goo blog サービス終了のお知らせ 

クラヴィコード徒然草ーLife with Clavichord

チェンバロ、クラヴィコード製作家 高橋靖志のブログ
製作にまつわるあれこれや猫との暮らし、趣味のオーディオについて

クラヴィコードのCD紹介

2011-02-12 16:27:10 | Music
クラヴィコードのCDの紹介コーナー。
面白いものが手に入ったら紹介していきたいと思います。

Joseph Haydn
The Seven Last Words
Aapo Hakkinen
(ALBA ABCD 251)



ハイドンの「十字架上の7つの言葉」クラヴィーア版のクラヴィコードによる演奏。
使用楽器は、J. H. Silbermann, c. 1775, Unfretted, FF-f3 (Germanisches Nationalmuseum, MIR 1061)
ハッキネンの解説には、クラヴィーア版には"ridotte per il Clavicembalo o Forte Piano"との表記があるが、18世紀終わりのドイツ語圏では Clavicembalo は Clavier と同義語で、もっとも普通にみかける Clavier はクラヴィコードだったこと、強弱記号やテクスチュアからハイドンの1780年代の鍵盤曲の演奏に際しては、チェンバロは第一の選択肢からは外れること、1794年になってから新しいウィーンモデルのクラヴィコードを彼自身が購入したこと、などが書かれています。
つまり、ハイドンがこの曲のクラヴィーア版を監修した時点で想定していた楽器は、クラヴィコードだったということになります。
録音・再生装置のない時代の鍵盤楽器のための編曲版は、身近に音楽を聴くための手段だったことが指摘されますが、このCDを聴くと、この版もまさにそのような用途で作られたということが納得できます。音響的にスケールダウンされてもまたそこにはスケールの大きな世界が広がっていることに驚きますが、そもそもハイドンがクラヴィコードによってイメージを膨らませながら作曲していたと考えれば、驚くことではないのかもしれません。

371 Chorale

2010-10-31 14:56:57 | Music
バブリック・ドメインとして簡単に手に入るバッハの4声のコラールの楽譜(Breitkopf 第3版)
kantate.infoさんには充実した他の版との対照表がありますが、単純に曲名を検索したい時のために目次をつくってみました。まだ入力ミスを十分にチェックできていませんがとりあえずアップしておきます。

Brilliantの新版バッハ全集

2010-09-24 19:48:55 | Music

これまで出るたびに話題になったBrilliantのバッハ全集がリニューアルされて再発売。
157CD+2DVD+DVD-ROMという構成。マルコ受難曲が入って旧版よりCDが2枚増え、マタイとヨハネがDVDにも収録されて価格は値下げ。旧全集版の楽譜がPDFでついているというのもスゴイ。
う-ん、今まではなんとかスルーして来たが、今回はぽちっとしたい気持ちを抑えるのが難しい

10月29日追記
付録の楽譜ですが…
Fred Steltner によってデジタル化されたものということで、これには多数のページの欠落や重複があるようです。現在では改訂版が販売されているようですが、Brilliantの付録は改訂されたものではありませんでした。

新潟古楽フェスティバル

2010-09-22 13:33:16 | Music
9月18日、りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)スタジオAにおいて開催。

企画としては、バッハの4台のコンチェルト BWV1065 が成功裡に終わって、調律が大変だったが音も合っていたようで、めでたしめでたし。

クラヴィコードは、筒井一貴さんの演奏で2曲。
ヨーゼフ・ハイドン: ソナタ第43番 変ホ長調 Hob.XVI/28 は、マニャーノに持って行った5オクターブのフレッティド使用。メヌエットの中間部ではなんと♭6つ。フレッティド・クラヴィコードにとってはかなりの難曲にもかかわらず、全曲を鮮やかに弾ききった筒井さんに拍手。
アントニオ・デ・カベソン: 第6旋法によるティエント は、新しいショートオクターブの楽器にとってはデビューの舞台。鍵盤の奥行きの短いこの楽器で弾くには、入り組んだ声部と早いパッセージがやはり難しい曲。ダイナミックスを大きくとって、穏やかで牧歌的な流れの中にもメリハリをつけた演奏にクギ付け状態。袖や舞台裏にいた人も感動の面持ち。「簡素で小さくてもポテンシャルの高い楽器」という製作コンセプトは実現できたと、ひと安心

バッハ事典

2010-09-09 08:53:59 | Music

東京書籍の『バッハ事典』が入手不可になっているらしい。1996年の出版だから新しい本とは言えないが、ここ10数年でバッハ研究が飛躍的に進んだということはない以上、内容が古くなったわけではないハズ。カンタータでは用途、初演・再演の情報、歌詞、編成などを付した作品解説が充実しているし、関連人名事典、その他の作曲家の作品索引も重宝しているのに絶版・品切れ状態とは残念。廉価版CDを聴く時には手放せない一冊だから、存在価値はむしろ上がっているのでは?
腑に落ちないのは、出版社のサイトのこんなページ。「書籍編集長が語るバッハの魅力」というタイトルの横には "DAS BACH LEXIKON" の文字とバックに見える「バッハ事典」のカバー意匠。
やはり編集者としての思い入れがある?