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ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

J2第51節 東京ヴェルディ1969対愛媛FC(調布・味の素スタジアム)2-1

2007-11-27 05:29:31 | サッカー
J2の昇格争いはついこの間まではまず札幌が磐石かと思われた。しかし終盤東京Vとの直接対決に負けて以降もたついている。
一方の東京Vはここにきて勝負強さを発揮。
これに京都、仙台と続いており、ラスト前の今節はその京都と仙台の直接対決が昇格の行方を左右する大一番となった。
仙台は負けると昇格がなくなる。また京都が引き分け以下だと札幌の2位以内が確定。
その状況で東京Vは勝って2位以内確定となる。
京都は勝って自らの3位以内が決まるとともに、札幌と東京Vの今節での昇格を阻止するということで、
今節は京都がすべてのキャスティングボードを握っている。
札幌は試合がない。東京Vはホーム味スタで愛媛と対戦。もしかしたらラモスの胴上げが見られるかもしれないということで観戦に出かける。

東京Vはフッキが残り2試合出場停止ということで船越をワントップに据えた4-5-1。対する愛媛はフラットな4-4-2。
フッキがいないことで東京Vの戦い方がギクシャクするのかと思っていたが、まったくそんな心配はない。
ディエゴのトップ下が実によく機能している。廣山や飯尾もサイドから攻め立てる。
多彩なパスワークで早くも主導権を握り、ディエゴのインターセプトを船越が決めてわずか10分で先制。

しかし、愛媛も目の前の胴上げを阻止するべく必死で対応。東京Vが追加点を取れずにもたついている間隙を突いて前半で追いつきそのまま前半を終える。
京都対仙台はこの時点でスコアレス。

追いついたことで後半は愛媛にも勢いが出てきた。攻防は緊張感の高い一進一退を繰り返す。
しかし、30分過ぎCKを頭で合わせたのはまたしても船越だった。フッキの代役として起用された船越が見事その期待に応えた。
一方の京都は膠着して動かない。このまま行けば東京Vの昇格が決まる。次第に緊張感が高まってくる。

試合は愛媛が粘りを見せるものの決定的なシーンを全員で凌ぎきり東京Vがきっちりと勝利をものにした。
後半ロスタイムまでスコアレスだった京都はその最後のロスタイムで決勝点をもぎ取り東京Vと札幌の昇格を阻止。加えて仙台の昇格を阻んだ。
京都の結果を確認しながらのスリリングなゲームだったが、残念ながら昇格はお預け。
しかし、得失点差の関係から東京Vはこの試合に勝利したことで昇格をほぼ手中に収めた。

組織的で攻撃のバリエーションに富んだ東京Vの戦い方はすでにJ1仕様と言ってもいいものだった。
フッキは来シーズンは川崎に復帰することが濃厚と伝えられているが、フッキがいなくても東京Vはいいサッカーができている。
来シーズン久しぶりのJ1でどういう戦い方をするのか、ラモスの去就も含めて興味は尽きない。

J1第33節 FC東京対大宮アルディージャ(調布・味の素スタジアム)1-2

2007-11-25 08:32:43 | サッカー
今年のJリーグも残すところあと2試合。東京はホーム最終戦を迎えた。
数日前に原監督とコーチ陣の退任、土肥、福西の来期契約非継続が発表された。
来期へ向けた体制作りに早々と着手したというところだろうが、多くのファンがフロント自身の責任が明確にされないのを不満に思っているようだ。
それにしても、Jリーグにおいてはステークホルダーとしてのファンの発言力は非常に大きなものがあると思う。
ジャイアンツが優勝を逃したからと言ってファンが渡辺オーナーのクビを云々するということはまずない。
経営と執行がない交ぜになっているJリーグのクラブというのは、いまだ中小企業の域を出ていないのかな、という気もする。
チームの成績はクラブ経営のワン・オブ・ゼブだということをきちんと説明してもいいのではないか。
株主でもないファンに会社の経営者のクビを切る権利はない。
ただ、世論の高まりによって自ら辞めざるをを得なくなった経営者はいくらでもいるということだ。

話が思わぬ方向に行きそうなのでこれぐらいにして、それにしてもこの試合、今年の東京を象徴する試合になってしまった。
どうにもかつかみどころがない、試合の主導権を握っているようでそうでもない。結局先制しながら逆転負け。
終了間際の失点で逆転負けという、大宮にはどういうわけかこういう煮え湯を飲まされる。

試合前の大宮は自動降格圏内にいた。最終節が川崎戦だということを考えると、勝つために前に出てくるだろう、と思っていた。
だが、残留を争っている彼らは、残留争いのためのタクティクスを身に付けていた。
残留争いには残留争いのしたたかな闘い方があるのだ。
全体をコンパクトにして、最終ラインとボランチのところでブロックを形成している。
だから東京は相手陣内に侵入することはできても、狭いところでパスを廻さざるを得なくなる。非常に窮屈。
それを打開するためにサイドチェンジを有効に使ったが、外に持ち出しても中がいないのはいつものとおり。
ルーカスひとりに単調に合わせるだけでは、チャンスは生まれない。
馬場、石川、栗澤はサイドにボールが出たときにはルーカスの近くで起点を作らなければいけない。

一方大宮は決して攻め急がない。前半は凌いで後半にカウンターから一気に勝負をかけようということか。
ある程度のラインを保ちながら(ということは東京にボールを持たせて)、奪ったら吉原や森田を走らせる。
本当のところはどちらが試合をコントロールしているのか分からないままに前半はスコアレスで終了。

後半は早々に試合が動いた。右サイドの徳永を起点に梶山のトリッキーなヒールパスを中に切れ込んでいた石川が体制を崩しながらシュート。
これが鋭くゴール隅に突き刺さり先制。点を取れば一番盛り上がる男の渾身の一撃。
ここから一気にイケイケに・・・ならないところが今年の東京である。
そのわずか2分後、今期初先発の八田が自陣でクリアミス。これをかっさらわれ吉原がしぶとくエンドラインぎりぎりまで運びクロス。
これを詰めていた藤本がフリーで受けてゴール。これで大宮は活気付く。

東京は馬場に代えて平山を投入するが、これで組織的な展開が難しくなり、ボールは行ったり来たりを繰り返す。
平山を起点にしたいのならもっとシンプルに平山に当てていくことを考えればいいのだが
前半のサッカーを中途半端に引きずっている感じ。
大宮も決定的な場面をなかなか作ることができず、このままドロー決着かと思われた89分、
レアンドロが業を煮やしたかのように猛然と重戦車のごとくドリブルで持ち上がってくる。
東京のDF陣を蹴散らしてゴール。結局は個人の一撃で沈められてしまうという、ホーム最終節にしてはあまりにも冴えない幕切れだった。

大宮はこれで自動降格圏を脱出。レアンドロの一撃はまさに値千金だった。
甲府は負けて降格が決定。広島も負けて次節広島が勝って大宮が負けたとしても得失点差から広島の入れ替え戦は濃厚。
一方、優勝争いはガンバが神戸に終了間際に追いつかれ3位決定。
そして大一番の浦和と鹿島の直接対決は鹿島が退場者を2人も出しながら執念で1点を守りきり、首の皮一枚でつながった。
大詰めでドラマが生まれた一日だった。


北京オリンピックアジア最終予選 U-22日本対U-22サウジアラビア(東京・国立競技場)0-0

2007-11-22 22:47:22 | サッカー
代表の試合を見に行くのは久しぶりだ。
子どもの所属するサッカークラブに東京都サッカー協会から斡旋販売の案内がきた。
確か残り2試合を残してカタールがグループ首位に立っていた頃だったと思う。最終戦までもつれることは必至の展開。
そうなるとヒリヒリとした勝負の瞬間を見てみたい。迷わずチケットを申し込んだ。

最終戦はカタールの展開をにらみながらサウジと戦うことを想定していたがカタールがサウジに逆転負けを喫し予選敗退、
2位に浮上したサウジと雌雄を決することになった。
日本は勝てば文句なく、引き分けでも五輪出場が決まる、サウジは勝たなければならない、
という状況設定に当初は売れ行きの良くなかったスタジアムはほぼ満席となった。

今年一番の寒さが訪れた国立競技場。
期待と不安が薄くスタジアムの空気を支配するなか19:20にキックオフ。柏木、李が元気よくサウジ陣内に駆け込んでいく。
序盤はプレッシャーからか動きの硬い日本に対して、サウジが攻勢をかける。
8分、右サイドをドリブルで持ち上がろうとした水野が自陣でボールを奪われる。
そのままペナルティエリアに切れ込みシュート、GK西川が弾いたボールを詰めていたアルゴワイニムが再びシュート。
西川の逆に放たれたシュートに誰もが失点を覚悟したが、青山(敏)がゴールライン上で値千金のブロック。日本最大のピンチだった。
サウジは想像以上に組織的なサッカーを展開していた。全体をコンパクトに高い位置からプレスをかけ、奪ったボールはしっかりと繋いでくる。
出足の良さに前半は日本の防戦が続いたが、サウジも決定力に欠け前半をスコアレスで折り返す。

一転して後半は日本が主導権を握る。5分岡崎のシュート、続く10分には細貝が決定的な場面を作るがキーパーが好捕。
その後も決定的な場面を幾度となく作るが、相手DFの集中した守備を崩せない。
試合は次第に我慢比べの様相を呈してきた。30分を過ぎて勝つ以外に予選突破がないサウジはリスクを覚悟で前に出てきた。
手に掬った集中力という水を最後に切らしたほうが負けである。水はぽたりぽたりと滴り落ちる。
水を切らさずに最後まで持ち続けることができるか。
次第に観客は1点がどちらに転ぶかで試合は半ば決してしまうことをひしひしと感じ始める。
緊張感がスタジアム全体を覆い始める。この時間帯にサウジに先制されるようなことになると日本は厳しくなる。
もし日本が先制すればサウジは2点のビハインドを背負うことになり、日本は俄然優位に立つ。
最後まで水を持ちきれるか。集中力を切らしたほうが負けである。
果たしてサウジの波状攻撃を必死に凌ぎ最後まで水を切らすことなく、スコアレスのままゲームセットの笛が鳴った。日本は凌ぎきった。

それにしても、と思う。40分過ぎから日本は完全に引き分け狙いになった。コーナーキックのボールをキープして時間を稼ぐ。
無理もない。この試合には負けるわけにはいかない。引き分けでも予選突破が可能な以上この時間帯ではそれもやむなしだとは思う。
しかし、ファンはそれを観に来たのか。勝って予選突破をする姿を見に来たのではなかったのか。
戦前反町監督もそう言っていたはずだ。「勝つことだけを考える」と。
日本は最後まで圧倒的な力で予選を突破することができなかった。引き分けてもいい試合で本当に引き分けてしまった。しかもスコアレスで。
そこに日本が各年代で共通して持つ脆弱性がある。しっかりとした守備はできた。
しかしその守備が高い位置でも機能するかである。高い位置でボールを奪えてこそ初めて得点の確率も高くなるのだ。
本大会では高い位置で守らなければ攻撃も守備もほころんでしまう。世界レベルは自陣で引いて守るだけでは許してくれないだろう。

本番に向けて、困難なそしてやりがいのある宿題が残った。

J2第49節 東京ヴェルディ1969対ベガルタ仙台(調布・味の素スタジアム)1-1

2007-11-11 07:37:23 | サッカー
J2の昇格争いも終盤に来て激しくなってきた。昇格圏内は前節終了時点で、札幌87、東京V84、仙台79。さらに1差で京都が追う。
今節の大一番はその東京Vと仙台の直接対決だ。仙台にとっては自力での自動昇格に負けられない一戦となった。

雨の中、大勢のサポーターが詰め掛けたがとりわけ仙台サポーターが大挙して詰め掛けている。
はっきり言って、ホームの東京Vよりも多い。
仙台の一体となった応援はJ屈指だと思う。小気味良いチャントの数々を繰り出してホームを圧倒する。

試合は仙台のペースで始まった。
岡山を中心とした4バックはラインを高く保ち、前線との距離をコンパクトに保つ。
中盤の高い位置からプレッシャーをかけボールを持つとすばやく前線へと送る。
フッキ、ディエゴといったところは、ボランチがDFと一緒にブロックを形成して、2,3人で囲い込んでつぶす。
攻守とも連動した動きに躍動感がある。
左サイドの梁が流動的に動いているのが機能している。トップ下からボランチの位置まで流動的に動いてボールを捌く。
そんな中、その梁のミドルシュートが決まって仙台が先制。
仙台、久しぶりに見たがいいチームになったなあ。

大一番で硬くなっているのはむしろ東京Vの方か。セカンドボールがなかなか拾えない。
フッキがいい形でボールを受けられず、ボールの失い方も悪い。仙台の出足のよさにファールで止めるシーンも度々。
前半を1-0で終えた。

後半は東京Vが攻勢に出る。
すると前半のラッシュで攻め疲れたのか、仙台のDFラインがずるずると下がり始めた。
東京Vがバイタルエリアを使えるようになってくると、フッキも前を向いて仕事ができる。
フッキのスピードに仙台のDFがついて行けずに度々決定機を作られてしまう。
マークのずれを、東京Vが徹底して突き始めたのだ。

前後半でまるで形勢が逆転してしまった。
仙台は防戦一方となり、東京Vの得点は時間の問題のように思えた。
仙台もよく耐えたが、前がかりになったときの東京Vは脅威だ。
ディエゴにフリーでシュートを決められ同点。仙台は凌ぎきれなかった。

仙台としては東京Vが前がかりになってきたところで、凌ぎながらカウンターを狙いたかったところだが、うまく決定機を作れなかった。
試合はそのまま引き分けで終了。東京Vにとっては半歩前進。仙台にとっては痛い引き分けとなってしまった。

しかしゲームはスリリングな展開だったし、両チームとも気迫のこもったゲームを展開してくれた。
試合終了後、仙台サポーターから長い間コールが送られていたのが印象的だった。

天皇杯4回戦 FC東京対TDK SC(調布・味の素スタジアム)2-1

2007-11-05 21:00:10 | サッカー
JFLや大学のチームが格上のJ1のチームと公式戦で対戦するほぼ唯一の機会が天皇杯の4回戦。
トップカテゴリーに必死で挑む戦いは毎年白熱したドラマを生む。
彼らにしてみれば格上のプロチームに負けたところで失うものは何もないし、
自分たちの力を試す絶好の機会とばかりにはつらつと体当たりしてくる。
一方のプロチームはリーグも終盤戦に差し掛かり疲労や故障も多く、
モチベーション的にも受けにまわったりしてゲームが思わぬ展開を生んだりする。サッカーとは実に面白いスポーツだ。

今年の天皇杯4回戦で最も盛り上がったのはなんと言っても清水エスパルスと明治大学の対戦だろう。
先制し一時は逆転されながらも終盤ぎりぎりに追いつき、延長で再び逆転。
あわや大金星というところまで清水を追い詰めた。
残念ながらPK戦で負けてしまったが、ここまで清水を慌てさせた明治は天晴れというほかはない。
試合後清水のサポーターからも明治コールが起きたそうだ。
Honda FCも柏を破っており今年も波乱が起きた。

土曜日にはナビスコカップの決勝をテレビで見た。ファイナルにふさわしいスリリングですばらしい試合だった。
夜はアーセナルとマンチェスターユナイテッドの首位攻防戦を見たが、こちらも双方譲らずいいゲームだった。

そして昨日、東京の4回戦を観に味スタへと足を運んだ。
ぽかぽかと11月とは思えない陽気でスタンドにいると汗ばんでくる。
たまにはバックスタンドでのんびりフォーメーションなどを確認しながら観ようと陣取った。

東京は先週大敗を喫している。ただでさえその次の試合は入り方が難しいだろうに
格下のJFL13位のTDKが相手では、さらに余計なことにまで気を使わざるを得なくなるのではないか。
事実、開始早々TDKにサイドをえぐられシュートを許してしまう。
まずは果敢に攻めてきたのはTDKのほうで、東京は早速ゴール裏から容赦ないブーイングを浴びてしまう。
それでもポゼッションは明らかに東京でTDKは徐々にラインを下げ、守備を固めてカウンター狙いとなる。
それにしても前半の東京は先週の大敗を引きずっているのか覇気がない。
イージーなパスミスは連発するし、がら空きの中盤を飛び越して安易にトップに当てようとしてボールを失う。
そこをTDKが果敢にカウンターで仕掛け、何度か危ない場面を迎える。
前半をスコアレスで折り返し、再び大ブーイングが起こる。

それにしても後ろの家族連れがうるさい。
両親と小4と幼稚園ぐらいの男の子がいたのだが、まず父親が口汚く野次を飛ばす。「何だよ馬鹿野郎!」とののしる。
私も相当に口が汚いほうだとは思うが、肩入れしているチームの選手に馬鹿とは言わない。
この父親を真似するものだから息子もまたえげつない。「ふざけんなよ!○○!」と小学生とは思えない下品さ。
たまにバックスタンドで観るとこれだ。
もちろんバックスタンド全体が悪いというのではないのだが、バックスタンドにはさまざまな温度差の観戦者がいるということか。
どうにも気分が悪いのでハーフタイムで息子に「ゴール裏に行こうか」と言って、荷物をまとめてゴール裏に移動した。

後半は早々に試合が動く。
金沢に代えて栗澤を投入直後のCKを茂庭が折り返し、平山が頭で合わせてゴール。ようやく均衡を破った。
しかしほっとしたこの直後、以前東京に在籍していた松田にフリーで決められたちまち同点。
先制した直後に追いつかれるのが東京の悪い癖だが、格下のチームにまで同じことをやられてしまう学習能力のなさに呆れる。
やきもきさせられたが栗澤が入ってから中盤の運動量が増えて、終盤FKから今野が決めて試合は決した。

幕下が勢い良く幕内力士を土俵際まで攻め立て慌てたが、最後はうまくいなして寄り切って沈めたという感じか。
決して格好のいい勝ち方ではなかったが、先週のショッキングな大敗、ノックアウト方式でとにかく勝つことが優先されるカップ戦、
ということを考えれば、今はとにかく勝てたということが大事だ。
リーグ終盤の残り4試合。下位チームとて残留をかけて目の色が変わる終盤の対戦だけに気の抜けるゲームはひとつもない。
しっかり戦って天皇杯をいい形で迎えて欲しい。原監督のコメントにもあるように、天皇杯は難しい。

J1第30節 FC東京対川崎フロンターレ(調布・味の素スタジアム)0-7

2007-10-31 22:11:30 | サッカー
今年はいろいろとあって、途中からサッカーのレビューを書く余裕がなくなってしまい、
今までに見た試合もほとんど総括できずにJリーグも終盤に差し掛かってきた。
試合を見ていないわけではない。去年よりは観戦数が少ないながらも、FC東京の試合を中心に観てはいるのだ。
ただ、書くきっかけというものがつかめなかった。書けなかった試合についてはそのうちにサマリーしたい。

さて、川崎フロンターレとの一戦。両クラブは今シーズンからこの一戦を「多摩川クラシコ」と名づけて盛り上げようとしている。
"クラシコ"=伝統の一戦。サッカー文化の歴史が浅い日本では盛り上げるためには
10回あまりしか対戦していなくても、
「伝統」と名乗らざるを得ないところがなんとも苦しいところだが、その性急さもある意味で逆説的で、個人的には楽しい。
無理やりにでも気分を盛り上げて、それで熱く戦えるのならそれはそれで悪くない。
こじつけでも何でも根付いてしまえばそれが伝統なのだ。
川崎サポーターは多摩川を舟をこいでやってくるとか、東京が南武線を広告でジャックしてしまうとか、そういう盛り上がり方も悪くない話だ。

それなのに「クラシコ」を名乗るには今年の東京はあまりにも情けなかった。
前回の対戦は5-2、そして今回は7-0と歴史的な大敗を喫してしまった。
これは決して偶然の産物ではないような気がする。

思えばJリーグでは東京と川崎は対照的な道筋を辿ってきている。
J1に昇格したのはどちらも2000年のシーズン。以降東京がJ1に定着しているのに対し、川崎はわずか一年でJ2に降格の苦渋を味わっている。
補強策の失敗などでフロントスタッフをはじめ、選手の多くがチームを去った。
2000年をボトムに、地道な改革に着手した川崎は、2005年に5年ぶりのJ1復帰。
着実に力をつけてその年は8位と健闘。続く昨年は2位と躍進し、今年のACL出場を勝ち取った。
今年はナビスコのファイナルに進出しており初タイトルの可能性もある。

それに対して東京は、J1昇格後着実に好位置をキープし、2004年にはナビスコカップで悲願の初タイトルを獲得した。
しかしそこをピークにここ3年あまりチームは踊り場に差し掛かっている。
一旦は契約を満了した原監督を再び招聘した今年は、満を持して選手補強を行ったものの機能せず下位に甘んじている。

思えば、両クラブのチーム事情は2000年以降見事にスパイラルしているようである。
J2で身をかがめて力を蓄えてきた川崎はかがんでいた分だけ大きくジャンプしている。
一方の東京は、J1に安住してしまってまるで貯金を食いつぶしてしまっているかのようである。
思えば今期の原さんの復帰は完全に時計の針を逆に廻したもので、
それならば、まったく違うスタイルのサッカーを志向した去年のガーロは何だったのかということになる。
原さんの是非はともかく、今年のシーズン初めはこの体制に多くのファンが釈然としなかったのではないか。
むろんフロントから我々ファンに対して、納得のいく説明などあるはずもなく、何となくうやむやのうちに今シーズンが始まってしまった。
ワンチョペや福西といった大型補強に期待が高まっていたが、そのことによってむしろ本質的な問題を遠ざけたままでシーズンに入ったのだ。
結局そのうやむやにしてきたことが、この一戦に象徴的に現れたに過ぎないと思う。

思えば東京のサイド攻撃はセンターラインがしっかり機能して初めて効果を発揮する。
それなのに、センターバックやボランチに故障者が一人、二人出るだけでもろくも崩れてもうどうにもならなくなる。
原さんでもう一度スペイン流の攻撃サッカーに回帰するのであれば、そのことを踏まえた選手補強があってしかるべきだったのに、
何となく場当たり的に大物を採ってきたという気がしてならない。
そんなフロントと現場のちぐはぐさが、ここに来て一気に噴出してしまったということに過ぎないと思う。
だから負け惜しみではなく、歴史的な大敗ではあるが屈辱的大敗というほど悲観的なるほどのこともないのではないか。
7点はやられすぎだが、4,5点の大差で完封されるというのは、想像の範囲ではあったのだ。

高い授業料を払ってしまったが、このまま問題をうやむやにしたままシーズンを終わるよりはずっとよかったと思う。
どのクラブにも苦しいときはある。この試練をどうやって乗り越えていくか、考えようによってはこんなに楽しみなシチュエーションもないのだ。

J1第11節 FC東京対ジェフユナイテッド千葉(調布・味の素スタジアム)4-1

2007-05-14 08:45:32 | サッカー
一言で言うなら「やればできるじゃないか」ということ。
ホームでのこの試合に負ければ、いよいよ原監督の進退問題が顕在化してくるという懸念もあったのだろう。
とにかく選手の「負けられない」という気持ちが相手より勝ったということだろう。
戦術云々よりもまず大事なのは、サッカーというのはボールを蹴って走るスポーツだということだ。
走れることで相手もよりも先にボールに追いつく、パスを受けるスペースができる、相手が混乱する、
といったさまざまな要素が生まれてくる。走らなければ何も始まらないのだ。

そしてもっと大事な気持ちの問題。
気持ちを入れて走ることジャンプすることで、マイボールにできた、こぼれ球を拾えたというシーンが多かったように思う。
相手よりも一歩いや半歩先を行こうと強く思うだけでそれは実現に近づくのだ。
そういう、基本的な共通理解のうえに戦術やフォーメーションや相手チームのスカウティングは機能するのだと思う。

ようやくそれが形となって見えてきた。
今日の4得点のうちの3点までは相手のミスだったが、相手のミスを誘発するダイナミズムがあったということは間違いない。
ただ、今野が言うように「これで浮かれていてはいけない」。
梶山は「こんなに走ったことはない」とコメントしていたが、プロがそんなことを言ってはいけない。
どんな試合でも100%の力を出し切らなければいけない。それがプロというものだ。
この試合、梶山にとっては今期のベストパフォーマンスであったことには違いないが、
いつも同じ力を出し切るチームがやはり上位にいるということだ。
そのことを努々忘れてはならない。東京がいい時と悪いときの波が激しいのはまさにそこに原因があるのだ。
だからこんなところで浮かれていてはいけない。そのことを選手たちには痛感してほしい。

戦術も大事だがそれを上回るメンタルの力を痛感した試合でもあった。


ナビスコカップ予選5節 FC東京対横浜FC(国立競技場)0-1

2007-05-09 23:04:36 | サッカー
前節の川崎戦とはまた対照的な試合となった。
川崎戦では守備陣がズタズタにされて大敗したが、この試合では安定した守りが見られた。
もちろん今の川崎と横浜FCとでは攻撃の脅威がまるで違うので単純な比較は出来ないが、
決勝点となったFKからの得点は、うまくグラウンダーで蹴った相手がラッキーだっただけだし
それを除くとまずまず破綻のない守備だったように思う。

問題は攻撃である。
川崎戦と違って圧倒的にボールを支配し相手陣内で優位にプレーすることが多かったにもかかわらず
決定的な形を作ることが出来なかった。
ペナルティエリアまではボールを持ち込めるのにそこからフィニッシュまでのアイデアに乏しい。
特に相手が先制しそのまま後半に入って逃げ切りを意識し始めた頃から東京の攻撃は完全に空回りしていた。
「ハマナチオ」を敷いてゴール前に鍵をかけようとする横浜に対して東京は高さで対応するべく、
後半20分にワンチョペを投入。先発していた平山とルーカスを含めてポストを増やした。
しかしそれは、そんな時間からパワープレーなのか、と思わせるほどのものでしかなかった。
アイデアに乏しい単調なクロスは精度が悪ければ怖くもない。
幾度となくはじき返されフィニッシュまで持ち込めない。
約束事のない攻撃は連動性に欠け、ダイナミズムも感じられない。
結局ゴールを割ることなく、ほとんど一度しかないと思われたチャンスをものにした横浜FCが守りきった。

攻撃的な相手には守備陣が崩壊し、守備的な相手は崩せない。
これでは一体どういう相手なら勝てるというのか。
各年代の代表選手を何人も抱えてそれでも勝てないのは、
個々の力を戦術にまで高めることの出来ない指揮官のフィロソフィーのなさなのか。

この季節の国立でのナイトゲームは心地よい風にビールも進み、毎年楽しみにしている。
しかし、ゲームがここまで貧相だと魅力も半減だ。
原さんはいよいよ正念場となった。どうやってこの状況を打開するのか。

ここ2試合のFC東京

2007-05-07 21:49:37 | サッカー
GW進行で(雑誌か?!)レビューしそびれていたので、2試合分まとめて書くことにする。

J1第9節 FC東京対鹿島アントラーズ(調布・味の素スタジアム)2-1

まず、5月3日に行われた、第9節対鹿島アントラーズ戦。
GWということで今期一番の入場者数で3万人を超えた。
ディフェンスの立て直しは徐々に確立されてきつつあるが、決定力のなさは相変わらず。
前節の神戸戦でもスコアレスドローに終わっており、
中盤のビルドアップからどうやっていい形でトップにボールを渡すかが課題とも言える。
そしてこの試合ではサイドチェンジからチャンスを作り出していくという前節からの課題がある程度修正できていたと思う。

ワンチョペのリーグ戦初得点も生まれ、先制できたということで意気が上がってきた出鼻をくじかれるような直後の失点。
振出しに戻っただけなのに、これで受けに廻ってしまった。
落ち着いて試合をコントロールできないメンタルの弱さはこのチームの悪しき伝統になりつつある。
試合内容がそんなに悪くなかっただけに、失点してすぐにガクッときてしまうところは何とかならないものか。
ゲーム運びのうまさで鹿島にやられてしまった、悔しい敗戦だった。

J1第10節 川崎フロンターレ対FC東京(川崎・等々力陸上競技場)2-5

続く6日は肌寒い雨の中、等々力まで出かけた。対川崎戦。
「多摩川クラシコ」と銘打たれた演出に、期待も膨らんだが、開始早々の失点で一気に萎えてしまう。
10分までに続けざまの失点。
お互いの意図がしっかり分かった上で極めてシンプルに繋いでくる川崎は、チームとしての約束事がしっかりとしている印象。
一方の東京は、繋いでいくのかドリブルで持ち上がるのかの基本的な約束事もなっていない印象で、
狭いところを無理やりパスを通そうとしてカットされたり、闇雲に突っかけて行って取られたりを繰り返しているうちにリズムを崩し、
カウンターの網にかかる。川崎のリズムのうちに加点され、前半終了時点で4-0。
もう見るべくもない哀れな内容である。前半で帰ろうと思ったのはこの試合が初めてである。
「クラシコ」などという大仰な演出が気恥ずかしくなるほどの大敗である。
川崎に申し訳ないほどの体たらく。
戦術云々とかの問題ではない。いつまでこんな試合を見せられるのか・・・・。

川崎も含め上位チームは、序盤の体制固めが終わってこれから本格的にエンジンがかかってくるというのに、
いまだに何をやりたいのかさえ見えてこない東京は完全に周回遅れであり、
このままずるずると行ってしまうと取り返しのつかないことになる。

しかし、これで今のままでは上位チームには歯が立たないことが痛いほどわかった。
行き着くところまで行けばいいのだと思う。
一度落ちてみないと目が覚めないのかもしれない。
選手も監督もフロントも、そして我々も・・・。
こんなエキセントリックな物言いは我ながら大人気ないと思う。

何がカンフル剤になるのか、迷走を続ける東京には何が足りないのだろうか・・・。

J1第7節 FC東京対横浜FC(調布・味の素スタジアム)1-0

2007-04-24 22:12:58 | サッカー
今はとにかく勝つことが良薬。
7節目にしてようやくホームでの今シーズン初白星。
前回のグダグダの新潟戦も見てはいたが、とても書く気になれず・・・。
しかしテレビ観戦となった、ナビスコホームの磐田戦、続く大分とのアウェイ戦と徐々にではあるけれどもチームの状態は上向いてきた。
急造DFラインも不安定だし、トップも必ずしもまだ噛み合っていないなかで全員守備、全員攻撃で何とか凌いでいているという印象だ。

五輪組が遠征から戻ったばかりで、彼らをベンチからはずした上で臨む横浜FC戦。
前節から中盤のバランサーとしていぶし銀の働きを見せた浅利、
伊野波の抜けた穴をストッパーとして獅子奮迅の働きをする今野と、前節無失点の守備陣に加えて
ワンチョペをリーグ戦初のスタメンとして起用した4-4-2の布陣で臨む。

立ち上がりは横浜FCが果敢に前に出てきて面食らってしまう。
カズがキーパーと1対1になるなど決定的なシーンもあってばたついていたが
序盤で失点していたら、流れは大きく横浜FCに傾いていたに違いない。
今はとにかく先制点を取られないこと。
最下位と苦しんでいる横浜FCもそうだが、東京も含めとかく勝ちきれていない下位チームは
先制されると「またか」となって精神的なビハインドとなる。
だからこの試合では先制点が必要だった。しかし前半は得点の気配のないまま終了。

後半開始早々、浅利の送ったクロスボールをワンチョペがゴール前に落とし
これを飛び込んできた今野が絶妙な胸トラップから左足でゴールに突き刺した。
これで、精神的に落ち着きを取り戻した東京が後半をしっかりと抑えた。

横浜FCは久保を怪我で欠くなど前線でタメが作れず攻撃が単調だった。
ロングボールが多く、見ていて恐いという感じがしなかった。
このあたりチームの苦しい台所事情が伺える。

東京も追加点が奪えず、攻めあぐねていた感は否めない。
上位チーム相手だとこうはいかないだろう。
ワンチョペがだいぶ良くなってきたとは言え、今ひとつ連携に難がある。
ディフェンスがしっかりと抑えているだけに、前線の選手たちとりわけ石川などは奮起が必要か。
茂庭が戻ってくるという明るい材料も、使い方を間違えると難しくなる。
次節の神戸戦で指揮官がどういう選手起用をするのか興味深いところだ。

カズのコーナーキック