ポーランドからの報告

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クリスマス・イブの食卓

2006年12月24日 | 文化

カトリックが国教の国、ポーランド。
その伝統的なクリスマス・イブの食卓をご紹介します。

24日のクリスマス・イブと、25日のクリスマス当日は、親族で集まって、クリスマスの食事会をします。日本でいったら、正月に親族が一同集まって御節を食べるのと同じで、年末年始のとても大切な伝統的な行事です。

24日の日没、食卓の席に皆が揃うと、まずは家族の中で一番若い人が聖書の一節を朗読します。次に各自がオプワテック(Opłatek)と呼ばれる白いせんべいを手に持ち、割ってそのかけらを交換して、互いに幸福の挨拶を交わします。

   

食事は通常通り、まずスープから始まります。クリスマス・イブのスープは、バルシチ(赤バルシチ)、きのこのスープ(ズーパ・グジボーヴァ-Zupa Grzybowa)またはジューレックのどれかで、地域ごとに異なります。クリスマスをイメージしたテレビCMなどでは、かならずバルシチが出てくるので、全国的にはバルシチのようです。

   

我が家は、クラクフ郊外出身の義母の料理ということで、毎年ズーパ・グジボーヴァでしたが(写真)、義妹が婚約者とワルシャワで同棲し始めてからは、義妹からのリクエストか、バルシチも追加されました。地域によって味が異なるのは、日本のお雑煮みたいで、面白いですね。

   

次にメインディッシュです。イエスの12人の弟子にちなんで、料理は12皿用意します。にしんやサーモン、鱒の燻製など魚料理が中心となります。

クリスマス・イブは、あくまでも25日のクリスマスの前夜祭。なので復活祭の前の四旬節(Wielki Post)同様、肉料理は控え、ひっそりとした食事会になります。実は三年ほど前に、「クリスマス・イブに肉を食べてもよろしい」というバチカンからの許可(?)が出たらしいのですが、それでもポーランド人は、「クリスマス・イブの食事は伝統的な魚料理」のスタイルを貫いています。

そんなクリスマス・イブの食卓の一番のごちそうは、鯉のフライです。普段肉料理が中心で、あまり魚を食べないポーランド人ですが、クリスマス・イブのご馳走は、鯉のフライときまっています。そんなわけで、毎年クリスマスの時期になると、毎年スーパーの食料品売り場に鯉の量り売りの特設水槽ができたり、鯉売りのトラックが住宅地を巡回したりするようになったりと、「ポーランドの冬の名物詩」となっています。

   

この鯉のフライ、私もポーランドにきて初めて食べたのですが、とてもおいしくてびっくりしました。なんというか、魚なのに肉のような食感で、非常に食べ応えがあります。ポーランド語で、ご馳走のことを、「スーペル-Super」というのですが、まさに「超」美味しいので、私も毎年とても楽しみにしているお料理です。

さて食事がひと段落すると、プレゼント交換です。皆が持ち寄ったプレゼントはまとめてツリーの下に高く積み上げられており、子供だけでなく大人も一人一人順番に包みを受け取ります。プレゼントは天使からの贈り物ということになっています。そしてクリスマスキャロルを皆で歌い、盛り上がります。

そして食事が終わると、深夜0時のキリスト降誕のミサに参列するため、皆で教会に向かいます。最近の若い人は、信者であっても普段教会のミサに行く人はそれほど多くはないのですが、それでもクリスマス・イブはやはり特別な日ですので、若者を含め多くの人が、イブのキャンドルサービスに参列します。(もっとも寒くて外に出たくない人や、家から教会が遠い人は、ミサのテレビ中継があるのでそれで済ませられます)ポーランドのクリスマスは、ポーランド人が、カトリック教徒であるというアイデンティティをあらたにする、とても大切な行事なのです。


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