■メイン写真
特異な雰囲気を醸し出す楓沢の苔の回廊
■今回のコース
駐車地→楓沢登山口→沢の二股(左へ)→分岐→北東お花畑コース出合→主稜線出合→
風不死岳→南支笏7号線車止め→風不死岳登山口→駐車地
昨年の下見を踏まえ、登山教室で北海道遠征を企画した。
新千歳空港からのアクセスを考え、支笏湖周辺の山に絞って登る。
第1班のお客様は、比較的健脚な方々。
前日(6/27)に伊丹から新千歳へ飛び、6/28、風不死岳(ふっぷしだけ)をめざす。
スタートは「苔の回廊」へつながる楓橋。頭をかがめて、橋をくぐる。
楓沢は、水がまったく流れていない涸れた沢である。はじめは開けた沢床になっている。
20分ほどで、両側の岩壁が立ってくる。その壁面にコケがびっしりとついている。
何か巨大な獣の毛皮のようだ。メインは「エビゴケ」という種類らしい。
苔の回廊には、60種類以上のコケが生息しているらしい。
時折、倒木を越えたりしながら"上流"へと進む。
S字にカーブする"沢筋"が、独特な空間を演出する。
倒木が立てかけられていて、そこを登っていく。
この先で"沢筋"にロープが張られていて先に進めなくなる。ピンクのテープに従い
左に巻き上がり、ふたたび同じ"沢筋"に舞い戻る。
おそらく途中で崩れていたり、巨岩に行く手を遮られたりしているのだろう。
巻きの途中で、ギンリョウソウを見かけた。
苔の回廊はしだいに高さを失い、平坦な林道のようになると、二股に出る。
左へ、矢印だけで文字が読めない標識がかかる。
そういえば、楓橋のあたりでも同デザインの矢印を見た。
左をとる。先行していた男女ペアが引き返してきたが、我々は突き進む。
ほどなく樹林が姿を消し、背の低い灌木が中心の"草原"になる。
シラタマノキ。
イソツツジ。
進行方向右手に、どっしりした山容の風不死岳が見えてきた。
マルバシモツケ。
そして、待望のタルマエソウ!!
別名イワブクロ、ここ支笏湖畔の山と、十勝岳や大雪山系の北海道の山の砂礫地に生える。
また、東北の岩手山、鳥海山などにもみられる。
毛が密生した花弁、ガクが印象的な、薄紫の可憐な花だ。
樽前山から続く、北東お花畑コースに合流する。
食虫植物のモウセンゴケもみられる。
タルマエソウは飽きるほど咲いているが、まだまだ蕾もあった。
たくさん集まっている群落をみつけると心が躍る。
進行方向左には、樽前山の溶岩ドームが不気味な姿を現した。
今も噴煙を上げていて、立入は禁止されている。
樽前山~風不死岳間の主尾根に合流し、いよいよ尾根道を風不死岳へ向かう。
クルマムグラ。
いよいよ固定ロープが連続する岩場の急登箇所にさしかかる。
気合と根性で登るしかない!!
963m尖峰を巻く。
急登が終り、カンバの森を抜けていく。
風不死岳の山頂に到着。皆さん、がんばりました!!
ブルーに輝く支笏湖を見下ろす。北には恵庭岳がそびえる。
すばらしい風景に、ここまでの疲れもいっぺんに吹き飛ぶのだった。
山頂には北海道在住の女性3人組がいた。
こちらの"関西弁"が珍しいらしく、何を言っても笑い転げてくれた。
景色をじゅうぶんに楽しんだら、北へ続く通常ルートで下山する。
8合目あたりまでは、固定ロープを交えた急坂が続く。
昨年はこのルート上で滑落事故も起きているという。とにかく慎重に、慎重に。
下山路は、1合ごとに標識がつけられ、行程の目安になる。
8合目~5合目あたりまではロープも必要がない程度の急坂になり、
それより下は、かなり緩やかな坂になる。
最後は、雨で浸食されてとてもクルマが入れそうにない「南支笏7号線」の終点に出る。
車止めゲートを通り、未舗装の駐車場を抜けると国道276号線に出る。
この日は千歳市内の地元の人に人気の定食屋さんで夕食をとった。
アナゴのフライ定食が、じつに美味かった。
北海道の食は、ウニ・イクラ・サケだけではない。