社長の独り言

資産運用コンサルタントの社長日記です

漢字が仲介する日中の絆

2007-10-15 08:28:48 | 日常
宋文洲さんのメルマガを紹介します。


漢字が仲介する日中の絆

宋 文洲

最近、海外旅行先として日本を選ぶ中国人が増えましたが、「日本への印象は」
と聞くと、いつも予想以上に評判がいいのです。

理由を聞くと「街がきれいだ」、「人間が親切だ」などのよくある答えととも
に意外に「字が読めるから」という声もよく聞きます。

僕はよく思うのですが、もし日中間に戦争が無かったら、この二つの国は、た
ぶん最も親近感のある国になっていたと思います。たとえ近隣同士の細かいト
ラブルがあったとしても。

中国で戦争する日本軍の士官が「孫子の兵法」を携帯し、きれいな漢詩で愛国
心を表現していたところをみると、僕はとても複雑な気持ちになります。この
二つの国の間に戦争がなければ・・・と

中国近隣の国々は、漢字を捨てて独自の文字を作ったり、植民地支配者の文字
を取り入れたりしてきましたが、唯一日本は漢字を自国の文化としてうまく取
り入れました。

その中で「国家」、「銀行」、「人民」などの漢字を組み合わせ、新しい漢語
を作って中国に「恩返し」したのは日本のみでした。この流れは今も続いてい
ます。ご存知の方もいると思いますが、最近の中国語では「営業」や「人気」
などの日本発の言葉がそのまま使われています。

漢字を共有することによって漢字で表現されてきた思想や文化も自然に共有し
ています。四文字熟語をはじめ、「井の中の蛙」とか「塞翁が馬」などのもの
の考え方や見方も自然に人々の思考回路の一部になります。

たぶん、この二つの国で生きてきた経験を持たない人々にとって、どの言葉が
中国で作られ、どの言葉が日本で作られたかについてまったく意識していない
と思います。この誰のものかを意識せず自然に使いこなすこと自体が、真の共
有だと思います。

漢字を巡って日中は実に寛容、柔軟かつ公正です。戦争がお互いの国民の心を
傷付けましたが、地球上で、漢字を自国の文字として扱うただ二つの国ですか
ら、年月が流れるとともにその絆は必ず強くなると信じます。