Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

何だそりゃ 「囚人のジレンマ」20周年記念大会

2004-10-23 | ◆ビジネス
何だそりゃ、という感じだが、「囚人のジレンマ」で毎年戦っている人たちがいるらしい。より正確には、「囚人のジレンマ」のなかでも、それを繰り返し行う「繰り返し囚人のジレンマ」大会を開催しているのだ。

戦略ゲーム『繰り返し囚人のジレンマ』記念大会開催 -- WIredNews 

我々なんぞは、「囚人のジレンマ」について本で勉強してふ~んで終わってしまうことが多いが、その戦略を日々研究し、それを大会の場で試している研究者たちがいるのだ。それだけ囚人のジレンマというのは奥が深いということだし、どういう環境(参加者数やゲームのルールなど)で行うかによっても、その戦略や結果は大きく変わってくる。

今回の大会の目玉
記事によると、今回の大会では、これまでに勝利を続けてきた「しっぺ返し」と呼ばれる、相手が裏切ったらこっちも裏切るという作戦が敗れたことが大きな話題となった。イギリスのサウサンプトン大学が複数のチームを送り込んで、チーム間で協調させることで勝利を掴んだという。

ゲームへは複数のチームを送り込むことが可能だが、総当たり戦なので仲間のチーム同士が対戦することもある。サウサンプトン大学のチームは、ゲームの中でお互いを認識できるようにし、相手が仲間とわかれば、一方が必ず負けるような戦略を取ったという。結果、勝率上位にサウサンプトンのチームが多く名を連ねた一方、下位ににも多くの名を連ねることになった。

でもその意義は?
しかしこのサウサンプトンのチームの戦略を現実世界に持ち込むとどうだろう。例えばグループ企業、あるいは企業連合がマーケットで戦うとき、サウサンプトンのような戦略を取ることは難しい。一方で利益を出しながらも、他方は常に赤字を垂れ流さざるを得ないからだ。それゆえに、サウサンプトンの戦略はあまり現実世界では参考にはならないように思える。

一方で、この大会の特徴である、複数参加者による総当たり戦という考え方は面白い。ついついゲーム理論とか囚人のジレンマと言われると、寡占市場における2者間の争いを思い浮かべてしまう。しかし、競合相手が複数いるなかでどういった戦略が最適なのかを考える場合、総当たり戦のようなモデルの中に囚人のジレンマを持ち込む方がより現実に即している。

単に大会で勝つことを目的とせず、大会のルールをより現実の企業世界近いものとして運営していくと、更に面白いものとなりそうだ。

マンチェスター・ユナイテッドの買収阻止に野村證券が名乗り

2004-10-23 | ◆ビジネス
アメリカの投資家Malcolm Glazerが、イギリスの名門フットボールクラブであるマンチェスター・ユナイテッドの持ち株比率を28.1%まで高め、買収に乗り出そうとしている。それを阻止しようとするマンチェスター・ユナイテッドのファンでありビジネスマンであるKeith Harrisに野村UKが資金面で手を貸そうという話だ。

Nomura joins Man Utd battle -- Reuters

野村UKと言えば、イギリスのパブチェーンを買収したり、(確か)ミレニアムドームの案件にも関わったりと、イギリスではかなり派手なビジネス展開を行っている。今回は、アメリカによるイギリス名門フットボール・クラブの買収に、日系金融機関が登場するという面白い構図となった。

「ビジネス情報 備忘録」ブログでも触れられているように、日本と違ってクラブそのものが上場企業として純粋に市場原理に左右されるところが、イギリスのフットボールクラブの面白さであり厳しさでもある。

が、フットボールクラブが普通の企業と違うところは、ファンという普通の企業では通常存在しないステークホルダーがおり、彼らは必ずしも経済的な利益のみにて行動するわけではないところだろう。今回行動を起こしたMalcolm Glazerはビジネスマンでもあるので、採算度外視というわけではないだろうが、ファンを味方につけていることは大きな強みであるに違いない。

同じくプレミアリーグのチェルシーはロシア資本に買収されてしまったし、マンチェスター・ユナイテッドもアメリカ資本に買収されてしまうと、フットボールの世界も金融街シティと同じような状況となってしまう。フットボールが生活そのものという人たちも多い国柄、それだけは避けるべきだろう。