有効に集中的に活用し、優位性を確保するか。これが戦略の基本原則

物事を成すには、さまざまな抵抗や対立、摩擦を克服しなければならない

◆賢慮型リーダーシップが要請する5つの能力
1.他者とコンテクストを共有して共通感覚を醸成する能力
2.コンテクストの特質を察知する能力
3.コンテクストを言語・概念(普遍)で再構成する能力
4.概念を公共善に向かってあらゆる手段を巧みに使って実現する能力
5.賢慮を育成する能力
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『戦略の本質』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532165296
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■目次■
序章 なぜいま戦略なのか
第1章 戦略論の系譜
第2章 毛沢東の反「包囲討伐」戦――矛盾のマネジメント
第3章 バトル・オブ・ブリテン――守りの戦いを勝ち抜いたリーダーシップ
第4章 スターリングラードの戦い――敵の長所をいかに殺すか
第5章 朝鮮戦争――軍事合理性の追求と限界
第6章 第四次中東戦争――サダトの限定戦争戦略
第7章 ベトナム戦争――逆転をなしえなかった超大国
第8章 逆転を可能にした戦略
参考文献
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『ドン・キホーテ 闘魂経営』

2005年08月28日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198620423

本日の一冊は、深夜営業と激安価格、独自の圧縮陳列などで話題となった、小売業界の風雲児、ドン・キホーテ安田社長による一冊です。

ご存知の通り、ドン・キホーテは2004年12月に不幸な連続放火事件に見舞われ、そのため本書の原稿はいったんお蔵入りとなりました。随分と悩んだ上、今回の出版の決断にいたったようです。

内容的には、安田さんの成功哲学と商売のノウハウ、そして小売業を始めてから現在にいたるまでのエピソードが盛り込まれています。

とくに、土井も実際に取材して知っていますが、社員が生き生きと働くマネジメントの秘密については、知っておきたいところです。

タイトルのイメージ通り、泥臭くて熱い主張が展開されており、好き嫌いはあるかと思いますが、読み応えのある一冊です。

読者を行動に導いてくれる、という意味では、口当たりの良い自己啓発書の何倍も役に立つ本です。ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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世間に流布される成功法則やビジネスモデルというのは、すべて結果を見ての「後づけ」である。だから今どきの実業には何の役にも立たない

業界常識は勝利者の論理であって、勝利のための論理ではない。だから、後発企業が先発企業のマネをしても絶対に勝てない

経済も消費も成熟した今のような時代、起業家にとって最大の資本は金ではない。「知恵」だ

◆ドン・キホーテの人材育成における基本方針
自ら考え、判断し、行動する「体験環境」を用意し、何よりも彼らに”頭脳と創造性”を持たせればよい

◆ビジネスに不可欠な3つの「覚悟」
1.必死さ 2.リスク 3.長期戦

激安商品を入手する行為と、激安感を楽しむ行為は全く異なる。前
者はモノ志向、後者はコト志向だ

◆ドン・キホーテ成長における3大キーワード
1.ナイトマーケット 2.オンリーワン 3.シングルマーケット

自分を主語にするのではなく、相手を主語にして考えてみる。そうすると目からウロコが落ちて、今まで見えなかったものが鮮明に浮かび上がってくることがある

結局、商売は真正直にやるのが最終的に一番儲かる方法

ビジネスは野球やサッカーのように1点差でも勝てばいいという戦いではない。どこまでも点の総量を競い合うエンドレスゲームだ。だから、幸運時は攻めに攻めて大量得点するべきで、もうこれぐらいでいいやと守備固めに回ってはいけない。本当に守らなければならない時の兵糧をせっせと稼いでおくべきなのである

当社には、「企業イコール組織、システム」といった既成概念はかけらもない。あるのは「個人商店の集合体イコール結果としての企業」というシンプルなスタンスだけだ

「遊びの市場力」こそ、モノ余り時代を突破する最大のキーワード
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『ドン・キホーテ 闘魂経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198620423
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■目次■
序章 十字架は背負うが挑戦はやめない
第1章 徒手空拳のド素人だったから成功した!
第2章 常識は疑い、破壊するためにある
第3章 失敗と苦労こそ成功のコスト
第4章 ようこそ! ドンキ劇場へ
第5章 主語は「自分」でなく「相手」に置け
第6章 我がケンカ商法の極意を語ろう
第7章 今どき最強の人材育成法とは?
第8章 仕事は「ワーク」ではなく「ゲーム」だ!
第9章 「人間学」こそ究極のマーケティング
第10章 ビジネスほど面白いものはない!
終章 ドン・キホーテの新たな変革と出発
最後に
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『リーダーの易経』

2005年08月27日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569644996

本日の一冊は、中国最古の古典である『易経』の研究家であり、NHK文化センター「易経」講師。名古屋の財界に強力な人脈を持つ著者が、初めて書き下ろした、易経の入門書です。

易経は、時の変化の原理原則を説いたもので、あらゆる事物の変化に対応する普遍的な内容ですが、そのなかから古来より帝王学として学ばれてきた「龍の話」を中心に、リーダーがいかにして成長すべきか、について解説したのがこの本です。

内容は、この龍の成長段階である「潜龍」「見龍」「君子終日乾乾す」「躍龍」「飛龍」「亢龍」をそれぞれ解説し、リーダーの心構えや考え方を示したもので、いち経営者として見る限り、じつに有用です。

自らの志を忘れないこと、謙虚に学ぶことの必要性、そして人と和することの重要性を改めて教えてくれる、そんな一冊です。

責任ある立場にある方、これからそうなろうと考えている方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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時を把握する洞察力と、吉凶の兆しを察する直観力をあえて養わなければ、リーダーの役目は果たせない

◆龍の成長過程(正しくは乾為天における時の変遷の概略)

・第一段階 「潜龍」――変化の始まり
受け入れはしても用いてはならない。重用したり、責任を持たせてはならないまずは志ありき。潜龍の時は大志を抱き、培う時
潜龍の時にどのくらいの志を抱くかによって、どのくらいの働きをするリーダーになるかが決まってしまいます

・第二段階 「見龍」――目が開かれる時
どんなにすぐれた能力や才能があっても、それを見出し、世に引き上げる力が働かなければ、日の目を見ることはありません
「学ぶ」は古くから「まねぶ」と読み、「学はまねぶなり」といいます。学ぶとは、真似ること。どんなものでも、学びの始めは見様見真似です

・第三段階 「君子終日乾乾す」――道を反復する
この時にどんな努力をし、何を身につけるかによって、成長が止まってしまうか、将来リーダーを務められるかどうかの分かれ道もっとも大切なことは、一日を省みる、反省を習慣化すること

・第四段階 「躍龍」――自ら試みる時
飛龍になるには、実力や才能に加え、「時」を、つまり好機をとらえなければなりません
時の的を射るためには、「機」と「期」と「気」を観る

・第五段階 「飛龍」――変化を起こす
飛龍は潜龍時代から抱いてきた志を達成し、これまで身につけてきた特質や能力を発揮して、君子、リーダーとして社会に貢献する時リーダーの本来の役目は、あらゆる人やものごとのそれぞれの特性や個性を生かし、育てること
どんなものごとでも、成り立つためには、人が求め合う、応じ合うという関係が必要です。飛龍は、雲と共にいなければならない存在であって、雲がいなければ、皆が助けてくれなければ、飛龍としての役割を果たすことはできない

・第六段階 「亢龍」――平らかなものは必ず傾く
後悔して地位を退き、かたちを変える以外には、道がない

窮まれば変ず:物事は極まった瞬間に新たな変化の兆しが生じる

陰の力なくしては、陽の力を正しく伸ばすことはできません
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『リーダーの易経』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569644996
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■目次■
序章 易経とは何か
第1章 リーダー成長論―乾為天
第2章 陰を生み出し、陰に転ずる
第3章 「時」―時の法則性を読む
第4章 「処」―組織の環境を整える
第5章 「位」―リーダーの出処進退
終章 混沌へ復る
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『テクノロジストの条件』

2005年08月26日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478300720/

本日の一冊は、マネジメントの巨人ドラッカーが、60年にわたり関心を持ち続けてきた、技術マネジメント論の集大成です。

ドラッカー一流の歴史観にはじまり、技術が人類の歴史に及ぼした影響、そして知識社会におけるテクノロジストの重要性と、イノベーションを生み出すための考え方…。

世界史を体系的に学んでいない人には辛い読み物かもしれませんが、じつに刺激的な論考だと思います。

「今日必要とされているのは、テクノロジストであって科学者ではない」というドラッカーの主張は、科学にかじりついている人にとっては耳が痛いかもしれませんが、今まさに起こりつつある変化だと思います。

タイトルは『テクノロジストの条件』となっていますが、知的生産にかかわるすべての人に読んでほしい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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鍵はエレクトロニクスではない。認知科学である。まさに出現しようとしている新しい経済と技術において、リーダーシップをとりつづけていくうえで鍵となるものは、知識のプロとしての知識労働者の社会的地位であり社会的認知である

◆知識労働の生産性を向上させるための条件
1.仕事の目的を考える
2.働く者自身が生産性向上の責任を担う
3.継続してイノベーションを行なう
4.みずから継続して学び、人に教える
5.知識労働の生産性は量よりも質の問題であることを認識する
6.知識労働者は、組織にとってコストではなく資本財であることを理解する

◆テクノロジストの生産性向上の条件
1.仕事は何かとの問いかけを行なうこと
2.テクノロジスト自身が仕事の質を担保すること
3.テクノロジスト自身が知識労働者であることを認識すること

企業をはじめとするあらゆる組織にとって、みずからの生存は知識労働者の生産性に左右されるようになる(中略)最高の知識労働者を惹きつけ、とどまらせる能力こそ最も基本的な生存の条件

◆ベンチャーが成功するための4原則
1.市場に集中すること
2.財務上の見通し(特にキャッシュフローと資金)
3.トップマネジメントのチームを、それが必要となるはるか前に用意
4.創業者である起業家自身がみずからの役割、責任、位置づけを決める

需要が増大しているにもかかわらず利益があがらなければ、技術の変化が必要であり、かつその機会があるということ

今日必要とされているのは、テクノロジストであって科学者ではない。しかも専門外の者、特に科学技術に優れた感性をもち、知的好奇心が旺盛な専門外の者のほうが、みずからの知識の虜となりがちな専門家よりも優れた仕事をする
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『テクノロジストの条件』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478300720/
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■目次■
プロローグ 未知なるものをいかにして体系化するか
1章 仕事と道具
2章 古代の技術革命に学ぶべき教訓
3章 近代を生み出したものは何か
4章 IT革命は産業革命になれるか
5章 知識労働の生産性
6章 ベンチャーのマネジメント
7章 つくるだけでは終わらない
8章 技術をマネジメントする
9章 方法論としての起業家精神
10章 イノベーションのための組織と戦略
11章 既存の企業におけるイノベーション
12章 イノベーションの機会はどこにあるか
13章 分析から知覚へ
14章 知識の意味を問う
15章 ポスト資本主義社会の到来
エピローグ インタビュー「新技術は世界をどう変えつつあるか」
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『女性に選ばれるマーケティングの法則』

2005年08月25日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478502390/
本日の一冊は、消費のカギを握っている女性を徹底研究し、その行動や思考のプロセスを明らかにしようと試みた一冊です。

著者は、女性の健康分野を中心に活躍する実力派マーケターのリサ・ジョンソンと、さまざまなオンライン刊行物に女性市場に関する記事を執筆しているアンドレア・ラーニド。

著者らによると、多くの「女性向け」マーケティングが失敗するのは、マーケターの偏狭で画一的な見方によります。

そしてその発想でアプローチされると、多くの女性は小馬鹿にされたような気になったり、わざとらしさを感じたりする、というわけです。

では、その偏狭の罠に陥らないようにするためには、どうすればいいのか。本書には、まさにそのヒントが書かれています。

アメリカのマーケットを前提に書かれているため、正直、日本の状況と若干ずれている点もあります。

ただ、女性市場で成功を収めたアメリカの事例などが紹介されているので、女性市場を相手にビジネスをしようと考えている方には、参考になるのではないでしょうか。

ちょっと消極的な評価だと思った方は、ぜひBBM大賞で紹介されている本を買ってください!(笑)
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■ 本日の赤ペンチェック
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大事なのは、女性の感性に訴えることではない。そんな努力は表面的なものにすぎない。むしろ必要なのは、女性の購買意欲をかきたてる、もっと巧妙で洗練されたアプローチである

女性の嗜好を考慮しているものに女性は自然と気づくので、あえて女性向けと謳って気を引く必要はない

◆女性のウォンツとニーズを探る際に、考慮すべき点
1.日常生活について
日課、共通の考え方、よくあるストレス、モチベーションや不安、行動を起こすきっかけ、仲間内の習慣や約束、聴いている音楽など
2.夢について
単なる世代的な共通点にとどまらない希望や欲求、信念は、女性たちをコミュニティ化し、市場セグメントの境界線を定めるもの

ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校とスタンフォード大学が実施した調査の結果、男性と女性の脳における感情的イメージの処理方法の違いが明らかになった。それによると、女性は感情的な出来事を、男性より明確かつ詳細に覚えている。そしてそれは、男性よりも女性のほうが脳の多くの部分を感情的な出来事の処理に用いるからだという。つまり、音楽を利用して感情に訴えれば、女性はブランドのメッセージにより強い関心を持つかもしれないのだ

どんなブランドも、すべての人のすべてのニーズを満たすことはできない。だから、透明なマーケティングの到達範囲を拡大するうえでは、ブランド同士の提携が重要なカギとなる

女性は女性だけのグループにいるときのほうが、新しい話題に関する議論に活発に参加し、多くの情報を分かち合う

多くの女性消費者は、新たに何かを購入する際は、今後の参考にいろいろと学びたいと考えていて、結果的に大きな力をつけることもある。つまり、教育的な手法や論調がマーケティングの強みとなる場合もあるのだ。
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『女性に選ばれるマーケティングの法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478502390/
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■目次■
第1章 究極のステレオタイプ
第2章 目に見えるアプローチ
第3章 透明なアプローチ
第4章 女性心理の分析
第5章 世代別に見た女性の特徴
第6章 ライフステージと役割
第7章 イン・カルチャー・マーケティング
第8章 学習曲線とライフステージ
第9章 オンライン戦略
第10章 eマーケティングのコツ
第11章 パートナーとして囲い込む
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『<育てる経営>の戦略』

2005年08月24日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062583283/

本日の一冊は、大反響を呼んだ『虚妄の成果主義』の著者が、ポスト成果主義の経営論について語った、注目の新刊です。

※参考:『虚妄の成果主義』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822243729/
マネジメントや評価の本質的な問題をすべて手段のせいにし、成果主義を礼賛した企業が今、どんな状態になっているのか、今後の評価制度はどうあるべきなのか、骨太の議論が展開されています。

もちろん、多くの方が指摘しているように、終身雇用制度が維持困難なのは事実であり、述べられていることは、制度を作る側にとっては、理想論に聞こえるかもしれません。

ただ、人間の動機づけや成長といった本質的な部分が制度にあわせて変わるわけではありませんので、やはり本書の主張は無視できないと思います。

日々苦労している人事の方に配慮する書き方がなされていなかったのは残念ですが、書いている内容は極めて正論です。

安易な解決策を期待するのではなく、経営者の課題として、素直に受けとめるべき主張ではないでしょうか。
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■ 本日の赤ペンチェック
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成果主義の犯した最大の罪は、そもそも賃金制度の問題ではなかった経営問題の多くを賃金問題に矮小化してしまったことにある。そのことで、多くの経営者・管理者が思考を停止させ、彼らが本来自ら責任をもって解決すべきだった経営問題の多くが見過ごされ、先送りされてしまった

業績という短期的で不安定な結果に対して、能力とはもっと長期的で安定的なもの

本来評価というものは、おおげさにいえば、上司が己の全存在をかけておこなうべきもの

成果主義になってから、上司に意見しにくくなった(中略)ついつい部下は上司の顔色をうかがうようになってしまい、会社にはイエスマンが蔓延することになる

「評価をしたがる」人びとも、自分が若いとき、叩かれっ放しで伸びたのかどうか胸に手を当てて考えてみてほしい

自分の部下で誰が賢くて、誰が馬鹿かもわからないような人間には、人の上に立つ資格などない

同じ金と時間をかけるのであれば、評価よりも、人材の育成にこそ金と時間をかけるべきなのだ

金では人は育たない。次の仕事を与えられることで、はじめて人は育つのだ。パフォーマンスが向上し、やがては会社の真の成長につながっていくのだ。まちがいなく、金ではなく次の仕事で報いるシステムが「育てる経営」には適合している

資源・能力の蓄積過程こそが競争優位を決定づける
手間暇かける必要はあっても、「育てる経営」こそが、一番確実で、一番成功確率の高い経営なのです
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『<育てる経営>の戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062583283/
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■目次■
第1章 客観評価の虚妄
第2章 貧困な発想
第3章 『虚妄の成果主義』が批判したもの
第4章 目的はモチベーション
第5章 人的資源は買えない
第6章 競争優位の源泉としての資源・能力蓄積過程
第7章 例解:発明の対価
第8章 育てる経営
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『パイロットが空から学んだ一番大切なこと』

2005年08月23日 | Weblog
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/475730305X/
本日の一冊は、国際線ジャンボジェットの機長が、パイロットの仕事に求められる心構えや仕事の段取りについて述べた一冊です。

通常の仕事と違って、ちょっとした過ちが多数の人々の命に関わる大切な仕事。そこで行われている仕事のルールとは何か、機長は一体どんな仕事をしているのか。じつに知的好奇心をくすぐられます。

驚いたのは、ビジネスユースの多い東京~大阪の朝の便では、時間を優先させ、高度を低くする、夏休みの昼の沖縄行きでは、高くして安全と快適さを優先させるなどといった、通常なかなか気づかない配慮があること。

ほかにも、機長の体調を保つため、厳しい食事のルールがあったり、着陸に関しても厳密な決まりがあったり、読んでいて、思わず飛行機に乗るのが怖くなってしまうほどです。

ちょっと無理にビジネス寄りにしすぎて、趣に欠けた点が残念ですが、非常に興味深く読ませていただきました。

これはおすすめです。
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■ 本日の赤ペンチェック
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相手の意思に反してでも最善の方法をとることが機長にとっての責任のひとつ

飛行機が動くためには、実に様々な人が陰で働いています。これらの人にいかに気持ちよく正しい仕事をしてもらえるようにするかも機長の仕事のひとつ

最も大事なのは制約条件を守った上で、明示された仕事をやり遂げることです。細かな方法や手段についてアドバイスやサジェッションは与えても、最終的な意思決定は担当部署や担当者そのものが行うべきです

納期にしても、資金にしても厳密な計算を行って出した後、不測の事態に備える余裕を持つ必要があります。その余裕分もただ闇雲にあればいいというものではなく、一定の法則に基づいた値を持っている必要があります

操縦席に限らずどの職場でも、上司が部下の言うことに耳を貸さないような職場からは人はどんどん離れていきますし、逆に的確な指示ができない上司は存在価値がありません。現代に求められるリーダー像は、適度な権威勾配を作り出せるのと同時に、いろいろな意見やアドバイスを出しやすい雰囲気を作れる人

一番よかった点を1つあげ、それをよかったと評価した上でアドバイスをしています。まず、心を開いてもらわなければ、いくらよいことを言っても相手の中に入っていきません

何か言ってくれたら、それが正しくても間違っていても、言ってくれた勇気に対して「ありがとう」が第一声であるべき

情報の鉄則は、わからなくなったら最初にその情報を発信した人に必ず確かめるという点

人に物を教える時にはまず前提条件の違いを話すことが重要

機長の仕事で一番大切だと考えていることがあります。それは飛ばないという決断です
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『パイロットが空から学んだ一番大切なこと』
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■目次■
プロローグ 空から学んだこと
第1章 雲の上の職場から
第2章 フライトとはプロジェクトである
第3章 パイロットという非日常
第4章 マニュアルと情報処理と
第5章 チームワークには「自由」という空気を
第6章 技術を伝承するために
第7章 フライト・シミュレーション
第8章 ビジネスリーダーとしてのパイロット
エピローグ 空ほど美しい職場はない
終わりに
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『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』

2005年08月22日 | Weblog
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本日の一冊は、出版社の雑誌編集者を経て、ネット通販で大成功。2年連続で楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー「ベスト店長賞」に輝いた著者が、売れるキャッチコピーの作り方を指南した一冊です。

キャッチコピーを工夫することで売上を伸ばしたショップの実例なども入っており、ショップオーナーや現場の担当者にはいい刺激になると思います。

概念論にとどまらず、効果的なコピーの例がきちんと示されており、好感が持てます。

巻末には、すぐに使えるキャッチーな言葉を600語収録したという、「キャッチコピー言い回し辞典」もついています。

この本の最大の特徴である、具体的な作成プロセスについては、残念ながら赤ペンチェックでは表現できませんので、ぜひ手にとって見てください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆売れるキャッチコピーの条件
1.とにかく売れる 2.誰でも簡単に作れる 3.大量生産できる

情報のスピードが速くなり、量が増えたことにより、コピーライターでは賄えないぐらいのキャッチコピーが必要になってしまった。もはや商売をする人間が「キャッチコピーが作れない」とは言えない時代になってしまった

コピーライターが考えるキャッチコピーの仕事と、私達が必要としている売上を伸ばすキャッチコピーを考える仕事は、まったく別モノ

言葉で表現しにくいものは第三者には余計に伝わりづらく、売れない

お客様がイメージしづらい料理名は、やはり注文されにくい

お客様の信頼を得なくてはいけない具体的なキャッチコピーを作る場合は、やはり数字をキャッチコピーに入れた方が、より伝達力が強くなる

新商品のニュースリリースにキャッチコピーをつけることにより、記者や編集者側は記事にまとめやすくなり、マスコミに取り上げられる確率が高くなる

(本の場合)目次から言葉を拾い上げれば時間を掛けずに効果的なキャッチコピーを作ることができる

現場スタッフの「殺し文句」がキャッチコピーになる

現状の言葉よりも、さらにインパクトがあって、さらにイメージが湧いて、もっと響きが良い言葉を探し出すのが売れるキャッチコピーの言葉探し

◆キャッチコピーに必要な役割
・お客様に気づいてもらう(引き)
・その商品の優位性を伝える(特徴)
・その商品に興味を持ってもらう(説明)

100本の白い花が咲いている中で一本の赤い花が目立つように、レギュラーな形があるからこそ、イレギュラーが際立つ
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『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』
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■目次■
序章  一億総キャッチコピーライター時代
第1章 実録レポート・キャッチコピーをつけただけで売れた!
変えただけで売れた!  
第2章 キャッチコピー作りの基本は「強い言葉」探し
第3章 キャッチコピーは「公式」で考える
第4章 キャッチコピー、この変化ワザを磨け!
第5章 売れるキャッチコピーを見つける生活習慣
おわりに
特別付録 キャッチコピー言い回し辞典
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『ドラッカー20世紀を生きて』

2005年08月21日 | Weblog
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本日の一冊は、マネジメントの巨人、ドラッカーが、自らの人生と20世紀を振り返ったもので、もともとは日本経済新聞の人気コーナー「私の履歴書」に掲載されていたものです。

もちろん、新聞の連載27本だけでは、到底一冊の本にはなり得ないので、インタビューでのこぼれ話などを盛り込んだ「訳者解説」や、「ドラッカーの人生年表」を加えて、一冊に仕立て上げています。

読んでみて、思ったことは、やはり一流の人は一流の人と出会っている、ということ。

ドラッカーは、幼い頃からフロイトと握手を交わしたり、シュンペーター、ハイエクなどとホームパーティで出会ったりしていたようで、そこからいろいろ学ぶことがあったようです。

ドラッカーの少年時代から、社会に対するスタンスが築かれた記者時代、マネジメントを人生のテーマとするまでの流れが、簡潔かつ具体的に書かれています。

ドラッカーファンならずとも楽しめる、興味深い一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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1939年にナチスドイツの本質を暴いた処女作『経済人の終わり』を書き、英首相になる前のウィンストン・チャーチルに書評で評価されたことで文筆家としての道が開けた

父は外国貿易省長官だった(中略)外国貿易省は唯一経済学者を雇い入れていた点で異色の存在だった。父自身も経済学者ではあったが、実態は若手経済学者を採用し、育成する「ゴッドファーザー」だった(中略)父にチャンスを与えられた経済学者の中で特筆すべき人物が一人いる。「創造的破壊」が経済発展の原動力であるなどと説き、二十世紀を代表する経済学者となったヨーゼフ・シュンペーターだ

私は両親のおかげで幼いころから多様な人たちと接することができた。学校はほんの一時期を除いて退屈極まりなかったから、これが実質的な教育になったと思う

台頭著しいナチスの党首アドルフ・ヒトラーや右腕のヨーゼフ・ゲッベルスの演説を聞き、直接インタビューした(新聞社時代)

仕事のかたわら、毎週金曜日の夕方にはケンブリッジ大学へも足を運んだ。「ケインズ経済学」の生みの親、ジョン・メイナード・ケインズの講義を聴くためだ(中略)講義を聴きながら、ケインズを筆頭に経済学者は商品の動きにばかり注目しているのに対し、私は人間や社会に関心を持っていることを知った

意気消沈のさなかのGMからの誘いだった。当時のGMは中興の祖アルフレッド・スローンの下で、世界初の本格的な事業部制や分権制を導入するなどで近代的な企業経営の元祖になっていた。今振り返っても幸運に恵まれていたものだと思う

最高経営責任者(CEO)の座にあるアルフレッド・スローンの下で、同社は「資本家」ではなく「経営のプロ」が運営する近代的な組織へ大転換中だった。マネジメントの研究対象としてこれに勝るものはなかった

有名になることだけが人生を測る物差しではない。これからもこのことを忘れないでいたい。最初に書いたように私には「引退」という言葉はない
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『ドラッカー20世紀を生きて』
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■目次■
まえがき
訳者まえがき
1 基本は文筆家――95歳でも現役
2 生まれは帝都ウィーン――4歳の夏に第一次世界大戦
3 世界で最も優しい父――シュンペーターに救いの手
4 フロイトと握手する――顔広い両親
5 最高の教師との出会い――8歳で学ぶ喜びを知る
6 赤旗デモに誘われ先頭に――「場違い」と感じる
7 退屈なウィーンを脱出――図書館で「大学教育」
8 大恐慌で記者の道――初日から編集長に怒鳴られる
9 ヒトラーに直接取材――ファシズムの本質見る
10 ナチス突撃隊――心臓が止まる思い
11 ドリスとの再会――人生最高の瞬間
12 大盛況だったケインズの講義――経済学に興味なし
13 “大戦前夜”の新婚旅行――新生活はニューヨーク
14 ワシントン・ポスト紙と契約――フリーランスとして第一歩
15 処女作にチャーチルの評価――独ソ結託を見通す
16 雑誌王に学んだ60日――IBM創業者とやり合う
17 青天の霹靂――GMからの誘い
18 戦時下の工場現場も取材――「GMの頭脳」と懇意に
19 特異な経営者スローン――秘密兵器は補聴器
20 『会社という概念』に集中砲火――スローンに救われる
21 分権制ブーム――フォードとGEが採用
22 「知識労働者」を生涯のテーマに――トヨタに協力
23 「経営コンサルタント」を考案
24 またしても幸運の女神――NY大の初代経営学部長に
25 デミングと授業を担当――教室はプール
26 日本画を見たさに初来日――「経済大国になる」と確信
27 NPOに傾注――わが人生に「引退」なし
訳者解説
付録 ドラッカーの人生年表
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『成功するインド株』

2005年08月20日 | Weblog
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本日の一冊は、インド株だけに的を絞った書籍としては、おそらく初めての一冊です。

著者は、アイザワ証券投資リサーチセンターの高橋正樹さん。

著者曰く、2005年7月現在、日本からインドの個別株に直接投資することはできませんが、その可能性は十分あるとのこと。

であれば、先にインド株投資の準備を始めておこう、というのが本書の趣旨です。

内容的には、インドの経済動向から、今後のインド株の可能性、具体的な業種・銘柄までを押さえています。

早い段階での推奨株や人気株というのはえてして危ないものなので、その点ではおすすめしませんが、インド経済の動向を知り、インド株の可能性を探る上では、役に立つ一冊です。

個人的には、榊原英資さんの『インド巨大市場を読みとく』の方が読み応えがあると思いますが、本書は株に特化した点が特徴です。

※参考:『インド巨大市場を読みとく』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492443177/
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■ 本日の赤ペンチェック
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インドの株式市場は新興市場とはいえイギリスの植民地だったので、欧米の商習慣と英文会計が浸透し、透明性も収益性も高い、魅力のある個別企業がたくさんあります

ゴールドマン・サックスのリポートによると、2050年には、少子高齢化とは無縁のインドが15億人超えとなり、世界のトップ

インドや中国が”世界の工場”として発展することで、原油需要が逼迫し、原油価格が高騰すると、結果としてイラクに入るおカネが増える(中略)中国とインドの発展とそれに伴う原油価格の高騰は、アメリカにとって絶対に必要な展開

近ごろでは、インド企業がオフショアリングと呼ばれる米国企業の情報技術関連の海外委託業務の70%を獲得

驚くべきことに、中国でも外資の導入を躊躇している通信サービスや銀行などのサービス分野でさえ、インドは過半数を超える出資比率を認めている

今後、インドの株式市場に、インフラ関連銘柄が次々と上場する可能性が高い

中国の株価指数でウエイトが高い産業こそ、大きく儲けるための重要なポイント

モーリシャス籍のファンドを利用してインド株投資をすると、非課税扱いになる

今、インドでは、エネルギー資源の確保が重要な政策課題

インド株に投資するときの方針は、「有力財閥成長銘柄」への投資、つまり成長株への投資
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『成功するインド株』
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■目次■
プロローグ
第1章 世界の投資家がインド株に注目する理由
第2章 インドが急成長した理由
第3章 インドをとりまく国際情勢の舞台裏
第4章 インド株投資の基礎知識
第5章 インド株投資の注目業種
第6章 成功するインド株の攻略方法
エピローグ
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『ケアの本質―生きることの意味』

2005年08月19日 | Weblog
www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4946509119/
本日の一冊は、30年以上前に書かれた名著で、タイトル通り、ケアの本質について書いたものです。

訳者まえがきにあるように、一応は哲学・心理学・医療・教育などの分野に該当しますが、その本質は、経営者、教師、プロデューサー、コンサルタント、親など、およそ人の成長を助ける仕事に携わる、すべての人に当てはまるものです。

読んでみて、その内容にもビックリ。ケアすることの本質と心構え、そしてケアを実行に移す際の注意点などが、じつに丁寧に書かれているのです。

書評者としてこれほど無責任な言葉もないと思いますが、本書の価値は、普段から人を助けることを真剣に考えている人が、実際に読んで初めてわかるものだと思います。

サブタイトルに「生きることの意味」とありますが、まさにその通り、豊かに生きるための本質が説かれた、素晴らしい一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである

他の人々をケアすることをとおして、他の人々に役立つことによって、その人は自身の生の真の意味を生きているのである

成長することとは、その人が新しいことを学びうる力を持つところまで学ぶこと

学ぶとは、知識や技術を単に増やすことではなく、根本的に新しい経験や考えを全人格的に受けとめていくことをとおして、その人格が再創造されること

ケアする人は忍耐強い。なぜなら、相手の成長を信じているからである

ケアする人は実に謙虚であり、相手や自分自身について、またケアというとどこまでが含まれるかについて、すすんでより多くのことを学ぼうとする。このことはまた、ケアされている人から学ぶことも意味している

無私の状態とは、最高の覚醒、自己と相手に対する豊かな感受性、そして自分独自の力を十分に活用することを意味する

自己中心的な人格は、根本的にその人自身には関心を持っていないのである。彼は自分を正直に見つめることを避けているのである

自分が純粋に興味を持つ事柄を中心に自分の時間を調整するのが、とりもなおさず、自分がより意義深く生きる一助となる

私と補充関係にある対象が成長して(例:音楽家にとっての音楽)、私を深く包み、私の生を実りあるものにととのえてくれるように、その対象の成長を援助する過程の中で、私自身も変容を遂げる

人は自分の場を発見することによって自分自身を発見する。その人のケアを必要とし、また、その人がケアする必要があるような補充関係にある対象を発見することによって、その人は自分の場というものを発見する
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『ケアの本質―生きることの意味』
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■目次■
I 他社の成長をたすけることとしてのケア
II ケアの主な要素
III ケアの主要な特質
IV 人をケアすることの特殊な側面
V ケアはいかに価値を決定し、人生に意味を与えるか
VI ケアによって規定される生の重要な特徴
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『これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!』

2005年08月18日 | Weblog
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本日の一冊は、「日本初!社長夫人育成コンサルタント」として、各種メディア、セミナーなどで活躍中のコンサルタントが、中小企業の社長夫人に向けて、ナンバー2の役割について論じた一冊です。

全体的に心構えが中心の内容であり、これ一冊通読しても、社長に代わって経営ができるわけではありません。

ただ、社長夫人にとっては、これまでブラックボックスだった社長の頭の中身をのぞく、いい機会になると思います。

どうして社長は些細なことで腹を立てるのか、いつもどんなことで悩んでいるのか。そして社長夫人はそれをどうサポートすべきなのか。

慢性的な人材不足で悩む中小企業にとって、社長夫人はビジョンを共有でき、急成長も期待できる貴重な人材。

内容は冗長な部分も多く、本の出来としてはまあまあですが、社長夫人本人だけでなく、それをサポートする社長、そしてこれから社長夫人をねらう女性にも(?)参考になる一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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社長夫人には明らかな使命があります。社長を助けることです。会社を発展させ、それによって社員の生活を守り、社会に役立つことです

わかりやすい手ががりは、社長が口にする嘆きや悩みです。これは自分が思っている理念が実現できていないことの裏返し

◆社長夫人のタイプ
1.経営支援型 2.積極的経営参加型 3.自立型
4.秘書型 5.専業主婦型

社長の過ちを率直に指摘できるのは社長夫人です。社長夫人の辛口の意見を聞く耳を持つのも社長の器

経理を思い切って人に任せてみると、爽快に視界が広がって自分の役割の大きさに気づき、そこから社長夫人の革新が始まります

◆論理的に話すコツ
・話す内容を整理して簡潔にまとめる
・理由や根拠を必ず話す
・言葉を知ること

◆質問の仕方
1.具体的な例を聞く 2.意味を聞く 3.理由を聞く 4.自分なりの解釈をぶつける

◆「守りの経営」の柱
1.人材の育成
2.財務の業績管理
3.効率的で、働きやすい経営環境の整備
4.社員のやる気とやりがいを喚起させる人事制度

会社経営では、社長は「攻めの経営」を担い、社長夫人は「守りの経営」に取り組むという役割分担が必要

社長夫人がすべきなのは経理ではなく、財務

経費の扱い方には、形態別と目的別の2つの考え方があります。会社を経営するという観点からは、形態別ではなく目的別にとらえるほうが適しています

社長夫人は、社長と同じ目線になってはいけません。社長が二人もいては、社員は逃げ場を失います。追いつめるだけでは、人間は成長しません

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『これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!』
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■目次■
プロローグ 会社成長の鍵は社長夫人の革新にあり
1章 社長夫人は最高のビジネスパートナー
2章 社長と社長夫人の二人三脚が会社を伸ばす
3章 社長夫人の役割は内部のブランドづくり
4章 会社の未来に向けて財務能力を身につける
5章 こんな業務改善が強靭な会社をつくる
6章 社長夫人流の人材育成が会社を支える
コラム
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『20代 仕事筋の鍛え方』

2005年08月17日 | Weblog
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本日の一冊は、ベストセラーとなった『30歳からの成長戦略』の著者が、20代のビジネスパーソンに向けて書いた、キャリア指南の書です。

メディアの情報に翻弄され、キャリア上の悩みを抱える20代の男女に対し、モデルは著者とおぼしき40代の経営コンサルタントがキャリア指南をする、というストーリー形式になっています。

巷に出回っているキャリア本の大半は、生き残りをあおったスキル偏重本ですが、著者の言葉を借りれば、「二〇代は成長の手前の基礎を作ることがポイント」。

本書は、その基礎を作るための、スキル以前の心構えや考え方について書かれているのが特徴です。

BCG、A.T.カーニー、ベイン・アンド・カンパニーなどの有名コンサルティングファームで活躍し、数々の成功者を見てきた著者が、説く、長いキャリア人生を豊かに生きるためのコツとは何か。

20代、30代のビジネスパーソンにはぜひ読んでいただきたい一冊です。
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◆転職の前に考えておくべきこと
『学習の時期とリターンの時期』を両方経験したか

『他人の奴隷』から解放されて、自分が自分の主人になり、『自分の頭で考える』ようになるまでが、学習―リターンのプロセス

成功は自分の頭で考えることから始まる
お金を追いかけるような人生を目指すな

人間には表舞台でリーダーシップを発揮して活躍していく人と、裏方でそういうリーダーを成功させる役割を担う人の、二つのタイプがある

成功者とは永遠に成長を目指し挑戦を続ける人
人間もゴーイング・コンサーン

一生成長して、貢献を続けていくというサイクルを、一生の間に何回も何回も回しながら生きていく(中略)サイクルを回せば回すほど、大きな仕事ができる

目先のお金を追いかけて、中長期の成長の可能性を犠牲にするという間違い

二〇代は、どんな時代に遭遇しても勝てる能力を養うための修行の場を、どこにするかを考えること

いまの実力や、わずかなストックを金に換えるために工夫するなん
てことはしてほしくない。二〇代は、自分の実力、ケイパビリティ
を磨いてほしい

◆マシン性能を磨く四つの力
・極端力:ひとつのことに極端に集中して資源配分する力
・努力力:どんなテーマが与えられても努力を惜しまない習慣
・学習力:新しいものを効率よく学ぶ力
・受容力:極端力の反作用を受け入れるだけの達観できる力
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『20代 仕事筋の鍛え方』
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■目次■
はじめに
第1章 いまの仕事が将来の成功につながるか
第2章 二〇代で鍛えるべきこと
第3章 成功を追いかけると成功は逃げる
第4章 二〇年後も成長できるマシン性能をアップせよ!
第5章 極端力を身につけろ!
第6章 努力力を鍛えろ!
第7章 学習力を高めろ!
第8章 受容力で仕事筋をストレッチする
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