世界第2位の金保有国であるドイツが、米国のニューヨーク連邦準備銀行に預けてある1200トン以上の金を本国へ引き揚げることを検討している。現地の報道を受け、英テレグラフ紙などが伝えた。トランプ政権が打ち出す予測不能な政策を見て、「米国はもはや信頼できるパートナーではない」との意見がドイツの政界で強まっているという。
他国においても金の保管場所を自国内に移す動きがみられる。2019年に保有量を大幅に増やしたポーランドがイングランド銀行にあった金を本国へ移したほか、昨年はインドが100トンを自国に持ち帰った。
こうした流れを加速させたのが、米国など主要7カ国が対ロシア制裁で金を含む海外資産の凍結を打ち出したことだ。外国に預けていると財産を凍結されかねないという恐怖が金の自国保管を助長している。
特に何をするかわからないトランプ政権の成立により、アメリカに対する信頼感は大幅に低下しており、もはやアメリカは安心できる財産の預け先ではなくなっている。
日本も保有金の過半をニューヨーク連銀に預けているが、国内に引き戻すことを検討すべきである。日米の間には為替や貿易収支、防衛費用をめぐる対立がある。
アメリカはいざとなれば、どんな口実を設けてでも自国の利益の為に極端な制裁措置をとることは1980年代の日米貿易摩擦時のアメリカによる日本への様々な押し付けにより経験済である。
今後、様々なイチャモンをつけられて金の差し押さえという事態が発生する確率もゼロではない。今回のトランプ関税を見ても日本はアメリカへの従属を弱めるべき局面にあることは明白であり、まず自国の財産である金をアメリカから国内に移転させるべきである。