読む日々

テーマばらばらの読書日記

誰かと暮らすということ

2011-02-14 | 
「誰かと暮らすということ」伊藤たかみ

東京の下井草を舞台に、近隣で暮らす人が微妙に交錯しながら描かれる連作短編集。

多分メインの主人公は
「虫壁千加子」と「安藤正次」という同僚カップル。といってもカップルになるのは後半で、なるまでの事が長く書かれます。
そこに、二人がよく行くレンタルビデオ屋さんの経営者だったり、そこの客だったりのお話が語られ、それぞれがビデオ屋でちょこっとだけ関わってたりするけど、本筋では影響し合わない感じ。
・・・表現が難しいです・・。

で、とにかく おもしろい
本当に、おもしろい

せつなさあり、感動あり、笑いあり。読みやすいし、感情移入できるし、本当に「正しい小説」といった感じです。
アンハッピーなお話がないのもいい。
せつないんだけど、でも最後はハッピーです。

メインの二人が恋におちていく感じはとってもリアルです。夢物語みたいな部分は全然なくて、本当に現実にありそうな展開。
すぐに燃え上がってお付き合いする二人じゃないからこそ、の安定感と、なのにやっぱり恋をすると色々な不安が湧いてきて
「この人でもこんな事するんだね」っていう行動を取っちゃったり


でもこの二人の、お付き合いしてからの「揺れ」を描いた「サラバ下井草」は、ちょっと泣いちゃいました。
いいなあ、若いって。

満足度98。100でもいいんだけどね。