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絶滅危急種、千歳川水系源流域のオショロコマ
2007-6-24 曇り のち雨
千歳川水系のとある源流域にはオショロコマが生息している。
沢登りの初心者コースとしてとても人気のあるこの川にオショロコマがいることは以前からよく知っていた。
有名な釣り場であり入渓も容易でいくらでも釣れるというので何となく調査・撮影がのびのびになっていた。
数年前から機会をうかがっていたが、2007年、いざ実行しようとして現状を調べてみると、近年砂防ダムがいくつも造られてから状況は大きく変わったらしい。
近くに千歳市、恵庭市や札幌市など大都市があるための圧倒的な釣り圧に加え、ダム建設などによる環境悪化で現在はほとんど釣れなくなったとのこと。
冬場ではあったが札幌在住の腕利きの釣り師に以前たくさん釣れた付近を調べてもらったが、一匹も釣れなかったとの報告であった。
そこで、今回は初めから釣り人があまり入っていないだろうと思われるかなりの源流域を狙うことにした。
今日は下流からえんえんと釣り登るほどの時間はとれない。
そこで、あらかじめ入念に調べておいた林道を車で進み、一般の地図にはないが支流のあるとある沢におりて、その支流沿いに下って本流に出る作戦をとった。
車を止めエンジンを切る。支流の川音が遠くかすかに聞こえる。その場所から笹の斜面を一気に降りると果たして支流に出た。
そこから支流沿いにしばらく下ると意外に簡単に千歳川の源流域に出ることができた。
この付近はうっそうたるオショロコマの森で自然度がかなり高く良い感じ。
さっそくオショロコマ釣りを開始した。
この時期、水量もあり、一見大岩ごろごろの荒れ川だが、滑川もあり、函もあり立派なたまりもほどよくあって、荒々しいがなかなか良い渓流だ。
上流域では壊滅したオショロコマも源流域ではあっけなく、すぐ釣れた。
小型で暗い黄褐色調で赤点紋理がとてもこまかくあまり目立たず、ヒレや腹部は淡く黄色く着色する程度だ。
知床などのあでやかなオショロコマとくらべれば外見的にはいかにも地味な個体群だ。
以下に貴重な現在の千歳川源流域のオショロコマの姿を鮮明な画像で、このブログに記録しておきたいと思う。
美麗とは言えないが、まさに野性的な感じがする。恐らく釣り人が多いせいと思うが、10-20cmの小型個体が多く、最大でも25cmほどだ。
幼魚、若魚が多く♀が多くて♂がとても少ない。約50数匹、せっせと釣っては手早く撮影し、丁寧にリリースを繰り返した。
どんどん釣り下ってゆくと、急に魚信が遠のきはじめた。
さらに下りほとんど釣れなくなった頃、釣り人が一人。
札幌在住のこの人は私のオショロコマの森ブログを見てくれていて、ビクを持たず良型のみを釣って魚はリリースしているという。
さらに下ると初老の釣り人が一人、ビクがわりの小さな網付きバケツに5-6匹の小さなオショロコマを入れていた。
塩焼きにして食べるという。さらに下ると若者の釣り人が二人。
あまり釣れていないようだが干からびたちびオショロコマはビクの底にへばりついていて、やはり食べるのだろうか。
大人数でヘルメット、カラビナ、ロープ持参の重装備沢のぼり男女パーティも登ってきた。
なんともにぎやかで実に沢山の人間を見かける渓流だ。
こんなに人の多い渓流でオショロコマ釣りをしたのは初めてだ。普段はもっと釣り人が多いという。
雨がぱらつきだした。湿気でデジカメのレンズも曇りがちになった。このあたりが潮時と判断し、もときたルートをもどって武装解除した。
長年の懸案はあっけなく成功裏に終わった。
これまでの経過や川の状況をみると、おそらく千歳川源流域のオショロコマは多数の釣り人の波状攻撃が繰り返され、近い将来必ずや消えてゆくと思う。
源流域まで滝登りで踏破する人も多く、この短い流程のオショロコマが釣りきられることは正に時間の問題であろう。
私のブログを見て、その影響だろうか貴重なオショロコマをリリースしてくれる釣り人がいたのは唯一の救いであった。
老婆心ながら、大都市のすぐそばにオショロコマの棲む渓流が一つくらいは残っても良いのではなかろうか。
将来ここのオショロコマが、多くの人にはまったく知られることもなく、特に話題になることもなく、いつのまにかこの世から消えてしまわないよう、なんとか叡知を働かせたいところだ。
PS 2013-4-11 ネットなどで調べると千歳川水系では、依然としてブラウンがかなり増え続けているようだ。
オショロコマの生息域には決してブラウンを持ち込まないよう御願いします。
支流のラルマナイ川で2011-6-11オショロコマ1匹が釣れた との記事があり、ニジマス川となったこの川にまだオショロコマが僅かに生き残っていたもよう。ところで、千歳川水系のオショロコマの現状につき、どなたか発信していただけないでしょうか。お願いします。
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