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映画音楽史(272) 『黄金の七人』 1966年公開

2014-10-31 06:44:58 | 映画音楽



『黄金の七人』 7 Uomini D'Oro (伊) 1965年制作
監督 マルコ・ヴィカリオ
音楽 アルマンド・トラヴァヨーリ
主演 ジョルジア … ロッサナ・ポデスタ
    アルベール(教授) … フィリップ・ルロワ
    アドルフ … ガストーネ・モスキン
    アルド … ガブリエル・ティンティ
主題歌 『黄金の七人』 ( 7 Uomini D'Oro ) 演奏・サウンド・トラック

窃盗団が奇想天外な方法で銀行に保管されている金塊をごっそり盗みとるコメディ仕立てのアクション作品。
近代設備で厳重に防備されたジュネーヴの銀行の地下室には数百億の金の延べ棒が眠っていて、教授と呼ばれる首領
と六人の窃盗団がそれを盗み出す計画を立てた。向かいのホテルに陣取った教授の指示で、六人組は道路工事を装って
地下を掘り計画通りに金塊を盗み出すことに成功し、銅に見せかけてイタリアに運ぼうとした。しかし教授の情婦ジョルジア
がこれを横取りしようと企み教授もまた独り占めしようとしたことで仲間割れになり、更にトラックに積んでいた金の延べ棒
は事故で散乱してしまった。この失敗にも懲りず七人の窃盗団とジョルジアはローマの銀行の金塊を狙う計画を立てる。

ジャズ風の早口スキャットをフィーチャーした主題歌の『黄金の七人』はアルマンド・トラヴァヨーリの作曲によるものです。
映画では冒頭のタイトルバックなど全編に流れています。また、この主題歌は以後の『黄金の七人』シリーズにも使われ
ています。

↓はサウンド・トラックによる『黄金の七人』 YOUTUBEより



映画音楽史(271) 『恋するガリア』 1966年公開

2014-10-30 17:46:15 | 映画音楽



『恋するガリア』 Galia (仏) 1965年制作
監督 ジョルジュ・ロートネル
音楽 ミシェル・マーニュ
主演 ガリア … ミレーユ・ダルク
    ニコール … フランソワズ・プレヴォー
    グレッグ … ヴェナンティーノ・ヴェナンティーニ
    マチック … ジャック・リベロル
主題歌 『恋するガリア』 ( Galia ) 唄・スィングル・シンガーズ

気ままな現代娘が中年夫婦の愛の葛藤に巻き込まれ人生の甘酸を知って成長するというサスペンス仕立てのドラマ。
誰にも束縛されずにパリでの一人暮らしを満喫していた若いガリアは、ある日セーヌ河で夫との関係に絶望して自殺を
図ったニコールを救う。ガリアは自分のアパートにニコールを連れて来て事情を聞くうちに彼女の夫のグレッグに興味を
持ち観察を続けるうちに逆に言い寄られてしまって深い関係になった。しかしそんな日々が続くはずもなくやがて破局の
日がやってくる。ガリアがグレッグに別れの電話を入れると、電話に出たニコールがグレッグを射殺したところだと話す。

主題歌の『恋するガリア』の原曲はヨハン・S・バッハのチェンバロ協奏曲第5番第2楽章でこれをミシェル・マーニュが
アレンジしたものです。映画ではガリアとグレッグのゴンドラでのデートシーンなどに流れていました。
また、この曲をスキャットしたスィングル・シンガーズのリーダー格であるクリスチャンヌ・ルグランは映画音楽家である
ミシェル・ルグランの実姉としても有名です。

↓はスィングル・シンガーズの『恋するガリア』 YOUTUBEより




映画音楽史(270) 『男と女』 1966年公開

2014-10-29 07:24:24 | 映画音楽



『男と女』 Un Homme et Une Femme (仏) 1966年制作
監督 クロード・ルルーシュ
音楽 フランシス・レイ
主演 アンヌ … アヌーク・エーメ
    ジャン・ルイ … ジャン・ルイ・トランティニアン
    ピエール … ピエール・バルウ
主題歌 『男と女』 ( Un Homme et Une Femme ) 演奏・サウンド・トラック

互いに配偶者を失った中年の男女の愛を、華麗な映像美と主題歌で描いたロマンチシズム溢れる話題作。
妻に自殺されたレーサーのジャンと夫と死別したアンヌ。二人はそれぞれの子供を預けている寄宿舎で出会ってお互い
に心を惹かれ合う。モンテカルロ・ラリーに出場して無事にレースを終えたジャンはアンヌのもとへと車を走らせた。二人
は束の間の逢瀬に身を委ねるが、亡き夫との過去を振り切れないアンヌはジャンを残してそっとパリ行きの列車に乗る。
シャンはアンヌの列車を追って車を走らせ、先回りして列車から降りてくるアンヌを出迎えて抱きしめる。

ボサノヴァ調の主題歌『男と女』はフランシス・レイの作曲で、作詞は出演者のピエール・バルウによるものです。
サントラ盤の演奏はフランシス・レイ楽団で、スキャットのデュエットはピエール・バルウとニコール・クロワジール
の歌唱でした。映画ではジャンがレースを終えてアンヌのもとに駆け付けた浜辺のシーンなど全編に流れていました。
レコードとしてはサントラ盤のほかミレイユ・マチューの歌唱や多くの楽団の演奏がリリースされ、さらにジャック・ケラー
による英詩がつけられて英語圏でもヒットしました。

↓はサウンド・トラックによる『男と女』 YOUTUBEより



映画音楽史(269) 『幸福』 1966年公開

2014-10-28 07:27:17 | 映画音楽



『幸福』 Le Bonheur (仏) 1965年制作
監督 アニュエス・ヴァルダ
音楽 (モーツアルト)
主演 フランソワ … ジャン・クロード・ドルオー
    テレーズ … クレール・ドルオー
    エミリー … マリー・フランス・ボワイエ
主題歌 『幸福のテーマ』 ( Le Bonheur ) 演奏・サウンド・トラック

日常生活にしのび込んできた波紋の中に真の幸福の姿を追求した作品で、見事な色彩感覚による映像で描いた傑作。
真面目な働き者のフランソワは日曜日には妻のテレーズや二人の子供とピクニックに出かけるのが楽しみであった。
ある日、フランソワは郵便局で窓口のエミリーと出会いお互いに愛し合うようになるが、彼に罪悪感は全くなかった。
フランソワにとっては家庭にいる時は妻子を愛していたし、逆に愛する女性が二人になったことに幸せを感じていた。
そんな中、家族でピクニックに出かけたとき、フランソワは何の罪の意識もなく妻にエミリーのことを告白し、テレーズも
それを受け止めたように見えたが、フランソワが昼寝から目覚めた時にはテレーズは池で溺死していた。そして季節は
夏から秋に移り、エミリーがフランソワの家族として溶け込み、何事もなかったかのように新しい幸福が始まっていた。

映画の冒頭、ひまわりの映像のタイトルバックに使われたのはモーツァルトの「アダージョとフーガ・ハ短調K.426」を短く
まとめたもので、引き続いてのピクニックのシーンでは同じく「クラリネット五重奏曲イ長調 K.581 第1楽章」が使われて
いて、この「クラリネット五重奏曲」が映画主題歌『幸福のテーマ』としてリリースされています。

↓はサウンド・トラックによる『幸福のテーマ』 YOYTUBEより



余談になりますが
アニュエス・ヴァルダは『シェルブールの雨傘』を監督したジャック・ドミと夫婦であり、共にヌーヴェル・ヴァーグのセーヌ
左岸派に属しています。ジャック・ドミが『シェルブールの雨傘』において、「雨に始まり雪で終わる」という映画文法を
踏襲していましたが、ヴァルダも「ピクニックで始まりピクニックで終わる」という映画文法の基本を守っています。
自由奔放なヌーヴェル・ヴァーグであるにもかかわらず夫婦共々きっちりと文法を守っているのはさすがです。
また、劇中のテレビがジャン・ルノワールの『草の上の朝食』を放映しているシーンがありますが、ヌーヴェル・ヴァーグ
の作家たちがジャン・ルノワールに特別の敬意を持っているという「証し」のように見えます。
ラストシーンのピクニックに出かけたワゴン車のテールランプの片方が光らないという演出も心憎いですね。



映画音楽史(268) 『ビバ!マリア』 1966年公開

2014-10-27 07:56:22 | 映画音楽



『ビバ!マリア』 Viva Maria! (仏) 1965年制作
監督 ルイ・マル
音楽 ジョルジュ・ドルリュー
主演 マリア(M) … ジャンヌ・モロー
    マリア(B) … ブリジット・バルドー
    フローレス … ジョージ・ハミルトン
    ロドリゲス … カルロス・ロペス・モクテスマ
主題歌 『パリ・パリ・パリ』 ( Paris, Paris, Paris ) 唄・ジャンヌ・モローとブリジット・バルドー

中米の架空国家サン・ミゲルを舞台に、二人のマリアが民衆蜂起の革命を成功させるコメディ・タッチの娯楽大作。
幼いころから父親ゆずりのテロリストだったマリア(B)は、流れ流れて中米(メキシコ)にたどり着いたがここでも警察に追われ
旅芸人一座に逃げ込む。一座では花形の女優が自殺したばかりでマリア(B)はマリア(M)とコンビを組むとこれが大成功する。
しかし思わぬことから一座は革命の渦の中に巻き込まれた。二人のマリアは革命戦士のフローレスと共に圧政をしていた
暴君ロドリゲスに立ち向かい、身の危険にさらされながらも女闘士として大活躍して革命軍に勝利をもたらす。

ミュージカル・ナンバー風でパリ讃歌の主題歌『パリ・パリ・パリ』はジャン・クロードカリエールとルイ・マルの共同作詞、
ジョルジュ・ドルリューの作曲によるものです。映画では一座の舞台で二人のマリアが衣裳を脱ぎながら唄っていました。

↓はサウンド・トラックによる『パリ・パリ・パリ』 YOUTUBEより