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ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

J1第22節 FC東京対ヴァンフォーレ甲府(調布・味の素スタジアム)1-3

2006-09-09 22:07:48 | サッカー
曇り。

FC東京のホーム試合のイベントでもっとも楽しいのは恒例のブラジル・デイである。
毎年サンバ隊のリズムを聴きながらブラジル料理なども食べられるという企画。
ポリリズムというのがなんとも心地が良い。サンバのリズムが聞こえてくるだけでブリーズが通り過ぎるのだ。
サンバの魅力はやはりウラ拍。三連を足で打ったりしてあの裏を打つリズムに身をゆだねるのは楽しい。

試合のほうはまるで去年までのデジャヴを見ているような感じだった。
先制される。前半1点も取れずに折り返す。
後半喝を入れられて怒涛のように攻めるが最後の詰めが甘く決定機を逃す。
そんな敗戦を去年まで幾度となく見せられてきた。

とにかく石川の調子がすこぶる良い。サイドをグイグイとえぐって行くだけでスタンドが沸く。クロスが上がる。
しかしすぐに跳ね返される。あるいは中に誰もいない。とにかくアイデアが単調なのだ。
こんなシーンを去年までも何度も見せられてきた。

結局のところ去年までの形に後戻りしただけではないのか。
それでもガーロ監督の頃のような、後手に回るともう何の期待もないようなずぶずぶのサッカーからは開放された。
ともかく攻めてペナルティエリアの近くまでボールを運んでくると、何かが起きるのではないかとわくわくさせられる。
それだけでもまずは良しとすべきなのか。少なくとも東京らしさは戻ってきた。

しかし、それが通用するのも甲府のような相手だからではないか。
相手が前に出てくるからカウンターの応酬になっているに過ぎない。
甲府がラッキーだったのとバレーの個人技にやられた格好で、負け惜しみではなくどっちが勝っていてもおかしくない展開だったのではないか。

フロントはいずれきちんと総括しなければいけないし、このことについては後日また自分なりの考えを書いてみようと思うが、
ガーロという回り道をして去年の原サッカーにまた戻ってきたという感じがどうしても否めない。
それをよしとするならそれもそれで考え方だと思うが、それではフロントは自己矛盾に陥りそうな気がする。

それが私の思い過ごしであればいいのだけど、何かもうひとつ突き抜けるものがないと、今年は回り道をしただけで終わりそうな気がする。
サンバの高揚でサポーターも篤く後押しをしただけに余計にもやもやとした思いだけが残るゲームだった。


J1第21節 FC東京対セレッソ大阪(東京・国立競技場)3-2

2006-08-31 22:00:19 | サッカー
サッカーというスポーツはつくづく精神的な心のありようがパフォーマンスに素直に出るスポーツだと思う。
この前はあんなに良かったのに何日もしないうちに信じられないほどパフォーマンスが落ちてしまうことは往々にしてよくある。

とりわけJリーグのような実力の拮抗したリーグではメンタルのありようでどうにでもなるような気がする。
だから連勝を続けられるチームというのはやはりメンタル面で充実しているのではないかと思うのだ。

東京は前節の清水との試合を落としてしまい3連勝ができなかった。
この前に3連勝をしたのは2002年のシーズンだというのだからいかに波の多いチームかということが分かる。
クラブとしての歴史においてやはりまだ経験が足りないのかもしれない。

さて夏の4連戦の最後は先週に引き続き国立でのセレッソ大阪戦。
この4連戦を3勝1敗で勝ち越すのと、2勝2敗にしてしまうのとではやはり大きな違いがある。
そういう意味ではなんとしても勝つという強い気持ちが必要だったのだが・・・。

結果的にはより強い気持ちを持っていたのはセレッソの方だった。
何としても最下位は脱出しなければならない。対東京戦ではホームで大敗を喫している。そして去年の最終節の屈辱の借り・・・・。
彼らにはいくつものモチベーションがあった。そしてそこに名波というカンフル剤を打った。

それが功を奏した。全員がひたむきにゴールを目指し、名波が抜群のボール捌きでその選手たちを鼓舞し続けた。
何人かの選手が連戦の疲れで後半は足が止まっていたが、東京のパフォーマンスも一時期の混乱は脱していたように思う。
無論連戦はどこのチームも同じであり、連戦を走れないことの言い訳にはできない。
いずれにせよ、絶対に負けられないという心の持ち方の差がそのまま結果に現れたと思う。

出場停止や怪我で出られない選手がいるということもあったが、それ以前の問題として気持ちで負けていてはどうにもならない。

J1第19節 FC東京対アビスパ福岡(東京・国立競技場)5-1

2006-08-24 22:10:28 | サッカー
晴れ。

久しぶりの国立競技場。
最近東京が国立で開催するホームゲームは夏のナイトゲームが多い。
都心の夜景のなかで夕涼みがてら楽しむサッカーもなかなかおつなものだ。

東京のゴール裏は前節から新しいチャントを歌い始めた。
そもそも東京のチャントにはばかばかしくてナンセンスなものが多いのだが今回のは極めつけである。
「オレオレ~、東京が好き、オンナよりもシゴトよりもトーキョー」
というものだが仕事もそこそこにいそいそと国立に駆けつけた私などは全くこの歌のとおりである。

今日の相手はアビスパ福岡。
J1に復帰してきた福岡も東京同様苦しい戦いが続いている。
川勝監督に交代以降、前線の高い位置からボールを奪うというアグレッシブなサッカーを目標に掲げているが、
これまでのところなかなか結果に結びついてない。
それでも前節は打ち合いに負けたものの京都を相手に4点を奪っている。
いまだ守備に不安の残る東京にとっては油断のできない相手だ。

福岡は引き気味に構えカウンターを狙う典型的なアウェイの戦術。
東京が苦手とするタイプである。
本来はこういった相手をつり出すためのポゼッションサッカーだったのだが、
東京の選手たちはそれをうまく消化しきれないまま苦しんできた。
倉又監督に代わってサイドを使って縦に速い展開で崩そうとする去年までのスタイルに戻したことが
こういう相手に対してどう機能するかも興味があるところだ。

前半の途中までは主導権を握りながらも引き気味の相手にてこずっていたが
薮田が退場になったのをきっかけにゲームが微妙に狂い始める。
福岡は完全に引いて守りを固めてきたし東京もスペースを見つけられない。
しかし、前節で自信を取り戻した東京は慌てなかった。
ラインを高く保ってするすると前線へ顔を出した藤山がなんとJ1初ゴール。
試合後自らを「"ミスター東京"と呼んで欲しい」とカミングアウトした、東京一筋の男の、33歳嬉しい初ゴールだった。

これで落ち着いたかに見えたが、後半3バックに変えてきた福岡の布陣に混乱してオウンゴールから同点にされた。
このあたりの守備の修正が課題だろう。今後の過密日程でどこまで建て直せるかだ。

しかしながら両サイドの川口、石川を走らせて優位に立つ東京は64分、ゴール前で畳み掛ける波状攻撃で赤嶺がヒールでシュートを放ち均衡を破る。
続く66分には川口のシュートのこぼれ玉をすかさず石川が叩き込み2点差とした。沸き立つゴール裏。
更に石川のCKに伊野波がきれいに頭で合わせて勝負は決した。
そして最後は、前節の決勝ゴールの直後に鼻骨骨折をしながらこの試合でもスーパーサブで起用された阿部の、
引導を渡すヘディングシュートが決まった。

終わってみれば5-1の大勝。ちょっと最近記憶にないほどの大量点で2連勝。
何度も東京ブギウギが歌えて嬉しかったけれども、次が大事。
わずか2日後に好調の清水を相手のアウェイ戦。
連戦の疲れも出てくるころだし、ここを乗り切れれば本物だと思う。

J1第18節 ジェフユナイテッド市原・千葉対FC東京(千葉・フクダ電子アリーナ)3-4

2006-08-21 23:22:04 | サッカー
晴れ。

いささか旧聞に属するが、8月15日に東京はガーロ監督を解任した。
結局最後まで何をやりたいのかよく分からない監督だった。
シーズン当初、私と同世代の青年監督、しかも東京にとってはクラブ史上初の外国人指揮官ということで大きな期待を寄せた。
カウンター主体の縦に早いサッカーを土台に繋ぐサッカーを目指すという方向性に東京の新しい一歩と期待を寄せた。

しかし、思うように成果が出ないとマンマークの守備を強いたり、いきなり3バックの陣形を取ったりしてみた。
ルーカスを2列目に下げたのは功を奏したものの、
本来捌き屋の馬場をトップに配したり、金沢が怪我するとみるや4バックを簡単にあきらめたりと、
選手に対する信頼感に疑問を抱かざるを得ないような布陣を敷いてきた。

勝っても負けても感情を表に表さない能面のような指揮官は、喜怒哀楽を満面に表していた原前監督とは好対照だった。
少なくとも私はこの何を考えているのかよく分からないガーロ監督に対して非常なストレスがあった。
負けが込んできてゴール裏が「ガーロやめろ!」コールを繰り返したとき、
おそらくその何パーセントかには私が感じたのと同じようなストレスもあったのではないかと思う。

この漠とした不安感はクラブを取り巻く関係者の一致した思いだったのだろう。
昨年までをよく知る倉又監督を後任に選び、倉又監督自身が去年までの戦い方を踏襲すると表明したことで、
図らずもそうしたみんなの不安のベクトルが同じ方向を向いていたことを思い知らされる。
ガーロ監督の更迭はかなり辛辣ではあるが、必然だったのだ。ぎりぎりのタイミングだったと思う。

さて、そのシーズン途中での監督解任というクラブ初の劇薬を用いた東京の、
新体制での初めての試合を観にフクアリまではるばる足を伸ばした。
去年オープンした新しいスタジアムに出かけるのは今日が初めて。
サッカー専用の2万人弱のキャパというコンパクトなすばらしいスタジアムである。
千葉のさらに先の蘇我は結構遠かったけど。

ジェフもオシム監督の代表監就任によって息子のアマル・オシムが指揮を執るようになったばかり。
代表にも多くの選手を輩出するようになった今が旬のチームである。
体制が変わったばかりの東京は相当に苦労するだろうと思われた。

覚悟はできていたが、序盤10分までにアンラッキーな2失点。
しかしいきなり横っ面を2発連続ではたかれたことで俄然スイッチが入る。
とにかく出足が早い。前から前からプレスをかける。
ボールを奪ったら猛然と前にボールを送る。その手段はドリブルであったりパスであったり・・・。
しかしそこには前節までは見られなかった、2人目、3人目の動きが絡んでいる。

そんな全員統一された動きがルーカスの個人技を呼ぶ。前半を2-1で折り返す。
ジェフの動きが悪かったわけではない。
「このままではいけない、このままじゃ終われない」という選手たちの気迫と
倉又監督に代わったことでシンプルに考えて動けばいいんだと解き放たれたことが選手たちを活性化した。
最初の一歩目でジェフ意を上回れたのはそんなちょっとした意識の違いだったのだと思う。
でなければわずか数日で功も変われることはないだろう。劇薬はひとまず功を奏した。
そしてそんな選手たちを必死に後押ししようとするゴール裏。

本能のストライカー、赤嶺が全身でボールを押し込んで同点とすると、
梶山の絶妙のパスを受けた石川が右サイドの角度のないところから狙いすましてシュートを放つ。
長い怪我からようやく抜け出した石川の待望のゴールは2点差をはじき返す逆転弾という劇的なものだった。
本当に全身で喜びを表現する石川。見ているこちらも嬉しくなってくるゴールだった。

残り数分のところでカウンターから羽生に同点ゴールを決められ、
「やはり無理だったか。でも今日はこれでもよしとしよう」と思っていたロスタイム。
猛然と右サイドを駆け上がる徳永から気持ちのこもったクロスが供給されると、
それを信じて飛び込んだ阿部吉朗が右足で美しく蹴りこんだ。
爆発するゴール裏。

長い長いトンネルを抜け出したかのような爽快感が一気に全身を満たした。
3点取られたら4点とって勝てばいいじゃないか、という攻撃サッカーを地でいくゲームだった。
首都のチームはこんなサッカーをしなければ誰も振り向いてはくれない。
そんなことを思い起こさせる、見事な勝ちっぷりだった。

J1第16節 FC東京対サンフレッチェ広島(調布・味の素スタジアム)0-2

2006-07-30 14:57:21 | サッカー
晴れときどき曇り。

ワールドカップが終わってJリーグが再開して4試合目となったこの週末。
松本でのホーム試合を見に行けなかったので東京の試合を生で見るのは再開後この試合が初めてとなった。

久しぶりのホーム味スタ。ワールドカップを見ていて、生観戦に飢えていただけに
久しぶりのホームでの試合にはやはりワクワクするものがある。
そうそう試合が始まる前のこの緊張感。これである。
しかも今日は毎年夏の恒例、「ファイヤーワークスナイト」とあって、観客の出足も好調。
どことなくいつもと違う熱気と高揚感が漂っていてこれから始まるフットボールへの期待が高まってくる。
前節東京はセレッソを相手に5-1と大勝している。
相手の不調に助けられた感は否めないが、今度はホームでゴールラッシュが見られるのではないかという期待がスタジアムをおおっている。

しかし、再開後の東京のここまでの3試合をみると決して中断期の建て直しがうまくいったようには思えなかった。
ガーロ監督は金沢が負傷したことによって3バックを余儀なくされたと言っていたが
なぜ東京が自家薬籠中のものとしていた4バックを、金沢の離脱だけで断念せねばならないのか。
たとえば藤山を使うというオプションはなかったのか?
これでは選手層の薄さを露呈しているようなものではないか。

この試合ではルーカスと伊野波が累積警告で出場停止。
そうなれば左サイドには戸田を、トップには阿部か川口、馬場は一列下げてボールを捌かせるのが定石と、去年までの東京を知っている我々は考える。
ところがガーロは馬場のワントップ、左に川口を配した。
ルーカスの代わりは栗澤。
選手たちの混乱ぶりは明らかだった。

そもそもガーロの目指すポゼッションサッカーとは人とボールが有機的に動くムーヴィング・フットボールではないのか。
その基底にあるのはしっかりとした守備であり、それは去年までの東京から上積みさせていけばよいものだったはずである。
なのにあえて4バックを基本に積み上げてきた堅守を慣れない3バックにすることでバランスを崩してしまっている。

中盤とバックラインとの連携がぎこちないものになり、流動的な動きができなくなってしまった。
サイドが生きないし、トップが前を向いてボールを受けられない。
前半からとても点が入るようには思えなかった。

広島だって決して出来が良かったわけではなかったが、気迫では勝っていた。
東京は走れなかった。いや走らなかった。
3万を超える大観衆を迎えた久々のホームの試合を監督、選手はどう捕らえていたのか。
何かコメントをするのもむなしくなるような試合だった。

ワールドカップ 決勝戦 フランス対イタリア(ベルリン)1-1(PK5-3)

2006-07-10 21:33:40 | サッカー
今回のワールドカップはベスト16ぐらいまでは比較的波乱も少なく下馬評どおりの
チームが順当に勝ち上がってきた。
しかし、ベスト8ではいくつかの波乱も起きた。
優勝候補筆頭のブラジルがフランスに敗れ、前評判がさほどでもなかったドイツが優勝候補の一角アルゼンチンを激闘の末PK戦で下した。
また、イングランドはポルトガルに苦杯をなめた。
勝ち残った国はいずれも本大会を通してチームとして成長してきた。ドイツ然り、フランス然り。
一方でもともと本命視されていたチームほどコンディションの調整に苦労したようだ。
そして、決勝まで勝ち残ったのはジダンを中心に試合ごとに調子を上げてきたフランスと、
国内リーグが不正疑惑で騒がれるなかしぶとくかつ淡々と勝ち上がってきたイタリアだった。
おそらくこの2チームによって優勝が争われることになると予想した人はそう多くはないのではないだろうか。
かく言う私もその一人だ。

決勝トーナメントになってから僅差のゲームが非常に多かった。
実力のあるチームが勝ちあがってきたからであり、スリリングな攻防の多く、
延長からPKまでもつれこむゲームも非常に多かった。
決勝戦もそうした拮抗した展開になった。
前半の早い時間に得たPKをジダンが冷静に決めてまずはフランスがリード。
その直後に今度はCKをマテラッツィがヘッドで合わせて同点。
その後は硬直した展開となった。フランスが押し込みイタリアはご自慢のカテナチオではじき返す。
一方的に押し込まれているようでその実イタリアは攻められることでリズムをキープできていたのではないか。
8人でゴール前を固めるイタリアに対してアンリのワントップではどうしても数的有利を作れない。
ジダンが縦横無尽に動いたり、リベリーが果敢に攻め込むがなかなかペナルティエリアに入り込めない。
一方のイタリアもトッティがマケレレ、ヴィエラら百戦錬磨のフランスディフェンス陣に阻まれ前線で孤立。
ジダンのヘッドがブッフォンの正面になったり、イタリアのゴールがぎりぎりでオフサイドだったり、
惜しいシーンがあったものの、試合は延長へ。

ところがこの延長に思いがけないドラマが待ち受けていた。
延長も後半このままPKまでもつれこみそうな気配が濃厚となり始めた頃突然イタリアGKのブッフォンが何事かを主審に訴え始めたのだ。
ボールに関係のないところで何らかのトラブルがありそれに主審が気がついていなかったようなのだ。
映像が映し出される。
なんとジダンがマテラッツィの胸にいきなり頭突きを食らわせたのである。
もんどりうって倒れこむマテラッツィ。
今度はその直前ジダンとマテラッツィが何事か言葉を交すシーンが映し出される。
その直後顔色を変えることなくジダンが歩みより件の行為に及ぶのである。
主審は確認した後直ちにレッドカード。やむなしである。
それにしても試合はまだどちらに転ぶか分からない状況の中で、なぜジダンは突如として自分を見失ってしまったのか。
しかもワールドカップのファイナルである。
おそらくは彼が自制心を制御できなくなるほどの暴言をマテラッツィが吐いたことは容易に想像がつく。
しかしたやすくその挑発に乗ってしまうのはあまりにも稚拙すぎないか。

ジダンを求心力として纏まっていたチームはジダンによって瓦解してしまった。
ジダンがいたからといってPKの結果は変わらなかったかもしれない。
でもだからこそ残念でならない。
自らの晩節を汚してしまったジダン。ワールドカップは最後の一点にどこか喪失感を漂わせながら終わってしまった。

ワールドカップ雑感

2006-07-09 21:54:54 | サッカー
曇り。

6月末から公私共に忙しく全くブログに手をつけられず・・・。
ワールドカップのベスト8以降も、イタリア対ウクライナの試合以外はがんばって早起きして見てはいたものの書く時間が取れなかった。
気がついたら7月も1週間が過ぎてしまったのに全く更新が滞ってしまった。
その間にワールドカップは見所の多い試合が次々に展開されるし中田は電撃的な引退の表明をしてしまうし・・・。
すっかり乗り遅れた感もあるのだが、ベスト8以降の試合をざっとプレイバックしてみたいと思う。

まずは準々決勝ドイツ対アルゼンチンの試合。
拮抗したなかなかスリリングな展開だったが、先制した後逃げ切りを図ったペケルマン監督のネガティブな采配が完全に裏目に出た。
良くも悪くもリケルメのチームだったのにそのリケルメを最後の最後で信じきれなかったところがアルゼンチン敗退の象徴劇だった。

準々決勝イングランド対ポルトガル
おそらくはイングランドの方がはるかに組織的な闘い方ができるはずだったのに
主将のベッカムが怪我による無念の退場を余儀なくされてから
チームとしてのまとまりを決定的に欠いてしまった。
ルーニーは98年のベッカムと同じ若さを露呈してしまい、結果的にイングランドを自滅に追いやった。
しかし、それでも長い時間を10人で凌ぎPKにまで持ち込んだ底力は大したものだった。
もうすこし長く見ていたかったチームだった。

準々決勝ブラジル対フランス
史上最高のブラジルは結局その輝きを一度も放つことなく舞台を去ってしまった。
"クワルテット・マジコ"と評された4人の華麗な攻撃はついに不発のまま。
決定的な「何か」が欠けたままブラジルは静かに去ってしまった。

準決勝ドイツ対イタリア
これも拮抗した試合になったが、ドイツがアルゼンチン戦に続く延長戦に疲れてしまったようだった。
この試合は90分が終わったところでビデオが切れてしまい、イタリアの決勝点を見逃してしまった。
したがってよく分からなかった試合だった。今大会どうもイタリアの試合ばかりを見逃してしまう。

準決勝
フランス対ポルトガル
ジダン対フィーゴという趣だった。大人のフランスが若いポルトガルをいなしてしまった。
フランスはジダンという錦の御旗の元に試合を重ねるごとに結束力が高まっているようだ。
でも正直なところここまで勝ち上がるとは思ってもみなかった。
ブラジルを破ったあたりから、憑き物が落ちた感じがする。

3位決定戦
ドイツ対ポルトガル
ドイが今大会で勝ち進むにつれてドイツ国内では国旗が振られナショナリズムが高まってきているという。
戦争の記憶からこの国ではナショナリズムの台頭には極めて敏感だというが、
今大会でむしろ東西ドイツの統一後初めての国を挙げての応援に
国民自体がナショナルフラッグのもと、ある種の陶酔を感じているようだ。
惜しくもベスト4で敗れてしまったドイツだが、この3位決定戦ではチームのためというよりもむしろ国民のために戦おうという雰囲気がしないでもない。
スタンドのドイツサポーターたちの顔を見ても充実感にあふれた笑顔が印象的だった。
つまりそうした力がポルトガルを押し切った格好となった。しかもシュヴァインシュタイガーという、
新星が2点を奪っての勝利にドイツは大いに沸いているのではないか。
惜しくもファイナルは逃したものの戦前の予想を覆すドイツの快進撃によって今大会はほぼ成功したといっていいだろう。

そして、明早朝いよいよファイナルが行われる。
泣いても笑ってもドイツの熱い一ヶ月はあと一試合を残すのみである。

ワールドカップ 決勝トーナメント スペイン対フランス(ハノーヴァー)3-1

2006-06-29 23:55:32 | サッカー
晴れ。

ジダンは終わったと思っていた。いやフランスは終わったと思っていた。
ジダンやマケレレを使わざるを得ないフランスはグループリーグで苦戦し辛くも勝ち上がった。
その苦闘ぶりにやはり、という気がしていた。
しかもジダンの出場停止によりアンリとトレセゲのツートップに変更して臨んだトーゴ戦のほうがむしろチームとしては機能していたのだ。
アンリのスピードをジダンは活かせないのではないか。
ジダンが復帰するこの試合ではスイスや韓国と引き分けたような苦しい展開になるのではないか。そういう危惧があったのだ。
ましてや相手は好調のスペインである。フェルナンド・トレスが好調。
期するものがあるラウル、中盤のシャビ・アロンソやジャビ、ルイス・ガルシアらが波のように襲い掛かってくる攻撃は圧巻で、グループリーグ8得点を叩き出している。
「今回こそは」という国民の期待もあり、今のフランスにとって簡単にいくような相手ではないと思っていた。
勢いがあるのはスペインでフランスが分の悪い戦いを強いられるのではないかと思っていたのだが・・・。
結果は3-1でフランスが勝利。スコアを見て驚いた。フランスに何があったのか。
録画していたビデオを慌てて見る。

フランスはとにかく守備をしっかりと固めた。
スペインはボールポゼッションでは圧倒的にフランスを上回り、バイタルエリアの手前までは難なくボールを持ち込むが、そこから先はフランスのプレッシングに苦しむ。
フランスはどこでプレスをかけ始めるかという意識が統一されていた。
その上でボールを奪ったらジダンを経由してなるべくシンプルに縦にボールを通すことを徹底した。
ワントップのアンリを徹底的に生かすために。
アンリはぎりぎりのタイミングでスペインDFの裏のスペースを徹底して突いてきた。
再三オフサイドに引っかかったのはそのためである。
そしてそのワントップのアンリにDFがつり出されると、ヴィエラやリベリが2列目から飛び出してくる。
1点ビハインドから追いついたのはアンリが囮になってリベリが走りこんできた狙いどおりの展開だった。
フランスは相手にボールを持たせた。その上でしっかりとしたカウンターの意識を全員が共有してゲームをコントロールした。
前半のポゼッションで60対40と圧倒的にスペインにボールを持たれながら、フランスのペースに見えたのだ。

スペインは自慢のサイドアタックが機能しない。決定的なところで押し返された。PKで得た1点のみ。結局前半は1対1のドロー。
後半早々スペインはビジャ、ラウルをホアキンとルイス・ガルシアに代えて積極的に攻撃を仕掛けてくる。
しかし、ベテランの多いフランスの老獪さに若さが翻弄されてしまったかのようで、最終ラインを打ち破ることができない。

試合は拮抗したスリリングな展開だった。
このまま延長も覚悟かなと思った38分、フランスはジダンのFKの跳ね返りをビエラが頭で押し込んでついに均衡が破れた。

終わりと思われたジダンは終わってはいなかった。引退を表明している彼には、こんなところで終わってたまるかという強い思いがあったのだ。
共存しないといわれていたアンリもジダンが自ら動いて積極的にボールに関与することで活かした。
後半ロスタイム、全盛期を思わせるような反応を見せて走りこんだ彼は相手DFを鋭くかわしシュートを放った。フランスがスペインに引導を渡した瞬間だった。

今大会のスペインには期待していた。
世界の目がブラジルや開催国のドイツに向かう中で、地味ながらも充実した戦力を備えていたスペインには今度こそいけるのではないかという思いがあった。
ベテランと若手がうまく噛み合えば一気に行ってしまうのではないかと思わせるものがあった。
しかし、思いのほかあっさりと彼らは敗れてしまった。
今大会でもスペインはスペインらしさを出し切る前に舞台から去ってしまったような気がしてならない。
あっけない幕切れだった。
それがスペインらしさといわれればそれまでだが、ひまわりのようなスペインがいなくなったのはやはり寂しい。

ワールドカップ 決勝トーナメント ポルトガル対オランダ(ニュルンベルク)1-0

2006-06-26 20:58:09 | サッカー
ポルトガル対オランダ。
攻撃的な両チームの対戦はベスト16でも屈指の好カードとなった。・・・はずだった。
しかしながら結果は16枚のイエローカードが飛び交い双方で4人の退場者を出してしまうという、まことに残念な内容になってしまった。
決勝ラウンドならではの激しい試合と言ってしまえばそれまでだが、
感情をコントロールできなかった選手・監督、試合をコントロールできなかったレフリーということに尽きるだろう。

オランダはこの試合、コンディションの上がらないファンニステルローイをはずしカイトを先発させた。
一方ポルトガルは中盤でデコがボールを捌き、フィーゴ、パウレタらの突破力に期待がかかる。
中盤をコンパクトにしたプレッシングでめまぐるしく攻守が入れ替わるスリリングな展開となった。
23分デコがクロスを上げ、パウレタがマニシェに落として思い切りよくシュート。ポルトガルが先制した。
オランダも反撃を試みるが前半は決定機を作り出せずこのまま折り返すと思われた。
ところが終了間際、コスティーニャが2枚目の警告で退場。ポルトガルは後半に不安を残す形で前半を終えた。

後半に入ると数的優位なオランダが主導権を握る。開始早々コクの放ったシュートはバーにはじかれる。
フィニッシュの場面を何度も作り出すもののあと一歩のところで点が入らない。
ポルトガルも防戦一方ではなく、積極的に2点目を取りに行こうとする姿勢が見られ、
次の1点がどちらに入るかで大きく展開が変わるような様相となってきた。
しかし18分にブラルスも警告で退場し、10人対10人になると試合は一挙に荒れ模様となる。
33分にはデコが遅延行為で退場。再びポルトガルは一人少なくなってしまう。
こうなるとポルトガルは完全に自陣に引いて1点を守りきる展開に。
オランダのパワプレーを必死に凌ぐ。結局荒れた試合はオランダにもう一人の退場者を出してしまい、守りきったポルトガルが辛くも逃げ切った。

ポルトガルは勝ったものの、中盤の要のデコが次のイングランド戦で出場停止。あまりに代償の大きな勝利となった。
オランダも試合運びの未熟さと後味の悪さを越したまま今大会を去ることになってしまった。

ワールドカップ 決勝トーナメント アルゼンチン対メキシコ(ライプツィヒ)2-1

2006-06-26 20:49:58 | サッカー
メキシコとアルゼンチンの試合は緊張感のあるすばらしい試合になった。
メキシコはどんな相手だろうと自分達の持ち味をぶつけてくるチームだ。
自分達の良さを出すことが結果的に相手の良さを消すことになる。
とにかく前へ前へ。少しぐらいのミスがあっても気にせず行こうという潔さが小気味いい。
それを地で行ったのがこの試合だった。
アルゼンチンはリケルメを中心に鋭いパスワークとクレスポ、サビオラ、メッシら攻撃的タレントの抜群の破壊力をもとにトップでグループリーグを突破してきた。
今大会で最も躍動感溢れるアルゼンチンに臆することなく攻め込んでいくメキシコ。

そんなメキシコが前半6分という早い時間に先制する。
しかし、アルゼンチンも負けてはいない。CKをクレスポが決めて同点。その後は一進一退の展開。同点のまま折り返す。
後半主導権を握ったのはメキシコだった。中盤できれいにパスが廻る。
一方のアルゼンチンはグループリーグで見せたソリンの自在なオーバーラップやリケルメのスルーパスなどが影をひそめ、メキシコにその良さを消される格好となった。
ポゼッションでメキシコが上回り、双方が決定機を作りながらもフィニッシュの精度を欠き、試合は今大会初の延長戦へ。

結局ロドリゲスのボレーシュートが決まりチャンスをものにしたアルゼンチンが勝った。
メキシコは終始有利に試合を進め、内容で勝りながら結果で負けてしまった。サッカーではよくあることである。
個人的には今大会で注目していたメキシコが敗れて残念な思いも残ったが、拮抗した見ごたえのあるゲームを展開してくれたので負けて悔いなしだ。

アルゼンチンは準々決勝で上潮のドイツと対戦する。今大会でも屈指のカードになるだろう。