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1945年4月11日:ブーヘンヴァルト強制収容所解放

2021-04-15 02:06:21 | WW1&2
今年も欧州戦線終結まであと1か月を切った。
76年前の今週あたりは、米英が西側からドイツに入って来て、強制収容所を解放していた。

1月にソ連軍がポーランド戦線の中でアウシュビッツの収容所を解放した話は去年書いた通り。

1945年1月27日:ソ連赤軍アウシュビッツ解放 


ドイツのシュタインマイヤー大統領は、ブーヘンヴァルト強制収容所の解放を記念するスピーチで、ソ連軍の捕虜と強制労働の犠牲者の存在は忘れられがちだから、もっと注意を向けるべきだと言っていたそうだ。

Soviet victims of Nazis were long ‘forgotten group,’ German president Steinmeier says ahead of Buchenwald liberation anniversary

そしてその中で、

ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人は、ナチが達成しようとした民族的に純粋な世界においては生きるに適さない人間とみなされていた、という点を語った。

「彼らはユダヤやロマと同様人間の一部とみなされていない。労働、飢餓、あるいはその両方によって破壊されるべきものとみなされていた」と大統領は言ったそうだ。

Slavic peoples such as the Russians, the Ukrainians, and the Belarusians were deemed unfit to live in the racially pure world the Nazis were trying to bring into existence. “They were not considered part of humanity, no more than the Jews or the Roma. They were meant to be destroyed, through work, starvation, or both,” the president said. 


この痛ましい発言は、非常に重要ですね。

事実そうだからこそ、あんなにもたくさんのロシア、ベラルーシ、ウクライナの人々が、理由もなく、意味もなく、殺されていったわけですよ。兵士と兵士の戦いではなく、人ごと破壊して、ドイツ人のための場所にそこを開けよう、現地住民に生きる価値などないのだというのがナチスドイツの東方戦線の意味でしょう。

それを、西側の言論界は、そこを無視して、戦後ずっと、ユダヤ人だけを殺そうとしたかのような言説を作ってきた。スラブ人を下等民族として殺害していったグランドスケールな「ホロコースト」こそ本当の「ホロコースト」(この語が適切だとも思わないが)。

そこをネグって、スケールを変えて、作った「ホロコースト神話」は、死んでいった多数の人々、特に忘れ去れたスラブ系の苦しみを金に換えようとする、罰当たりな行動と言うべきでしょう。

「ホロコースト」犠牲者の4割はソ連市民

「ホロコースト神話」(西側謹製)が崩れてる


さらにいえば、その究極の差別を放置してきたことが、現在に続く、バルバロッサ作戦V2を生んだ一つの見過ごせない原因です。ロシアを1つのエンティティと認めたくないという心理のよってきたるところ、それは差別、排外主義。

その意味で、現在の政治主体としてのドイツおよびその追随者はナチその2でしかないし、これがいつまで続くのかは他の要素も関わるからそう簡単に終わりはしないにせよ、ドイツ人の中から、政治的な謝罪や政治的なフレームワークを超えて、東欧・ロシアとの関係を見られるようになる人がもっと多く出てくるといいなと思う。

そのための非常に重要な言明だと思う。

(シュタインマイヤーは、立場上限界はあるにせよ、問題の在り処に気づいている人の一人だと私は思ってる。)


■ 収容所で気が狂う米軍

ブーヘンヴァルト強制収容所は、1945年4月11日、米軍が解放。米軍はその後、4月29日にはダッハウ強制収容所を解放する。

ソ連軍は東から米英は西から入り、現在真ん中へんでみんなドイツに入ってきたといったところですね。

黒いポチポチが収容所のあったところ。赤丸がアウシュビッツ。



で、どの収容所でも、そりゃもう解放してる人たちも、びっくり、どっきりのものを見せられるわけです。

英米軍を率いていたアイゼンハワーは、4月19日、これは多くの人に見せるべきといってプレスとか議員にどうなってるのかを見せる決定をして、見せてる。

Eisenhower Asks Congress and Press to Witness Nazi Horrors


前に書いた通り、結局まとめてみると、ナチスドイツの行動は、戦争というより、産業的大規模殺人だと映画監督のヴェルナー・ヘルツォークが去年語っていたけど、まさにそういう名前がふさわしい。とうてい戦争という語で語れない。

ドイツ、ソ連軍捕虜の記録をロシアに渡す&産業的大規模殺人


で、ですね、戦争だろうと思って入ってきた米の将兵は、だんだんと違うものを見せられる。

そして、ダッハウ強制収容所を解放していた米兵は、ここで収容所にいたドイツの管理者たちを捕縛するのではなく、大量に殺したと言われている。

一般に、ダッハウの解放時の報復、といわれている事件。
Dachau liberation reprisals 
日本語wikiは、ダッハウの虐殺という項目にしていた。

話が錯綜していて、真実がどのへんなのかはっきりとは解決していない部分もあると思うんだけど、アメリカ人の中には、収容所に収容されていた捕虜に武器を渡した人がいると言われている。その武器なのか他の武器なのか知らないが、解放時に収容者が管理人を撃ったということもあった模様。

米兵が、おびただしい死体が積み重なっているところを見ているうちに、激昂激情したということらしいわけです。米陸軍の管理としては落ち度なので調査が行われた。

私はこれを良いことだとは言わない。言わないが、収容されていた人に武器を渡すアメリカ人を咎めたいかといわれれば、咎めたくないと言いたいものがあるし、自分だったらと考えると、その場の光景を見て、ここで戦えないんだったら、何のために戦うんだろう?みたいな疑問もわくだろうとも思ったりもする。

ただ、一瞬の後、冷静になれば、目の前にいる管理人を殺しても始まらない、こんなものを作って放置した奴らを処罰すべきだ、とも思うだろう。でも、わからない。その場によるだろうなぁ・・・。

というわけで、ここからしばらくの後にニュルンベルク裁判で、いわゆる「人道に対する罪」なるものが出てくるわけですが、そういうことを言い出したくなる、言い出すべきである、という気持ちはここらへんから非常に多くの人に共有されていたというべきだろうと思う。


■ オマケ

人道に対する罪は、日本の中で、事後法ですから酷いですね、という純粋に法理論的なことを言って連合軍は酷いと結びつけることが通例化してるけど、こういう理屈に対する支持が広がるとは私には思われない。

日本の場合は、原爆という軍事的に意味のないことを唐突にやった馬鹿がいたので、欧州とは別の展開になってるのがこじれた原因でしょう。ただ、日本は、実際にはハバロフスク裁判を無視してるし、生物戦関係者は米軍のスカートの下に入って隠れたので(ソ連が呼んでも米が庇った)、非人道的となじられる部分を無視して極東軍事裁判と呼んでるともいえる。原爆を一つの事情として論を張るなら、自らの罪状を全部みないと説得力がない。

■ オマケ2

そういえば、日本では、戦争が終わっても治安維持法が解除にならず、したがって、思想犯が獄に繋がれたままで、結果的に哲学者の三木清が9月に入ってから獄死するという事件があった。そして、それに驚いたGHQが治安維持法を撤廃しろと人権指令を出すという顛末があった。でも、日本の当局者は基本的に全然悪いと思ってないから、そのままに近い形で体制が維持されたに等しい。あらためて、日本の敗戦ってホントにいい加減。


■ WW2シリーズ

1943年2月2日:スターリングラードでドイツ軍降伏
1944年1月18日、レニングラード包囲解消(プーチン献花)
1945年1月17日:ソ連赤軍ワルシャワ解放
1945年2月4日、ヤルタ会談始まる
1945年2月13日、ブタペストついに陥落

※後でリンクします


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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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スラブ世界移民の公約通り! (ローレライ)
2021-04-15 16:10:29
スラブ世界へのドイツ移民の公約通りのナチスのジユノサイドは聖書譲り公約!
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