

幻の巨大魚、四万十川のアカメ。 その壱。

アカメ
学名 Lates japonicus
英名 Japanese Redeye Perch
アフリカではビクトリア湖などに移植放流され繁殖した巨大魚ナイルパーチが棲息し、時に全長2m、体重200Kgに達する個体も記録されている。巨大魚釣りのターゲットとしても有名である。

ナイルパーチ 東京タワー水族館にて。
日本には近縁の巨大魚アカメ Japanese Redeye Perchが棲息している。かつてアカメは、とても良く似た別種 Lates calcalifer(オーストラリア名バラマンディ)とながらく同一種とされてきたが片山正男氏と多紀保彦氏により、新種 Lates japonicus Katayama and Taki として1984年に記載された。
アカメはスズキ目アカメ科に属し淡水と海水の混じる汽水域(河口)から沿岸域に棲み高知県や宮崎県などに分布するが近年個体数が極端に少なくなり環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種に指定されている。

宮崎県では2006年4月1日からアカメは採捕、採取、殺傷、損傷を禁ずる指定野生動物に指定されアカメの所持、譲渡、譲受も禁じられたという。
これではアカメの生態調査や生息状況をモニターすることすら出来ず、アカメに興味を示す人は激減し、きっと宮崎県では、この魚は人知れず消滅してゆくであろう。
一見矛盾するようだが北海道のイトウ釣りと同じで、アカメに限りないロマンを感じアカメを最も大切に考えているのはアカメ釣り師たちである。
せめて水域や釣り方を指定してのアカメ釣りを条件付きで可能にしておいたほうが多くの面で良かったのではなかろうか。
北海道のイトウ釣り師たちのイトウを守ろうという意識はとても高く、宮崎県のような残念な状況はきっとおきないであろうと思う。
アカメの生態についてはいまだ不明な点が多く従来は四万十川河口の汽水域など狭い水域に棲息する稀種とされたが、2013年11月には高知県東洋町沖合の定置網に1m前後の個体が一度に7匹もかかり話題になった。
最近までの海岸からのルアーフイッシングなどで釣りあげられたアカメのデータ集積結果から、アカメは主に近海に広く棲息し捕食行動のため時々汽水域に侵入するもので実は普通種にすぎないのではないかといった意見すら聞かれるようになっている。
前述のごとくアカメは1984年に、近縁のシーパーチ( Lates calcarifer )と別種であることが明らかになり新種として記載された。
本種はシーパーチと比べて、ウロコが小さく、背ビレが高く、尻ビレの第2棘が一番長いことや、幼魚斑のパターンの違いでシーパーチと区別可能である。
成魚は尾叉長50~60cm以上となりもっぱら魚類を捕食する。北海道のイトウ釣りのように大物釣りのターゲットとして人気があり、釣り上げられたアカメの最大記録として確実なものは1994年8月10日、四万十川で当時岸和田市在住の中村信夫氏がルアー釣りで釣った個体で全長137cm、重さ30kgとされている。かっては60Kgもの大物も捕獲されていたというから北の大魚イトウも顔負けだ。
私は以前から、この幻の巨大魚とされるアカメに興味を持っていたが、いかんせん北見から四国はとても遠い。
アカメを見に四国へ出かけたとしても実際にお目にかかるのは至難と考えてきた。
しかし、たまたま四国松山での学術集会に出席する機会があり、この機会を利用してアカメに会えないだろうかと思案したのであった。
この後、しばらくの間、幻の巨大魚アカメに会い、撮影するまでのとりとめのない話が続きます。
この項、続く。

