かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の歌一首鑑賞 199

2022-09-12 13:35:20 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞  おいたるダビデ  
                  鎌倉なぎさの会  鹿取 未放


199 さとうきびばたけのなつのひをかぜがことしもざわわとすぎてゆくだけ
                「かりん」2002年7月号

 「ちちのみかうからはらからてつのあめにうたれてしんでいったなつのひ」がこの歌の次に置かれている。寺島尚彦作詞の「さとうきび畑」をほとんどなぞった作品で、独創性がないと批判されるかもしれない。確かに〈ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ〉であり〈あの日 鉄の雨にうたれ 父は死んでいった 夏の陽ざしのなかで〉と歌われている。しかし掲出歌「ことしも」というところに戦争に対する作者の憤りややるせなさが出ていて、棄てることができなかった。反戦の歌はうたいつがれても、地球上から戦争がなくなることはない。
 194番歌(ゆううつなでんえんをゆくならわかばうめかきくぬぎけやきわかばの)などと共に全ひらがな表記が無力感や倦怠感を漂わせている。


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