トランプは関税を負担するのはあたかも輸出国側であるかのような印象を与えている。しかし、誰でも知っているように関税を負担するのは輸入側のアメリカ国民である。
トランプの狙いは関税分を輸出国が被り、アメリカの物価に対する影響を最小限にとどめることである。実際に前回関税を課した時には物価への影響は軽微であった。輸出国がコスト削減で販売価格を抑えたからである。
日本企業の一部がしようとしているように、コスト削減でアメリカでの販売価格を上げず、アメリカに工場を移転することで関税を逃れようとすればトランプの思惑通りとなる。トランプの大勝利である。
しかし、そのしわ寄せは日本の労働者や下請け企業にかかることになり、日本経済の低迷と国民の貧困化は避けられない。本来国内で実施されるはずの設備投資がアメリカにいけば再び不況の長期化は避けられない。
何もアメリカやアメリカ国民の為に日本や日本人が犠牲になる必要はない。アメリカが関税をかけるなら、その分はきっちり販売価格に上乗せすべきである。
日本の競争相手である中国やアジア諸国は日本以上の関税を課されており、国内で関税分を吸収することは難しく、関税分を値上げしても競争力の減退は限られる。アメリカ企業は4年以内に海外からの輸入分をカバーできるほどの生産力はもてない。
日本がすべきことはアメリカへの輸出依存度を減らすことであり、EUをTPPに加えることは最も良い対抗手段である。