だいずせんせいの持続性学入門

自立した持続可能な地域社会をつくるための対話の広場

暖房のない暮らし

2011-01-10 00:54:02 | Weblog

 お正月からエアコンの効きが悪くなって、ついにダウン。修理をお願いしようにも業者が正月休みでかなわなかった。それで、1週間も暖房のない暮らしをしている。さぞかし寒いだろうと思われるかもしれないが、室温は15℃と17℃の間をいったりきたりで、ちょっと厚着をしていれば大丈夫だ。外気温は-1℃から8℃くらいなので、それよりはざっと10℃ほど暖かい状態が保たれている。

 これには秘密があって、我が家は「伝導型地中熱活用住宅」という構造になっていて、地中熱のお世話になっているおかげなのである。これは地面の上に高気密高断熱の家を建てる、というだけのもの。普通とどこが違うかというと、普通の高気密高断熱住宅は、基礎に通気口があって、床下を通気している。我が家は通気口はなく、かわりに基礎の立ち上がりの部分も断熱材をかぶせてある。床下はコンクリートを敷き詰めたべた基礎となっている。これで、外気との熱のやりとりを防ぎつつ、熱を伝えやすいコンクリートを通して地盤と室内との熱のやりとりを促す仕組みだ。

 地下では5mももぐると温度変化はほとんどなくなり、その温度はその場所の年平均気温に一致する。ということは、地下の温度は夏は気温よりもすずしく、冬はあたたかいということだ。私が住んでいる瀬戸市は年平均気温15℃。その温度の地盤と熱的に結合させれば、家の中も15℃に保たれるという理屈である。

 そして、その理屈どおりの状態が実現していることに、私自身も内心びっくりしている。研究としていろいろと難しい計算をしたりして、その効果には自信があるつもりでも、実際に真冬に暖房がない状況の実験結果はなかったからだ。
 この状態を維持するのにほとんどエネルギーは必要ない。室内の空気をよく混ぜ合わせるための小さなファンが一つ動いているだけである。熱は温度の高いほうから低いほうに流れる。これが自然である。室内が15℃前後に保たれるのは、地下深くから床下に向かって地盤の中を熱が自然に流れた結果なのだ。

 自然の恵みを感じながら暮らせるというのは、なんともいえない安心感がある。計算していただけの時は15℃ではさぞかし寒いだろうと想像していたのだが、それほどでもないということが分かった。これはこれでやっていけそうである。エアコンがある暮らしでは室温はずっと23℃前後が維持されることになり、季節感がなくなる面がある。冬には冬の寒さを感じるというのも大切なことだろう。
 私としてはずっとこれでもいいようなものなのだが、明日、エアコンの修理に来てもらうことになっている。家族のことを考えると15℃ではやはり快適とは言えない。私としては少々複雑な気持ちであるが、例えばエネルギー危機がくるようないざという時にも、我が家にいれば凍えなくてすむということがわかっていれば、それだけでも安心である。これがなかなか難しいことなのだが、暖房が復活しても、自然の有り難さを忘れないように暮らしていきたい。
 

 

 

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