読む日々

テーマばらばらの読書日記

痛い人

2010-08-11 | 
明野照葉「痛い人」

不思議なお話(っていうかホラーなんだろうけど)8篇。

一つ一つ独立した話かと思ったら、微妙に連作?
最初の話に出てきた夫婦が終わりの方の話に顔を出していて、最後の話ではまた主役になっています。

最初と最後の夫婦は「人の気」を読み取ってしまえる夫婦、妻は読み取れるけど影響されず、夫は人の気にあてられてしまって体調を崩してしまう人。(最後は読み取れない相手が悩みになってます)

その他の話も、人に関わる不思議な話で、あまり救いがないような、あるような。。
現代の人間社会の様々な問題を別な視点から切り取った風な話ばかりです。

一番おもしろかったのは「伝染さないで」というお話。
主人公が新入社員を見た瞬間から何とも言えないイヤな気分になり、自分にとっての「ウイルス」と自覚。悩んでいた時に別なプロジェクトが立ち上がり、そのメンバーの中には新入社員にとっての「天敵」がいて、「ウイルス」を駆除してくれます。
その「天敵」にとっての「天敵」は主人公、という感じで「三竦み」の関係がおもしろかった。確かに、実社会でこういう関係ってありますよね。

読んでるとなんとなく気分が疲れる本でもあったので

満足度60