読む日々

テーマばらばらの読書日記

ラブリー・ボーン

2010-08-12 | 
アリス・シーボルト著/片山奈緒美=訳「ラブリー・ボーン」

隣家の男にレイプされ殺された14歳のスージー・サーモン。
天国から家族や、ボーイフレンドや友達や犯人や警察を見守り、それを見守りつつ(死んでるけど)心が成長していくスージーの視点から語られる物語。

ちょっと前に読んだ「青空のむこう」とよく似ていました。でもこっちは大人向け。

スージーが亡くなった後の家族の崩壊っぷりと再生の様子が胸にずきずき突き刺ささります。そして自分だけが取り残されたように感じてしまうスージーの心もせつない。

母親は担当刑事と不倫した挙句、たぶんそんな自分を許せなくて家出しちゃうんですが、こう書くと「最低」な母親に思えますよね。でも、母親の気持ちもすごくよくわかって、涙・涙です。

父親の、家族に対する深い深い、とっても深い愛情には、また文句なしに涙ですし。

犯人以外は悪人がいないお話でした。

解説が斉藤由貴で、それもびっくり。そしてそこで語られてますが、作者の方は実際のレイプ被害者だそう・・。

「生きる」って事、「家族」って事、「死後の世界」について、色々考えさせられました。

満足度90