Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

クロネコ自転車発見

2004-09-05 | ◆ビジネス
今日車を運転していたら、よろよろっとアパートの駐車場から自転車が出てきた。よくよく見るとクロネコヤマトの帽子を被ったおばさんが雨合羽を着てメール便の配達をしているようだ。クロネコヤマトなどの宅急便というと、専用トラックで配達している姿が目に焼きついていて、クロネコ自転車の発見には意外感が強かった。

自転車や原付バイクでといえば、やはり新聞配達員と郵便局員の乗りこなしには一日の長がある。クロネコヤマトの配達振りは、まだまだ自転車の乗りこなしが足りてないといった印象が拭えない。しかし、そこに郵便局と民間宅配業者のつばぜり合いを見た感がある。

ヤマト運輸が共存を拒否したためであるが、ローソンがヤマト運輸から郵政公社へ乗り換える、というニュースはまだ記憶に新しい。宅配業者がメール便で郵政公社の領域へ乗り出す一方、郵政公社は宅配業者の領域を侵食しようとしているわけだ。そんななか、クロネコヤマトは自転車の乗りこなしに苦労しているが、ひょっとすると郵政公社は台車回しに苦労するのかもしれない。しかし、ことの本質は目に見える部分ではなく、郵政公社が税制面などの優遇処置、あるいはハガキ事業の独占といった原資のもとに競争している点にある(ヤマトの主張)。これでは、自転車の乗りこなしもなかなかうまくならないというものである。

また、郵政公社は物流のみならず、金融機能も持っている。それゆえに、郵政民営化に当たっては、金融業界からの反対論も強い。銀行の預金保護が来年4月のペイオフ解禁で決済性預金に制限される一方で、郵便局の定額預金に政府保証が付くというのは、民間金融機関からすると納得の行かない点である。

一方で、郵政公社保護の論点も存在する。つまり、公共の便益に資するものとしての郵便局には一定の保護・優遇が必要という議論だ。つまり、過疎地へのサービス提供を継続するためには何らかの優遇処置が必要であるということだ。しかし、現在はそのために必要となる経営資源と郵政公社優遇に明確な紐付けが行われておらず、単なる民業圧迫と見える。

公共財としての郵便事業を支えるのに掛かるコストのみ、保護を与えていくという仕組みの構築が必要なのではないかと思う。逆に郵便局の経営を圧迫すると、かつて取り上げたイギリスの郵便局ように、郵便局が電話事業へ参入なんてことになりかねない。それこそ公共の利益の維持すら難しくなるかもしれない。完全保護や完全競争という極論に陥らず、公共の利益という観点も見据えた解決策を期待したい。