ポーランドからの報告

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クリスマス・イブ・イブ

2006年12月23日 | 文化

困ったことに、明日のクリスマス・イブ、12月24日は日曜日です。
そう言われても「はて?」という感じですが、敬虔なカトリック教徒の国、ポーランドでは、これがちょっとした問題となりました。

よく知られているように、クリスマス(Boże Narodzenie)とは、12月25日のキリストの生誕を祝うお祭りです。そして24日のクリスマス・イブ(Wigilia Bożego Narodzenia)のお祭りは、クリスマスという祝日を前にしての前夜祭とされています。この日はあくまでも前夜祭なので、復活祭の前の四旬節(Wielki Post)の時期のように、肉食を控え、騒がずにひっそりと過ごす日とされています。

   

しかし、一方で日曜日というのは、カトリックの祝日で、お祝いをする日です。なので、前夜祭であるクリスマス・イブが、祝日である日曜日にあたるのは、カトリックの教えの解釈によっては、矛盾するということになるのです。そんなことをいったって、カレンダーの都合上、何年かに一度、24日が日曜日になってしまうのは避けようがないのだし、カトリック教会の方でも、気にせずに24日にクリスマス・イブを祝うように説明しているのですが、それでも、厳格に聖書の教えを守っている家庭では、「これは困った!」と大問題となりました。

どうしたかというと、そういうお家では、今年は、今日23日に、一足早くクリスマス・イブの食事会を行ったそうです。先ほどの夕方のテレビのニュースで、今日クリスマスパーティを開いている家庭が紹介されていて、「あれ、クリスマス・イブにはまだ一日早いのにおかしいな」と思っていたら、そういうことでした。

ポーランドは国民の90%以上が敬虔なカトリック教徒といわれていますが、実際に日常生活に宗教の教えをどれだけ実践しているかは、人によってだいぶ異なります。首都ワルシャワなどの大都市では、若い人であれば、めったに教会に足を運びません。ですので、今回23日の土曜日にクリスマス・イブ・イブを祝った人は、国民全体からしたらそれほど多くはないと思います。しかし今でも地方の農村部の方にいけば、毎週日曜日に必ずミサに行き罪を告白し、金曜日は肉食を控えて、と聖書の教えを忠実に守っている人が沢山いて、宗教というものが、いかに日常生活に密接に関わるものであるのかに気づかされます。それにしても、「24日にクリスマス・イブ・パーティを開いても構いません」との教会からのお墨付きが出ているのに、自分たち独自の解釈で、クリスマス・イブを24日の日曜日から、23日の土曜日にずらす、という発想には、少なからず驚かされました。


一方で、ユーラシア大陸のはるか向こうの日本では、すっかり24日のクリスマス・イブがクリスマスの本番みたいになってしまって、23日のことをクリスマス・イブ・イブといって盛り上げたり、25日のクリスマス当日は軽んじられたり、はたまた24日に時間が取れない人が、23日にクリスマス・イブを祝ったりと、なんでもありの状況になってしまっています。それなもんで、「クリスマス・イブ・イブなんて、商業主義もいいとこ、馬鹿げている」なんて批判が出たりもしますよね。しかしそんな批判をしている人も、「敬虔なカトリック教徒も、23日にクリスマス・イブ・イブを祝っている」なんて知ったら、逆カルチャーショックを受けるのでしょうか!?


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