港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


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シネマ・ポップス…ときどきイラスト

『11月2日』その1

2019-11-01 17:18:35 | 明日は誰の日

【誕生日】


☆ルキノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti (1906.11.02~1976.3.17)



ネオ・リアリズムの誕生に貢献、重厚で耽美的な作風のイタリアの映画監督です。
中世の封建領主を祖先とし、貴族モドローネ公爵の子息としてミラノに生まれました。幼少のころから14世紀に建てられた城内で
貴族の子弟として厳しい教育を受け、古典・歴史・芸術に関する知識を養いました。しかし、自立心が旺盛だったため格式張った
環境を嫌って何度も家出を繰り返す異端児でもありました。やがてその反逆精神は新しい思想に向けられてマルキシズムに没頭、
人々から「赤い公爵」と呼ばれるようになりました。同時に芸術面でも新興芸術に傾倒してフランスの自然文学や演劇にも興味を
示し、当時父親がパトロンであったミラノの演劇界にも出入りしているうちに映画にとらわれるようになりました。
30歳の時にパリに出て、デュヴィヴィエやカルネと知り合い、さらにジャン・ルノワール監督の『どん底』の撮影に協力した後に
イタリアに戻り、映画誌『チネマ』に論評を寄稿するようになりました。この頃に知り合ったジャン・プッチーニの父親である
ジョヴァンニ・ヴェルガから大いなる影響を受けています。ヴェルガは「ヴェリズモ(真実主義)」を提唱したリアリズム文芸
運動の代表的作家であり、これによってヴィスコンティの映画人生が決定づけられることになりました。
1942年に原作の使用許可を得ずに『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を映画化した『妄執』で監督デビューを果たしました。この
作品は徹底的なリアリズムで描かれておりファシスト政府が隠したい恥部でもあるイタリア庶民の困窮さをさらけ出したため、
政府から即座に公開禁止とされてしまいました。しかしこれが後のネオレアリズモ運動の先駆として高評価されることになります。
第二次大戦直後になって、ロセリーニやデ・シーカなどがネオレアリズモ作品を連発しはじめ、ヴィスコンティも1948年になって
『揺れる大地』を発表しました。この作品は網元の権力から逃れようとするシチリア漁民の辛苦の日々を純粋なドキュメンタリー
手法により崇拝するヴェルガのヴェリズモを実行して地方風土の中に人間をとらえる見事な真実の写実で撮り上げました。後々の
ネオ・リアリズムにこの地方主義的傾向が多大な影響を与えたことでイタリアン・リアリズムの代表的作品だともいわれています。
1954年にはメロドラマ風に描いた『夏の嵐』においてロマンチシズムとリアリズムの融合を試み、1960年にはネオ・レアリズモの
集大成となった『若者のすべて』を発表しました。この作品において戦後の復興を遂げる過程で北部の繁栄都市と南部地方の貧窮の
格差を正面から取り上げながら、南部の貧しい家族が都会での残酷な現実を思い知るさまと家族の崩壊を格調高い構成で描き切り
ました。彼の特徴でもある唯美的で背徳的、そして退廃的な風潮が顕著に表れた完成されたデカダンス作品となりました。
続いて1963年にはヴィスコンティ自身をモデルに重ねた『山猫』で前時代の貴族の愛憎と没落を重厚かつ耽美的に描き、1967年
には、映画化は不可能と言われたカミュ原作の実存主義文学作品の『異邦人』を手がけていわゆる反抗的人間の姿を忠実に表現、
ネオレアリズモが下火となってからは、単なるペシミズムに陥らず現状否定を基点とし、常に家族の悲劇・人間の崩壊をテーマ
として重厚で耽美的な作風に傾倒、その映画製作スタイルも他の映画作家と一線を画す特異な存在となりました。

【主要監督作品】
1942年『妄執』(郵便配達は二度ベルを鳴らす)  Ossessione 【YOUTUBEより】

1948年『揺れる大地』 La terra trema【YOUTUBEより】

1951年『ベリッシマ』 Bellissima 

1954年『夏の嵐』 Senso

1957年『白夜』 Le notti bianche 【YOUTUBEより】

1960年『若者のすべて』 Rocco e i suoi fratelli 【YOUTUBEより】

1963年『山猫』 Il gattopardo 【YOUTUBEより】

1965年『熊座の淡き星影』 Vaghe stelle dell'orsa【YOUTUBEより】

1967年『異邦人』 Lo straniero

1969年『地獄に堕ちた勇者ども』La caduta degli dei 
1971年『ベニスに死す』 Death in Venice / Morte a Venezia 


『11月2日』その2

2019-11-01 17:10:28 | 明日は誰の日

【誕生日】


☆アルフレッド・デ・アンジェリス Alfredo de Angelis (1912.11.02~1992.3.31)



ダンス向きの明快な演奏のアルゼンチン・タンゴのピアニスト兼楽団指揮者です。
ブエノスアイレス洲アドロゲに生まれ、幼時の頃からピアノに馴染み、14歳の時にはフォルクローレのコンフントでピアニストを
務めていました。その後タンゴ界に身を投じアンセルモ・アイエタ楽団、グラシアーノ・デ・レオーネ楽団、ロス・メンどーしネス
六重奏団をなどのピアニストとして活躍した後に、1941年に独立して自身の楽団を持ちました。
1945年にはオデオン・レコードと契約、軽快なテンポと独自ののわかりやすいくて美しいトーンを特徴としていたため、ダンス
ファンに好まれて人気楽団となりました。自作でマルテルとダンテが唄った『プレゴネーラ』のヒットや『ラ・クンパルシータ』
の演奏におけるヴァイオリン群のヴァリエーションが有名でダンスファンはもとより幅広いタンゴファンからも絶賛されました。
ファン層の厚い人気楽団でしたが、1985年の録音を最後にタンゴ界から身を引いてしまいました。

【主要演奏曲】
『ラ・クンパルシータ』【YOUTUBEより】

『プレゴネーラ(花売り娘)』
『ミロンガが泣く時』【YOUTUBEより】

『エル・チョクロ』El choclo
『大きな人形』A la gran muñeca【YOUTUBEより】

『君を待つ間』Fumando Espero【YOUTUBEより】

『淡き光に』A Media Luz
『夜明け』El Amanecer
  まだたまたくさんあるのですが…



☆バート・ランカスター Burt Lancaster (1913.11.02~1994.10.20)



進歩的思想による社会派作品などで活躍した白い歯の目立つハリウッドの人気俳優そして製作者です。
ニューヨーク市の下町に生まれ 、小さな頃から映画観に入りびたりで活劇映画に夢中になっていたそうです。ハイスクール時代は
バスケットボールの選手として活躍し奨学金を得てニューヨーク大学に進学したものの二年で中退して親友のプロボクサーである
ニック・クラヴァットとアクロバットチーム「キング・ブラザーズ」を組んでサーカス団に入りました。そこで空中ブランコで活躍
していましたが負傷のために退団、第二次大戦で兵役に就くまではまでは様々な職業を転々とし、戦後にブロードウェイの舞台
に出ていた時にハリウッドのエージェントであったハロルド・ヘクトに見出されてパラマウント社と契約を交わしました。
1946年に『殺人者』でデビューしたものの、暗黒映画の出演に不満を持ち、1947年にはヘクトと独立系のノーマ・プロを立ち上げ、
『真紅の盗賊』などのアクション映画で製作者兼俳優としての活躍を始めました。1954年にはゲーリー・クーパーを主役に迎えて
『ベラクルス』を制作・出演し、白い歯をむき出したニヒルな悪役を演じて主役よりも目立つ存在として話題になりました。
1955年には低予算ながらデルバート・マン監督による『マーティ』を制作しプロデューサーとしてのキャリアも積みました。
その後も反戦的な作品や社会問題・インデアン問題・上流階級批判などの作品に出演し、その進歩的思想で多くの後継者を育て
上げ、ハリウッド社会の中でも一目置かれる存在として君臨しました。

【主要出演作品】
1946年『殺人者』The Killers 
1947年『真昼の暴動』Brute Force
1948年『暴れ者』Kiss the Blood Off My Hands
1949年『裏切りの街角』Criss Cross
1952年『真紅の盗賊』The Crimson Pirate

1952年『愛しのシバよ帰れ』Come Back, Little Sheba
1953年『地上より永遠に』From Here to Eternity

1954年『アパッチ』Apache
1954年『ベラクルス』Vera Cruz【YOUTUBEより】

1955年『バラの刺青』The Rose Tattoo

1956年『空中ぶらんこ』Trapeze

1956年『雨を降らす男』The Rainmaker
1957年『OK牧場の決斗』Gunfight at the O.K.Corral【YOUTUBEより】

1957年『成功の甘き香り』Sweet Smell of Success
1958年『深く静かに潜航せよ』Run Silent, Run Deep
1960年『許されざる者』The Unforgiven

1960年『エルマー・ガントリー』Elmer Gantry

1961年『明日なき十代』The Young Savages

1961年『ニュールンベルグ裁判』Judgment at Nuremberg【YOUTUBEより】

1962年『終身犯』Birdman of Alcatraz

1963年『山猫』Il Gattopardo

1963年『秘密殺人計画書』The List of Adrian Messenger
1963年『五月の七日間』Seven Days in May

1964年『大列車作戦』The Train

1966年『プロフェッショナル』The Professionals
1968年『泳ぐひと』The Swimmer



【ご命日】

★アッカー・ビルク Acker Bilk (1929.1.28~2014.11.02)



イングランドのサマーセット州生まれのクラリネット奏者。
演奏曲としては『白い渚のブルース』が有名ですが残念ながら一発屋に終わりました。


★ピエル・パオロ・パゾリーニ Pier Paolo Pasolini (1922.3.05~1975.11.02)



1960年代に『奇跡の丘』によって新鮮な映像詩の世界を築き上げたイタリアの映画監督。
主な監督作品として『ママ・ローマ』『奇跡の丘』『アポロンの地獄』『テオレマ』『王女メディア』などがある。


追記(3019.11.06)

★マリー・ラフォレ Marie Laforêt (1939.10.05~2019.11.02)



物憂いそうな表情で不思議な魅力を持つフランスの女優、そしてカリスマ的存在の歌手。
主な出演作品として『太陽がいっぱい』『赤と青のブルース』『金色の眼の女』『国境は燃えている』などがあり、
主な歌唱曲として『赤と青のブルース』『シベールの日曜日』『モナムール・モナミ』『ひとりぼっちの浜辺』などがある。