遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

今日は現代詩です

2018-11-07 | 現代詩作品
影の悲劇(Ⅱ)




影は、
透明な物体の
悲哀である
影は、
不透明な物体の
真実である


真実にまとわりつく哀しみは
ぼくには見えない
存在の深い影をやどしているから
懐かしい明日への
思いがけなく
そのみずみずしい
怒りの葡萄のひとふさを握る手は
ただ昏いだけの悩みの深さも語らず歎かず
世界は
昏い
喉元を過ぎて恐怖に襲われる
不安に充ちている


影は、
内面から沸き起こる命あるものの本質的な怒りに狂おうと
光りに変わることは決してない
それが唯一のあきらめとは云わない
影の、影の存在が
たとえ古代の密書を手にいれようと
緻密で膨大な策略にみちあふれた
虚偽という真実の迷路にまよい
地球空洞説に耳を傾けながらも
この地上のぬくもりを渇望する天使たちのか細い声の
欺瞞に目をそむけるように
満月に隠れる  


影は、
不穏な身体の
悲鳴である
影は、
不謹慎な身体の
忍耐である


むしろ、
常に未完性な性を誘い
他者の目を素早く盗撮することもなく
単性植物のさみしさと
興奮する歓喜の泪に溺れることを密かにあこがれる
不透明さを脱皮して
あまい意思の疎通にもだえながら
耳元で虚言を囁くのは
実態のない影の存在
振り落とされて気がつく裏切りの原点
どうにかしてくれ、と
盗まれた影の死を悼むしかない











































































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