【誕生日】
☆フランシスコ・カナロ Francisco Canaro (1888.11.26~1961.12.14)
アルゼンチン・タンゴ界最大の巨匠で「タンゴの王様」と称されたヴァイオリニスト、作曲家、楽団指揮者です。
貧しいイタリア人移民の両親の10人兄弟の次男坊としてウルグアイのサン・ホセ・デマジョで生まれました。助産師がその髪の
形を見て「ピリンチョ (ククリ科の鳥の一種) のように見える!」と叫んだので、それ以来ピリンチョの愛称で呼ばれました。
10才の頃アルゼンチンのブエノスアイレスに移住し、勤めていた工場の油缶を加工したヴァイオリンを作って独学で奏法を習得し
1906年にタンゴ界入りました。ビセンテ・グレコなどのオルケスタに籍を置いたのち、弱冠二十歳になったばかりの1908年に
処女作のカナロ兄弟の強い絆を意味する『ラ・バーラ・フェルテ』を作曲して注目を集め、以後もオルケスタを率いる一方で
数多くの曲を作り、1910年代半ばにオデオンと終身専属契約を結び、タンゴ黄金期を支えた五大楽団の一つと呼ばれ、1924年には
第一回タンゴ・コンクールに自作の "Sentimiento Gaucho" (ガウチョの嘆き)で優勝を果たしました。
1925年にはパリ公演を実施、この成功によりアルゼンチン・タンゴはヨーロッパはもとより世界に認識される音楽となりました。
その後も数他の海外公演を繰り返し、1932年以降は音楽劇や映画の製作など精力的に活動の幅を広げ、また、1937年には通常の
オルケスタと併行してドン・パンチョ五重奏団(のちのキンテート・ピリンチョ)を組織して古典曲を古典風に演奏するスタイルで
さらなる人気を集め、タンゴ黄金期を支える大黒柱となりました。
簡単明瞭で親しみやすい踊れるタンゴを重きにおいて、自称ではありますが約700曲を作曲、録音の総数は7000曲にのぼり
まさに「生きるタンゴ史」と言われ、「タンゴの王様」にふさわしい活動を続けました。
1961年には日本公演も行なったのですが、残念ながらその三年後に輝ける生涯を閉じてしまいました。しかし、カナロ楽団は
オスカル・バシル、ホルヘ・ドラゴーネによって順次引き継がれて現在でも演奏活動を続けています。
【主要作曲作品】
『ラ・バーラ・フェルテ』(強い仲間) La Barra Fuerte 1908年 視聴
『エル・アラクラン』 (サソリ) El alacran 視聴
『エル・インテルナード』(インターン医学生) El internado 1914年 視聴
『エル・ポジート』(ひよこ) El Pollito 1915年 視聴
『ラ・タブラーダ』La tablada 1915年 視聴
『ガウチョの嘆き』Sentimiento Gaucho 1924年【YOUTUBEより】
『最後の盃』La ultima copa 1925年 視聴
『アラバレーラ』(下町娘) Arrabalera 視聴
『黄金の心』Corazon De Oro 1928年【YOUTUBEより】
『マドレセルヴァ』(すいかづら) Madreselva 1938年 視聴
『ブエノスアイレスのミロンガ』La milonga de Buenos Aires 視聴
『さらば草原よ』 Adios Pampa Mia 1945年 (マリアノ・モレスとの合作)【YOUTUBEより】
【主要演奏曲】
『デレーチョ・ヴィエホ』 Derecho Viejo 視聴
『デ・ミ・バリオ』(私の街では) De Mi Barrio 視聴
『酒宴の一夜』 Una Noche De Garufal 視聴
『ホテル・ビクトリア』Gran Hotel Victoria 視聴
『アディオス・アルヘンティーナ』 Adiós Argentina【YOUTUBEより】
『インスピラシオン』Inspiracion 視聴
『ある恋の物語』 Historia De Un Amor 視聴
『ラ・モローチャ』La morocha 視聴
『エル・ジョロン』(泣き虫) El Lloron【YOUTUBEより】
『ジーラ・ジーラ』Yira Yira 視聴
『ソーロ・グリス』Zorro Gris 視聴
『ロドリゲス・ペーニャ』Rodriguez Peña 視聴
『バンドネオンの嘆き』Quejas de Bandoneon 視聴
『ミロンガが泣くとき』Cuando Llora la Milonga 視聴
『パリのカナロ』Canaro En Paris【YOUTUBEより】
『ラ・クンパルシータ』La Cumparsita 視聴
『ポエマ』Poema 視聴
『カミニート』Caminito 視聴
『エル・チョクロ』El Choclo 視聴
『アディオス・ムチャーチョス』Adios Muchachos 視聴
『ミロンギータ』Milonguita 視聴
『七月九日』9 de julio 視聴
『街角』El Esquinazo【YOUTUBEより】
『ラ・プニャラーダ』La puñalada 視聴
『黄昏のオルガニート』Organito De La Tarde 視聴
『大きな人形』A La Gran Muñeca 視聴
『エル・オンセ』El Once 視聴
『ア・メディア・ルス』A Media Luz 視聴
『エクスポジション酒場』Bar Exposicion 視聴
『フェリシア』 Felicia (演奏=キンテート・ピリンチョ)【YOUTUBEより】
(こうして並べてみますと、まさに「生きるタンゴ史」そのものですね)
【ご命日】
★マルセル・レルビエ Marcel L'Herbier (1888.4.23~1979.11.26)
サイレント時代に美術的過ぎるフォトジェニー映像で映画芸術を極めたフランスの映画監督。
主な監督作品として『海の人』『エル・ドラドオ』『人でなしの女』『生けるパスカル』などがある。
★トミー・ドーシー Tommy Dorsey (1905.11.19~1956.11.26)
トロンボーンとトランペットの奏者で、世界的なビッグ・バンド「トミー・ドーシー楽団」のリーダー。
主な演奏曲として『明るい表通りで』『スターダスト』『二人でお茶をチャチャ』などがある。