環境にやさしい?翻訳者日記

環境分野を専門とする地方在住の翻訳者が、自らもなるべくエコなライフスタイルを目指します。がんばりすぎず、ぼちぼちと。

『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』

2005-11-11 20:17:02 | 
1960年代にプラハのソビエト学校で子ども時代を過ごした筆者が、当時の出来事と、それから約30年後に当時の友達と再会を果たした時の話をいきいきと描く。

ギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカという個性豊かな3人の友達の話を中心に据えているのだけど、それぞれに、中東欧の激動の時代に翻弄され、ままならぬ状況の中で大人になっていった話に、切なさを感じる。

とくに、ヤスミンカ(愛称ヤースナ)の話。
再会当時はユーゴの内戦中。それまで仲良く暮らしていた隣人同士で争う現実に、かなり精神的にまいってしまっている。

私には留学中、ヤスミナという仲の良い友達がいた。
彼女もユーゴスラビア人。
英語ではJasminaと綴っていたけど、もしかしたら、母語では「ヤスミンカ」の発音に近かったのかもしれない。
専攻は、私と同じ平和学。当然、彼女の人生もあの内戦によって大きな影響を受けていた。
卒業後しばらくは手紙のやりとりをしていたのだけど、忙しさにかまけているうちに、もう連絡がつかなくなってしまった。
彼女にものすご~く会いたくなってしまったなあ。でも、一体どうしたらいいのかなあ。
この筆者が30年という時を経て、しかもあの激動の時代を経ても、ちゃんと3人を探し当てたのは、本当にすごいと思う。

筆者の米原真理さんは、ロシア語通訳者。
さすが言葉を扱うプロだけあって、ものすご~く語彙が豊富である。
と人ごとのように言ってる場合ではなく、私も精進せねば。

<米原真理『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』角川書店、2001年>