カトマンズの市場に並ぶ野菜たち
馬場の外国詠 21(2009年9月)【牛】『ゆふがほの家』(2006年刊)94頁~
参加者:S・S、曽我亮子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:曽我 亮子 司会とまとめ:鹿取 未放
167 日々黝く腐(く)えゆくばなな十房ほど吊りて商ふカトマンズの朝
(レポート)
早く売らねば売り物にならなくなる足のはやいバナナ。それもわずかばかりを細々と商っているネパールの商人たち。かれらはそれでもあくせくすることなく黙って買い手を待っていたのではないでしょうか。カトマンズの朝市の、わびしくもゆったりした情景が目に浮かびます。(曽我)
(まとめ)
「黝く」の文字づかいがいかにも腐りかけたばななの様態を効果的に表している。たった十房ほどを商う貧しさにも思いが及んでいる。カトマンズの街では、白いシャツに紺の襞スカート、白いハイソックスに黒靴、腕時計をはめた日本の女子高校生と変わらない姿も見かけたが、靴を履いていない人も多く、10歳くらいの女の子でも上半身裸だったりして胸が痛んだ。バザールでアイスクリームを売っていたが、器は木の葉っぱで、さっとスプーンで掬って乗せていた。(鹿取)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます