半谷範一の「オレは大したことない奴」日記

B級自動車ライターのカオスな日常

謎の超合金?。ステライト6Kのナイフ、ちょっと不思議な使い心地でした。

2023-03-10 18:00:00 | ナイフ
さて、今日は以前にもチラッと書いたステライト6Kのナイフに関するお話です。

私が初めてステライト6Kという素材(鉄を含まないので鋼材じゃありません)の存在を知ったのは、シューティングライフ誌1978年8月号のナイフ特集でした。そこに書かれていたのは「コバルト、クローム、タングステン等の合金で、全く錆びず、熱処理も不要で耐摩耗性は154CM鋼の十数倍」という解説。もちろん不正確な部分や誇張もありましたが(笑)、当時はまだインターネットが普及する遥か以前の時代で真偽を確かめようもなく、正に ”謎の超合金” といったイメージでした。




でもそれ以上に私が驚いたのは、その異常とも思える恐ろしい価格でした。ランドールの#1 ”オールパーパスファイティング” が5万5000円で購入できた当時、マイク H.フランクリン作のステライト・ファイターは6倍の33万円!もしたのです。もしそれだけ出せるなら、普通はラブレスとか買っちゃうよなぁ。もちろんどんな切れ味なのか?凄く興味があったけれど、当時の私には買えるような金額じゃありませんし、もし買えたとしても勿体なくて使うことはできなかったことでしょう。




私が初めてステライト6Kのナイフを手にしたのは、それからかなり経ってeBayを利用するようになってからのことでした。実はそれまでステライト6Kのことはすっかり頭の中からから消えていたのですが、ある日何の気なしに "stellite 6K" を検索してみたら・・・あああっ、あるじゃないの!。それもフランクリンの2.5インチ位の使い易そうなケーパーが!!。これ、欲しい!!!。ちょっと競って最終的には結構良いお値段になっちゃったものの、何とか競り落とすことに成功したのでした。




私が手に入れたのは1987年に製作されたHAWGになる以前の物。私はこの頃のデザインの方が好みです。で、このナイフ、実際に使った感じはどうだったか?というと・・・それまで体験したことのない不思議な使用感でした。購入当時から産毛が剃れる位の刃付けがされていたにも関わらず、硬度がRCでせいぜい40台の後半ということもあってなのか、炭素鋼みたいなサクッと食い込むような鋭さは全然ありません。切れているはずなのに、何故か切れてる手応えが希薄だよなぁ。




正直、木を削っても大したことない切れ味だなぁという印象しかなく、最初はちょっとガッカリしました。しかし・・・研ぎ難いので放置していたにもかかわらず、そのままの状態がずっと変わらないことが分かってビックリ。やるなぁ~ステライト6K。現在このナイフのメインの用途は段ボール箱の解体なのですが、前回いつ研いだのか忘れてしまう程です。実は紙類はエッジに対する攻撃性が強くて、エッジリテンションの低い鋼材だとあっという間に切れなくなっちゃうんですけどね。




前述のように、最初は研ぎ難い(というか、ランスキーのシャープナーでも滑っているだけで全然研げている感じがしない)のが難点だと思っていましたけど、私みたいな感じで柔らかい物しか切らない(笑)という使い方なら時々ダイヤモンド系の棒状のシャープナーでタッチアップしてあげる程度でも十分だということが分かりました。仮に塩水に漬けたところで全く錆びることはありませんから、使った後の手入れも事実上不要だし、普段の保管もご覧の様にシースに入れっぱなしです。



ステライト6Kは脆いという意見もありますが、私の使い方では別に実用性に問題がある程とは思えません。ネットでも調べてみても、ブレードが破損した画像は一つも見つかりませんでした。このフランクリンが期待以上だったこともあり、その後も何本かステライト6Kのカスタム・ナイフを購入したけれど・・・近年はナイフに適したサイズの素材がほとんど流通していないそうで、売り物を見掛けることは稀になりました。恐らく今後も新規に製作されることは期待できないでしょうね。

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