Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

奇麗事では済まされないサステナビリティへの取り組み

2004-10-21 | ◆ビジネス
企業の社会的責任(CSR)と類似した概念に、サステナビリティ(Sustainability)というのがある。地球環境と企業活動の共生と持続的成長を表す言葉であり、サステナビリティ・レポートを作成している企業もある。このWWFのレポートを報じた記事によると、サステナビリティというのはもはや奇麗事では済まされないという気になってくる。

World Living Beyond Its Environmental Means-WWF -- Reuters UK

・人間は地球が1年に生み出す天然資源より毎年20%多く消費している
・1970年から2000年の間に水陸合わせた生物の個体数は30%減少した。
 (なかでも真水にすむ生き物については50%減少した。)
・人間一人を養うのには、2.2ヘクタール必要だが、人口増加のため現在は1.8ヘクタールしかない
・1960年には人間は地球の生み出す天然資源の50%しか消費していなかった。



ソフトウェアのサブスクリプション販売はまだ早いか

2004-10-21 | ◆ビジネス
ソフトウェアの利用料型課金を必ずしもシステムのバイヤーは望んでいないという調査結果が出た。

ソフトウェアのサブスクリプション販売、ベンダとユーザーの意識に温度差 -- CNET Japan

Salesforce.comが新しいサービスを立ち上げ、そしてメリルリンチ証券がオンデマンド・インデックスを開発するという状況下、この調査結果はどう解釈したら良いのだろうか?

記事によれば、調査対象となったおよそ400社のソフトウェア会社のうち、半数以上は2006年までに利用料課金でソフトウェアを販売するつもりであるという。一方、ソフトウェア購入者の64%は、従来型のライセンス購入を好ましいと考えているという。

てっきり利用料課金に関しては、購入者からの圧力によりソフトウェア会社が対応を余儀なくされていると思っていたが、実はソフトウェア会社が主導となっているようだ。確かに利用料課金にすることで、ソフトウェア会社の収益やキャッシュフローが安定するというメリットもあるが、一方で投資回収期間が長期化し、機動的な投資を行いにくくなる懸念もある。では、なぜソフトウェア会社は顧客が望んでいないのに利用料型に踏み切ろうとするのか?

ソフトウェア購入者には潜在的な利用料課金へのニーズがある一方、まだその段階にまで到達していないという認識があるのではないだろうか。Webサービスの活用が進展してよりソフトウェアのコンポーネント化が促進されれば、ソフトウェアを利用料型で機動的に組み合わせることも可能になる。しかし、そうなる前の段階ではライセンス購入によりカスタマイズを行う方がよりビジネスニーズに応えられる。それゆえに、ソフトウェア購入者はライセンス購入形式の方が望ましいと回答すると考えられる。あるいは、Webサービスによるコンポーネント化は急速には進まないだろうという読みがあるのかもしれない。

しかし、Salesforce.comの躍進を見る限りにおいて、環境の整った分野において利用料課金が好まれているという事実を無視することは出来ない。ソフトウェア会社は購入者とは逆に、今後オンデマンド環境が整うことを見越して利用料課金に積極的な姿勢を見せているのだろう。両者のギャップはWebサービスなどのテクノロジーの進展に伴って急速に埋まるのではないだろうか。


ITサービス業に求められるスキル

2004-10-20 | ◆ビジネス
米国におけるIT雇用は増大しつつあるが、人員削減も同じくハイペースらしい。その背景にはITサービス業に求められるスキルの変化があるようだ。

米ハイテク業界で大幅な雇用削減 -- CNET Japan

記事の一部を引用する。

「ハイテクサービス企業は米国内で積極的に雇用を
拡大しているが、それらの企業はハイテク技術とビ
ジネスの手腕とを組み合わせられる人材を求める傾
向が強くなっている。」

つまりアウトソーシングで代替可能な単純な開発やシステム運用に関わるスキルはもはや米国内では求められていないということだろう。付加価値はむしろテクノロジーとビジネスを結びつけ、米国内にいる顧客にそれを伝えることができる人材にこそあるということだ。

ITサービス業の変化が必要とされるスキルにも及んできているという話だが、同じような雇用の入れ替えが日本で起こるのも時間の問題であるに違いない。

第3四半期  ITサービス業の勝者と敗者

2004-10-20 | ◆ビジネス
第3四半期の結果が次々と出てきている。気になるものを挙げておきたい。

インド系ベンダー
インド系は相変わらず元気がいい。アウトソーシングという観点ではJPモルガン・チェースがIBMとの契約を解除するというニュースもあったが、インドには関係ない話のようだ。最初の記事はバンガロールからのソフトウェアの輸出が8月までの5ヶ月で前年同期比34%伸びているという話。もうひとつはインドの代表的ITサービス企業であるWiproのこの3ヶ月の業績が前年同期比利益ベースで67%、売り上げベースで47%伸びたという記事。BPOが伸びているようだ。この3ヶ月で5500人以上も雇ったというのだから驚きだ。

Software exports from India's technology hub soar 34 percent -- TERRANET 

Wipro reports 67% profit surge -- CBR News

IBM
IBMも好調を維持している。ハード、ソフト、サービスのすべてにおいて拡大基調だ。

米IBMの7―9月期、7四半期連続の増収増益 -- Nikkei IT 

UNISYS
UNISYSは苦しい。第3四半期の利益が55%減となっている。UNISYSはその原因をインドの低コスト型ベンダーの攻勢によるアウトソーシング・ビジネスでのマージン減少を挙げているようだ。

Unisys profit falls 55% in third quarter -- CBR News

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そんな中、苦境に喘ぐEDSが新たなアライアンス戦略を打ち出した。アライアンスに加わっているのはCisco、Dell、EMC、Microsoft、Sun MicrosystemsそしてXeroxである。およそ400人のエンジニアをR&Dのためにプールして新たなITインフラを構築するという。

EDS alliance aims to "change the game" in IT services -- CBR News

EDSは否定しているようだが、記事はこれを反IBM連合であるというようなトーンで説明している。先に挙げたなかで好調なのは、低コストのインド系か、規模とオールマイティのIBMである。強い独自性を持たない限りは、低コストに徹するか、パワーで押し切るしかないといった構図である。

EDSの反旗は連合を組成してパワーを得ようとするものだが、各社のコミットはそれほど強いものではないようだ。やや辛い戦いにも見えるが、ITサービスベンダーの模索は当面続くこととなるだろう。

ツーカーの爽快

2004-10-18 | ◆ビジネス
2004年の7月にインフォシークと三菱総合研究所が行った携帯キャリアのイメージ調査がある。

キャリアのイメージ、ドコモは「安定」auは「センス」?  -- IT Media

その調査では、ドコモ=「安定」、au=「センス」、Vodafone=「国際的」というイメージの定着が伺える。一方、安さを売りにしているはずのツーカーは、今ひとつそのイメージが定着していなかった。記事中、ツーカーに触れた部分を引用すると以下のようになる。

  ツーカーのブランドイメージは、明快。ツーカーユーザーの
  72.5%が「利用料金が安い」と応えている。ただし、非ツー
  カーユーザーは30.0%しかこれを認めていない。

  これ以外に、ユーザーから過半数の支持を集めた項目はない。
  唯一、非ツーカーユーザーの「特にイメージはない」が54.2
  %に達している。

安さを認知しているのがツーカーユーザーだけというのが面白い。まさにイメージとして定着していない証拠である。しかし、最近のツーカーはちょっと違う。ご存知の通り、多機能の携帯電話が不要であることをテレビCMで訴える。ホームページでは、余計な機能を追加するための投資を一切しないと断言する。そして11月に発売される予定の説明書すらないほどシンプルな携帯電話「ツーカーS」。

ツーカーが「話せりゃええやん」携帯を発売 -- Nikkei IT

機能が消費者の要求水準を上回ると、やがて消費者は機能ではなく価格を購入の判断基準とするようになる。携帯電話という商品においては、既に消費者の要求水準が満たされている。そして、ツーカーは携帯電話の基本機能のみを必要としている消費者層が実は非常に大きいのではないかと見ている。

一方で、携帯電話は既に電話ではなく「ケータイ」であるという見方もある。つまり、それはメールであり、MP3プレーヤーであり、ラジオであり、PDAでもある。そうなると、まだまだ消費者の要求水準を満たしていない。

そう考えるとツーカーは一定の「携帯電話」市場を押さえるが、更なる進化が予想される「ケータイ」市場の拡大により市場そのものの縮小を余儀なくされる、といったところか。