遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「空言(そらごと)のアンプル」

2010-09-26 | 現代詩作品
空言のアンプル



この部屋がすこし広く感じるようになってもう六ヵ月がたった。
あれから鉢植えの鉢を二個増やしたが夕べは元気がないのに気
づいて今日アンプを注入した。日当たりだけは抜群の南側の出
窓に鉢植えを並べながらふとあなたの笑顔を思い浮かべた……。
   

雨あがりの今朝は
無花果の葉上を転がり
肉厚の歓喜に躍る緑の声が
不意に小川の背を射く
光の棒に遮られて。


懐かしい幻影が降りる
休日出勤の通行人のなか
突如落下する巨大なクレーンを
緑の蝸牛も夢みているか
宇宙の雫とともに。


………わたしはあいかわらず時間にしばられながら時間を追い
かけるように日々を繰り返している。その鎖からときはなされ
たあなたはどんな自由を手にしたのか。あれっきり虫の知らせ
も届かず背中に突き刺さる視線を感じることもなくなって……。



*秋らしくなりました。
今朝は水道の蛇口をひねって、水に触れる手の冷たさに秋をかんじました。
これからが秋たけなわというところでしょう。

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