Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

UNIXチップのコモディティ化は挫折するか

2004-09-29 | ◆ビジネス
UNIX分野における三強はSUN、IBM、そしてHPである。その中でもHPはいち早く独自チップの製造からIntel製のIteniumへの切り替えを表明していた。これはPC分野で進行するハードウェアのコモディティ化をUNIX分野で先取りしたとも取れるし、合併を通じてPA-RiscとAlphaという二種類のUNIXチップを持たざるを得なくなったHPのコスト削減策とも取れる。Intelにしてみれば、飽和しつつあるPC向け市場からUNIX向け市場へと活動領域を拡大するチャンスであった。

しかし、先日HPがItanium搭載のワークステーションの発売中止を発表した。

『Itaniumに新たな打撃--HP、Itanium搭載ワークステーションを販売中止へ』 CNET Japan

この背景にはIntelの狙ったUNIXチップ市場が、高性能化の続くPCサーバーに食われつつあるという状況、そしてPC向けのXeonチップが64ビット対応し、さらにUNIX市場への攻勢を強めつつあることがある。これがItaniumにとって打撃であるのは、チップにはそれに対応したソフトウェアが市場に存在する必要があるということだ。

Itaniumが市場でシェアを拡大するためには、Itaniumに対応したソフトウェアがマーケットに存在する必要がある。市場占有率がまだ低いItaniumにとって、これは大きなハードルとなる。一方で、Xeon64ビット対応チップは、32ビット対応のソフトウェアも稼動させることが出来る設計となっているため、既存のPCサーバー向けソフトと新たな64ビット対応ソフトの両方を使うことが出来る。

つまり、Itaniumがどんなに優れたチップであっても、その価値はチップそのものの性能だけではなく、利用可能なソフトウェアが存在するかどうかに大きく影響される。そして、その点においてItaniumは不利な状況にある。Intelは、Itaniumがあくまでハイエンド・サーバー向けであると主張しているが、ソフトウェアの有無によってその価値が左右されることに変わりはない。

Itaniumの市場価値を高めるためには、対応ソフトをいかに増やすかが今後も大きな課題となるだろう。

最新の画像もっと見る