環境の激変にインフラ整備が追いつかないというわけだが。
合流式の弱点が明らかになっているが、それでも分流式への改築にはものすごい金額がかかるのは明白で、まさにトレードオフといえる。低地に住む人たちの資産価値が下がったままでいいのか、否か。
合流式は東京湾汚染の一因にもつながっており、無対策でいいというわけでもない。
2005年9月5日付読売新聞より引用
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首都圏豪雨の浸水被害、下水道管の逆流が拍車
今回の浸水被害は、河川から水があふれたのに加え、下水道管からの逆流が原因とみられる。
都市で水防の役割を果たす下水道管網は、都内では総延長が東京―豪シドニーを往復する規模の約1万5000キロが整備されている。都の下水道管の場合、明治初期から整備が始まり、コレラなど衛生対策に重点が置かれたため、生活雑排水など汚水を流すための管が大半を占める。「合流式」と呼ばれ、汚水と雨水を混ぜて海浜の汚水処理場に運ぶ仕組みだ。このため、汚泥やたばこの吸い殻などのゴミが管の継ぎ目やカーブにとどまりやすく、集中豪雨の際にはすぐに満杯になり、逆流が起きやすい。
都内では雨水専用管は足立区と世田谷区の一部で整備されているのみで、約8割は合流式。雨水専用管が日本の都市で整備され始めたのは、1970年以降で、都の下水道は整備開始が早かっただけに、他の大都市に比べて専用管の整備が遅れている。
このため都では97年、神田川に近い環状7号線の地下に約24万立方メートルの容量がある調節池(トンネル状のタンク)を建設。神田川からの水を取水する仕組みになっていたが、都の担当者は「今回の大雨は想定外の規模で雨のスピードに容量が追いつかなかった」と説明する。
現在、都は善福寺川からも取水するため、新たな調節池(約30万立方メートル)の工事を進めており、今秋、稼働予定。しかし、これが完成したとしても、1時間100ミリ以上の雨には対応できない見通しで、都の担当者は「どうすればいいのか」と困り果てている。
水防に詳しい日本下水道協会の渡辺聡・技術第2課長は、「1時間当たり100ミリ以上の雨を想定して整備された下水道網を持つ都市は、日本にはない。それに対応しようとすると、何百億円かの投資が必要となる。このため想定外の大雨の場合、避難対策などソフト面の対策を組み合わせることが重要だ」と話している。
合流式の弱点が明らかになっているが、それでも分流式への改築にはものすごい金額がかかるのは明白で、まさにトレードオフといえる。低地に住む人たちの資産価値が下がったままでいいのか、否か。
合流式は東京湾汚染の一因にもつながっており、無対策でいいというわけでもない。
2005年9月5日付読売新聞より引用
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首都圏豪雨の浸水被害、下水道管の逆流が拍車
今回の浸水被害は、河川から水があふれたのに加え、下水道管からの逆流が原因とみられる。
都市で水防の役割を果たす下水道管網は、都内では総延長が東京―豪シドニーを往復する規模の約1万5000キロが整備されている。都の下水道管の場合、明治初期から整備が始まり、コレラなど衛生対策に重点が置かれたため、生活雑排水など汚水を流すための管が大半を占める。「合流式」と呼ばれ、汚水と雨水を混ぜて海浜の汚水処理場に運ぶ仕組みだ。このため、汚泥やたばこの吸い殻などのゴミが管の継ぎ目やカーブにとどまりやすく、集中豪雨の際にはすぐに満杯になり、逆流が起きやすい。
都内では雨水専用管は足立区と世田谷区の一部で整備されているのみで、約8割は合流式。雨水専用管が日本の都市で整備され始めたのは、1970年以降で、都の下水道は整備開始が早かっただけに、他の大都市に比べて専用管の整備が遅れている。
このため都では97年、神田川に近い環状7号線の地下に約24万立方メートルの容量がある調節池(トンネル状のタンク)を建設。神田川からの水を取水する仕組みになっていたが、都の担当者は「今回の大雨は想定外の規模で雨のスピードに容量が追いつかなかった」と説明する。
現在、都は善福寺川からも取水するため、新たな調節池(約30万立方メートル)の工事を進めており、今秋、稼働予定。しかし、これが完成したとしても、1時間100ミリ以上の雨には対応できない見通しで、都の担当者は「どうすればいいのか」と困り果てている。
水防に詳しい日本下水道協会の渡辺聡・技術第2課長は、「1時間当たり100ミリ以上の雨を想定して整備された下水道網を持つ都市は、日本にはない。それに対応しようとすると、何百億円かの投資が必要となる。このため想定外の大雨の場合、避難対策などソフト面の対策を組み合わせることが重要だ」と話している。