遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「水月」

2019-01-25 | 現代詩作品
*今日は詩集にも収めた「水月」を掲載します。

水月


水に映る
透明な真夜中の月影は
見えるのではなく感じるだけ
やぶれかぶれの感情を引き延ばし
揺れて、ちぎれて
半透明のくらげのいのちをみすかすかのように
世界滅亡を叫ぶ予言者が
降ってでるから
迷惑な植民地のひとびとは
遙か遠く
想像だけの水の中
月影に揺れる
逃走や闘争の無駄な氾濫に
しったかぶりの心痛は恥の上塗りにちがないけれど
生きるが勝ち
夕べみた夢からのがれられず
揺れて、よじれて
水底に眠る小石などを砕き舞い上がる白い煙と
月影に曇る思案が
およそ礼儀知らずの
まだ青く不機嫌な坂の上の果実に
おびえている

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