梅の香庵~うめのかあん~

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とりとめないことをとりとめなく・・・

石川五右衛門参上

2012-12-14 23:36:28 | 読書
最近読んだ小説が、もしかしたら今年一番のヒットだったかも!

未だ興奮さめやらぬその一冊は

「太閤暗殺」岡田秀文著

なんか読みたいな~という軽い気持ちで書店をうろついていた時に発見。
ふと手にとりました。

背表紙のあらすじを読むと・・・・


太閤秀吉に諦めかけていた念願の息子、お拾(後の秀頼)誕生。
・・・・お拾に自分の全てを継がせたい。
そう願う秀吉は、すでに関白の座を譲ってしまった甥の秀次が邪魔になる。
秀吉の思惑に危機感を強めた秀次の側近は、ついに秀吉暗殺を企てる。
その暗殺を請け負った男こそ、天下の大盗賊、石川五右衛門であった!


なぬー!
石川五右衛門が豊臣秀吉を暗殺!?
なにその
カレー天ぷらラーメンセットみたいなこてこて感。
でも興味深々な設定!

というわけで、
もしつまんなくても、まぁ話のタネにでもなれば、という気持ちで読み始めたのですが、


これ、大当たり!

もうページを捲る手が止まりません。
一見、どこぞの演劇かアニメの設定みたいですけど、これがなかなかにリアリティがあるじゃないの。

秀吉の天下になって、一見治まったかに見えた戦国の世も、
一枚ぴらりと上っ面をめくれば、一瞬の隙も見逃すまいと誰もが目をギラつかせているような、
そんな油断のならない世の中。
そんな中で、主君のため、というよりは、主君がコケて自分も巻き添えくいたくないっていう、
どいつもこいつも手前ぇのことしか考えてねーじゃねーか!という男たちの、
武力と知力と謀略をめぐらしての攻防戦!

物語が進むにつれ、
えー!?そういうことだったんかーい!
と雄叫びをあげることしばし。
読み終わった後は、
「て、てことは・・・・じゃああの時のあれは・・・えええー!?」
と、思わず最初から読みなおしたくなること請け合いです。
そしてね、かっこいいのさ石川五右衛門!
斬鉄剣は持ってないけどな。

幾分ミステリーの要素もあるので詳細は語りませんが、
晩年とち狂った秀吉が、我が子可愛さに甥の秀次を一族郎党皆殺しにした、というのは史実として有名な話。
それこそ本妻妾その子供たちも含めて根絶やしにしたとか。

なんつーか秀吉っつー人は、他に類を見ないとんとん拍子の成功人生を送ったわけですけど、
あまりにとんとん夢の如く上り詰めちゃって、
これってほんとのほんとに現実なのか?って、自分が一番不安になっちゃったんじゃないかなーって思いました。
故に、現実だという証をなんとか形にしたくって、
実子を跡継ぎにすることに固執したんじゃなかろうか。
というのは、私の個人的な想像でなんの根拠もありませんがね。


話がそれましたが、
「太閤暗殺」、私にとっては今年最大のヒットです!
ちなみに次に読むべく手許にあるのは秀吉つながりで「利休にたずねよ」
これも面白そ~。


おまけでまたしても脱線しますが、
この小説を読んで思ったこともう一つ。
石田三成って、やっぱりこういう性格で書かれてるな~、ってこと。
どういう性格かというと、
ものすごく頭脳明晰で切れ者だけど、やや性格に難ありで友達少なし。人望微妙。
場の空気を読まないって、いうかハナから読む気無し。
俺って出来る奴っていうプライド高し。
あんたのこと嫌ってるやつ多分いっぱいいるよ?って男。

この時代の小説なりドラマなりを見ると、大概三成くんはこういう性格だ。

ここまで徹底的にそうなのは、本当にものすごくそういうヤツだったってことなのか?
いやいやしかしですよ。
400年前の人ですよ?
どんな資料に基づいてそういうイメージなのかは分からないし、
実際そういう資料があったとしても、その真偽のほどは大分怪しいぜ。
わざと「そう書かせた」文書なんていくらでもあるだろうさ。

と、
私が言うのは、べつに、
三成くんはホントはいい奴なんじゃないの?っていう擁護論ではなくてですね、
ふと思ったんですよ。

400年も先の見ず知らずの奴らに、
性格に難ありとか、言われたくないだろうな~、
と。

てめーら知りもしないくせに、勝手に人の性格がどーとか言ってんじゃねーよ!
と、草場の影でご立腹なのではないだろうか。

ま、私はけっこう好きですけどね。三成くん。
そしてやっぱり戦国時代は面白いですね。