前回、お手軽さと絶景で味をしめたスキー場ハイクの第二弾は、
オハウ・スキー場にあるサットン山(2007m)の頂上をハントすることに決定。クイーンズタウンからオハウ・スキー場は車で2時間半かかるので、朝早めに出発しようと気合いを入れたのだが……
スキー場の駐車場までは勾配が急なオフロードなので、普段車庫にしまってある4WD車のRAV4に乗り込んでエンジンをかけたら……ああっ、かからない
しばらく乗ってなかったのでバッテリーが上がってしまっていたのだ。くくっ何たる不覚
よいしょ、よいしょとRAV4を車庫から押し出して、もう一台のセダン車
とケーブルでつないでジャンプスタート。RAV4の方がもう一台の車よりエンジンが大きいので、バッテリーの摩耗程度によってはうまくかからないのだが、今回は時間をおいて2~3回試したらかかってくれた。ニュージーランドには、日本のJAFに相当する
New Zealand Automobile Association (略称AA)という団体があり、電話一本で駆けつけてくれるのだけど、たかがバッテリーごときのために朝6時過ぎに電話で呼び出すのはちょっと申し訳なかったので、自力で何とかなって良かった~
出発からトラブルに見舞われ、予定より30分遅れの朝7時に自宅を出発
その後、ドライブはスイスイと快適・順調で、9時半にオハウ・スキー場へ通じる道路の入り口付近に到着。
ここからはスキー場への道路を登って行くのだが、スキーシーズン以外は入り口の門に鍵がかかっているので、スキー場を管理するオハウ・ロッジの受付で鍵を借りなくてはならない。
受付の人からもらった用紙を記入して、鍵の担保金5ドルを払い、いざ出発しようとしたら、奥からお兄ちゃんが出てきて……
「スキー場まで行くんだって? 最近、道路の一部が崩れてまだ修復中だから、一般車両は通行止めだよ」
ガアァァァン
そんなのって
麓から頂上目指して歩くことは全く想定してなかったので、その時点で既に時間切れだし、装備も足りない……
「えっ
3~4日前に電話したら、道路は大丈夫だって言われたんだよ。僕達、朝早くクイーンズタウンから出てきたんだけど、何とかならないの?」ねばるねこかぶりである。
「予定より作業が難航してるらしいんだ。ちょっと待ってて。どんな状況か、道路工事の会社に電話してみるから」
調べてもらったところ、崖崩れの場所は、麓から見てスキー場の駐車場まで4分の3の位置にあるので、そこまで車で登ってあとは歩くのなら大丈夫だと言われた。あ~あ、よかった
諦めて泣く泣く帰るのに比べれば、少し余分に歩くのなんて大した問題じゃないもの。
トラブルに次ぐトラブルを乗り越えて再び出発
工事の邪魔にならないよう作業現場の手前に車を停めて、ぶ厚い雲に覆われている下界を見下ろしながら歩き始める。
これが崖崩れの現場と作業車。素人目にも、とても3~4日では修復できる規模じゃなさそう。
まずはスキー場の駐車場と建物を目指して歩く。
車を止めた地点から40分ほど歩いたら、建物が見えてきた。
デッキにて小休憩。雲海から浮かび上がる山々が美しい
サットン山の頂上を目指して、緩やかな斜面を歩き始める。
雲の切れ目から蒼いオハウ湖が、徐々に顔を出してきた。
頂上に近づくとガレ場が広がる。足場は比較的安定している。
もう一息で頂上だ
やった
頂上に到達
登った距離は大したことなくても、この瞬間はいつも格別に嬉しい
この辺では孤立した最高峰なので、見晴らしは抜群にいい
指差している先にあるのは、ニュージーランド最高峰のクック山(3754m)。意外と近くにあるのだ。
クック山のクローズアップ。この角度から見られるのは珍しい。
一点の曇りもない青空に、おびただしい数の山、山、山……ものすごい絶景に言葉もなく、ただ見とれるばかり
これだけの広い場所にねむりねこ
達以外の人影は全くなく、見えるのは山と空と湖だけ……何と言う贅沢だろう。これだから山はやめられないのだ。
はしゃぎ過ぎた
がうっかり崩してしまった、頂上のケルンを積み直すねこかぶり。
暖かな陽射しで風がほとんどなかったので、素晴らしい景色を少しでも長く堪能することにした。
頂上を別の角度から見るとこんな感じ。
そのまま下山するにはもったいない天気と眺望だったので、スキー場をぐるっと囲む稜線を歩くことにした。山の反対側にあるダンベル湖。後で知ったのだが、
この湖まで歩いて行けるルートもある。
何時間いても見飽きることのない美しい眺め
これはオハウ湖と麓の集落。
稜線上の岩場で。どこにカメラを向けたらいいのか迷うほど、周囲360度に絶景が広がる。
稜線の果てまで歩いたら、後は下るだけ。脆いガレ場は滑り降りるようにして下れて楽だったけど、これを登るのはかなりキツそうだ。
車まで戻って来ると、そこに下界を覆い尽くしていた雲海はなく、別世界が
達を出迎えた。
歩き始めるまではトラブルに二度も見舞われたが、そのお陰もあり達成感・満足度の高いハイクになった