Darkness Before the Daylight Blog

鋼の錬金術師、黒子のバスケにまつわる人々、漫画やアニメ、日々の楽しみ、その他つれづれ。

金の斧と銀の斧

2015-06-21 21:38:28 | 小話
大佐は、斧を手に持って、森の中を歩いていました。
大佐は、正直といえばまあ正直といえないこともない軍の木こりです。

途中で大佐は兄さんに会いました。
兄さんは金髪の子どもで、おこりんぼですが、大佐はそんなところも含めて兄さんが大好きです。

泉のほとりにさしかかったとき、兄さんは脚の機械鎧が重かったのでしょうか、
バランスを崩してぽちゃんと泉に落ちてしまいました。

「あっ」

大佐はびっくりして泉の中を覗き込みましたが、兄さんの姿は見えません。
大佐は声を限りに兄さんの名前を呼びました。

「鋼の!!鋼の!!」

何度呼んでも兄さんの声がしないので、大佐は軍の救援を呼ぶか、それとも最大火力の焔で泉の水を
全部乾かしてしまおうかと不穏なことを考え始めました。

その時です。泉の表面が波立ち、白い布を身体にまとった女神様が現れました。
大佐はたまげました。女神様が両側に、全身が金色でぺかぺかした兄さんの形をしたものと、
これまた全身が銀色にきらきらした兄さんの形をしたものを連れていたからです。

「……」

あっけにとられている大佐に向かって、女神様がいいました。

「そこの旅の者。あなたが落としたのはこの金の錬金術師ですか。それとも銀の錬金術師ですか」

その金と銀の二人は大佐に向かって、「こんにちは」とにこやかに笑いかけました。
実は、光ってるせいで表情は細かくはわかんないんだけどさ、いつも眉間に皺の兄さんばかり
相手にしている大佐にとっては、違和感があります。
しかもすらりと背まで高い。

「いえ、私が落としたのは、もっと小柄で生意気で目つきが悪い、鋼でできた錬金じゅ」

そこまで言って大佐はしまったと思いました。これはあれです、試されているのです。
本当のことを言えば金と銀をご褒美にもらえる。でもそれでは困るのです。
「いや、その」訂正しようとしましたが時既に遅し。女神様が微笑みました。

「正直のごほうびに」

そのとき、泉の中から怒りに燃えた声が響いてきました。

「待てええ、誰が小さいって!?」


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6/15にメッセージを下さった方

いらっしゃいませ!日記読んで下さってありがとうございます!
520センズの約束はロイエドを考える上ではとても大切なポイントになっているので、
書く事を迷った時にはいつも原点に返る気持ちで読み直します。
お気に召していただけて嬉しいです。また頑張ります!!