Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

メリルリンチ - オンデマンド・インデックス

2004-09-12 | ◆ビジネス
そんなものまであるとはちと衝撃である。今年の2月にメリルリンチ証券が創設した新しいインデックスで、ソフトウェア会社がオンデマンド型で課金する比率を計測し、四半期毎に発表しているらしい。このインデックス、正式な名称は

 Merrill Lynch On Demand Index (MLODI)

という。メリルリンチは、IBMやSAPを始めとして70社のソフトウェア課金方法を評価してインデックスを作成している。当インデックス創設にあたってのプレスリリースはこちらを参照されたい。プレスリリースからその創設の背景を引用する。

 "The MLODI will serve as an objective measure designed to
 reflect the fundamentals of software companies as they make
 the transition to on-demand business models," Jason Maynard,
 Merrill Lynch's software analyst

ということである。つまり、ソフトウェア会社がオンデマンド型へのシフトを始めているので、その進展度合いを客観的に測定する仕組みが必要というわけだ。インデックスよりも進展が遅れている企業は、まずいぞということになる。

さて、今回発表されたのは第2四半期の数値である。ちょっとメリルリンチが発表した資料が手に入らないのだが(公開されている情報があれば、誰か教えて!)、InformationWeek誌がサマリー情報を報じている。それによると、メリルリンチが設定した以下の3分野において、インデックスは以下のように推移したという。

全体                  20.5 --> 20.6
Infrastructure             ??? --> 21.9 (slightly declined)
Infrastructure Management    23.3 --> 25.3
Enterprise Applications       15.8 --> 16.5

数字は100を純然たるオンデマンド型とみる。つまり、全体では既に20%程度がオンデマンド型で提供されているということとなる。特にインフラに近い部分(ちょっと定義がここでは明確ではないが)の方がオンデマンド比率が高く、業務アプリケーションの方が低い。しかし、全体として増加傾向であることは明らかだ。

アメリカにおけるオンデマンドの進展度合いにも驚かされるが、それがインデックスとして公表され投資判断の材料となっていることには更に驚かされた。我等はのんびりしすぎていないか?

アイドル証券化とリアルオプション

2004-09-12 | ◆ビジネス
今年の1月、ジャパン・デジタル・コンテンツ(JDC)ジェット証券と共同でアイドル投資ファンドを組成したが、それがリアルオプションであるとの記事をリアルオプション研究会Blogというところで見つけた。アイドル・ファンドというのも面白いのだが、それがリアルオプションであるというのも面白く、また、リアルオプション研究会Blogでは、そのアイドルファンドの状況を追いかけるアイドルファンド☆Blogも紹介されている。

さて、この投資ファンド、1口5万円で投資家から出資を募り、5人のアイドルに500万円づつ投資する。投資された500万円のうち45万円は営業主体であるJDCへ行くが、残額は写真集とDVDの製作とそのプロモーションに当てられる。そして販売から得られた収益が投資家へ還元されることとなる。

これがリアルオプションであるのは、第三弾まで計画されている写真集・DVDの発売とその足切り基準にある。第一弾の発売から90日以内に販売数が1,000を超えた場合に限って、第二弾の製作が行われるという。つまり、第一弾の販売が振るわなければそこで損益確定となり、第一弾が足切り基準を満たせば更なる追加投資を行って、第二弾の写真集・DVDの発売を行い、さらなる収益向上を狙っていく。そして第二弾も基準を満たせば第三弾までオプションは行使されるのである。なお、追加投資は投資家が行うのではなく、JDCが行う。

ファンドの重要事項説明書によれば、7.396セット(写真+DVD)で損益分岐点ということだから、第一弾で足切りになってしまったアイドルは、もやは損失確定で投資回収が出来ない。今のところ、写真集とDVDの両方が足きりになってしまったアイドルは無いようなので、まだ損益が確定したケースはないが、一方が足切り基準に引っ掛かってしまった状態で損益分岐に到達するのは容易ではなかろう。一方で、人気が出て売上が大きく伸びれば収益に上限はない。

アイドルごとのディスクロージャー・ページがジェット証券のホームページ内に設けられているが、投資先が人間だけに結構酷である。一方、先の重要事項説明書にも記載されているが、投資するのは単なるお金ではなく、「お金+応援する気持ち」で、受け取るのも単なるお金ではなく、「お金+精神的リターン」なのだそうである。この商品、オプション理論を組み込んだハードな商品でありながら、精神的リターンというソフトな側面を持ち合わせているのである。人間、大抵はお金よりも精神的充足の方が大切なので、損が出ても怒る人は少ないかもしれない。一方、そうであるが故に、益が出ても精神的充足が得られないと怒る人が出るでしょう。そんな心理面まで金融商品に組み込んで価値を算出できれば面白いかも。

なお、先に紹介したアイドルファンド☆Blogによると、DVD・写真ともに足切りを突破出来たのが2人で、残る3人はDVDのみ突破だそうである。10月に第二弾の発売が予定されているとのこと。スキームの詳細についてはジェット証券のホームページを参照してみて下さい。