誰かが死んでも、誰かがそれを補って、すべてが回っていくのだな、と彼女は思った。
それは、切ないとか、冷たいとか、そういうことでは全然なく、むしろその反対。
つまり、そのために人間が大勢いて、それこそが集団の力、つまり人間の力なのではないか、と頼もしく感じるのだった。
森博嗣の「キウイγは時計仕掛け」より、
加部谷恵美は考える。
このシリーズも、主人公がいつの間にか西之園萌絵から彼女に変わってきているように、
長い歴史の中では人間なんてちっぽけなものなのであろう。
そう考えると、物事は万事、些末なことに思えてくる。
一つところにとどまる理由など何もないのかもしれないね。