かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  140

2021-08-04 19:37:28 | 短歌の鑑賞
  ブログ版清見糺短歌鑑賞21 99年   鎌倉なぎさの会 鹿取 未放


140 うねり来てテトラポッドを噛み砕く波のちからをわれはよろこぶ
「かりん」99年10月号

 八丈島に歌友である左海正美を尋ねた経験を元にした作。小さな入り江のコンクリの上にまさに泳がんとして水着で腰掛けたとたん、いきなり波が来て頭上ゆうに一メートルを超した。鎖を握っていなかったら仲間達みんな波に浚われていただろう。あの時はみんな肝を冷やしたが、歌は「よろこぶ」と強がっている。50メートルほどしかない狭い入り江の入り口にはテトラポッドが積み上げてあった。そのままの歌だが、結句のよろこぶに面白さが出ていよう。波の「ちから」という表現には馬場あき子の影響も見てとれる。精神が解放され、南の海のダイナミックな力に圧倒されて浮き立っている気分がよく出ている。

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