読む日々

テーマばらばらの読書日記

ビッグベビー

2010-08-16 | 
「ビッグベビー」沖藤典子

題名から想像した通り、介護のお話でした。

この作者の方は、働く女性に向けたノンフィクション作家じゃなかったかな、若い頃、よく著書に気持ちを救ってもらった記憶が・・とあとがきを見たら、やはりノンフィクションで、女性問題、介護問題をテーマにされて来て、取材で知った事を小説の形にしてみた、とのこと。

主人公は東京に住む60代の女性。北海道で父亡き後、長男夫婦と暮らしてきた母が、長男を早く亡くし、今回長男の嫁が急死したことで、92才の母親をどうするのか、から始まるストーリーです。

長男夫婦の子供(主人公の姪)は、祖母を押しつけてきた叔父叔母のせいで母親が早死にした、とかなり恨んでいるし、残った三人の兄弟もそれぞれ事情を押し付け合い、結局主人公が東京へ引き取ります。

またこの母親ってのが相当の人で。主人公は若い頃、理不尽な扱いを受けてて愛がないし、それぞれの言い分もそれぞれの立場から描かれてて、どうにもならない八方塞がり状態。
でも母親を引き取ったことで主人公は変わっていきます。

うちも8年前、姑が倒れて、結構バタバタしたりくやし涙を流したりした経験があり、とっても考えさせられました。
介護者に対して愛があるかどうかは大きいけど、愛があればあったで追いつめられていく人もいる事が読んでてわかりました。

12年前の本で、まだ制度が充実しておらず、我が家は介護保険制度後だったことが救いでしたが、そういった制度の事も主人公の夫を通して詳しく説明されていて、なかなかタメになりました。

ストーリーもリアルで無理がなく(さすがノンフィクションの方です)とってもよかったです。

満足度85